ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 5月31日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦イタリアGP
■開催日:2015年5月31日(日)決勝結果
■開催地:ムジェロ/イタリア(5.245km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:48度
■PP:A・イアンノーネ(1分46秒489/ドゥカティ)
■FL:M・マルケス(1分47秒654/ホンダ)
REPORT
ロレンソが3連勝、ロッシは6戦連続で表彰台を獲得!
大勢の地元ファンが駆けつけたMovistar Yamaha MotoGPの地元のムジェロ・サーキットで、J・ロレンソがヤマハに今季5度目の優勝をもたらし、V・ロッシも後方から追い上げて見事、表彰台を獲得した。
グリッド2位の位置から好スタートを切ったロレンソ。すぐさまA・イアンノーネ(ドゥカティ)とA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)の後方に食らいつき、オープニングラップ終了までにふたりを抜いてトップに浮上した。前方がクリアになると、まさに思い通りのレース展開。ピットボードのサインによりライバル、M・マルケス(ホンダ)の追い上げを知ると、一気にペースを上げて1分47秒700のファステスト・ラップをたたき出した。その後も安定した走りで徐々にリードを拡大。1分48秒台前半をキープしてコンスタントに走りきり、最後まで誰にも邪魔されることなく、真っ先にチェッカーを受けた。2位との差は5.563秒だった。ロレンソにとっては、過去4年間で3回目の優勝。
一方のグリッド8位からスタートしたロッシは、スタート直後に集団につかまり、ポジションをひとつ下げて9位で1周目を終了。しかしここから見事な追い上げを見せ、8ラップ目にはC・クラッチロー(ホンダ)をパスして6位。さらに4ラップをかけて2.5秒のビハインドを埋めると、ついには2位グループに追いついた。すぐさまドビツィオーゾをとらえて5位。残るはD・ペドロサ(ホンダ)、マルケス、イアンノーネの3台となった。目標を表彰台獲得に設定していたロッシは、マルケスの転倒を知るや、すぐさまペドロサに襲い掛かり3位へ浮上。さらにペースを上げて1分48秒173のベストラップを記録したが、イアンノーネには届かなかった。ロレンソとの差は6.661秒。3戦連続で2人揃っての表彰台を達成した。
25ポイントを加算したロレンソは合計112ポイントでランキング2位をキープ。ロッシは16ポイントを加算して118ポイントとなり、依然としてランキングトップを守っている。
スミスが5位獲得
Monster Yamaha Tech 3のB・スミスが5位獲得の大健闘。YZR-M1で今季4度目のトップ6入りを果たした。予選グリッドは11位に留まったスミスだが、朝のウォームアップ・セッションで5位のタイムを記録して上位入賞への自信を取り戻していた。そして決勝のシグナルが変わるやいなや一気に飛び出し、7台を抜いて4番手で1コーナーへ進入。その後ひとつ下げてオープニングラップを終了した。その後の数ラップはコンスタントにペースを守りながら8番手まで下げて様子を見ていたが、中盤でリズムを強めるとクラッチローとバトルを展開。20ラップ終了時点で6位に上がり、さらにゴールまでにもう1台パスして5位を獲得。この活躍によりチャンピオンシップではサテライト勢トップへと浮上した。
チームメイトのP・エスパルガロもスミスに続く6位と健闘。予選10位、朝のウォームアップ・セッションでは6位を獲得したエスパルガロは、決勝もスタートと同時にチームメイトの後方につけて6番手で1周目を終了。周回を重ねるにつれて一時は9位まで後退したが、集中力を失うことなく懸命に走り続けて後続との距離を拡大。さらにはレース終盤までに再びスミスの後方に迫り、コンマ4秒差でチェッカーを受けた。手術を受けたばかりの腕の怪我も回復し、万全の状態でホームレースとなるモンスター・エナジー・カタルニアGPに臨む。
L・バズがオープンクラスでトップ!
Athinà Forward YamahaのL・バズが好成績。GPルーキーのバズが12位、オープンクラスではH・バルベラを抑えてトップに輝いた。グリッド18位から好スタートを切ったバズは、オープンクラスのライバルたちとの差を一気に詰め、ほとんどの時間帯でS・レディングとバトルを展開。その後タイヤを温存するためペースを下げた。シリーズポイントでは合計10ポイントとなり、オープンクラスでランキング2位につけている。
バズのチームメイトのS・ブラドルは3ラップ目、オープンクラスのトップを走行中にN・ヘイデン(ホンダ)と接触して転倒。そのままリタイアとなった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 41'39.173 |
2 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | +5.563 |
3 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +6.661 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +9.978 |
5 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +15.284 |
6 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +15.665 |
7 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | +23.805 |
8 | M・ピロ | Ducati Team | Ducati | +29.152 |
9 | D・ペトルッチ | Pramac Racing | Ducati | +32.008 |
10 | Y・ヘルナンデス | Pramac Racing | Ducati | +34.571 |
11 | S・レディング | Estrella Galicia 0.0 Marc VDS | Honda | +38.553 |
12 | L・バズ | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | +42.158 |
13 | H・バルベラ | Avinta Racing | Ducati | +44.801 |
14 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | +50.435 |
15 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | +53.060 |
16 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | +1'15.265 |
17 | K・アブラハム | AB Motoracing | Honda | +1'15.381 |
18 | M・メランドリ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | +1'41.840 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 118 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha | 112 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Ducati | 83 |
4 | A・イアンノーネ | Ducati | 81 |
5 | M・マルケス | Honda | 69 |
6 | B・スミス | Yamaha | 57 |
8 | P・エスパルガロ | Yamaha | 45 |
16 | L・バズ | Yamaha | 10 |
23 | S・ブラドル | Yamaha | 1 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 141 |
2 | Ducati | 106 |
3 | Honda | 98 |
4 | Suzuki | 47 |
5 | Yamaha Forward | 10 |
6 | Aprilia | 5 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(優勝)
「こんなに大きなマージンを保ったまま最後まで逃げ切れるなんて思っていなかった。でもマシンのフィーリングが素晴らしいと、ときにこのようなことも起こるんだ。今日は全体にペースがそれほど上がらなくて、思ったよりもみんなが遅かった。僕だけが1分47秒台を何度も出していたような状況だったので、1ラップごとにコンマ6、7秒リードを広げることができたんだ。これが今日の勝利の鍵。第4戦ヘレスの時点で、もしも誰かがこの3連勝を予測したとしても、僕は決して信じなかっただろう。でもそれが現実に起こったんだよ…。僕らは確かに好調。バレンティーノもここまで毎回、表彰台を獲得しているのだから、彼自身の強さはもちろん、マシンもとてもよく走ってくれているということ。今のところ僕らの年になっているようなので、このアドバンテージを確実にものにしないとね。シーズン序盤、バレンティーノに29ポイント差をつけられていたが、今はそれが6ポイントまで縮まった。しかしそうだとしても、彼も常に表彰台に上る活躍をしているのだから、この差をさらに縮めるのはやはり簡単ではないだろう。今日はイアンノーネが間に入ったので4ポイント分、助かったけれど、29ポイント差よりは今の6ポイント差のほうがずっといいことは間違いなくても、依然として、僕もヤマハも少しも気を抜くわけにはいかないんだ。またその他のライバルたちも、今はマシンの安定性に悩んでいるようだけれど、問題解決のために懸命に頑張っているので、いつかは優勝できるところまで上がってくるだろう。僕らのほうも、さらに少しずつ前へ進めるように、最大限のポテンシャルを引き出し頑張り続けなければならない」
V・ロッシ選手談(3位)
「今回のムジェロはとても忙しかったよ…。なぜならイタリアのファンが僕に大いに期待していたからね。それなのにファンタスティックなレースにならなかったのはちょっと残念。僕自身、絶好調というわけにはいかなかったが、懸命に追い上げて最終的には表彰台に上ることができた。コースにファンがあふれ、彼らに囲まれて表彰台に立つときの気分は本当に素晴らしいものなんだ。昨日まではいろいろ悩んでいて、力強い走りもできなかったしスピードも上がってこなかった。決勝のなかでも、とくに1周目は苦労することになった。ホルヘが強くなってきた今、このままではいけないと思う。彼のレベルに合わせていくには、僕もいろいろ改善して、もっともっと強くならなければ」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「優勝はどこでもうれしいものだが、ここムジェロはまた特別だ。とても重要なサーキットで、イタリアの大勢のファンの目の前で、ふたりのライダーが揃って表彰台に上ってくれたことはまさにパーフェクトと言っていいだろう。ホルヘは今回もまた非常に強い印象を残し、ウイークを通じてその決意と勝利への確信を見せてくれた。その結果としての圧倒的な勝利だった。バレンティーノのほうはスタート・ポジションが良くなかったにもかかわらず、持ち前のスキルとレース巧者ぶりを発揮して表彰台を獲得。このように素晴らしいライダーたちに、そしてその活躍をハードワークで支えてくれるチームのみんなに感謝しなければならない。彼らが我々にモチベーションを与え続けてくれるのだ。我々はチャンピオンシップの1位と2位をキープして、この地を去ることになった。このことはライダー、マシン、チームが常に勝利を目指せる状態にあることを証明するものだと思う」
Monster Yamaha Tech 3
B・スミス選手談(5位)
「素晴らしいレース。とても楽しいライディングの結果の5位に心から満足しているよ! グリッドはあまり良くなかったけれど、それが逆にモチベーションとなって好スタートに成功。最後には5位で帰ってくることができたので、僕にとってもチームにとっても、そしてチャンピオンシップの行方においても最高の結果になったんだ。カルとのバトルは楽しく、僕は自分の力をすべて使って戦った。マシンのほうも、これから取り組むべき課題をいくつか抱えながらも、十分に強さを発揮してくれた。課題のひとつがハンドリング性能で、レース序盤はなかなか前との差を縮めていけなかった。ヤマハは僕らの苦労をわかってくれているので、問題点解決のために全力で支えてくれると信じている。全体的には、依然としてどのコースへ行っても好調に走ってくれる。次のバルセロナは、家から近いのでホームレースのようなもの。楽しみにしているよ」
P・エスパルガロ選手談(6位)
「腕の手術のあと2週間もトレーニングをしていなかったので、今日の結果は、決して最高ではないけれども十分に満足できるものだ。それでも、もしも通常のコンディションだったとしたら、もっと力強い走りができていたと思うんだ。特にコーナリングでは苦労することになった。にもかかわらずカルやブラッドリーのすぐ後ろにつくことができた。そして体力的にかなり疲れてしまったレース終盤にも、もう一度彼らに迫ることができたんだ。そう考えれば良いところもたくさんあって、多くの収穫があった。このあとは、僕のホームレースとなるカタルニアに向けて作業を続けなければならない。今度こそ好成績を目指したい。そのためにはまず身体のコンディションを整えないとね」
H・ポンシャラル、チーム・マネージャー談
「素晴らしいレースだった。トップ6にヤマハ勢が4台という結果は、私にとって、またこのプロジェクトに関わるすべての人にとって非常に大きな意味を持つものだ。彼らの仕事ぶりは本当に見事。そのチームの一員でいられることを心から嬉しく思っている。チームについていえば、ふたりが頑張ってくれているおかげでチームランキング3位につけている。ファクトリーのレプソル・ホンダを抑え、チームとしての強さを鮮明に見せつけているのだ。開幕以来ここまで、チーム一丸となってハードワークを続けてきた。そしてオースティンでのポルを除いてDNFは一度もない。このようにふたりは、懸命に攻めながら安定性をキープすることを学んできたのだ。今日はトップとの差が15秒。ホルヘの圧倒的な強さは誰もが認めるところだろう。カル、ブラッドリー、ポルによるサテライト勢の戦いは激しく、そのなかで我々は1位と2位をもぎ取ることができたというわけだ。しかしながら、カルには申し訳なく思っている。かつては我がチームの一員だった彼のことがいつも心のなかにあるのだ…。レース終盤、ポルがブラッドリーに迫っていったときには、接触しはしないかと少しナーバスになったことを正直に認めよう。しかしふたりとも非常に賢明で、そのようなリスクをおかすことはなかった。ブラッドリーはウイーク初日から速かったが、予選よりも決勝に照準を合わせて頑張ってきた。そして最後に素晴らしい成績を手にした。一方、ポルのほうは、手術をしたばかりだったのでみんなが心配していたが、終盤でカルとブラッドリーを追い詰めたことが好調さを証明していると思う。腕上がりの症状が解決したので、これからは、より一層速く走る方法を見つけていけるだろう。次回のモンスター・エナジー・カタルニアGPを心から楽しみにしている。ポルのホームレースでもあるので期待している」
Athinà Forward Yamaha
L・バズ選手談(12位)
「最終結果に非常に満足している。スピードではかなわないところもあるとわかっていたが、ペースがとても良かったんだ。スタートはとてもうまくいって、オープンクラスのライバルたちにすぐに追いつき、その後も自分のペースをキープすることができた。残り10ラップになるとタイヤにいくらか不安が出始めたので、少しペースを落として完走を目指した。昨シーズン終了時点で僕にはマシンがなかったが、ジョバンニとチームが僕を信頼してくれてチャンスを与えてくれた。懸命に仕事に取組み、こうして少しでも上を目指すことが彼らに恩返しする最良の方法」
S・ブラドル選手談(DNF)
「予定より早くレースが終わってしまい悔しい気持ちでいっぱい。スタートはうまくいってヘイデンとオープンクラス優勝を競り合っていたとき、後方からどんと音が聞こえて、何もできないまま、気がついたら彼と一緒に転がっていたんだ…。何が起きたのか、未だによくわからない。でも今週はここまでとても好調で、オープンクラスのトップが手の届くところにあったので本当に残念」