MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.10 8月6日 チェコ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第10戦チェコGP
■開催日:2017年8月4日(金)決勝結果
■開催地:ブルノ/チェコ(5.403 km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:21度 ■路面温度:24度
■PP:M・マルケス(1分54秒981/ホンダ)
■FL:M・ビニャーレス(1分57秒052/ヤマハ)
REPORT
ビニャーレスが3位表彰台! ロッシは4位を獲得
天候変化によって全員がタイヤ交換を行うこととなったチェコGPで、Movistar Yamaha MotoGPのM・ビニャーレスが3位を獲得。チームメイトのV・ロッシはコース復帰後、14位まで後退したが、決意の走りで4位まで挽回した。
Monster Energy Grand PrixチェコGPは、ウエットコンディションでスタートしたが、徐々にドライへと変化していく難しい展開となった。全員がタイヤ交換を余儀なくされたフラッグ・トゥ・フラッグのレースのなかで、Movistar Yamaha MotoGPのM・ビニャーレスが3位を獲得。チームメイトのV・ロッシは序盤でレースをリードし、タイヤ交換後も懸命に追い上げて4位を獲得した。
7番グリッドからスタートしたビニャーレスは、第1コーナーでひとつ順位を上げて6番手へ。次にD・ペドロサ(ホンダ)をパスして5番手にポジションを上げオープニングラップを終了した。しかし、この時点で早くも路面変化が顕著になり、レイン・タイヤで走り続けるのは困難な状況となった。
ビニャーレスは4ラップ目にピットに戻ってマシンを交換。13番手でコースに復帰し素早くリズムを取り戻すと、他のライダーたちがタイヤ交換を始める間にポジションを挽回していった。残り17ラップの時点で11番手。このあとは、16ラップ目に自己ベストを更新するなどハードにプッシュを続け、ついには3番手まで浮上。しかし前の2台には近づくことができず、トップから18.135秒差の3位でチェッカーを受けた。
一方のロッシは、2番グリッドからスタートしたが第1コーナーではポジションを落として5番手となるが、その後すばやくペースを上げ上位との差を詰めていった。2ラップ目にはA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)とM・マルケス(ホンダ)をパス。3ラップ目には2番手に上がり、トップのJ・ロレンソ(ドゥカティ)の追撃を開始すると、難しい路面状況のなかでペースを崩すことはなく、1周後にはロレンソを追いついてトップに浮上した。
しかし5ラップ目、タイヤ交換のためピットに戻った間に14番手まで後退してしまう。残りは17ラップ。前方を行く大勢のライダーを次々とかわし、最終的には4番手まで挽回してチェッカーを受けた。トップとの差は20.466秒だった。
この結果、ランキングではビニャーレスがトップから14ポイント差で2位をキープ。ロッシはランキング4位で、2位のビニャーレスとの差が8ポイントという大接戦になっている。またコンストラクターズ・ランキングではヤマハが9ポイントリードしてトップをキープ。チーム・ランキングではMovistar Yamaha MotoGPが2位につけ、トップを5ポイント差で追っている。
Monster Yamaha Tech3のJ・フォルガーは、グリッド5列目から好スタートを切って順調にペースアップ。路面が乾き始めると早々にマシン交換を行ったが、チームの計算ミスによって1ラップ後に再びピットインを強いられてしまった。これによって21番手まで後退したフォルガーはしかし、集中力を切らすことなくリズムを取り戻してハイペースをキープ。上位陣にも劣らないスピードで最後まで走りぬき、10位まで挽回してチェッカーを受けた。
フォルガーのチームメイトのJ・ザルコも、絶好のスタートから上位浮上を目指した。そしてフォルガーとは対照的にピットインを遅らせる作戦を選択し、7ラップ目にマシンを交換して16番手で復帰。そこからペースを上げて挽回を図り、12位でゴールした。
次回は来週、オーストリアはスピールベルグのレッド・ブル・リンクで行われる。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
M・ビニャーレス選手談(3位)
「とても満足しています。目標にしていた表彰台獲得を達成することができたし、正直なところ、3位は今日の僕にできる最高の結果です。ウイーク中は苦労してきたし、タイトル獲得のためにも、常に表彰台に上らなければならないから、とてもよかったです。ピットインがやや遅かったかもしれませんが、ペドロサやそのほかのライダーたちと同じ時間帯だったし、最終的にはそれを好結果につなげることができました。路面状況の変化は予想以上に急激でした。それを考えればもう少し早めに入ったほうが良かったかもしれませんが、フラッグ・トゥ・フラッグのレースで表彰台に初めて上り、多くのよい経験ができました。次回、オーストリアGPはまた重要な一戦です。よいフィーリングを得て、順調にウイークを過ごし、日曜日には優勝をめざします。今日の表彰台はアンヘル・ニエトに捧げるものです。彼は偉大なライダーのひとりでした」
V・ロッシ選手談(4位)
「フラッグ・トゥ・フラッグになると、いつも厳しい戦いを強いられてしまいます。このような展開のレースは得意なほうではありませんが、今日はなんとか、まずまずの結果につなげることができました。前回のフラッグ・トゥ・フラッグから大きく前進して4位を獲得したわけですが、引退するまでに一度は、このような状況で優勝したいと思っています! それはともかく、今日はもしもフル・ウエット、あるいはフル・ドライになっていれば、表彰台を目指すことができたでしょう。でもピット作業がうまくできたこともあって、ウエットでもドライでもマシンのフィーリングがよく、このような好結果を獲得することができました。これは重要ではありますが、非常にハードな状況で最初から最後まで懸命にプッシュし続けた結果、表彰台に上れなかったことはやはり少し残念です。レースの世界では時にこのようなこともあるし、このコンディションのなかでの4位は決して悪くない結果だと思っています」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「ふたりとも気持ちよくマシンに乗れていました。スタートからペースをつかんで好調に走っていましたが、その時にはすでに、タイヤをスリックへ交換しなければならないことが明らかでした。フラッグ・トゥ・フラッグのレースはその性質上、どうしても不確実なギャンブルになってしまいます。マーベリックはバレンティーノよりも1ラップ早くピットに戻ったわけですが、こうした決断は、チームにとってもライダーにとっても、いつも非常に難しいもので、とくにレースをリードしている場合はなおさらです。結果、ふたりともタイヤ交換後は中段で復帰。タイヤが暖まるペースを上げ、ラップタイムを1分57秒台前半まで短縮しました。この好調ぶりを見れば余計に、路面変化がこれほど大きな影響をおよぼしたことに悔しさも覚えます。来週のオーストリアGPでは、またトップをめざし頑張ります」
Monster Yamaha Tech3
J・フォルガー選手談(10位)
「最後はマシンに好感触を得ることができましたが、全体を通して見れば、非常に難しいレースでした。走り始めたときにはウエットだったのに、急速に乾いていきました。そのときはちょうどマルケスの後ろについていて、彼がピットに入るのを見たので僕もついて行く決断をしました。でもミスがあり、ピットレーンを通過して、そのまま出て行かなくてはならず、マシンを交換することができなかったのです。そのため次のラップでもう一度ピットインすることになり、時間を費やしてしまいました。でもそのあとはとても好調でした。2台目のマシンは一度も乗ったことのないもので、リスクをかけて異なるセッティングを試したのですが、それが功を奏し、レースのなかで好タイムを記録して、たくさんのライダーをパスすることができました。ミスがあったことは残念ですが、これがレースというものです。このような状況のなかでもポイントを獲ることができてよかったと思っています。次のオーストリアでも頑張ります」
J・ザルコ選手談(12位)
「難しいレースでした。悔しさを隠しきれません。レイン・タイヤで走り始めたときはとても好調だったので、もしも路面が乾いていったとしても、そのままピットに戻らずにすむことを望んでいました。そうすればきっとトップまでたどり着けるだろうと...。ところが予想以上に速く乾き、作戦を変更しなければならなくなりました。でもピットに戻るのが遅すぎました。この間に10秒くらい遅れてしまったのです。こういうところで重要になるのが経験です。ウエットになるのかそうではないのか分析し、把握するのはとても難しいことです。前を走っていたバレンティーノがピットに入るのを見て、僕はもう1ラップ頑張ったら、もしかしたら有利になるのではないかと考えてしまいました。ところが逆に遅れてしまい、悔しい思いをすることになりました。でも最後まで走り切り、いくらかでもポイントを獲得し、多くのことを学びました。今週もまた経験と知識が増えました。常に冷静さをキープすることで、次のオーストリアではもっといい戦いができると思っています」
H・ポンシャラル、チームマネジャー談
「予選順位こそあまり良くありませんでしたが、それを除けば今週はとても順調に来ていました。しかも、天気が悪くなれば我々に有利になると考えていたのです。ジョナスはプラクティスのすべてのセッションで速さを見せ、予選では好タイムが出なかったものの、そのハイペースに大いに期待していました。スタートも順調でしたが、そのあとチームは大幅な進路変更を強いられました。ジョナスがピットに入って来たとき、スリック・タイヤを装着した2台目のマシンの準備がまだできていなかったのです。そのため彼はもう1ラップ走らなければならなくなり、この時点ですでに、トップへの希望がついえてしまいました。その後の彼の速さを見て、ますます悔しさがこみ上げました。あのラップタイムを見れば、間違いなく表彰台まで届いていたはずです。一方、ヨハンは、序盤でトップ争いを展開して大いに期待しましたが、彼はそのあとミスをおかしました。バレンティーノのピットインもすでに遅かったくらいなので、ヨハンは少なくともバレンティーノと同じタイミングで戻って来るべきでした。そうしていれば、おそらく5位くらいまでは上がれたはずなのです。今週は常にジョナスより遅れていましたが、いずれにしてもよくない結果になってしまいました。すべては我々の考えが足りなかったことが原因です。そしてヨハンに対しては、彼の前を走っている経験豊富なライダーたちをよく見て、そこから学んでもらいたいと思っています」