MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 6月26日 オランダ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦オランダGP
■開催日:2016年6月26日(日)決勝結果
■開催地:アッセン/オランダ
■コースコンディション:ウエット
■気温:15度 ■路面温度:19度
■PP:A・ドビツィオーゾ(1分45秒246)
■FL:D・ペトルッチ(1分48秒339)
REPORT
ロレンソが10位、ロッシはリタイア
エスパルガロがヤマハ勢最高の4位を獲得
アッセンTTサーキットで行われたオランダGPは、スタートから14周目、大雨によりコンディションが急変したため赤旗によってレースが一時中断する波乱のレースとなった。第2レースは12ラップで行われ、慎重に走り切ったJ・ロレンソが10位。一方のV・ロッシは好調なスタートをきったものの、転倒しリタイアとなった。
ロレンソは絶好のスタートを切って10番手から5番手まで浮上したが、その後は濡れた路面に手間取り思うようにペースが上がらず、19番手へ後退したところで赤旗中断。15時2分にリスタートとなったレースは、14周目の順位でグリッドに並び、12ラップで争われることとなった。ロレンソは7列目から激しく追い上げ、1周目で13番手まで浮上。その後は、難しいコンディションのなか、10位でチェッカーを受けた。
一方のロッシは、1度目のスタートでグリッド2番手からトップに浮上。素早くリズムをつかんでレースをリードするが、同時に慎重さも忘れず、激しい雨の状況を確認しながらコンスタントにペースを守っていた。そのなかでY・ヘルナンデス(ドゥカティ)とA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)を先に行かせて3番手に後退。ヘルナンデスが転倒したため、ロッシは自動的にひとつ上げてトップを行くドビツィオーゾを追う展開となった。D・ペトルッチ(ドゥカティ)とS・レディング(ドゥカティ)が後方に迫るなか、勝負どころと見たロッシはドビツィオーゾへのアタックを開始。これが4台による激しいトップ争いへと発展したところで赤旗が提示されて、レースは中断となってしまった。
第2レースも好スタートを切ったロッシ。このときは3番グリッドから飛び出して第1コーナーを2番手で立ち上がり、1周後にはトップに浮上して一気に後続を引き離していった。3ラップ目、差が2秒以上に開いたところで濡れた路面にとらわれて転倒。再スタートはならず、そのままリタイアとなった。
10位を獲得したロレンソは、ランキング2位をキープ。ロッシが18ポイント差でこれを追っている。
105,000人の熱狂的ファンが見守った雨のアッセン。難しいコンディションのなかでMonster Yamaha Tech 3のP・エスパルガロは、最高峰クラスで自己ベストとなる4位を獲得した。エスパルガロは好スタートを切ったあと、慎重にコースを回って8番手で1周目を終了。その後、一度は6台に先行を許したが、集中を切らすことなくペースで挽回し、再び9番手へ浮上した。ところが、その頃には天候がかなり悪化し、赤旗が提示されてレースは中断。雨が弱まるのを待ってレースは再開し、12ラップの短い戦いが始まった。ここでエスパルガロは素早くペースを上げて6番手へ浮上。その後もプッシュを続けて表彰台獲得もその視界に入っていたが、最終的には4位でチェッカーを受けた。
チームメイトのB・スミスは、レース再開後まもなくのトータル16ラップ目で転倒。第1レースでは予選13番手からスタートしたあと、ひとつ下げて1周目を終了。ポジションアップを目指す戦いのなかで順調にペースを上げ、2台を抜いたところでレースは中断された。再スタートでは勢いよく飛び出して一気に7番手へ浮上したが、次のラップの第15コーナーで転倒。しかし何とかマシンをピットまで運び、果敢にも再度、戦いに加わり13位を獲得した。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(10位)
「第1レースは最後尾の19位。コンディションがあまりにもひどかったが、何とか走り続けているうちに赤旗でレースが中断となった。コース上の水がいくらか少なくなったところで、リアにソフトコンパウンドのタイヤを装着して第2レースをスタート。後方からの追い上げだったが、転倒者も多かったため着実にポジションが上がり、第1レースよりも自信を持って走ることができた。チャンピオンシップにとって重要なポイントを、第1レースではまったく獲れなかったわけだが、第2レースを経て少しでも手にすることができた。マルケスは大量得点。しかしロッシは、残念ながらポイント挽回のチャンスを逃してしまった。結果的に、僕はこの難しい戦いを何とか乗り切ることができたんだ。ル・マンの前も24ポイント離されていた。今は、ふたつの不運なレースのあとであのころと同じような状況に戻ったに過ぎない。シーズンはまだたくさんのレースが残っているので、ポジティブな気持ちを忘れずにマルケスを追い続けるよ」
V・ロッシ選手談(DNF)
「今回はマシンとコースの相性がすばらしく、スピードも競争力も非常に高いレベルにあっただけに悔しい結果。チャンピオンシップのポイントを獲得してランキング2位に上がることもできたはずなのに、残念ながらミスをおかしてしまった。第2レースでは、十分なアドバンテージを持っていたにもかかわらずプッシュし過ぎてしまった。あのとき自分のレベルを確認するために攻めていた。リアにソフトコンパウンドを履いていて、それがとてもよくグリップしてくれていたが、第10コーナーの進入スピードが速すぎた。チャンスがあったのに、自分のミスで台無しにしてしまったんだ。マルケスとの差はかなり大きくなってしまったが、今まで通り懸命に仕事に取り組み、次もまたベストを尽くして頑張るしかない」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「天候が大きなファクターとなることは、スタート時点で明らかだった。チームはいつもと同様、バレンティーノとホルヘにできる限りのセッティングを行っていたが、昨日までのセッションでは、今日ほど激しい雨を経験したことがなかった。状況が刻々と変わるので、ライダーにとっても、どこまでハードに攻めることができるかの判断が難しく、ほとんどギャンブルのようになってしまっていた。ホルヘはウエットでのフィーリングに苦しんだものの、そのなかでベストを尽くしてポイントを獲得。一方のバレンティーノは、第1レースで好調ぶりを見せ、第2レースでも、ひどい混乱のなかで他を圧倒しながらも最後まで走り切ることができなかった。難しいコンディションのなかでも常に強さをキープしてきただけに非常に残念だ。今日は我々の本来のポテンシャルを発揮しきれず、結果につなげることができなかった。早く気持ちを切り替えて次のザクセンリンクに集中したい」
Monster Yamaha Tech 3
P・エスパルガロ選手談(4位)
「完全なウエットコンディションの厳しい状況で4位を獲得できたなんて、まるで夢のようだ。もちろん、またしても僅差で表彰台を逃したので悔しさもあるけれど、多くが転倒したなかで僕は慎重にならざるを得なかったし、ポイントのことを考えたんだ。さらには、スコットが明らかに速かったからね。第2レースでは、リアに柔らかめのタイヤを履いたらフィーリングが一気に向上。MotoGPで初めて、自信を持ってウエットを走ることができた。でも今は、脚、腕、指、首、体中が痛い。このようなコンディションのなかでひどく緊張したせいだ。激しい雨で危険な状態になってきていたので、正直に言えば、第1レースは、もう少し早めに中断したほうが良かったと思う。マシンはよく走ってくれたけれど、フロントのフィーリングがつかみにくかったのが唯一の問題だった。バレンティーノやスミスの転倒、そしてホルヘの戦いぶりを見ても、フロントの限界を探るのが難しかったことがわかる。そのためライバルと互角に戦うことが難しかった。それでも、今日の結果はチャンピオンシップにとっては重要なステップになった。サテライト勢のライバルとの差を拡大し、ビニャーレスとの差を詰め始めている。だからこれからもプッシュを続け、集中し続け、シーズン終了までにもっと上のポジションを目指したい」
B・スミス選手談(13位)
「大変な一日。難しいコンディションのなかで、ミスをしないことが難しかった。第1レースの時点ではリアに硬めのタイヤを選んでいたが、それが今日初めて試したものだったから、フィーリングをつかむまでにかなり時間がかかってしまった。その時点ではポルが目の前にいたし、26ラップの長い戦いを考えれば、最善の選択だったと思えたんだ。ところが雨が激しくなってきて、レースは中断された。正直なところ、あと2、3ラップ早くても良かったと思ったが、適切なタイミングを判断するのは難しいことだろう。第2レースではリアに柔らかめのコンパウンドを使用してフィーリングが向上。僕はオープニングラップからすぐさまポジションアップを開始。まさに今季最高とも言えるような、いい走りができたが、残念ながらその後、転倒してしまった。またも悔しい結果に終わってしまったが、頑張ってくれたチームのためにも完走してポイントを獲ることができて良かったと思う。これからも戦い続け、できる限りのベストを尽くす。現時点では、チャンピオンシップは理想ではないが、いつかきっと運がめぐってきて、本来いるべき場所へ戻ることができると信じている」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「典型的な"ダッチ・ウエザー"に見舞われ、レースは赤旗中断となった。コース上が危険な状態になっていたので、レース主催者の判断は正しかったと思う。ふたりのライダーは、初めは慎重な走りを心がけていた。路面が非常に滑りやすかったので、この判断はベストだったと思っている。そして再開後、ふたり揃って1周目で好位置につけて絶好のチャンスがめぐってきた。ところがブラッドリーは転倒。それでも果敢にもマシンを起こし、再スタートして最後まで走り切った。ベストを尽くし、ポイントのためにプッシュし続けた彼にお礼を言わなければならない。一方のポルは見事な戦いぶり。昨年はMotoGPマシンでウエットを走ることに、かなり苦労していたが、今年は非常に気持ちよく乗れているようだ。これには彼の努力はもちろんのこと、ミシュラン・タイヤへの順応性の高さも大きく影響していると思う。表彰台も期待したが、レディングが抜いていった。ポルは賢明にも、それ以上の無理はしなかった。その結果、彼がヤマハ勢トップを獲得。シーズンエンド前には、きっと表彰台にも上ってくれるだろう」