ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.12 8月30日 イギリス
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第12戦イギリスGP
■開催日:2015年8月28日(金)フリー走行総合結果
■開催地:イギリス/シルバーストーン(5.902km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度 ■路面温度:28度
REPORT
J・ロレンソが初日総合トップタイム
Movistar Yamaha MotoGPのJ・ロレンソが、第12戦イギリスGPのフリープラクティスで絶好調。初日総合トップに立ち、2位を0.033秒差で振り切った。チームメイトのV・ロッシも午前中の第1セッションでは早々からペースを上げて好調ぶりを見せたが、第2セッションはリアのグリップ不足に悩まされて思うような走りができず総合10位。ロレンソとの差は0.989秒となった。
ロレンソはいつものように、セッション序盤からペースを上げて2分04秒817でトップ。その後さらに1秒近く短縮して2分03秒499を記録し、第1セッションを2位で終了した。第2セッションもほぼ同様の展開となり、1周目で真っ先に2分02秒台に入れる絶好調。さらにすぐまた短縮して2分02秒338とし、そのまま最後までトップをキープして総合1位を獲得した。
一方のロッシは、第1セッションで3位獲得と好調。ベストタイムは2分03秒967で、2分4秒台の壁を破った3人のうちのひとりに入っていた。第2セッションではこれをさらに0.640秒短縮したが、順位は伸びず、総合10位に留まった。
ホーム・グランプリで、B・スミスが初日3位獲得と好発進
Monster Yamaha Tech3のB・スミスが、フリープラクティス初日に総合3位を獲得してホーム・グランプリを好調にスタート。第1セッションで7位と健闘して手ごたえをつかんだスミスは、マシン・セッティングを調整して第2セッションに臨み、序盤から積極的に攻めていった。そして13ラップ目で2分02秒531の好タイムを記録。これで3位に浮上し、そのまま最後までポジションをキープした。トップとの差はわずかに0.193秒。
スミスのチームメイトのP・エスパルガロも総合7位と健闘。第1セッションではおもにマシン・セッティングに取り組みながら、最終ラップでベストタイムを記録して9位。午後からの第2セッションではさらにペースアップを目指してトータル17ラップを走破し、最後のアタックで2分02秒972を記録してチームメイトにコンマ4秒差まで近づいた。
L・バスが総合18位、オープンクラス4位
Forward RacingのL・バスはオープンクラス4位を獲得。チームメイトのC・コルティは総合25位でフリープラクティス初日を終了した。
前回のブルノではトップに立ったバズ。シルバーストーンでは、午後のセッションで2分03秒977を記録して総合18位につけ、クラストップに0.4秒差と迫った。過去にはスーパーバイクで優勝経験もあるお気に入りのコースで、明日の予選、そして明後日の決勝にも自信を見せている。
一方のコルティは2分06秒275のベストタイム。第1セッションでは加速感が不十分でフロントのフィーリングに苦労したが、第2セッションではセッティング変更が功を奏して2秒近くもラップタイムを更新した。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 2'02.338 |
2 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 2'02.371 |
3 | B・スミス | Monster Yamaha Tech3 | Yamaha | 2'02.531 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 2'02.573 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 2'02.761 |
6 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 2'02.872 |
7 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech3 | Yamaha | 2'02.972 |
8 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | 2'03.219 |
9 | S・レディング | Estrella Galicia 0.0Marc VDS | Honda | 2'03.284 |
10 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 2'03.327 |
11 | D・ペトルッチ | Octo Pramac Racing | Ducati | 2'03.339 |
12 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 2'03.391 |
13 | H・バルベラ | Avinta Racing | Ducati | 2'03.618 |
14 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | 2'03.656 |
15 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | 2'03.748 |
16 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | 2'03.877 |
17 | Y・ヘルナンデス | Octo Pramac Racing | Ducati | 2'03.878 |
18 | L・バズ | Forward Racing | Yamaha | 2'03.977 |
19 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | 2'04.216 |
20 | S・ブラドル | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 2'04.416 |
21 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 2'04.885 |
22 | N・ヘイデン | Aspar MotoGP Team | Honda | 2'05.295 |
23 | K・アブラハム | AB Motoracing | Honda | 2'05.396 |
24 | A・デ・アンジェリス | OctoIoda Racing Team | ART | 2'05.820 |
25 | C・コルティ | Forward Racing | Yamaha | 2'06.275 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合1番手/2分02秒338)
「始めからフィーリングがとても良かった。それだけに第2セッションの1周目であれほど一気に速くなるとは思っていなかったんだけれど、いきなり1秒近く短縮して最後までトップをキープすることができた。今日は路面温度が低かったせいもあり、走れば走るほどタイヤの性能が少しずつ落ちていった。これを改善してタイヤの消耗を抑え、さらにペースを上げていくことが明日以降の課題。シルバーストーンでは車のレースが行われてアスファルトがバンピーになっている。とくにブレーキングで影響を受けやすく、僕自身は去年よりも遅くなっている気がしているが、マシンのほうが好調なのでラップタイムでは同等をキープできているのだと思う」
V・ロッシ選手談(フリー走行総合10番手/2分03秒327)
「午前中は悪くなかったんだけれど、午後からの第2セッションでは、タイヤの耐久性を向上させるためにモディファイを加えたが、成果を上げることができなかった。マシンのフィーリングがあまり良くならず、難しい状況のなかで順位も大幅に後退。それでもいろいろなことを試すことができたのが収穫のひとつなので、このあとデータをチェックし、明日以降に備えたい。ここシルバーストーンでは天候に翻弄されることが多く、今回も他のみんなと同じように、ドライ・セッションを期待している。でも予報によればこれからまた悪くなっていくようなので、どうやら無理そうなんだ。幸いトップ10に入ったので、もしも明日が雨になっても大きな問題にはならないけれど、セッティング作業のためには、やはり晴れてほしいと誰もが思っているよ」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「去年に比べればずっと順調。とくにホルヘは、初日ですでに、セッションの序盤からペースを上げてコンスタントにトップをキープ。バレンティーノのほうは第1セッションまでは好調だったが、第2セッションでは序盤でブレーキングで苦労し、終盤になるとリアのグリップ不足に悩まされるようになってしまった。チームとしてはいくつかのアイディアを持っているので、明日はそれを試したい。天候には依然として不安が残るが、明日の予選を前に、今はとにかく目の前の課題に集中するだけ」
Monster Yamaha Tech3
B・スミス選手談(フリー走行総合3番手/2分02秒531)
「ホーム・グランプリを順調にスタートし、マシンの好調ぶりを確信することができた。シルバーストーンではいつも、とくに自分のライディング・スタイルについて自信を持って臨むことができるし、去年のフィリップアイランドで見たように、ハイスピード・コースは嫌いじゃないんだ。第1セッションの始めは、コース・コンディションがあまり良くなかったので少し苦労したんだけれど、午後になるとグリップ・レベルが上がり、前後タイヤについて両方のコンパウンドを試して好感触を得ることができた。日曜日の気温はまだ予測がつかないけれど、どうなってもいいように準備を整えておかなければいけないね。それでも、契約更新のサインを済ませたあとのイギリスGPをこのような形でスタートできたことはとても良かったと思う。今は余計なストレスを感じることなく、仕事に集中することができるよ。チームは今日もとても頑張ってくれたが、明日はもっと上を目指していきたい。決勝のためのベース・セッティングに取り組みながら、さらに向上させていけると確信しているよ。サーキットに集まってくれたすべての人にお礼を言いたい」
P・エスパルガロ選手談(フリー走行総合7番手/2分02秒972)
「好調なスタートを切ることができた。もしかしたら明日は天気が悪くなってしまうかもしれないので、今日、総合7位を獲得できたことはとても良かったと思う。でも午前中のセッションでは苦労もあったんだ。路面コンディションがあまり良くなくてグリップ・レベルがかなり低かったので、十分に自信を持って走ることができなかった。第2セッションではチームのおかげで解決策が見つかり、路面もいくらかきれいになったので気持ちよく走れるようになった。またリアタイヤの両方のコンパウンドを試すことができたことで、今後の方向性がはっきりした。とは言えまだまだ改善の余地が残っていることは言うまでもないので、これからデータをしっかり分析し、明日に備えたい」
Forward Racing
L・バズ選手談(フリー走行総合18番手/2分03秒977)
「とても良かったと思う。満足しているよ。このコースが大好きだということが、何よりもまず大きな力になっていると思う。でももちろん、常にフィーリング向上を目指して、しっかり作業を続けていくことが大切だ。今日は午前中から好調だったけれど、一日でさらに大幅に進化することができた。第2セッションで新しいものをいくつか試し、その結果、ラップタイムを更新することができたんだ。明日はもっともっとプッシュしていかなければならない。トップとの差はわずか0.4秒だけれど、天気がどうなるかわからないからね……」
C・コルティ選手談(フリー走行総合25番手/2分06秒275)
「ヤマハ・フォワードのマシンに合わせてライディング・スタイルを調整することができた。午後のセッションではラップタイムも大幅に短縮できたので満足しているよ。明日の予選に向けても自信を持っているけれど、あともう少し、フロントのフィーリングと立ち上がり加速を上げていきたいと思っている。いずれにしてもブルノからまた一歩、前進することができた。目標はオープンクラスのライバルたちにもっと近づくこと」