ロードレース世界選手権 MotoGP（モトGP）

RACE DATA

■大会名称：MotoGP第11戦チェコGP
■開催日：2015年8月14日（金）フリー走行総合結果
■開催地：チェコ共和国／ブルノ（5.403km）
■コースコンディション：ドライ
■気温：32度　■路面温度：46度

REPORT

初日、J・ロレンソが総合トップタイム

インディアナポリスでの大活躍から1週間、Movistar Yamaha MotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシはヨーロッパへ戻ってチェコGPのフリープラクティスを開始。

高速コースで知られるブルノ・サーキットでロレンソは、第1セッション序盤から優勝候補としての存在感をアピール。順調にラップタイムを更新しながら、最後の20分間ではYZR-M1の力を試すようにアタックを行い、1分56秒499を記録してトップに立った。

午後からの第2セッションでも好調は続き、開始後まもなく1分56秒589で2位へ浮上。しかしその後は、暑さのなかでタイヤの耐久性を高めるためのセッティングに専念し、2位を保ったままセッションを終了。第1セッションでの記録によりトップをキープした。

一方のロッシも好調なスタート。徐々にペースを上げてゆき、第1セッションではトップにコンマ5秒差まで迫る1分57秒038を記録して6位につけた。

第2セッションも好調で、1分57秒754で一時トップに浮上。しかしまもなく、第13コーナーでコース上のオイルに乗って転倒してしまう。幸い怪我はなく、すぐにピットに戻ってスペアマシンに乗り換えて復帰、1分57秒074まで更新して4番手でセッションを終了した。ロレンソ同様、第1セッションのタイムを更新することはできず総合順位は6位。

P・エスパルガロがサテライト勢トップ

Monster Yamaha Tech3のP・エスパルガロが、好調な走りを見せて総合7位を獲得。午前中に行われた第1セッションでは、コンディションの厳しいブルノ・サーキットに合わせてマシン・セッティングに取り組みながら、1分58秒195を記録して12位。第2セッションでも引き続きセッティングを重視しながら、徐々にペースを上げていくと最終ラップでは1分57秒078のベストラップを記録。4位のロッシに0.004秒差に迫り5位に浮上した。この好調をそのままに、明日の予選ではフロントロウ獲得を目指す。

エスパルガロのチームメイトのB・スミスも総合8位と健闘。第1セッションはマシン・セッティングに取り組みながら1分57秒137を記録して7番手。第2セッションも同様のアプローチで16ラップを走りきったが、コンディションの変化もあり1分57秒494に留まった。明日はさらにセッティングを進め、午後からの予選で好位置を狙う。

バズとコルティがブルノで戦線復帰

Forward Racingがサーキットに戻り、L・バズとC・コルティがフリープラクティスに出場。

バズは1分58秒678のベストタイムで総合22位。オープンクラスのトップにコンマ数秒差で迫っており、明日の予選でもクラス上位を目指す。

一方、S・ブラドルに代わって出場するコルティは第1セッションで2分00秒074。午後からの第2セッションは気温の上昇でコンディションが悪化したため、ラップタイムを更新することができなかった。

COMMENT

Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談（フリー走行総合1番手/1分56秒499）

「午前中のセッションは順調にスタート。しかし午後は、シーズンのなかでも最もタフなセッションのひとつになった。気温が上がってとても暑く、ストレートではエンジンから熱さが伝わってくるほど。そのため体力的にも非常に厳しいトレーニングのようになってしまったんだ。風もなかったので本当に大変だったんだけれど、そのなかでも何とか、ライバルたちよりは安定したペースを保つことができたようだ。終盤はタイヤをすべてテストし、セッティングもいくつか試した。これによって明日以降の作業の方向性が見えてきたことは良かったと思う」

V・ロッシ選手談（フリー走行総合6番手/1分57秒038）

「ペドロサのマシンに不具合があり、オイルが出て、僕はそれに乗って転倒してしまった。午後は暑さのためにグリップが低下してとても滑りやすくなっていたし、路面のでこぼこにも苦労させられて、誰にとっても厳しいコンディション。僕もコーナーの度に限界ぎりぎりの走り。それでも終盤になるといくらか状況が良くなったので、何とか第2セッション4位まで上げることができた。ホルヘのほうはいいペースで走っていたようなので、明日はこの遅れを取り戻さないとね」

M・メレガリ、チーム・ディレクター談

「順調なスタート。路面コンディションが非常に難しく、午後は気温が上がってさらに状況が悪化したが、そのなかでもホルヘはセッティングの方向性が良く、速さも安定性もあり、マシンのフィーリングも上々だった。一方、バレンティーノのほうはまだ課題が残っている。オイルに乗って転倒したのは運が悪く、予定していた作業を進められなかったことは残念。でも幸い怪我がなかったし、日曜日までにはもう少し時間があるので、必ず今日の遅れを取り戻す」

Monster Yamaha Tech3
P・エスパルガロ選手談（フリー走行総合7番手/1分57秒078）

「全体的には悪くなかったけれど、なかなか厳しい初日になった。午前中のセッションではいくつかの部分で課題が見つかって自信を失ってしまったんだ。でもそのあと何とかセッティングの方向性が見えてきて、午後のセッションではモディファイがうまくいって気持ちよく走れるようになった。午後は気温が上がってコンディションは悪化していたので、それを考慮すれば、かなり良くなったことがわかる。日曜の午後も同じようなコンディションになると思えば、また自信を取り戻すことができたよ。リアにソフト・コンパウンドのタイヤを試したら、とても好調。ラップタイムの上昇とともにリズムも良くなり、自分の思い通りにエンジョイして走ることができた。第1セッションは順位が上がらず苦しかったけれど、今は、明日の第3セッションが楽しみになった」

B・スミス選手談（フリー走行総合8番手/1分57秒137）

「順調なスタート。初日から良いところがたくさんあったよ。第1セッションでコースに入るとすぐに、マシンのフィーリングの良さが伝わったので、自信を持って走ることができた。でも第2セッションになるとコンディションが変わってしまい、気温と路面温度が上がって誰にとっても厳しい状況になったんだ。そんななかでも僕らは、明日以降に向けてできるだけ多くのデータを集めるために、前後タイヤにハード、ソフト両方のコンパウンドをテスト。転倒してしまったのは残念だったけれど、あの状況のなかではハードとソフトとでマシン・バランスの妥協点を見つけるのが難しく、多くのライダーが同様のミスをおかしていたようだ。日曜日も今日と同じようなコンディションになりそうなので、これから問題点を把握し、明日までに解決したい。その意味でも、転倒があったとはいえ、良い一日だったと思う。それに、ソフト・コンパウンドではタイムアタックを行わなかったにもかかわらず10位以内に入り、大きな手ごたえをつかむことができた。だから今日の結果に喜び、明日に備えるよ」

Forward Racing
L・バズ選手談（フリー走行総合22番手/1分58秒678）

「約1か月にわたってレースを離れていたので、勘を取り戻すのは簡単じゃないね。でもサーキットに戻ることができて本当にうれしいよ。今日はマシンのフィーリングがうまくつかめず苦労もあったけれど、作業全体については満足。明日以降、セッティングを向上させてペースを上げ、後れを取り戻していきたい」

C・コルティ選手談（フリー走行総合24番手/2分00秒074）

「ウイーク初日の今日は、マシンのフィーリングを取り戻すことに集中。第1セッションですぐに楽に走れるようになり、好印象を持って積極的に攻めていくことができた。午後のセッションではブレーキングと加速のフィーリング向上を目指してセッティングに取り掛かったが、気温が大幅に上がったためラップタイムを更新することはできなかった。決勝のことを考えれば、コーナー出口でのリアのフィーリングを向上させて、より一層、自信を高めたい。でも全体的には満足しているよ」