ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 5月31日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦イタリアGP
■開催日:2015年5月29日(金)フリー走行総合結果
■開催地:ムジェロ/イタリア(5.245km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度 ■路面温度:47度
REPORT
3連勝を目指すロレンソは3番手、ロッシは9番手で初日を終了
ヘレス、ル・マンと大活躍が続いているMovistar Yamaha MotoGP。J・ロレンソとV・ロッシはムジェロで第6戦イタリアGPのフリープラクティスに臨んだ。ロレンソはお気に入りのコースで安定感を見せて総合3位。一方のロッシはマシン・セッティングとタイヤ選択に重点を置き、総合9位で初日を終えた。
午前中に行われた第1セッション。第4戦、第5戦と連続優勝を果たして好調のロレンソは、勢いをそのままに真っ先にコースイン。トップに立ったあと、他のペースが上がってくると順位を下げたが、すぐに反応して2位まで挽回した。第2セッションも同様に序盤でいきなりトップタイム。セッティングは完璧ではなかったものの、セッションを通じてトップ争いを展開し、最終的には1分47秒852のベストタイムで3位となった。
一方、地元のヒーロー、ロッシもまた、トスカーナ地方の明るい太陽を楽しみながら、今季初のホームGPでの活躍を目指して準備を開始。開幕以来、連続5回という表彰台の記録をさらに伸ばすため、セッティングに取り組みながら少しずつペースを上げて6位につけた。第2セッションではイタリアのファンの声援を受けてタイムを更新。一時はロレンソからトップの座を奪う場面もあったが、長くは続かず3位へ後退した。セッション後半は決勝に照準を合わせたタイヤ・チョイスに専念。ベストタイムは1分48秒211の9位で初日を終えた。
スミスが好スタート
Monster Yamaha Tech 3のB・スミスが、フリープラクティスの初日に総合5位と好調。第1セッションは1分48秒349で8位に留まったものの、この時点で5位との差はわずか0.045秒。第2セッションではセッティング作業に取り組みながら徐々にペースを上げ、1分48秒038へと更新して総合5位。サテライト勢ではトップに立った。3位からわずか0.2秒差。明日の予選にも期待がかかる。
一方、チームメイトのP・エスパルガロは総合10位。右腕の手術を受けたばかりのエスパルガロは、様子を見ながらの走行で第1セッションはスミスに0.041秒差で続く9位。午後からの第2セッションはセッティング作業を続けながら少しずつペースを上げていき、最後から2ラップで1分48秒283のベストタイムを記録した。これで総合順位は10位。6位との差はわずか0.159秒だった。明日のフリープラクティス第3セッションでさらに改善するべく作業を続け、午後から行われる15分間のタイムアタックで上位を目指す。
ブラドル、ムジェロで好調
Athinà Forward Yamahaがホームコースで好調。S・ブラドルは1分48秒694のベストタイムでオープンクラスのトップに立ち、総合17位につけた。午前中のセッションではあまり良いところがなかったが、午後からの第2セッションでは好感触をつかんでラップタイムも向上。最終的には1秒以上、更新してオープンクラスのトップを獲得。明日の予選でも同様のポジションを目指す。
ブラドルのチームメイトのL・バズは1分49秒661のベストタイムで21位。決勝に照準を合わせ、マシンのフィーリング改善と決勝用セッティングでのペース向上に努めた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'47.479 |
2 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'47.643 |
3 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'47.852 |
4 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | 1'47.940 |
5 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'48.038 |
6 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | 1'48.124 |
7 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'48.137 |
8 | S・レディング | Estrella Galicia 0.0 Marc VDS | Honda | 1'48.164 |
9 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'48.211 |
10 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'48.283 |
11 | Y・ヘルナンデス | Pramac Racing | Ducati | 1'48.304 |
12 | M・ピロ | Ducati Team | Ducati | 1'48.317 |
13 | D・ペトルッチ | Pramac Racing | Ducati | 1'48.419 |
14 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'48.435 |
15 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'48.493 |
16 | H・バルベラ | Avinta Racing | Ducati | 1'48.675 |
17 | S・ブラドル | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | 1'48.694 |
18 | K・アブラハム | AB Motoracing | Honda | 1'48.851 |
19 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | 1'49.030 |
20 | N・ヘイデン | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'49.261 |
21 | L・バズ | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | 1'49.661 |
22 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | 1'49.729 |
23 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'49.741 |
24 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'49.815 |
25 | A・デ・アンジェリス | Octo IodaRacing Team | ART | 1'50.477 |
26 | M・メランドリ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'51.800 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合3番手/1分47秒852)
「マシンの状態に完全に満足というわけではなく、YZR-M1のセッティングについては、まだまだ改善の余地が残っていると思う。多くのコーナーで少しずつ良くなってきているという段階だけれど、ウイーク初日に2位と3位を獲得できたのだから決して悪くはないのだろう。でももっともっと上げられるはず。明日はマシンの状態を改善し、コンマ5秒のペースアップを目指すよ」
V・ロッシ選手談(フリー走行総合9番手/1分48秒211)
「第2セッションは好調だった。マシンのフィーリングも悪くなかったし、ラップタイムも上がってきた。ただブレーキングにはまだ問題があったのでセッティングを変更。これでいくらか改善してハード・ブレーキングもできるようになったが、完璧な解決策が見つかったわけではなかったんだ。そこでセッション終盤ではマシンを乗り換え、前後に硬めのタイヤを履いてもう一度コースイン。フロントはそれほど悪くなかったけれど、リアは硬すぎて、左側のグリップが不十分で思うようにプッシュすることができなかった。でもこうしたテストを行うことによってデータを収集することはとても重要なんだ。明日はその成果を生かしてモディファイし、とくに最終セクションでのブレーキングを改善していきたい。ホルヘはどうやらベスト・コンディション。ドビツィオーゾやマルケスも速そうだ。まだ始まったばかりだから予想するには早いけれど、彼らが手強いライバルになることは間違いないだろう」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「順調なスタートと言えるが、マシンの挙動を改善するためにまだ多くの課題が残っている。様々なタイヤをテストするチャンスがあり、貴重なデータを収集することができたのは良かったと思う。ホルヘのラップタイムは順調で、ペースも非常に安定している。バレンティーノのほうはもっと改善が必要だが、時間はまだあるから心配はしていない。それでも問題点はできるだけ早めに解決することが重要。このコースはフロントロウからのスタートが有利だからね」
Monster Yamaha Tech 3
B・スミス選手談(フリー走行総合5番手/1分48秒038)
「プラクティス初日から非常に好調。マシンのフィーリングも手ごたえ十分で、大好きなこのコースとの相性はとても良さそうだ。過去にはここで苦労したこともあったので、第1セッションから速さを発揮することができたことで、明日以降に向けて大きな安心材料になった。思い通りに走らせることができたし、フロント、リアともに両方のコンパウンドを試して方向性も見えてきた。しかも、まだ改善の余地が残っていることもうれしいね。特にラップタイムが完璧ではないので、これからさらに上げていくことができるということなんだ。明日はマシンのバランスに取り組み、改善を目指したい。決勝を想定した午後、気温が高くなったときの状態が重要になる。今日は最終的に、ロレンソにあと0.2秒弱というところまで迫ることができた。明日はさらにステップアップを目指し、1分47秒台を狙いたい」
P・エスパルガロ選手談(フリー走行総合10番手/1分48秒283)
「午前中のセッションから好調にスタートすることができた。でも第2セッションは逆に少し苦労することになってしまったんだ。原因はいくつかあるが、マシンのフィーリングが今ひとつ良くないし、ラップタイムもなかなか上がってこなかった。明日までにデータを分析して解決策を練らなければならない。それでもトップとのタイム差はかなり縮まってきているので良い傾向ととらえたい。10位という結果は喜べないけれど、評価できる部分もあったと思う。フロントタイヤのフィーリングはとても気に入ったし、また、腕の状況も思っていたよりずっと良かったんだ。決勝でもあまり影響が出ないといいね」
Athinà Forward Yamaha
S・ブラドル選手談(フリー走行総合17番手/1分48秒694)
「今日は喜んでいいと思う。午前中は少し苦労したが、午後からは順調に前進することができた。正しい方向へと進んでおり、ペースもとても良いので明日の予選にも自信を持って臨める」
L・バズ選手談(フリー走行総合21番手/1分49秒661)
「かなり集中して作業に取り組んだ。このコースを走るのは数年ぶりだったので、とくに第1セッションはとても感動的で興奮していたんだ。素晴らしいコースだけれど、同時に非常にタフ。午後はセッティングの面で苦労もあったが、ユーズド・タイヤを試すなど決勝を想定して作業を行った。ル・マンと比べれば一歩、前進できたと思う。マシンの旋回性が良くなっているので、あとはタイヤのグリップ感がもう少しほしいところ」