ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.03 5月23日 フランス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦フランス
■開催日:2010年5月23日(日)決勝
■開催地:フランス/ルマン(4.180km)
■観客:82,270人
■周回数:28周(117.18km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:32度 ■路面温度:51度
■PP:V・ロッシ(1分33秒408/ヤマハ)
■FL:J・ロレンソ(1分34秒545/ヤマハ)
REPORT
フィアット・ヤマハ・チーム、開幕3連勝!
フィアット・ヤマハ・チームのJ・ロレンソが2連勝、チームメイトのV・ロッシは2位となった。チームとしては開幕3連勝、2度目のワンツーフィニッシュとなった。モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズは12位、B・スピースは7周目、11番手走行中に転倒しリタイアした。
晴天で行われた28周の決勝、ポールポジションのロッシが好スタートを切る。その後ろにロレンソ、D・ペドロサ(ホンダ)、N・ヘイデン(ドゥカティ)、C・ストーナー(ドゥカティ)らが続く展開。3周目、4番手だったストーナーが転倒すると、トップ集団はロッシ、ロレンソ、ペドロサの3人に絞られる。8周目、ロレンソは一瞬ロッシを抜くが再びロッシが抜き返す。その後はロッシとロレンソのテール・ツー・ノーズが続き、ペドロサがやや後退。中盤、ペースを上げてきたロレンソは12周目にロッシをパスしてトップに浮上すると、その後も15周目に1分34秒545のファステストラップを叩き出すなどハイペースで後続を引き離し、そのまま独走しトップでゴールした。
一方のロッシは、ロレンソに抜かれた後、コーナー立ち上がりの加速で十分なグリップが得られなくなり、ついていくことができずロレンソの逃げ切りを許すこととなった。それでも3位グループには2~3秒差をキープしたまま安定した走りを披露して2位でゴールした。終盤は、ロッシの後方で、僅差の3位争奪戦がペドロサ、A・ドビツィオーゾ(ホンダ)、ヘイデンの3人で展開されるが最終周でペドロサが後退。ドビツィオーゾが3位をもぎ取った。
モンスター・ヤマハ・テック3チームにとっては厳しい戦いとなり、ホームレースで本来のポテンシャルを発揮できなかった。エドワーズは、スピース、L・カピロッシ(スズキ)、そしてMotoGPルーキーのM・シモンチェリ(ホンダ)、H・バルベラ(ドゥカティ)らと中団グループでバトルを展開。セッティングが完璧ではないなかで懸命の走りを見せ、23ラップ目までは10位をキープしていたが最終的には12位まで順位を下げてゴールした。
一方チームメイトのスピースは、前日の最終フリープラクティス中に転倒して左足を傷めており、この影響もあって本来の走りができなかった。レース序盤で2台をパスしたスピース。周回を重ねるごとにさらに自信を深めて6位集団に挑んでいったが、7ラップ目の第3コーナーで転倒しリタイアとなった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 44'29.114 |
2 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | +5.672 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | +7.872 |
4 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | +9.346 |
5 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +12.613 |
6 | M・メランドリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +21.918 |
7 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | +29.288 |
8 | H・バルベラ | Paginas Amarillas Aspar | Ducati | +33.128 |
9 | A・エスパルガロ | Pramac Racing Team | Ducati | +33.493 |
10 | M・シモンチェリ | San Carlo Honda Gresini | Honda | +33.805 |
11 | 青山博一 | Interwetten Honda MotoGP | Honda | +34.346 |
12 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +37.123 |
13 | M・カリオ | Pramac Racing Team | Ducati | +55.061 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Yamaha | 70 |
2 | V・ロッシ | Yamaha | 61 |
3 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 42 |
4 | D・ペドロサ | Honda | 40 |
5 | N・ヘイデン | Ducati | 39 |
6 | R・ド・ピュニエ | Honda | 26 |
8 | C・エドワーズ | Yamaha | 16 |
14 | B・スピース | Yamaha | 11 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 75 |
2 | Honda | 52 |
3 | Ducati | 39 |
4 | Suzuki | 13 |
COMMENT
J・ロレンソ選手談(優勝)
「連続優勝することができてとても嬉しいよ!だってモトGPでは初めてなんだ。このことで自分自身を信じられるようになったよ。今回はようやく好スタートを切ることができて、これも嬉しかったことだけれど、その後はすぐにペドロサをパスすることができた。でもバレンティーノを抜くのは大変だった。彼はブレーキングをかなり深くまで遅らせていたから、僕もとても慎重にやらなければならなかったんだ。これは1年前ならできなかったことだね!そしてやっとパスすることができてトップに立ったんだけど、そのあとそのまま逃げ切れるとは思っていなかったんだ。
でもマシンもタイヤも好調だったから楽にハイペースをキープすることができたよ。ヤマハに入ってからは2位1回、優勝2回と、ここルマンではいいことばかり。この成績ならフランスGPを楽しんでいると言ってもいいよね。またランキングトップというのも、とても嬉しいことだけれど、シーズンはまだ始まったばかりで先はとても長い。次は大好きなムジェロだけれど、ライバルたちも手強いな。最後になったけれど、チームの仲間と、ヤマハのみんなに感謝」
W・ズィーレンベルグ、チーム監督談
「素晴らしいレース、そして最高の結果だ。ホルヘはバレンティーノの後ろでじっくりとチャンスを待ち、やっとパスしたあとはハイペースをキープしてどんどん引き離して行った。とても勇敢な組み立てで、真の強さを見せることができたと思う。今回はウイークを通してずっと絶好調だったが、我々の目標は依然として表彰台に上ること。だからこの優勝は、予想外のボーナスのようなものだ。チャンピオンシップをリードして迎えたこのレースでは、プレッシャーを感じているだろうと思っていたのだが、実際には全くそんなことはなかった。ホルヘはいつもと同じように、ただ懸命に戦った。彼のその頑張りが最高の形で報われたということなのだ」
V・ロッシ選手談(2位)
「スタートはとても良かったんだけれど、ロレンソと比べたらペースが上がっていないことは初めからわかっていたんだ。それに加えて予想外の問題も出てしまった。とくにコーナー立ち上がりでのグリップと、そのあとの加速が思うようにいかなかった。だから自分ではもっと速く走れると思っていたのに、結果的にそうはならなかったんだ。ロレンソが何度も仕掛けてきて、僕としては何とか抑えたかったけれどもできなかった。さらに抜かれた後も、ついて行くことができなかった。彼の走りは本当に素晴らしかった。心から祝福するよ。
また今日のことは、肩の怪我のせいにすることはできない。走る前まではもっと大きな影響を予想していたんだけれど、実際には殆ど問題がなかったからね。残り6、7ラップになってちょっと気になり始めたんだけれど、その頃にはすでに勝負は決まっていたんだ。大切なことは、完走して確実に20ポイントを獲得すること。シーズンは長いし、まだ9ポイントしか離されていないのだから何も問題はないよ。次は僕のホームレース、ムジェロだから楽しみなんだ!」
D・ブリビオ、チーム監督談
「バレンティーノは今回も絶好のスタートを切ったが、そのあとロレンソが追いついてきて、トップをキープするのが難しくなってしまった。今日はロレンソの方がペースが速かった。バレンティーノのマシンはスライドが大きく、ロレンソに抜かれたあと、それについて行くことができなかった。それで2位キープに切り替えたが、それも決して楽な状況ではなかったのだ。これでポイント差が拡大したが、まだその差は9ポイント。我々もまだ十分に、このエキサイティングな戦いの中心にいる」
C・エドワーズ選手談(12位)
「僕はこのマシンを裏の裏まで知り尽くしているし、ルマンではこれまでに何度もいいレースをしてきた。でも今は問題の原因が見つからず、解決できる感じがしない状況だ。気持ちよくスムースに乗れるようになって初めてペースが上がってくるものだが、現時点では何をやっても上手くいかない。テック3のみんなと一緒に懸命に頑張ってきたけれど、問題を克服することができなかった。レース中はほとんどずっとシモンチェリの後ろにつけて、その走りを見ていたけれど、コーナー進入では彼のほうがより深くまで突っ込んでいけるんだ。僕のほうはブレーキをかけてマシンを寝かせると、問題にぶつかってしまって、解決策が見当たらない状態だった。今回はチームのホームレースだったし、もっと上を目指して臨んでいただけに悔しくて仕方がない。次のムジェロまでにしっかりと立て直して、自信を持って走れるようになりたい」
B・スピース選手談(リタイア)
「厳しいレースウイークだった。しかも、そうなったのは僕自身のせいだ。昨日の午前中は自分のミスで転倒し、セッションのほとんどを棒に振ってしまった。僕は何よりもまず、コースを覚えるために走らなければならないというのに、貴重な1時間を無駄にしてしまった。決勝ではスタートがうまくいって、最初の1、2周で良いリズムをつかんだ。カピロッシやコーリンとのバトルのときも、問題なく走れていたんだけれど、第3コーナーでカピロッシがフロントを滑らせたのを見て、そのすぐあとに僕も同じことをやってしまって転倒した。怪我をしなかったのは不幸中の幸い。このあと少し休めるので、次のムジェロでは100%の状態でプッシュしできるように準備したい。このところ思いがけず、いろいろなことが起きているけど、自信は失っていないので、条件さえ揃えば必ずうまくやれると思う。もっと前へ行けると信じているんだ」
H・ポンシャラル、チーム監督談
「ちょっと言葉が強過ぎるかもしれないが、今日のことは我々にとっては災難だったよ。なぜなら本来ならもっと良い結果を得られたはずだから。ウイーク初日の金曜日、ベンは非常に好調で、前回のヘレスよりもさらに早くコースを攻略して我々を驚かせたほどだ。またコーリンのほうもルマンとの相性は抜群だから、チームとしては大いに期待していたのだ。ところが結果的に、ベンはプラクティス中の怪我の影響もあって転倒リタイアとなってしまい、コーリンもいつもの彼とは別人のような走りになってしまい、本来のポテンシャルを出すことができずに終わった。なぜこのようなことになってしまったのか、これから膨大なデータをしっかり分析し、解決策を探していかなければならない。その一方で、同じヤマハ勢で大活躍したロレンソとロッシに祝福を贈ろう。YZR-M1が素晴らしいマシンであることは明らかで、我々はチームの実力を示すためにも、これまで以上に頑張らなければならない」
中島雅彦 MS開発部MotoGPグループリーダー談
「まずはホルヘの2連勝に祝福の言葉を送りたいと思います。バレンティーノは右肩の怪我の影響が懸念されましたが、レースディスタンスをうまくマネージし、2位を確保してくれました。ヤマハの開幕3連勝はチーム全体の士気が上がり大いに励みになります。一方、テック3チームのコーリンはフロントエンドに問題を抱え12位、ベンはプラクティス中の負傷の影響もあり、転倒リタイアと厳しい結果ですが、次戦へ向け気持ちを切り替えて立て直しを図りたいと思います。開幕2ヵ月でまだ3戦消化したのみ、今後2ヵ月での6戦はライダー、スタッフにとって厳しいスケジュールとなりますが、シーズンの趨勢を決める大きな山場となる事を肝に銘じて頑張りたいと思います」