ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.15 10月11日 日本
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第15戦日本GP
■開催日:2015年10月10日(土)予選結果
■開催地:日本/もてぎ(4.801km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:20度 ■路面温度:24度
■PP:J・ロレンソ(1分43秒790/ヤマハ)
REPORT
ヤマハが予選で1-2獲得!
Movistar Yamaha MotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシが本日午後、日本GPの公式予選で見事な走りを見せて、それぞれ1位と2位を獲得した。
昨日のフリープラクティスでも、常にトップをキープしたJ・ロレンソ。公式予選でも早々に好タイムをマークしてポールポジションを獲得。チームメイトのV・ロッシもロレンソに続いて1分43秒台に入れ、0.081秒差で2位を獲得した。
ツインリンクもてぎで3年連続の優勝を狙うロレンソは、セッション・スタートと同時に飛び出して最初のアタックで1分44秒768を記録。一時トップに立ったあと4位に後退したが、残り9分で素早いピットイン。1分後に復帰すると、ライバルたちがピットでタイヤ交換を行う間に、空いたコースを利用して再びアタックに臨んだ。そして2ラップ目には1分43秒990へ更新、モトGPで初めて1分43秒台に入れる快挙を達成した。
残り3分強。ロレンソは作戦通りに2度目のピットインを行いマシンを交換したが、復帰後に与えられたチャンスは1周のみ。直前にチームメイトのロッシに抜かれて2位となっており、何としても前に出たいロレンソは全力でプッシュ。その結果、1分43秒790のベストタイムをたたき出し、ポールポジションを決定した。
一方のロッシも力強い走り。予選セッションを2番手でスタートし、ロレンソにぴったりとついて行った。すぐに1分44秒662を記録し、一時トップに立ったあと後退。その後ポール・レコードを更新する1分44秒222で再びトップを奪ったが、チームメイト同士の戦いはまだ終わらない。
素早くピットに戻ってタイヤ交換を行ったロッシ。残り4分でコースに復帰したものの、次のアタックではタイムを更新できず。もう一度、残された1周のチャンスに賭け、ついに1分43秒871へと更新してトップに浮上した。しかし次の瞬間、ロレンソがこれを上回り、ロッシは2位へと後退した。
Yamaha Factory Racing Teamからワイルドカード参戦となった中須賀克行は、順調に予選セッションを走り切り15位を獲得した。
Monster Yamaha Tech3のスミスは3列目スタート
Monster Yamaha Tech3のB・スミスは、予選9位でサテライト勢トップ。午前中に行われたフリープラクティス第3セッションでは、引き続きセッティング作業に取り組みながらハイペースを見せていた。終盤で転倒があったものの、昨日までに記録した1分45秒250のベストタイムで総合9位を獲得。これでQP2に進出することができた。フリープラクティスの最終セッションでも好調をキープし、自信を高めて臨んだ予選。2回目のアタック中に不運にも転倒を喫したが、すぐにマシンに跨りピットへ。そのままスペアマシンに乗り換えてコースに復帰し、残り5分強で後れを取り戻すべく挽回を目指した。ところが、順調にペースを上げていたところで再び転倒。その後のタイム更新はならず、1分45秒067のベストタイムで9位となった。決勝ではトップ6入りを狙う。
スミスのチームメイトのP・エスパルガロはグリッド4列目を獲得。フリープラクティス第3セッションでは中盤で転倒があったが、すぐにピットに戻って再スタートし、1分45秒088を記録して7位。これでQP2に進出し、15分間のタイムアタックに臨んだ。序盤から果敢に挑み、勢いに乗るエスパルガロは、コンスタントにハイペースを維持して1分45秒219のベストラップ。さらに短縮を目指していたが、時間切れとなった。予選順位は11位に留まったが、セクションごとの通過タイムでは、第1セクションで2位を獲得するなど際立つ速さも見せた。明日の決勝では、サテライト勢トップを目指す。
Forward Racingは試練の予選
Forward RacingのL・バズとT・エリアスは、それぞれ23位と25位。昨日のフリープラクティスで初めてもてぎを走ったバズは、路面コンディションの変化に苦労し、フィーリングを得られないまま予選セッションを終了。ベストタイムは1分46秒048で、オープンクラスのトップからコンマ3秒差。明日の決勝はグリッド8列目からのスタートとなるが、決勝には自信を持って臨む。
一方のエリアスも厳しい状況は変わらないが、Forward Racingで2戦目を迎えて少しずつ前進している。予選セッションでは1分46秒256を記録。決勝では9列目に並ぶ。
15番グリッドからスタートを待つ中須賀克行
3回目のフリー走行を終え、フリー走行1回目から3回目までの総合19番手となったYamaha Factory Racing Teamの中須賀克行選手はQ1に出走。このQ1での上位2名は、ポールポジションを賭けたQ2に進むことができるのだが、Q1スタート早々は中須賀は2番手にその名を連ねるものの、最終的にQ1で5番手となりQ2進出は果たせなかった。
しかし、3回目のフリー走行で自己ベストの1分46秒7を塗り替える1分46秒280をマーク。さらにこのQ1では一気に1分45秒496までタイムを削っており、決勝レースに向けてマシンが仕上がっていることをアピールする結果となった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'43.790 |
2 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'43.871 |
3 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'44.216 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'44.322 |
5 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | 1'44.436 |
6 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'44.582 |
7 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'44.809 |
8 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | 1'44.932 |
9 | B・スミス | Monster Yamaha Tech3 | Yamaha | 1'45.067 |
10 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'45.081 |
11 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech3 | Yamaha | 1'45.219 |
12 | S・レディング | Estrella Galicia 0.0Marc VDS | Honda | 1'45.333 |
13 | S・ブラドル | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'45.432 |
14 | Y・ヘルナンデス | Octo Pramac Racing | Ducati | 1'45.438 |
15 | 中須賀 克行 | Yamaha Factory Racing Team | Yamaha | 1'45.496 |
16 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'45.608 |
17 | D・ペトルッチ | Octo Pramac Racing | Ducati | 1'45.691 |
18 | H・バルベラ | Avinta Racing | Ducati | 1'45.724 |
19 | 高橋 巧 | Team HRC with Nissin | Honda | 1'45.743 |
20 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'45.751 |
21 | N・ヘイデン | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'45.843 |
22 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | 1'46.039 |
23 | L・バズ | Forward Racing | Yamaha | 1'46.048 |
24 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | 1'46.179 |
25 | T・エリアス | Forward Racing | Yamaha | 1'46.256 |
26 | 秋吉 耕佑 | AB Motoracing | Honda | 1'47.760 |
27 | A・デ・アンジェリス | OctoIoda Racing Team | ART | 1'48.192 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(予選1位/1分43秒790)
「全力を尽くした。ポールポジションを獲得することができてとてもうれしいよ! 終盤は湿度が高くなり、とくにコーナー進入では、午前中にできていたような好調な走りができなくなってしまった。それで少し苦しかったんだけれど、とにかく転倒だけはしないように注意しながらすべてを賭けて戦った。それがこの好タイムにつながったんだ」
V・ロッシ選手談(予選2位/1分43秒871)
「ポールポジションを狙っていたけど、望みは叶わなかった。ポールポジションはなかなか獲れるものじゃないし、とくに僕にとっては貴重なチャンスだっただけに残念。でもその一方で、今日の走りには満足しているんだ。午前中のプラクティス・セッションですでに確かな手ごたえを感じていたけれど、午後になって、第4セッションのなかでそれが実際に効果を発揮。コンスタントにハイペースをキープすることができた。だからその時点で予選セッションに自信を持ち、作戦も当たり、好位置を獲得することができた。小さなミスをしてしまったことは残念だった。でも大丈夫。明日はホルヘとのバトルを期待している」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「素晴らしい予選セッションを見せてもらった。ホルヘとバレンティーノが1000分の1秒を賭けて戦ったのだ。そしてふたりそろって1分44秒の壁を破り、速さをアピールしたばかりでなく、彼らのメンタル面の強さも見せつけた。我々のチームのふたりのライダーが互いにグリッドのトップ・スポットを競り合うのを見て、チームとして、明日の決勝では勝利を狙っていけると確信。天気だけが気がかりだが、どんなコンディションになったとしても見ごたえあるレース展開に変わりはないだろう。準備は整っている」
Monster Yamaha Tech3
B・スミス選手談(予選9位/1分45秒067)
「まず、チームのみんなに謝らなければならない。激しくプッシュしていたところで3回も転倒してしまい、彼らの仕事を増やしてしまったからね……。フリープラクティス第4セッションに間に合わせるため、ポルのスタッフたちも僕を助けてくれたんだ。そういうわけで今日は厳しい状況だったんだけれど、転倒する前は力強く走れていたので決勝への自信は失っていない。QP2で2回も転倒してしまったことは、もちろん悔しいけれど、原因はわかっていて、もしもすべてが完璧にできていたとしたらフロントロウを獲得できたくらいに激しくプッシュしてしまったということ。そしてそれは、僕にとってみればトライする価値のあることだったんだ。
明日の決勝に向けては、しっかり作戦を立てており、きっとうまくいくと確信している。フリープラクティス第4セッションではホルヘが後ろにいたが、あまり攻めてくることもなくて、僕は昨日までとほぼ同様の1分45秒台前半で周回。すべてを考え合わせるとトップ5に入る可能性は十分にあるので、ダニとのポイント差を考えてもそこを目標に頑張りたい。そして何とかドゥカティ勢の前でチェッカーを受けたいんだ。安定した走りを目指し、3連戦の1戦目を順調にスタートしたい」
P・エスパルガロ選手談(予選11位/1分45秒219)
「ベストを尽くしたが、厳しい一日になった。思い通りの走りを実現させるためには、明日までにさらに、やるべきことが残っている。その一方で評価できることは、昨日、苦労したグリップの問題を解決できたこと。それでもコーナリングではまだ苦労していて、コーナー進入でマシンがはらみがちになるので、正しいラインをキープするのが難しい。そうなるとコーナーの立ち上がりで良い位置につくことができず、これ以上、速さを追求することができない。それに加えて体力的にも非常に厳しく、マシンの素早い向き換えがほとんど不可能。そういうわけで、これからデータをしっかり分析しなければならず、今晩は長い夜になりそうだ。明日の朝のウォームアップ・セッションでこの状況を改善することができれば、決勝ではチャンスがあるだろう。日本のファンに素晴らしいショーを見てもらえるようベストを尽くすよ」
Forward Racing
L・バズ選手談(予選23位/1分46秒048)
「試練の一日。フリープラクティス第3セッションも予選も非常に苦しく、マシンに良いフィーリングをつかむことができなかった。コースは好きだけれど、同時に、攻略法を学ぶのは簡単ではない。今日までにできなかった分を、明日の決勝のなかで引き続きトライするしかないだろう。ライバルたちより遅れてスタートするが、いくつかのポジションを挽回できると信じている。天候によっては、より一層、難しいレースになるかもしれないけれど…」
T・エリアス選手談(予選25位/1分46秒256)
「フリープラクティスの全セッション、そして今日の午後の予選セッションを通して順調に前進し、最後にはようやく1分46秒台を記録することができた。前回のアラゴンよりもフィーリングが良くなっているし、オープンクラスのライバルたちから大きく離されたわけではないので、全体的には満足しているよ。明日もいい戦いができると思うけれど、天候に左右される部分も大きいかな」
Yamaha Factory Racing Team
中須賀 克行選手談(予選15位/1分45秒496)
「昨日の転倒でスイッチが入りました。それで今日のフリー走行3回目では自己ベストを更新する1分46秒280、Q1では1分45秒496を記録できましたが、Q1でのタイムは自分でも驚いているし、チームスタッフにとっても想定以上のタイムでした。この45秒台のタイムに入って、ほんの少しだけれどロッシやロレンソの走りが垣間見られた気分です。もちろん彼らはこれ以上のライディングをしているのですが、たとえば前後タイヤの滑らせ方とか、これまでにない体験ができました。明日の決勝は、まず15位以内を目指します。そしてそこから一つでも上に順位を上げていきたい。今年のMotoGPは速いライダーが多くて、15位以内に入るのにも手こずりますが、最大限のチャレンジ精神を持って頑張ります」
尾方宏彰、チーム監督
「昨日、ロッシ選手、ロレンソ選手に合わせた項目をテストし、今日から中須賀選手に合わせたマシンをセットアップしました。そしてフリー走行3回目では自己ベストを更新する1分46秒280を記録して、Q1ではさらに1分45秒496までタイムを詰めてくれました。このタイムは、中須賀選手の根性と意地だと思います。何度か転びそうになったと言っていましたが、このQ1でマシンは仕上がりました。テスト項目を終えてレースだけに集中できるようになりましたが、中須賀選手をうまくサポートしたいと思っています。今年はとくに全体的にレベルが上がっているので、ポイント圏内の15位以内という価値がとても高まっていると感じていますが、まずは15位以内に入ること、そして一つでも上のポジションを狙ってほしいしですね」