ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.16 10月18日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:第16戦オーストラリアGP
■開催日:2015年10月18日(日)決勝結果
■開催地:フィリップアイランド/オーストラリア
■コースコンディション:ドライ
■気温:15度 ■路面温度:42度
■PP:M・マルケス(1分28秒364/ホンダ)
■FL:M・マルケス(1分29秒280/ホンダ)
REPORT
ロレンソが2位表彰台を獲得!
ロッシは4位で、チャンピオン争いはさらに激化
Movistar Yamaha MotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシが見ごたえあるレースを展開。ロレンソは2位、ロッシは4位でヤマハのマニュファクチャラーズ・チャンピオンが決定。ロレンソはロッシとの差を11ポイントまで詰めた。
ロレンソは予選3位から好スタートを切り、M・マルケス(ホンダ)をパス。ロッシがC・クラッチロー(ホンダ)に阻まれる間にもロレンソは全力でペースを上げ、第8コーナーでA・イアンノーネ(ドゥカティ)をとらえてトップに浮上。しかしドゥーハン・コーナーでは後退を余儀なくされた。次の2ラップは激しい展開。ロレンソ、イアンノーネ、マルケスのトップ3台が互いに何度もポジションを入れ替え、ロレンソが再びトップに返り咲くと、今度は素早く逃げ切り態勢へと転換。後続のロッシ、マルケス、イアンノーネが一旦はロレンソに追いついたものの、3台でバトルする間に再び差が開いてゆく。残り15ラップの時点で1.2秒差まで拡大したが、その2ラップ後にはマルケスがロレンソのテールに追いついてバトルに持ち込む。そしてふたりが競り合いを始めると、その間にイアンノーネとロッシが差を詰めていった。
残り6ラップ。後方からの追撃を察知したロレンソは果敢な攻めでトップに浮上。そのままリードを広げたいところだったが、マルケスもあきらめず、ついには抜き返されたが、2位表彰台を獲得しロッシとの差を再び縮めることに成功した。
一方のロッシは、7番グリッドから好スタートを切り、1ラップ目で6位へ浮上。しかしクラッチロー、D・ペドロサ(ホンダ)に行く手を阻まれる間にトップ争いから水を開けられてしまうが、3ラップ目でふたりをとらえ、さらにその2ラップ後にはトップ争いに加わった。
その頃、ロレンソはトップを快走。わずかなポイント差を競り合っているロッシは、少しでも前へ出ようと全力でプッシュしてゆく。そしてファステスト・ラップを記録する激しい走りでマルケスを追っていると、残り9ラップのドゥーハン・コーナーでマルケスがはらんで後退。ところがロッシとイアンノーネが競り合う間に、マルケスが再び抜け出してトップのロレンソを追って行った。
ふたりのイタリアンがふたりのスパニッシュを追う激しい展開。残り6ラップで追いつくと、残り4ラップではロッシがイアンノーネをパスして3位へ浮上。次のラップにはマルケスのインに飛び込みパスを試みたが、ここでイアンノーネが前へ。そして最終ラップではロッシが再び仕掛けたが届かず、4位でチェッカーを受けることとなった。
この結果、ロッシは合計296ポイントでランキングトップをキープ。ロレンソが11ポイント差で追っている。
エスパルガロが8位を獲得
Monster Yamaha Tech 3のP・エスパルガロがオーストラリアGPで8位を獲得した。予選9位、グリッド3列目からスタートすると1周目を11位で終え、素早くペースをつかんでポジションアップを図る。そして5ラップ目までに9位へ挽回し、ドゥカティのファクトリーライダー、A・ドビツィオーゾと何度も順位を入れ替えるバトルを展開。8ラップ目に前へ出たあとは一気にアドバンテージを広げ、前を行くA・エスパルガロ(スズキ)に照準を合わせる。ラップごとに着実に差を縮めて15ラップ目でこれをとらえ、そのまま順調にペースを上げて8位でチェッカーを受けた。次回のマレーシアでも引き続き、サテライト勢トップを目指し、ファクトリー勢に少しでも近づくことが目標となる。
エスパルガロのチームメイトのB・スミスも10位獲得と健闘。グリッド4列目からスタート後、オープニングラップを12位で終えてリズムをつかむ。そして4ラップ目には1台抜いて11位に上がり、さらに1ラップ後には10位のドビツィオーゾをパス。次に9位のA・エスパルガロを追って着実にその差を縮めていったが、追い抜くことができないままチェッカー。スズキのファクトリーにコンマ5秒差まで迫り、10位を獲得した。スミスは今シーズンのすべてのレースでトップ10入りを達成。同時にシリーズポイントでは、ドビツィオーゾに対するアドバンテージを拡大した。次回、マレーシアGPでは、トップ6入りを目指す。
バズがオープンクラス3位を獲得
Forward RacingのL・バズとT・エリアスは、フィリップアイランドの攻略に苦戦し、ともにポイント圏外の18位と22位となった。
予選でフィーリングをつかんだバズは、15位以内を目指してH・バルベラ(ドゥカティ)、Y・ヘルナンデス(ドゥカティ)とバトル。何度もパスを試みるも、チェッカー目前に抜かれて18位となった。一方のエリアスは、マシンを十分に把握できないまま決勝に臨むことになり、序盤から離されて22位でゴールした。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 40'33.849 |
2 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +0.249 |
3 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | +0.930 |
4 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +1.058 |
5 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +5.062 |
6 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | +6.800 |
7 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | +9.375 |
8 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech3 | Yamaha | +18.401 |
9 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | +20.039 |
10 | B・スミス | Monster Yamaha Tech3 | Yamaha | +20.657 |
11 | S・レディング | Estrella Galicia 0.0Marc VDS | Honda | +21.846 |
12 | D・ペトルッチ | Octo Pramac Racing | Ducati | +22.840 |
13 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +29.168 |
14 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | +37.244 |
15 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | +40.192 |
16 | H・バルベラ | Avinta Racing | Ducati | +48.263 |
17 | Y・ヘルナンデス | Octo Pramac Racing | Ducati | +48.572 |
18 | L・バズ | Forward Racing | Yamaha | +48.677 |
19 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | +50.201 |
20 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | +50.262 |
21 | S・ブラドル | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | +50.277 |
22 | T・エリアス | Forward Racing | Yamaha | +1'20.942 |
23 | A・ウエスト | AB Motoracing | Honda | +1'23.454 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 296 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha | 285 |
3 | M・マルケス | Honda | 222 |
4 | A・イアンノーネ | Ducati | 188 |
5 | D・ペドロサ | Honda | 165 |
6 | B・スミス | Yamaha | 158 |
10 | P・エスパルガロ | Yamaha | 96 |
16 | L・バズ | Yamaha | 28 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 362 |
2 | Honda | 310 |
3 | Ducati | 237 |
4 | Suzuki | 120 |
5 | Yamaha Forward | 33 |
6 | Aprilia | 28 |
7 | ART | 2 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(2位)
「シーズン最高のエキサイティングなレースとなった。近年でも最高に素晴らしいレースだったと思う。トップ4台が最初から最後まで、こんなに激しく、コーナーごとに勝利を競り合うなんて信じられないよ。正直に言えば、アンドレアとバレンティーノがここまでついて来るとは思っていなかった。それに僕より速いと思っていたマルケスが、いくつかのコーナーでは問題もあったようなので、前へ出てから逃げ切りを狙った。でも少し足りなかったんだ。フロントタイヤが消耗していたので、低速コーナーではやや遅れ気味になり、十分にリーンできず、その間にマルケスがまた追いついてくるという展開だった。最後のブレーキングでは、転倒を避けるために早めのブーレーキングをしたが、それを遅らせたマルクが勝利をつかんだのだと思う。結果、チャンピオンシップではバレンティーノとの差を詰めることができて、とても気分がいい。今回は最初から最後まで良い仕事ができて、おかげでマシンがよく走ってくれたよ。唯一、フロントタイヤに少し手間取ったことは残念だった。ポイント差については、もっと縮めることも可能だっただろうが、逆にもっと少なかったことだってあり得る。ある程度のところで良しとして、今はただ前を見て、残りの2レースに賭けたい」
V・ロッシ選手(4位)
「もっと上も目指せたはずだけど、この結果もOK。最終ラップでイアンノーネをパスできたはずだけれど、それができなくて表彰台を逃してしまったことはちょっと残念だ。ペースもスピードも良かっただけに4位に終わり悔しいが、レース自体はとても良かったと思っている。シーズン序盤の成績があとで響いてくると、ずっと前に話したが、それがいよいよ現実的になってきたというわけだ。最終戦まで非常に厳しい戦いが続く」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「今日、シーズンで最もエキサイティングなレースを見せてもらった。今回はいいレースができると自信を持って臨んでいたが、実際にはその予想を超えるものとなり、ホルヘもバレンティーノも激しく競り合い、限界までプッシュした。ヤマハ60周年の記念の年に、我々はアラゴンでチームタイトルを獲得し、今日はコンストラクターズタイトルを決定。チームの全員がこのことを誇りに思っている。ライダータイトルについては、もうしばらく待たなければならないが、次のセパンが楽しみだ」
Monster Yamaha Tech 3
P・エスパルガロ選手談
「ウイーク初日のことを思い出せば、今日の結果は素晴らしいもので、満足しなければならない。それにトップとの差もいつもよりも縮まっているので、総合的に見て喜ぶべき結果なのだと思う。とは言え、やはり悔しさも残っている。今朝のウォームアップ・セッションではペースが良く、自信を持って走ることができていたのに、決勝ではどういうわけかグリップ・レベルが下がってしまった。そしてここ何戦かは、いつもそれが原因で苦しめられてきたんだ。今日は決して悪くなかったんだけれど、次のセパンまでに解決策を見つけなければならないと思っている」
B・スミス選手談
「正直に言って、とても苦しいレースだった。そんななかで10位に入れたことは評価していいと思う。今回はウイークを通じて苦労が続き、このテクニカルなコースを自信を持って走るための適切なセッティングがなかなか見つからなかった。それでもチームのみんながベストを尽くして頑張ってくれたおかげで、最後にようやく最善のものになり、ラップタイムも安定してきて、これまでで最速のタイムを記録することができたんだ。結局、10位が精一杯だったけれど、チームメイトのエスパルガロとバトルし、チャンピオンシップのライバル、ドビツィオーゾの前でゴールして3ポイント多く加算できたことは大きな収穫。今回はセットアップに苦労し、方向性をみつけられなかったので、セパンでは改善し、いつものように自信を持って6位以内を目指したい。冬の間に2回、テストを行っているので、ベース・セッティングはできている。暑さに苦しめられることになるだろうから、早く準備を整えないとね」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「Monster Yamaha Tech 3について話す前に、今日のレースの素晴らしさを評価したい。テレビの向こうで見ていた人たちも、サーキットに足を運んでくれた大勢のファンも、この見事なレースを堪能してくれたに違いない。本当に見応えある素晴らしいショーだった。我がチームのライダーたちについては、あまり多くを話すことはないが、チームとしては彼らのパフォーマンスに満足している。ポルもブラッドリーもリズム良く、安定した走りを貫いた。ポルがポジションを挽回し、彼の兄をパスしたことがうれしかったし、ブラッドリーより前でゴールしたのはこれで3回目になった。ここのところ厳しい状況が続いていて、懸命にそれを乗り越えてきたのだから、これからもっとポジティブになっていいと思う。そしてこの勢いを保ち続けることを期待している。ブラッドリーについては、予選では苦労したが決勝で見事に挽回。ペースもとても良かった。ドビツィオーゾを抜くのは簡単ではなかったが、それを成し遂げ、トップ10入りを実現。そして貴重なポイントを獲得した。フリープラクティス第4セッションでは転倒があり、苦しいウイークになったにもかかわらず、全力でハードに攻めた彼に感謝する。これから少しだけ休んで、次のセパンに備えたい」
Forward Racing
L・バズ選手談(18位)
「レース自体は悪くなかったんだ。終始、バルベラやヘルナンデスとバトルし、いい戦いだった。彼らと比べると若干トップスピードで劣っていたが、何とかその差を埋めようと最後まで頑張った。難しいウイークだったけれど、チャンピオンシップではポイントを失わずに済んだので良かったよ」
T・エリアス選手談(22位)
「ハッピーとは言えない結果。フリープラクティスから厳しい状況が続き、決勝でも自分のペースを見つけることができなかった。プッシュしていくこともできず、最後まで苦しかった。次こそ頑張れると思う。楽しみにしているよ」