ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.14 9月27日 アラゴン
RACE DATA
■大会名称:第14戦アラゴンGP
■開催日:2015年9月25日(金)フリー走行総合結果
■開催地:アラゴン/スペイン
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度 ■路面温度:38度
REPORT
ロレンソ、ロッシ、スミスが上位3位を独占!
フリープラクティス初日はヤマハ勢が大活躍。Movistar Yamaha MotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシが、それぞれ1位と2位を獲得したほか、Monster Yamaha Tech 3のB・スミスが3位に入ってトップ3を独占した。
今シーズンも終盤戦を迎え、次回からは毎年恒例のアジア太平洋での3連戦が始まる。第14戦アラゴンGPは、長旅へ向かう前の最後のヨーロッパ・ラウンドだ。Movistar Yamaha MotoGPは3週間前に、ここでテストを済ませていたこともあり、すばやく感触をつかんで早々にリーダーボードのトップに躍り出た。
チャンピオンシップでチームメイトのロッシを追うロレンソは、これまで以上にモチベーションを高めてチャンスを狙っている。第1セッションでは混雑を避けるためにタイミングを計ってコースイン。走り始めるやいなやペースを上げ、最速タイムを何度も更新しながら1分48秒249のトップタイムを記録。2位以下に0.490秒の差をつけた。
午後からの第2セッションでも順調にペースアップ。セッティングも行いながら、20分後には1分48秒307を記録してトップに立った。最後の10分でライバルたちがタイムアタックを始めると、これを受けてタイヤをミディアム・コンパウンドに交換。すぐさま誰よりも早く1分47秒台に入れ、トップに返り咲いて母国ファンを歓喜させた。1分47秒517へのベストタイムはセッション終了まで破られることはなく、また、すべてのセクションでトップタイムを記録して2位のロッシに0.683秒の差をつけた。
一方のロッシも順調。第1セッションでは最初の周回で1分51秒812を記録して一時トップに立ち、その後さらにペースを上げて1分48秒824とした。これでロレンソに続く2位を多くの時間帯でキープしたが、セッション終盤で3位に後退した。
午後からの第2セッションでは、セッティングの完璧化に取り組み、さらに安定性が向上。1分48秒884のタイムで6番手につけていたが、身体を伏せてアタックを始めると、一気に1分48秒200まで短縮してトップに浮上した。セッション終盤ではロレンソがこれを上回り、ロッシは2位となった。
スミス、エスパルガロともに好調をキープ
Monster Yamaha Tech 3のB・スミスが、前回のサンマリノGPに続いて好調をキープ。フリープラクティス初日に3位獲得と健闘した。午前中の第1セッションでは、マシン・セッティングで様々なテストを行いながら1分49秒790で7位。そして第2セッションでは、最多周回数となる20ラップを走破しながら、1分48秒318まで短縮して3位に浮上した。明日の予選では、5戦連続のセカンドロウ獲得を目指す。
一方、ホームグランプリを迎えているチームメイトのP・エスパルガロも順調なスタート。前回のサンマリノGPでは残念な結果に終わっており、今回はその挽回を狙っている。第1セッションはセッティング変更に取り組みながら1分49秒868で8位。午後からの第2セッションでは合計18ラップを通じてプッシュし続け、1分48秒445へ更新して総合6位を獲得した。スミスとの差はわずかコンマ1秒。これで自信をつけたエスパルガロ。昨年は予選で2列目のトップを獲得しており、明日はその再現を狙う。
バズがオープンクラスで2位を獲得
フォワード・レーシングのL・バズは総合17位。オープンクラスではバルベラに続く2位につけた。一方、今回から同チームで出場することとなったT・エリアスは24位で初日を終えた。
前回のサンマリノGPで好成績をおさめたばかりのバズ。今日は両セッションのほとんどの時間帯でマシンのセットアップに取り組み、決勝に向けての準備に費やした。その結果、1分49秒700のベストタイムで総合17位、オープンクラス2位を獲得し、トップのバルベラにコンマ5秒差と迫っている。
今回からバズのチームメイトとなったエリアスは、第2セッションで1分51秒162を記録し、第1セッションのベストタイムを2秒近くも更新して24位。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'47.517 |
2 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'48.200 |
3 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'48.318 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'48.358 |
5 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'48.401 |
6 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'49.445 |
7 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'48.524 |
8 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'48.575 |
9 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | 1'48.615 |
10 | D・ペトルッチ | Pramac Racing | Ducati | 1'48.829 |
11 | Y・ヘルナンデス | Pramac Racing | Ducati | 1'48.955 |
12 | S・レディング | Estrella Galicia 0.0 Marc VDS | Honda | 1'49.007 |
13 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | 1'49.064 |
14 | H・バルベラ | Avinta Racing | Ducati | 1'49.225 |
15 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'49.576 |
16 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'49.680 |
17 | L・バズ | Forward Yamaha | Yamaha | 1'49.700 |
18 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'49.769 |
19 | S・ブラドル | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'49.980 |
20 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | 1'50.039 |
21 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | 1'50.157 |
22 | N・ヘイデン | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'50.462 |
23 | A・デ・アンジェリス | Octo IodaRacing Team | ART | 1'50.719 |
24 | T・エリアス | Forward Yamaha | Yamaha | 1'51.162 |
25 | K・アブラハム | AB Motoracing | Honda | 1'51.496 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合トップ/1分47秒517)
「フィーリングが以前とはまったく違っているんだ。これは、マシンを発展、進化させてくれたエンジニアたちのおかげ。だからこそ、ここアラゴンのように難しいコースでも、このように力強く走ることができるんだ。でもライバルたちだってだまっているわけではないから、明日は激しい戦いになるだろうし、ポールタイムはかなり上がってくるだろう。僕らもさらにセッティングを磨き上げて、もっともっとペースを上げていかないとね」
V・ロッシ選手談(フリー走行総合2番手/1分48秒200)
「以前はここで何度も苦しい思いをさせられたので、ここを僕らのテストコースに決め、先月もテストを行った。そのおかげでベース・セッティングが出来上がっていて、ホルヘも僕もとても順調にスタートすることができた。ホルヘのほうがわずかに速かったので、明日までにさらに磨きをかけ、セクションごとに少しずつタイムを縮めていきたい。タイヤはミディアムかハードになるが、決めるのはまだ早い。これからさらにセッティングを向上させ、明日にはしっかりチョイスすることができるだろう。セッション終盤でソフト・コンパウンドも試してみたが、ライバルたちはそれを行わなかった。彼らも同じようにしていたなら彼らも同じレベルということになるけれど、いずれにしても日曜日に彼らとバトルできればそれでいいんだ。だって彼らはいつも、ここでは僕らよりも優位に立ってきたのだから。課題はブレーキング。敏捷性をキープしながら、コーナー進入ではもっと深くまで突っ込みたいんだ」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「ウイークは順調に発進することができた。今日の結果には非常に満足している。3週間前にテストを行ったのは良い判断だった。データを活用し、十分なベース・セッティングでウイークをスタートすることができたからだ。ホルヘは午前中から非常に速く、午後には唯一、1分47秒台を記録した。バレンティーノも何度も好タイムを記録し、好調ぶりを見せてくれた。両方のタイヤ・オプションを試すこともできたし、1日目をこうして1位と2位で終えられたことは良いサインであり、大いに励みになった。まだやるべきことは残っており、それを克服することで、これからもっとコンディションを上げていくことができるはず。セッティングを完璧にして、明日のフリープラクティス第3セッションに臨みたい」
Monster Yamaha Tech 3
B・スミス選手談(フリー走行総合3番手/1分48秒318)
「好調なスタート。初日の3位は素晴らしい結果だと思う。午前中のセッションが始まるやいなや、マシンはとてもフィーリングが良く、素早くリズムをつかむことができた。午後になって、決勝でのポテンシャルを確かめるためにハード・コンパウンドのタイヤを多く使用。その結果、フロントは順調で、リアのほうはもう少し調整が必要だが、よく走ってくれている。また、電子制御システムについても前進が見られ、エンジン・ブレーキもトラクション・コントロールも満足できた。これからさらに決勝用セッティングの向上を目指し、日曜日に備えたい。また、コーナーでの安定性、とくにマシンが最大角度に傾いているときのブレーキング性能が良くなれば、なおうれしいんだけれど…。いずれにしても初日の3位は良いスタート。この調子でこのあとも順調に作業を続け、予選では2列目までに入りたい」
P・エスパルガロ選手談(フリー走行総合6番手/1分48秒445)
「課題はまだたくさんあり、決してとても良かったとは言えないけれど、これからのたくさんの伸びしろを考えれば、初日に6位を獲得できたことはうれしいよ。午前中のセッションで最初にマシンにまたがったときの感触はベストの状態ではなく、午後の第2セッションでも、とくに高速のコーナーでマシンの向き換えに苦労した。それでも明日までにはそれらを修正できると確信しているんだ。今日のデータをしっかり分析し、今回もまた2列目までに入ることを目標に頑張るよ」
Forward Racing
L・バズ選手談(フリー走行総合17番手/1分49秒700)
「ここアラゴンは走り慣れたコース。スーパーバイクで何度も走っているからね。でもあのときと、MotoGPとではかなりフィーリングが違っている。とくにコーナリングでは、アグレッシブさを少し控えめにして、なお素早く抜けていかなければならない。そんななかでソフト・コンパウンドを使用し、集団に阻まれながらもラップタイムを上げることができたので、総合的には満足できた。また2種類のセッティングを試し、いくつか新しいこともテスト。オープンクラスではバルベラにわずかに届かず2位になってしまったので、明日の予選では、また大きく一歩前進したい」
T・エリアス選手談(フリー走行総合24番手/1分51秒162)
「新しいマシンで初めての走行。そう考えれば今日のパフォーマンスには満足できる。インディのフリープラクティスではトップから6秒も離されていたけれど、ここでは差が縮まり、この調子なら明日の予選もとてもポジティブな気持ちで臨めそうだ。最初の印象はとても素晴らしく、エンジンや電子制御システムとも仲良くできた感じ。でもフロントや、リアのグリップにしっかりフィーリングをつかめるようなるには、もう少し時間が必要だ。これからさらに多くの周回を重ね、マシンのジオメトリーやサスペンションを自分のライディング・スタイルに合わせていきたい。今日は午前中のベストタイムを午後には2秒も短縮した。明日またどこまで行けるか楽しみだ」