ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.13 9月13日 サンマリノ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第13戦サンマリノGP
■開催日:2015年9月11日(金)フリー走行総合結果
■開催地:イタリア/ミサノサーキット(4.226km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度 ■路面温度:38度
REPORT
J・ロレンソがサーキットベストラップを更新
2週間前にはアラゴンでマシン・テストを行い、好調を維持しているモビスター・ヤマハ・モトGP。今週は、改修工事を請けて路面が新たに舗装されたミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで第13戦サンマリノGPに出場する。
そのウイーク初日に行われたフリープラクティスでJ・ロレンソは、グリップ・レベルが上がった路面に好感触を得て早々とペースアップ。2回目の走行で1分33秒422のベストタイムを記録し、2位に浮上した。残りの時間は午後から行われる第2セッションに備えることとし、マシン・セッティングに専念して45分間のセッションを終了。
午後になると気温が上がり、全体のペースも速くなった。ロレンソは集団に飲み込まれるのを避けるため、少し待ってからコースイン。すぐにトップに立ったあと2位に後退し、終盤までそのポジションをキープした。残り12分になって、YZR-M1のフェアリン グを調整するためのウイングレット(小さな翼のようなもの)を試すと、次のラップですぐさまペースアップ。1分32秒871を記録してサーキット・レコードを塗り替え、トップに立った。
チームメイトのV・ロッシは大勢のファンの声援を受けてコースイン。コース脇に広がる黄色い海に後押しされ、開始早々から好調な走りを見せて1分36秒456で2位。その後も少しずつペースを上げてゆき、最終的には1分34秒086まで更新したものの、順位は6位へ後退して第1セッションを終了した。
続く第2セッションでは、ロレンソと同様に大幅な前進。コース上には多くのマシンが出ていたが、それらを巧みにパスしながらポジションアップを目指し、1分33秒469を記録して午前中のタイムを1.5秒も更新した。総合順位は5位。トップとの差は0.598秒だった。
P・エスパルガロが初日6位と健闘
モンスター・ヤマハ・テック3チームのP・エスパルガロが、第13戦サンマリノGPのフリープラクティス初日に6位を獲得。絶好のコンディションのもとで行われた第1セッションではセッティングの調整によって一歩前進。トータル24ラップの最多周回数を走破し、その18ラップ目で1分34秒094のベストラップを記録した。午後からの第2セッションでも積極的な走りを見せて終盤で1分33秒552へと更新。3位までわずかコンマ3秒に迫る6位につけてこの日の走行を終了した。明日はさらにペースアップを目指し、午後からの予選では好位置獲得を狙う。
エスパルガロのチームメイトのB・スミスも8位獲得と順調なスタート。第1セッションでは、新しい路面の状態を素早く把握してマシンの初期調整を完了。トータル18ラップを走行し、1分34秒266を記録して8位につけた。続く第2セッションでもマシン・セッティングが順調に進み、ベストラップを1分33秒595へと更新して8位をキープ。6位を獲得したエスパルガロ0.042秒の僅差まで迫った。このところの3戦では常に予選6位以内をキープしてきたスミス。今回もその記録の更新を目指している。
L・バズがミサノで好調
フォワード・レーシングのL・バズとC・コルティは、フリープラクティス初日をそれぞれ16位と25位で終了。 バズはマシン・セッティングに様々なオプションを試しながら、同時にラップタイムも上げて1分34秒500を記録。オープンクラスではラバティーに続く2位につけ、総合16位とポイント圏内まであと一歩。
一方のコルティは午前中の第1セッションで激しく転倒。幸い大きな怪我はなく、1分36秒326のベストタイムで25位となった。明日は母国イタリアのファンの前で、前回のシルバーストーンに続いて予選での好位置獲得を目指す。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'32.871 |
2 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'32.924 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'33.258 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'33.291 |
5 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'33.469 |
6 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech3 | Yamaha | 1'33.552 |
7 | D・ペトルッチ | Octo Pramac Racing | Ducati | 1'33.553 |
8 | B・スミス | Monster Yamaha Tech3 | Yamaha | 1'33.595 |
9 | M・ピロ | Ducati Team | Ducati | 1'33.674 |
10 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | 1'33.785 |
11 | S・レディング | Estrella Galicia 0.0Marc VDS | Honda | 1'33.808 |
12 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'33.840 |
13 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | 1'34.132 |
14 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'34.215 |
15 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'34.345 |
16 | L・バズ | Forward Racing | Yamaha | 1'34.500 |
17 | H・バルベラ | Avinta Racing | Ducati | 1'34.590 |
18 | Y・ヘルナンデス | Octo Pramac Racing | Ducati | 1'34.595 |
19 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'34.727 |
20 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | 1'34.856 |
21 | S・ブラドル | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'35.036 |
22 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | 1'35.226 |
23 | N・ヘイデン | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'35.394 |
24 | K・アブラハム | AB Motoracing | Honda | 1'35.628 |
25 | A・デ・アンジェリス | OctoIoda Racing Team | ART | 1'35.735 |
26 | C・コルティ | Forward Racing | Yamaha | 1'36.326 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合1番手/1分32秒871)
「第1セッションの初めから好調で、新しい路面も僕のライディング・スタイルに合っていると思ったのでとても気に入ったよ。午後のセッションではセッティングをいろいろ試してみたけれど、十分な満足は得られなかった。このようにセッティングが完璧でなかったなかでも速く安定したペースを維持することができたのは良かったと思う。タイヤも両方とも順調で、まずリアにハード・コンパウンドを、終盤になってソフト・コンパウンドを履いてトップ・タイムを記録することができた。もう少しマシンを改善してから、またハード・コンパウンドを試せば、明日はまた一歩前進できると思う。ウイングレットについては、もう少し時間をかけてその効果を確かめたい」
V・ロッシ選手談(フリー走行総合5番手/1分33秒469)
「ミサノはいつもスペシャルな場所。初日の今日から早くも、本当にいい雰囲気で僕を迎えてくれた。コース中にたくさんのファンが待っていてくれて、モータースポーツの素晴らしさを改めて感じさせてくれたよ。新しい路面はなかなか感触がつかめず、午前中はとくに苦労したけれど、午後になるとマシンの調整も進んだのでかなり良くなった。今日の2回のプラクティス・セッションを通して大きく一歩前進できたことは評価できるけれど、僕自身のフィーリングはまだ100%ではないので全力で走ることができない状態。だから明日までにもっともっと改善していかないとね…。ウイングレットも試す機会があると思う。プライベート・テストではすでにテストしていて、最初の印象は悪くなかったので、少なくともいくらかの助けにはなるし、何らかの変化はあると思う」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「路面が改修された初めての走行。状況がわからないなかで、ここまでできたことはとても良かったと思う。ホルヘはいつものように非常に落ち着いていて、ハイペースをキープしてラップレコードを更新した。バレンティーノも午後からは大幅な進歩が見られ、1分33秒台中盤までタイムを更新。明日はさらに一歩前進できるだろう。チームとしてもとても良い仕事ができており、今晩も引き続き、明日に備えて作業を行う予定。ライバルたちも非常に速く、全体のペースが上がっているが、我々も自信を持って臨んでおり、明日の予選、明後日の決勝での活躍を楽しみにしている」
Monster Yamaha Tech3
P・エスパルガロ(フリー走行総合6番手/1分33秒552)
「今日は上々の出来。M1に飛び乗りコースへ出るや否や好感触をつかむことができた。まさにタイヤが回り始めた途端に、好調な走りができたんだ。その後、いくつか問題点も出てきたが、それも克服し、またスペアマシンのほうのセットアップについても解決策が見つかった。ラップタイムもどんどん良くなってきているので、さらにいくつか必要な調整を加えて明日の予選に臨みたい。今日のところは、1台は、ある部分がとても良く、もう一方はそれ以外の部分が素晴らしい。だから明日に向けてやるべきことは、2台の良いところを組み合わせて、より完璧なものに近づけること。ミサノ・ワールド・サーキットの新しい路面は明らかな改良が見られ、走っていてとても楽しく非常に気に入っているよ」
B・スミス選手談(フリー走行総合8番手/1分33秒595)
「総合的に順調なスタート。良いところがたくさんあったと思う。ヤマハは唯一、このコースでテストを行っていなかったが、それにもかかわらずYZR-M1が好調ぶりを発揮している。実はそのことを少し不安に思っていたんだけれど、考えてみれば、昨年のバレンティーノやホルヘの活躍からもM1の強さはわかっていたことなんだ。今日はフロント・タイヤの全3種類、リアの両コンパウンドを試し、今後の方向性がはっきりした。このコースはその性質上、フロントまわりを最も重視しなければならない。とくにハードブレーキングではフロントのコンパウンドによって大きく左右されることになるのでタイヤ・チョイスは重要だ。さらには、ブレーキングでの安定性と旋回性の絶好の妥協点を見つけることもこれからの課題になる。新しい路面については、決して十分な改善ではないとも言われているが、状態はとても良くなっているし、何より、最も重視すべきライダーの安全性の面で大きく前進したと思う。明日もこの好調をキープし、日曜日の決勝に向けてグリッドの好位置を狙いたい」
Forward Racing
L・バズ選手談(フリー走行総合16番手/1分34秒500)
「順調な一日。いろいろなセッティングを試し、方向性が見えてきた。ベストラップもとても良かったので、明日に向けて自信がついた。オープンクラスのライバルから大きく離されているわけではないので、今日のところは満足して、明日以降もこの好調をキープしたい。僕らのポテンシャルは高い!」
C・コルティ選手談(フリー走行総合26番手/1分36秒326)
「午前中のセッションでは高速から転倒してしまった。でもそれ以外はとても順調で、全体的に見れば良い一日だったと思う。今回の目標は、シルバーストーンでの好調をそのままキープしてスタートし、そこからさらにステップアップすることだった。でもそれは朝のハプニングでだめになってしまったんだ。フロントが流れて激しく転倒。重大な怪我にならなかったのは運が良かったよ。そういうわけで、午後のセッションではまったく別のマシンに乗ることになったが、フィーリングがとても良かった。明日の予選ではセクションごとに少しずつタイムを詰め、他のオープンクラスのライダーに近づくことを目標にしている」