MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.13 11月8日 ヨーロッパ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第13戦ヨーロッパGP
■開催日:2020年11月6日(金)フリー走行、7日(土)予選、8日(日)決勝
■開催地:バレンシア/スペイン
CIRCUIT DATA
■開設:1999年
■コース長:4.005km
■サーキットレコードラップ:1分31秒116(2019年:M・マルケス)
■サーキットベストラップ:1分29秒401(2016年:J・ロレンソ)
REPORT
Monster Energy Yamaha MotoGP、ヨーロッパGPでライダー・ラインアップ変更の可能性
今回はホームグランプリを迎えるMonster Energy Yamaha MotoGPのM・ビニャーレス。すでに準備は整っており、金曜日のウイーク初日からハードワークに臨む。一方、欠場が続いているチームメイトのV・ロッシは一日も早い復帰が期待されているが、出場許可の条件となっている連続2回のPCR検査陰性をクリアできなかった場合に備え、代役としてギャレット・ガーロフを待機させている。
ビニャーレスはシーズンを好成績で締めくくるべく、今週末からはじまる今季最後のトリプルヘッダーで活躍を期す。ここリカルド・トルモ・サーキットは決して得意なコースではないことを自ら認めながらも、ポジティブな気持ちを維持しており、自信が揺らぐことはない。2011年には同コースではじめて出場した125㏄レースで優勝。またMoto3チャンピオンとなった2013年も表彰台の頂点に立っている。MotoGPでは2016年の5位が最高で表彰台はまだ実現していない。今シーズンは第12戦終了時点でランキングトップから19ポイント差、ランキング2位から5ポイント差のランキング3位につけており、残り3戦で最大75ポイントの可能性をかけて互いに競い合う。
ロッシの出場は依然として未確定の状態。FIMの規定により、出場許可を受けるためには48時間の隔てて2回のPCR検査を行い、両検査で陰性結果を得る必要がある。11月3日(火)の検査結果は陽性だったが、4日(水)にもう一度、検査を行う予定となっており、これが陰性になれば、バレンシアへ移動するまでに2回目の検査を完了することができる。
全長4.0kmのリカルド・トルモ・サーキットは1999年に建設され、すぐさまMotoGPカレンダーに追加された。しばしばチャレンジングと形容される難しいコースで、合計14(左:9/右:5)のコーナーと876mのロングストレートが設けられ、反時計回りで競われる。その難しさにもかかわらず多くのファンに愛されており、近年はシーズン最終戦の舞台として定着していた。今年は2001年以来、はじめて、他のサーキットで最終戦が行われる。
クアルタラロとモルビデリ、バレンシアへ
MotoGPは今週末から今季最後の3連戦がスタートし、いよいよシーズンのカウントダウンに入る。PETRONAS Yamaha Sepang Racing TeamのF・クアルタラロとF・モルビデリは、第13戦と第14戦の2週連続でリカルド・トルモ・サーキットに挑む。
昨年は同コースでポールポジションから2位獲得と相性の良さを見せたクアルタラロ。今年は熾烈なポイント争いのなか第12戦終了時点でトップにわずか14ポイント差のランキング2位につけており、この2戦で一気にプレッシャーをかけて、さらに差を縮めたいところ。
一方、第12戦でMotoGP自己通算2勝目をあげたばかりのモルビデリは、トップから25ポイント差のランキング4位。このところの好調を維持して再度、好成績を目指し、ポイント差の縮小とランキング向上を狙う。モルビデリは2017年、Moto2でフロントローから表彰台を獲得している。
今大会はまた、PETRONAS Yamaha SRTとヤマハが、それぞれベスト・インディペンデント・チームとコンストラクターズ・ランキング1位を決定する最初のチャンスとなる。
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
M・ビニャーレス選手談
「前回はあまりいい出来ではありませんでしたが、そのことを今後の3戦に引きずらないことが重要だと考えています。ひたすらハードワークに励み、集中し、ポジティブな気持ちを維持し、毎回のレースで最大限の成績を目指すだけです。バレンシアはいつも苦戦させられる場所ですが、個人的には大好きなコースでもあります。楽な戦いではないことは間違いありませんが、いつもと同様、全力を尽くします」
V・ロッシ選手談
「コロナウイルスはとても複雑でシリアス。なかなか手に負えません。不調が2日間続いたかと思うと、急に回復して完璧な状態に戻ったりするのです。ずっと家にいて自己隔離し、医療従事者のアドバイスに従っています。非常に悲しく、耐えがたい状況ですが、残念ながら、これが実情です。11月3日の検査も前回同様に陽性でした。今は気分も良くなっているだけに悔しい気持ちでいっぱいで、早く私のM1に乗りたいし、チームのみんなのところへ戻りたいのです。金曜日か土曜日にサーキットに入るとすれば、あと2回チャンスが残っており、次のPCR検査が陰性となるよう願うばかり。すでに2回も欠場しているのですから、もう十分です」
G・ガーロフ選手談
「ヤマハがこの機会に私を選んでくれたことを誇りに思います。今シーズンは私にとって、もともと大きな冒険ですが、その上に、さらにおまけがついたような感じです。ヤマハのMotoGPマシン、YZR-M1に乗ることは、私が何年も前にレースをはじめたときからの夢でした。それが今、実現するかもしれないという状況に、とてもワクワクしています。でも同時に、ロッシ選手の病気によって、このようなチャンスを得るとすれば残念であり、申し訳ない気持ちになります。ゼッケン46がコースに戻って来ることを誰もが待ち望んでおり、私自身も早い回復を心から願っています。最終的に、もしも私が乗ることになったとしたら、マシン、タイヤ、ブレーキ、そしてコースも、何もかもが初めての厳しい試練になるでしょう。それでも自分自身を信じており、チャレンジへの心の準備はすでにできています。頑張ります!」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「シーズン最後のトリプルヘッダーを目前にしながら、ライダーのラインアップを確定できていないという残念な状況です。ロッシ選手はこのところずっと良い状態にありますが、PCR検査で2回連続で陰性になるまでは、今週末の出場を決定することができません。ビニャーレス選手のほかに誰がM1に乗るのかわからないという、非常に奇妙な状況になっているのです。しかしこれは私たちにはどうにもならないことで、唯一、できるのは、すべての可能性に備えて最善の準備をすることだけです。ギャレット・ガーロフ選手がチャレンジを望んでくれたことには感謝しています。ロッシ選手の代役は簡単なことではなく、大変な重責です。とくに今回は十分な準備の時間もなく、MotoGPマシンの経験もない彼にとっては厳しいチャレンジになるでしょう。しかし同時に、非常に貴重な勉強の機会となることは間違いありません。彼が乗ることになれば、チームはもちろん、全力でサポートします。でもその前に誰もがロッシ選手の回復を望んでいますし、ファクトリーチームでのファイナルシーズンを最高の形で終えてもらいたいと願っているのです」
PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team
F・クアルタラロ選手談
「前回、前々回のアラゴンは、いずれも大変厳しいレースになりました。ここバレンシアでは、いつも通りの好フィーリングをつかみたいと思います。小さいコースですが、好きなコースのひとつ。昨年の同大会ではポールポジションと表彰台を獲得しましたし、シーズン前のテストも非常に好調でした。もちろん、今週末もその好調が続くことを期待しています。現時点でランキングトップとの差はわずか14ポイント。速さは十分に持っているので、バレンシアの2戦とポリティマオの1戦で逆転のチャンスがあると信じています。その1戦目を今週末、とても楽しみにしています」
F・モルビデリ選手談
「前回のアラゴンで今季2度目の優勝を果たし、勢いを維持したまま、今回からシーズン最後の3連戦に臨みます。バレンシアのコースは狭く、強大なパワーを持つMotoGPマシンで走るのは決して簡単ではありません。それでも私にとっては、とても思い入れのある大好きなコース。ここはスペイン選手権ではじめて、大排気量クラスに参戦した場所なのです。このところはマシンのフィーリングが良く、私自身も絶好調。ここバレンシアでも同様のフィーリングを維持できるよう作業に取り組み、もう一度トップ争いを目指していきます。トップとの差はわずか25ポイント。残り3戦をアグレッシブに戦い抜き、結果を楽しみにしたいと思います」