MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 4月3日 アルゼンチン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦アルゼンチンGP
■開催日:2016年4月3日(日)決勝結果
■開催地:テルマス・デ・リオ・オンド/アルゼンチン(4.806km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:30度
■PP:M・マルケス(1分39秒411/ホンダ)
■FL: M・マルケス(1分40秒243/ホンダ)
REPORT
劇的な展開となった第2戦アルゼンチンGPでロッシが2位獲得!
Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシは難しいレース展開のなか、シーズン初の表彰台を獲得。チームメイトのJ・ロレンソは好スタートを切ったものの、フラッグ・トゥ・フラッグの厳しいコンディションとなったレースをわずか5ラップで終えた。
アルゼンチン決勝日は、多くのドラマが起こった。決勝前に臨時に予定されていた30分間のテスト走行は、雨のために中止となり、前日までとは異なるコンディションに対応するため、タイヤアロケーションが変更された。午前中のウォームアップセッションはウエットコンディションのもとで行われ、決勝は周回数が短縮された。ところどころに水たまりが残るものの、ほぼドライコンディションでスタートした。しかし9、10、11ラップの間に、マシン交換のためのピットインが強制的に指示された。ライダーたちは、金曜日と土曜日に使用した中からリアタイヤにミディアムかスリックを選択することとなった。
雨雲の下、ロッシはグリッド2番手からスタートし、4番手で1コーナーへ進入。M・マルケスとチームメイトのロレンソをパスし、トップを走るA・ドビツィオーゾを追った。トップを走る3台は、激しいバトルを展開。数ラップ後にドビツィオーゾが後退、トップ争いはロッシとマルケスの一騎打ちに。
2台は何度も抜きつ抜かれつを繰り返しながら、10ラップ目の終わりに同時にピットイン。ロッシは順調にスペアマシンに乗り換え、トップで出ていこうとしたが、そこにドラマが待っていた。コースインしたロッシの目の前には、すでにピットストップを終えたT・ラバトがピットアウト。一瞬、譲ったことで4秒も遅れをとることとなってしまい、さらには交換後のマシンに手間取るうちにM・ビニャーレス、A・イアンノーネ、そしてドビツィオーゾに追いつかれてう。しかしロッシは簡単には2位の座を手放さない。ビニャーレスをパスするも、ドビツィオーゾとイアンノーネは依然として後方に迫り、先行を許してしまう。最終ラップの最終コーナーで、ドゥカティ勢2台が接触。これでロッシが2位に上がり、そのままチェッカーを受けた。トップとの差は7.679秒。
一方のロレンソは、グリッド3番手から絶好のスタートでホールショットをきめる。しかしタイヤを温めるのに時間を要し、7位まで後退。挽回を図ったが、第1コーナーで転倒してリタイアとなった。
ロッシは20ポイントを加算して合計33ポイント。ランキングは2位へと浮上した。ロレンソはノーポイントに終わったものの、初戦に獲得した25ポイントでランキング4位につけている。
エスパルガロが6位獲得、スミスは26回連続のポイント獲得
Monster Yamaha Tech 3のP・エスパルガロが、第2戦アルゼンチンGPで6位獲得と健闘。厳しいコンディションのため、ライダーの安全を考慮してレースは20ラップに短縮された。さらには途中でマシン交換を義務付けられるという異例の展開。そのなかでエスパルガロは、グリッドポジションの10番手をキープして1周目を終え、ペースをつかんで6周目までに1台をパスした。ピットインを終えてコースに復帰したあとも引き続きポジションアップを図る。そのなかでH・バルベラとバトルを展開。しかし激しい競り合いの末にオーバーランし、最終的には6位でチェッカーを受けた。
チームメイトのB・スミスも8位を獲得し、健闘。グリッド4列目からスタートしたあと、オープニングラップで他車との接触を避けてはらみ、不運にも最後尾まで後退。しかしここから激しいチャージで挽回を図り、8周目までに6台をパスしてからピットインを行った。コース復帰後もリズムをキープして残り5周の時点で11位。そこからさらに3つ上げて8位でチェッカーを受けた。これによって26回連続のポイント獲得となり、最高峰クラスにおける連続ポイント獲得回数の記録でランキング6位に上がった。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(2位)
「2位を獲得できてとてもうれしいよ!最初はマルケスと好バトルを展開し、ふたりで後続を引き離していくことができたが、マシンを替えたあとはリアタイヤのフィーリングがよくなく、ブレーキングがうまくできなくなってしまったんだ。昨晩の雨のあとでコンディションは非常に厳しく、金曜日に悩まされていた状態に戻ってしまった感じだった。そのような状況で獲得した20ポイントはとても貴重。自分のためだけではなく、ヤマハやチームのためにも本当にうれしいことだ。それに僕にとっては今季初めての表彰台だしね。確かに限界ぎりぎりまでプッシュしたよ。でもイアンノーネの追撃はちょっと激し過ぎた。ブレーキングでのアクションが大き過ぎて抜き切れず、仕方なく僕が外へ回る間に彼がパスしていった。あのときは、「今のは何だったの?」と思ったよ。そのあとすぐに反撃したかったけれど、グリップもスピードも不十分だったので後ろについて行き、彼がドビツィオーゾに仕掛けようとするのを見守っていた。ところが彼はブレーキングで止まり切れずに、ドビツィオーゾを巻き込んで一緒に転倒。僕は運良く2位でゴールすることができたんだ」
J・ロレンソ選手談(DNF)
「フリープラクティスから問題続きで、予選では何とかフロントロウを獲得したものの、今日のようなコンディションでは気持ちよく乗ることができなかった。でもそれも僕のミスだと思っている。 ライダーとしてトップグループで のバトルを楽しむことができず、むしろ彼らがとてもリスキーだと感じていた。そして第1コーナーでとうとうミスをしてしまったんだ。あのコーナーは水たまりが多く残っていたので、あのときはとくに大回りをしてフロントを滑らせてしまった。これがレースというもの。勝つ時もあれば、負ける時もある。この現実を受け入れ、ポジティブシンキングを維持し、今日のことは忘れて次のことを考えなければいけないんだ」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「緊張の一日。何より、今朝になってミシュランとレース主催者との話し合いの結果、レースの方法とスケジュールが変更になった。そのなかでチームは、厳しい状況のなか懸命に準備をした。昨日の雨でコースコンディションが安定しないうえに、途中、強制的にピットインが行われた。同じようなことが2014年のフィリップアイランドでも行われ、まるでギャンブルのようなレースになってしまったことをよく覚えている。バレンティーノはピットストップの前は非常に順調だったが、スペアマシンに乗り換えるとフィーリングが変わってしまい、同様のパフォーマンスができなくなった。しかしこのような難しい状況のなかでは彼の豊富な経験が役に立った。序盤から見事な走りを維持し、その後も決してあきらめることなく最終コーナーまで攻め続けた。そしてその結果として2位を獲得することができたのだ。ホルヘのほうは、十分な自信を持てないまま第1コーナーの水たまりで転倒してしまった。非常に残念な結果になったが、けががなかったのは幸い。次のアメリカズGPでは本来のパフォーマンスを取り戻してくれると信じている」
Monster Yamaha Tech 3
P・エスパルガロ選手談(6位)
「正直に言って、今日は本当に難しいレースだったし、結果にとてもがっかりしているんだ。バルベラやラバティとのバトルは望んでいたポジションではなく、その前のドゥカティ勢にはどうしてもついて行くことができなかった。ストレートで離され、またフロントタイヤのフィーリングが影響してブレーキングも十分に遅らせることができない。そのうえバルベラが最終ラップの第5コーナーでブレーキングを信じられないくらい遅らせたため、僕は彼との接触を避けるためにコースアウトを余儀なくされてしまったんだ。この間にラバティが僕らふたりを抜いて行った。これが本当に悔しい。レース自体があまり良くなかったとしても、結果を残すことは重要だし、サテライト勢トップでゴールすることができたはず。だからここからまた懸命に取り組み、来週のオースティンまでにもっと強くならなければならない。チャンピオンシップを考えれば6位も決して悪くないので、今日は最小限のダメージで済んだと思うことにするよ」
B・スミス選手談(8位)
「とても難しいレースだったけれど、8位でゴールしてポイントを獲得できたことは次への励みになった。レースはフラッグ・トゥ・フラッグの展開になり、雨にも苦しめられた。しかもコース上にはたくさんの土埃と水たまりで、厳しい状況だ。そして第1コーナーと第3コーナーで運悪くポジションをキープできず、大幅に順位を下げてしまった。僕らはこれまでに試したことのないセッティングを選択していた。2台とも同じだったので、フィーリングをつかむのにとても苦労したよ。欲しいのはチェッカーフラッグだけと、走りながらひたすら自分自身に言い聞かせ、結果的には前回のカタールと同様の8位でゴールすることができた。そういうわけだから、あまり不満は言えないんだ。ただ、サテライト勢4位にとどまったことはやはり残念。このようなコンディションならとくに、もっと上へ行けたはずだからね。でもこの厳しいレースから多くを学ぶことができたし、たくさんの有用なデータを収集することもできた。次こそは、本来の立ち位置に戻してみせるよ!」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「チームの仕事ぶりには満足している。天候、汚れた路面、そしてこのコースで初めて試したニュータイヤ。彼らはこうした多くの厳しい状況に懸命に対処してきたのだから。しかもそのうえで、しっかりとポイントを獲得してきたポルとブラッドリーを誇りに思う。彼らは初めから懸命にトライして、それがポイントに結び付いた。そしてその活躍によってチームランキングで3位に上がることができたのだ。ポルは最終ラップまで4位をキープしていたので残念な気持ちも残る。バルベラがアグレッシブになり過ぎて、一緒にコースアウト。これでポルはふたつもポジションを下げてしまった。チームはいつものように素晴らしい仕事をしてくれた。メインとスペア、2台のマシンがほぼ同様のレベルに仕上がっていたので、そのおかげで、ふたりがこのように難しい状況のなかで好成績を獲得できたのだと思う。とてもポジティブな気持ちでアルゼンチンを発てる。来週のオースティンではまた、ふたりそろってトップ8を目指したい。今回は逃してしまったもうひとつの目標、チームランキング・トップへの返り咲きを狙いたい」