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Yamaha Motor Revs Your Heart

レース情報

ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)

ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。

Rd.12 8月30日 イギリス

RACE DATA

■大会名称:MotoGP第12戦イギリスGP
■開催日:2015年8月30日(日)決勝結果
■開催地:イギリス/シルバーストーン(5 .902km)
■周回数:20周(118km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:16度 ■路面温度:18度
■ PP:M・マルケス(2分00秒234/ホンダ)
■ FL:V・ロッシ(2分16秒486/ヤマハ)

REPORT

V・ロッシが今季4勝目でランキングトップに返り咲き

Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシが難しいコンディションを制し、シルバーストーンで初優勝。同時に開幕戦以来の連続表彰台の記録を12回に更新した。チームメイトのJ・ロレンソは厳しい状況におかれながらも果敢に走り切って4位を獲得した。

決勝スタート直前に雨が降り出し緊張が走ったシルバーストーン。すでにドライ・レースが宣言されていたため、ウエット・タイヤに交換してピットレーンからスタートするか、あるいはスリックのままグリッドからスタートするか、難しい判断が迫られた。ウォームアップ・ラップを終えたライダーたちは全員がピットに戻りマシンを交換。その結果を受けてスタート時間を遅らせることとなり、周回数も20ラップに短縮された。

25分後、ライダーたちはウエット・レースの準備をして2度目のグリッドについた。午前中に同様のコンディションで行われたウォームアップ・セッションでトップタイムを記録したロッシが、4番手グリッドから絶好のスタート。3位に上がってM・マルケス(ホンダ)を追い、2ラップ目に入るところでこれをパスして2位に浮上した。

次にチームメイトを照準にとらえてペースアップしトップに躍り出る。その後はマルケスの追撃を受けるが、プレッシャーをはねのけて常にハイペースをキープ。ベテランらしいレース巧者ぶりでレースをコントロールし、13周目にマルケスが転倒しリタイアとなった。

しかし勝負はまだ終わらない。D・ペトルッチ(ドゥカティ)が追い上げ、その後ろにA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)も続いていた。それに気づいたロッシは1.5秒のアドバンテージをキープするべく、その後も懸命にプッシュ。すると残り2ラップまでにさらに1.5秒リードを拡大し、3.010秒のアドバンテージをもって真っ先にチェッカーを受けた。

一方のロレンソも予選2位の位置から好スタート。ホールショットを奪って第1コーナーに進入し、オープニングラップをトップで終えた。しかし2ラップ目でロッシとマルケスに抜かれて3位。2ラップにわたってこのポジションをキープしていたが、P・エスパルガロとカウルが接触して遅れ、この間に前の2台から離されてしまった。

その後も厳しい状況が続き、シールドが曇って視界不良のままペトルッチ、ドビツィオーゾ、D・ペドロサ(ホンダ)との3位争いに突入。一時は6位まで後退したが、残り7ラップでは持ち前のファイティングスピリットで再び巻き返し、マルケスの転倒によって5位、さらにひとつ上げて4位でゴールした。

25ポイントを加算したロッシに対してロレンソは13ポイント。これでロッシは合計236ポイントに伸ばしてランキングトップに返り咲き。ロレンソは合計224ポイントとなり、12ポイント差で2位につけている。

B・スミスが雨のなかで7位獲得

Monster Yamaha Tech3のB・スミスが、ホーム・グランプリで7位獲得と健闘を見せた。ドライ・レースが宣言されたあと、ウォームアップ・ラップ中に雨が降り出して赤旗中断。スタート時間を遅らせて始まった決勝では、全員がウエット・マシンに交換してグリッドについた。

スミスはライト消灯とともに飛び出し、ファクトリー勢について行こうと懸命のプッシュ。1周目を終える時点で6位につけていたが、次の周には順位が入れ替わり、9位まで後退してしまった。それでも集中力を切らさなかったスミスは、3ラップ目ですぐまたふたつ挽回。その後もリズムをキープしてポジションアップを狙っていたが、レース中盤ではチームメイトのP・エスパルガロに抜かれて8位に後退した。マルケスの転倒もあり、残り5ラップの時点で7位を走行。そのまま最後まで全力で走り切り、7位のポジションをキープした。

一方のエスパルガロも果敢な走りを見せていたが、15ラップ目で転倒リタイア。ロケットスタートを決めて1周目で4位に上がり、ファクトリー勢について行ったものの、4ラップ目に他車と接触してコースアウト。この間に10番手まで後退していたが、すぐにコースに復帰して挽回を開始した。そして10ラップ目にはスミスをパスして7位に浮上。しかしその5ラップ後には第3コーナーで転倒し、そのままリタイアとなった。

L・バズとC・コルティは、16位、18位

Forward RacingのL・バズとC・コルティは、難しいコンディションのなかで、それぞれ16位と18位を獲得した。

昨日の予選ではオープンクラスのポールポジションを獲得していたバズだが、ウエット・コンディションではセッティングに好感触をつかむことができず、スタート直後にいくつかポジションダウン。それでも20ラップを走り終えて16位まで挽回してチェッカー。ポイント獲得まで2秒弱の差だった。

一方のコルティも、ヤマハ・フォワードで初めてのウエット・レースで、セッティングに苦労しながらも18位と健闘。予選グリッド23位から好スタートを切ったあとはリア・グリップを十分に得られず厳しい展開になったが、最後まで懸命に走り切った。

RESULT

順位 ライダー チーム マシン タイム
1 V・ロッシ Movistar Yamaha MotoGP Yamaha 46'15.617
2 D・ペトルッチ Octo Pramac Racing Ducati +3.010
3 A・ドビツィオーゾ Ducati Team Ducati +4.117
4 J・ロレンソ Movistar Yamaha MotoGP Yamaha +5.726
5 D・ペドロサ Repsol Honda Team Honda +11.132
6 S・レディング Estrella Galicia 0.0Marc VDS Honda +25.467
7 B・スミス Monster Yamaha Tech3 Yamaha +26.717
8 A・イアンノーネ Ducati Team Ducati +29.393
9 A・エスパルガロ Team SUZUKI ECSTAR Suzuki +38.815
10 A・バウティスタ Aprilia Racing Team Gresini Aprilia +41.712
11 M・ビニャーレス Team SUZUKI ECSTAR Suzuki +44.776
12 N・ヘイデン Aspar MotoGP Team Honda +52.489
13 H・バルベラ Avinta Racing Ducati +1'11.211
14 M・ディ・ミリオ Avintia Racing Ducati +1'15.292
15 A・デ・アンジェリス OctoIoda Racing Team pART +1'17.863
16 L・バズ Forward Racing Yamaha +1'19.310
17 E・ラバティ Aspar MotoGP Team Honda +1'19.735
18 C・コルティ Forward Racing Yamaha +1'58.086
19 K・アブラハム AB Motoracing Honda -1 Lap

LAP CHART

RIDERS RANKING

順位 ライダー マシン ポイント
1 V・ロッシ Yamaha 236
2 J・ロレンソ Yamaha 224
3 M・マルケス Honda 159
4 A・イアンノーネ Ducati 150
5 A・ドビツィオーゾ Ducati 120
6 B・スミス Yamaha 115
9 P・エスパルガロ Yamaha 81
17 L・バズ Yamaha 15

CONSTRUCTORS RANKING

順位 コンストラクター ポイント
1 Yamaha 277
2 Honda 215
3 Ducati 187
4 Suzuki 89
5 Aprilia 16
6 Yamaha Forward 20
7 ART 2

COMMENT

Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(優勝)

「とてもうれしいし、とても誇らしい気持ち。まさに最高の気分だよ! 雨のレースで優勝したのは、おそらく10年ぶりくらい。今朝、起きたときから調子が良かったし、チームも良い仕事をしてくれたので、ウォームアップ・セッションの1ラップ目から絶好調だったんだ。僕自身、気分が良く、マシンのフィーリングも素晴らしかったので、決勝も必ずうまくいくと確信していたよ。でもマルクとのバトルはかなりきつかった。懸命に逃げようとするのに、彼はぴったりついてくる。大型スクリーンで彼が転倒するのを見たんだけれど、その前から後方のエンジン音が聞こえなくなっていたので、何かあったことはわかっていたけどね。彼が転倒したあとは十分なアドバンテージがあると思っていたので、少しペースダウン。ところが実際にはダニロ(ペトルッチ)が予想以上に近くにいたので、僕はもう一度、集中力を呼び戻してプッシュしなければならなくなったんだ。優勝は今季4回目。とてもうれしいし、チャンピオンシップにとっても非常に重要な勝利になった。自分自身、速く走れていたし、マシンにも信頼をおいていた。シルバーストーンは勝ったことがなかったので、初優勝できてなおさらハッピー!」

J・ロレンソ選手談(4位)

「スリックでの最初のスタートは非常に危険な状況。だから雨がさらに激しくなって、レイン・タイヤに交換できたことはとても良かったと思う。最初の3、4ラップはフィーリングが良く好調に走れていたんだけれど、他のライダーたちのほうが徐々に速くなっていった。ラップごとに遅れ、バレンティーノとマルケスに抜かれて3位。彼らのほうがペースが速かったので、どうすることもできなかったんだ。すると突然、シケイン入り口でエスパルガロが不可解な動き。危うく大クラッシュになるところだったけれど、運よく持ちこたえることができたので、そのあとも何とか3位争いに残りたかった。一旦はペトルッチ、ドビツィオーゾ、ペドロサに抜かれてしまったけれど、僕の動きが速かったのでまずダニ(ペドロサ)をパス。最終ラップではドビツィオーゾがミスをして近づくことができたんだけれど、その頃には雨がさらに激しくなり、寒くなり、シールドが曇って前が見えなくなっていたので、ペースを落とすしかなくなっていた。それで3位復帰のチャンスを失ったんだ。このことは非常に残念。ウエット・コンディションでバレンティーノやマルケスについて行くことができなかった」

M・メレガリ、チーム・ディレクター談

「信じられないくらいの見事な優勝。バレンティーノについてはこれ以上の幸せはないくらい。非常に難しいコンディションのなかで、ライバルたちのプレッシャーにも冷静さを失わず、完璧なレースを走り切った。一方のホルヘも、いくつかの問題に苦労しながらもトップライダーとしての強さを十分にアピールし、最終的には4位まで挽回してゴールに戻って来た。チームのみんなもまた、プレッシャーのなかでプロフェッショナリズムを証明、天候の変化に素早く対応し、要求に合わせて最後の変更も成功させたのだ。これでまたもうひとつ優勝の記録を加え、2週間後には、自信を持って次のミサノへ向かうことができる」

Monster Yamaha Tech3
B・スミス選手談(7位)

「理想とはほど遠いコンディションのなかでベストを尽くし、この最終結果を得られたことに満足するべきだろう。去年もここのウエット・コンディションで苦労していたので、グリッド上ではちょっとナーバスになっていた。でも今年はマシン性能が格段に上がっていて、トップから約1.2秒差まで近づくことができた。去年のアラゴンではもっと離されていたことを考えれば、チームがこのように素晴らしいマシンを用意してくれたおかげで、今日はウエットでも自信を持って走ることができたんだ。なんとか表彰台争いに加わろうと全力をかけてセカンドグループについて行った。でも彼らのほうがわずかに速かったので、そのあとはミスをしないように、できるだけコンスタントなペースを心掛けることにしたんだ。終盤は6位獲得を目指して懸命にレディングを抑えようとしたけれど、今日の彼は強すぎてどうにもならなかった。総合的には、最小限のダメージで済んだし、最後までベストを尽くして戦うことができた。ランキングではドビツィオーゾに遅れをとったので、最高の出来というわけにはいかなかったけれど、決して最悪でもなかったと思うんだ。僕を応援しに来てくれたファンのみんなに心からお礼を言うよ。次は2週間後のミサノだね」

P・エスパルガロ選手談(DNF)

「気持ちは半々……。つまりパフォーマンスには満足しているけれど、クラッシュは非常に残念。スタートはとてもうまくいって、その後のリズムも良かったので上位に続いて行き、ホルヘにも楽について行くことができた。実際、彼よりも速く走れているように感じたのでパスを試みたんだ。でもこのようなことになってしまって……彼はタイトルを賭けて戦っているファクトリー・ヤマハのライダーだから、衝突はしたくないと思って、何とか接触を避けるための動きをとったが、その結果、僕は大きく遅れてポジションも後退してしまった。その後は兄のアレックスの後ろにつけて走りながら、もう一度、集中力を高めていかなければならなかった。そうするうちにアレックスに追いついてパス、さらにブラッドリーもパス。そしてふたりを引き離そうとしたところで、とうとうミスをしてしまったんだ。第3コーナーの進入でリアが流れて転倒。これでリタイアとなり、レースを最後まで走ることができずに終わってしまったことはとても残念。厳しい結果になったけれど、そのなかでもマシンと僕自身に大幅な進化があったことは喜びたい。この勢いを次のレースにつなげたい」

H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談

「レースが終わって非常にうれしい、というのが今の正直な気持ち。ウイークを通じて非常に緊張感が高くなっていたなか、ふたりのライダーは難しいコンディションと戦いながらベストを尽くしてくれた。予選で2列目につけたことも非常に誇らしくうれしかったが、昨日から天候の悪化は予想できていたこと。それでもウエット・コンディションで行われた今朝のウォームアップ・セッションでは、ブラッドリーもポルも、とくにポルのほうが素晴らしい走りを見せてくれたのだ。決勝スタートの直前になって赤旗が提示されたため混乱したが、結局、フルウエットの状態でレースが始まり、ポルが絶好のスタート。そしてその後も順調にハイペースをキープした。ところが不運にも他のライダーと接触してコースアウト。それまで好調な走りを見せ、好結果が期待できただけに残念だ。そのあとはブラッドリーと同じ第2グループでコースに復帰して素早く挽回していったが、15ラップ目でとうとう転倒。モトGPでのウエット・コンディションの経験があまり多くない彼にとっては厳しい状況だったと思う。間違いなく本来のスピードを取り戻してきており、そんな彼を誇りに思っている。一方、ブラッドリーのほうは、ドライ・コンディションではずっと好調だったが、今日の雨には苦労した。それでも最後までしっかり走り切り、貴重なポイントを獲得したことに大きな意味があった。ランキングではドビツィオーゾに5位を譲ることになったが、依然として価値あるレースだったことは間違いない。次のミサノでは輝く太陽と青い空を期待したい」

Forward Racing
L・バズ選手談(16位)

「昨日の予選ではオープンクラスのポールポジションを獲得して好調だったが、今日は予想とはまったく違う展開になってしまった。ほとんど知らないセッティングでウエット・コンディションを走ったのはカタールでのテスト以来。それに最後まで慣れないまま終わってしまったという感じ。序盤はフィーリングも悪くなくて、オープンクラスのライバルたちについて行くことができたが、タイヤが消耗し始めるとペースを下げて、彼らに道を譲るしかなくなった」

C・コルティ選手談(18位)

「天候に翻弄され、難しいレースになってしまった。 Yamaha Forwardでウエット・コンディションを走ったのは初めてだし、まったく新しいセッティングでのレースは簡単にはいかなかった。リア・グリップが落ちてしまい、思うようにプッシュすることができなかったんだ。これからしっかりデータを分析して、次のレースに備えて作業を続けていく」

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