ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 10月2日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第15戦日本GP
■開催日:2011年10月1日(土)予選結果
■開催地:もてぎ/日本(4.801km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度 ■路面温度:32度
■PP:C・スト―ナー(1分45秒267/ホンダ)
REPORT
ロレンソ予選2位、スピースは体調快復し予選5位
「ヤマハ・ファクトリー・レーシング」のJ・ロレンソが力強い走りを見せて予選2位を獲得。フリープラクティスではブレーキングの安定性とフルバンク時のグリップ性に悩まされていたが、公式予選を前にセッティング変更を行い、状況が一気に好転した。セッション終盤にはポール・レコードを更新する1分45秒523を記録したが、最後の数秒でC・ストーナーに逆転されて2位となった。一方、食中毒に感染して弱っているB・スピース。スタミナ不足が心配されたが、午前中のフリープラクティス、午後の公式予選ともに懸命に力を尽くして見事、予選5位を獲得した。
「モンスター・ヤマハ・テック3チーム」のC・クラッチローとC・エドワーズは、それぞれ12位と14位。クラッチローはグリッド3列目獲得まであと0.1秒と迫る1分46秒818を記録。これは昨シーズンのポールポジション・タイムを0.3秒近く上回るもので、今回7位のV・ロッシとの差は約0.4秒。ひどい風邪をひいてのどの痛みをうったえていたクラッチローだが、今日は強い決意を持って臨み、このポジションを手中にした。今晩しっかり休むことで、明日の決勝までに100%回復することを願い、3戦連続のトップ10フィニッシュを目指している。
一方のエドワーズ。昨年はここでシーズン最高の5位を獲得していることから今回も活躍が期待されているが、大幅に気温の下がった今日、プラン通りの走りができないまま予選を終了。セッション開始からわずか8ラップ目、ペースアップを図る途中の第3コーナーでコースアウトを喫し、グラベル上でこらえきれずに転倒してしまった。スペアマシンに乗り換えて再スタートしたが、クラッチローに0.3秒遅れる1分47秒165。昨年の自らの予選タイムをコンマ3秒上回ったにもかかわらず、順位は思いのほか上がらなかった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | C・スト―ナー | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.267 |
2 | J・ロレンソ | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'45.523 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.791 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'45.966 |
5 | B・スピース | Yamaha Factory Racing | Yamaha | 1'46.042 |
6 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'46.211 |
7 | V・ロッシ | Ducati Team | Ducati | 1'46.467 |
8 | A・バウティスタ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 1'46.586 |
9 | H・バルベラ | Mapfre Aspar Team MotoGP | Ducati | 1'46.694 |
10 | N・ヘイデン | Ducati Team | Ducati | 1'46.763 |
11 | 青山博一 | San Carlo Honda Gresini | Honda | 1'46.811 |
12 | C・クラッチロー | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'46.818 |
13 | R・ド・ピュニエ | Pramac Racing Team | Ducati | 1'46.917 |
14 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'47.165 |
15 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Ducati | 1'47.922 |
16 | T・エリアス | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'48.169 |
17 | 秋吉耕佑 | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'48.367 |
18 | D・カドリン | Pramac Racing Team | Ducati | 1'48.962 |
19 | 伊藤 真一 | Honda Racing Team | Honda | 1'49.971 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談 (予選2位/1分45秒523/25周)
「予選セッションで新しいセッティングを試してみた。そうしたらラップタイムが驚くほど上がった。もう少しでポールポジションを獲得できるところだったよ!結局ポールは逃したんだけれど、大切なのはフロントロウに並べたこと。今回はケイシーが楽々と逃げていきそうなので、どうしてもそばにつけたかったからね。今日は昨日より少し良くなったけれど、もてぎはやはり、ヤマハ勢には厳しいコース。他の誰かが完璧なレースをしたとすれば、僕らの優勝はほとんど不可能だろう。でもレースは何が起こるかわからない。今、言えることは、戦いの準備が整ったということ。そして僕らのレースを見に来てくれる日本のファンのみんなに素晴らしいショーをお見せするということ!」
B・スピース選手談(予選5位/1分46秒042/29周)
「診療所の先生たちのおかげで、体調は100%回復したよ。2、3日前までは、とても乗れるまでにはならないだろうと思っていたから、今日は本当にうれしかった。グリッド2列目の真ん中というポジションにも満足。明日はもっと良くなるはずだから期待しているんだ。昨日はまったく力が出なくて本当につらかった。でも今朝になったら、ちょっと強くなっていて、さらに午後になると体力は十分。ただ胃の痛みだけがまだ少し残っていた。チームのために、パドックのみんなのために、そして応援に来てくれるファンのためにベストを尽くして頑張っているよ」
W・ズィーレンベルグ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームマネジャー談
「3回のフリープラクティスから一気に大きく前進することができた。今のホルヘは、適切なブレーキングが出来ている。フルバンク時のグリップ力も上がっているので、思い通りにブレーキをかけ、コーナーを回り、加速ができるようになったのだ。これは非常にうれしいことで、ようやく明日の戦いに臨む準備が整った。マシンをここまで仕上げてくれたチームの皆に感謝している」
M・メレガリ、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームディレクター談
「ホルヘの素晴らしい走りを見ることができた。決勝用のセッティングでも非常に速く安定している。戦いは間違いなく厳しいものになるが、我々もついにここまで来ることができたのだ。ベンのほうも幸い順調に回復しており、今日は両セッションともしっかり走りきることができた。こうした状況のなかでの5位獲得は素晴らしい。彼が最大限に努力した結果だ。明日はさらに体調が良くなることを期待している。24ラップを集中していかなければならないので、少しでも良い状態で臨む必要があるだろう」
C・クラッチロー選手談(予選12位/1分46秒818/25周)
「もう少しで3列目を獲得できるところだったのに、12位に終わりがっかりだ。でも今日は身体のコンディションがベストではなかったから、ある程度は仕方がなかったのかもしれない。昨晩は咳と鼻水でずっと苦しくて、今日は8リットルも水を飲んだのにまだ乾いた感じ。のどがガラガラして、まるで石を飲み込んだみたいなんだ。そんな状態でコースに出て、去年のポールタイムを上回る記録を出すことができたのだから、悪くない出来だったと思わなくちゃね。何より、初めて見たコースでこれ以上を望むなんて無理というものだよ。
グリッドは、もしかしたらもう少し上へ行くこともできたかもしれない。でも最後のソフト・タイヤにはき替えたあと、第1コーナー立ち上がりで危うくハイサイドを起こしそうになってしまったんだ。ピットを出てから、なかなかタイヤが暖まらなかったからね。それでも、そのタイヤでもう1ラップしてベストタイムを記録することができた。だから今は、明日の決勝がとても楽しみ。アラゴンみたいなグッド・バトルを期待したい。あのバトルはとても楽しかったと同時にたくさんのことを学ぶことができた。明日もまたトップ10を目指して戦いたい」
C・エドワーズ選手談(予選14位/1分47秒165/22周)
「去年のツインリンクもてぎでは、予選も決勝もシーズン最高の成績を獲得することができた。だから今回も大きな期待を持ってやって来たんだ。でもここまではまったくいいところがなくて、とにかく速く走ることができない。タイム自体は去年より上がっているんだけれど、順位では9つも後ろ。つまり、それだけ今シーズンの戦いのレベルが高くなっているということなんだ。序盤で転倒してしまったことも影響している。あんなミスは、もう長い間なかったのに...。もっと速く、もっと速く、という気持ちからプッシュしすぎて、単純にブレーキ・ポイントを見落としてしまった。
ラップタイムを見れば、僕らのマシンはコーナーと加速で他に遅れてしまっていることがわかる。だからこそ、ぎりぎりのところを走らなければならなくなってしまうんだ。でも不思議なことに、マシンのフィーリングはとてもいい。つまり、おかしなところは何もないのに、ただ速く走ることができないというわけ。そんな状況のなかで、明日の目標はトップ10に入ること。去年と同様の5位獲得は、残念ながら現実的ではなさそうだ」