ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 4月12日 アメリカズ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第2戦アメリカズGP
■開催日:2015年4月10日(金)フリー走行総合結果
■開催地:テキサス州オースティン/サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(5.513km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:18度 ■路面温度:23度
REPORT
Movistar Yamaha MotoGP、第2戦は厳しいスタート
Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシとJ・ロレンソは、Circuit of The Americas(COTA)で行われた初日、2回のフリープラクティス・セッションで苦戦した。
午前中に行われた第1セッションでは、序盤でロッシとロレンソが互いに競り合うなど果敢な走りを見せ、ロッシは一時、3位まで浮上。ところがスタートから12分後に犬がコース内に侵入し、レッド・フラッグが振られて走行中断となってしまった。20分後に再開されると、ロッシはラップタイムを更新して2分20秒593を記録したものの4位へ後退して終了。午後からの第2セッションでは路面が少しずつ乾き始めたこともあり、最後の18分間で全力を尽くして2分05秒691へと更新したが、順位では6位に留まった。トップとの差は0.856秒。
一方、チームメイトのロレンソはリアのグリップ不足に悩まされ、第1セッションでは2分21秒486に留まり9位。路面が乾き始めた第2セッションでは2分06秒174まで更新したものの11位。6位のロッシとは0.5秒以下の差となっている。
エスパルガロとスミスが健闘
Monster Yamaha Tech 3のP・エスパルガロは、COTAでの初日、フリープラクティスで総合7位と健闘した。第1セッションは激しい雨に見舞われたほか、レッドフラッグによる中断もあり難しいコンディション。そのなかでエスパルガロは、しっかりと力を出し切って2分20秒983を記録した。午後になって天候が回復するとスリック・タイヤに交換し、21ラップの決勝に備えてマシンをセットアップしながら徐々にプッシュを開始。そして最終的には2分05秒840まで更新し、4位にコンマ3秒と迫る7位を獲得した。これで自信をつけたエスパルガロは、明日もさらなる前進を目指し公式予選に臨む。
サテライト勢トップを目標とするB・スミスは、第1セッション、ウエットコンディションのなかで6位と健闘したが、第2セッションでは2分06秒134を記録しながら、その翌周に転倒したため、それ以上のポジションアップはならなかった。その結果、最終的な順位は10位。エスパルガロとの差はコンマ3秒だった。明日は挽回を目指す。
ブラドルがオープンクラスでトップ
雨と犬のコース侵入によるレッドフラッグで、通常とは異なる展開となった第1セッション。Athinà Forward YamahaのS・ブラドルは第2セッションで2分05秒990の好タイムをマークしてオープンクラスのトップ、総合8位を獲得した。明日の予選にも自信を見せており、オープンクラスのポールポジション獲得を狙っている。
ブラドルのチームメイトのL・バズは2分09秒372で23位と苦しいスタート。明日は15位以内を目指す。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 2'04.835 |
2 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | 2'05.162 |
3 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | 2'05.190 |
4 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 2'05.564 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 2'05.646 |
6 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 2'05.691 |
7 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 2'05.840 |
8 | S・ブラドル | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | 2'05.990 |
9 | Y・ヘルナンデス | Pramac Racing | Ducati | 2'06.092 |
10 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 2'06.134 |
11 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 2'06.174 |
12 | S・レディング | EG 0.0 Marc VDS | Honda | 2'06.216 |
13 | D・ペトルッチ | Pramac Racing | Ducati | 2'06.294 |
14 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | 2'06.591 |
15 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 2'07.011 |
16 | 青山博一 | Repsol Honda Team | Honda | 2'07.268 |
17 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 2'07.419 |
18 | H・バルベラ | Avintia Racing | Ducati | 2'07.581 |
19 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | 2'07.916 |
20 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | 2'07.968 |
21 | K・アブラハム | AB Motoracing | Honda | 2'08.266 |
22 | N・ヘイデン | Aspar MotoGP Team | Honda | 2'08.762 |
23 | L・バズ | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | 2'09.372 |
24 | M・メランドリ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 2'11.258 |
25 | A・デ・アンジェリス | Octo IodaRacing Team | ART | 2'12.409 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(フリー走行総合6番手/2分05秒691)
「去年は同じようなコンディションで、まったくフィーリングがつかめず苦労させられた。だから今回のようにウエットでのテストをしておくことがとても重要なんだ。今日はセッティングを大幅に変更して、ウエットで4位まで上がれたので悪くないと思っている。でももちろん、ドライのほうがもっと感触は良かったけれどね。6位に留まったのは前にたくさんのライダーが走っていたせいもあるんだ。本当はもう少し頑張れるはず。課題はまだいろいろあるけれど、マシンの最初のフィーリングはそれほど悪くないよ」
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合11番手/2分06秒174)
「僕にとっては非常に厳しい状況。と言うのも、朝から体調が悪く、マシンも僕自身も良いフィーリングを得られなかったんだ。どうやら風邪をひいたらしく、気分がすぐれなかったので抗生物質を服用。それもあって、いつもの走りができなかったのだと思う。医者の診断によると気管支炎を起こしており、走行によってさらに大きなダメージを受けてしまうとのこと。マシンについてもたくさんの課題が残っているが、まずは自分の身体を治さないといけないんだ。治療を受けて、明日までに良くなればうれしい。今日はペースをあげることができず、まったく戦えなかったことがとても悔しいよ」
M・メレガリ、チームディレクター談
「オースティンでは珍しい天気。今朝は雨と風でとても寒かったが、午後になると少しずつ良くなってきた。明日以降もどんなコンディションになるかわからないので、いろいろな可能性に備えなければならない。どんなことも起こり得る。だから準備しておかなければだめなのだ。このような天候不順の可能性を念頭におけば、今日こうしてウエットとドライを経験してデータを収集することができたことはとても良かったと思う。ドライは20分ほどしかなかったが、それでも重要な時間だったのだ。どちらのコンディションにおいても、まだ改善の余地が残っているので、あらゆる状況に備えるためにはふたつの方向で作業を進めていかなければならない。必ずできると信じている」
Monster Yamaha Tech 3
P・エスパルガロ選手談(フリー走行総合7番手/2分05秒840)
「総合的に見て非常に順調なスタートと言っていいと思う。このような難しいコンディションのなかで、ここまでできたのはとても良かった。午前中は、僕らにとってはおそらく、MotoGPで初めてのフルウエットコンディション。そのなかでマシンのフィーリングが上々だったのだからうれしいよ! 唯一、足りなかったのがセッション終盤のタイムアタックなんだけれど、気持ち良く乗れていたしラップタイムもそれほど悪くはないと思うよ。また、午後のドライコンディションでは今までのベースセッティングを使い、セッション終了まで一度もピットに戻らず走り続けた。そういうわけで今日は何も変更しなかったけれども、これからデータを分析して明日以降の課題に取り組みたい。できれば明日は好天に恵まれて、僕自身も良い走りをお見せできるよう頑張りたい。総合すればとても順調な初日。明日が楽しみだ」
B・スミス選手談(フリー走行総合10番手/2分06秒134)
「第2セッションの最後に転倒してしまったことは、もちろん残念だよ。でもこれが2015年最初の転倒で、そういうことがいずれ起きるということも予期しておかなければならなかったんだ。あのとき僕は、ウエットとドライが混ざった難しいコンディションに対応するためのセッティングで走っていて、第1コーナーに差し掛かったところで運悪く限界を超えて転倒してしまったというわけ。でもそれを除けば、初日から、ウエット、ドライともに良いペースで走れたし、フィーリングも良かったのだから順調なスタートと言っていいと思う。また、ベースセッティングがここでもまた、そのまますぐに使えたことも大いに評価できる。これは僕らのチームのオフシーズン中の努力を証明するものだ。でも明日はやっぱり、好天を期待したい。今日のようなコンディションは誰にとっても厳しいものだからね。今日の時点で10位以内に入れたこと、そしてファクトリー勢に少しずつ近づいていることはとても重要。だから総合的に見れば、決して悪くない一日」
Athinà Forward Yamaha
S・ブラドル選手談(フリー走行総合8番手/2分05秒990)
「今日の結果には大満足。チームとともに良い仕事ができて、トップ10に入り、オープンクラスのトップを獲得することができた。午前中は雨で苦労したが、午後になってコースが乾いてくるとマシンへの信頼感が戻ってきて好調に走れるようになったんだ。天気予報によれば明日も雨が降るみたいだけれど、どんなコンディションになっても自信を持って走ることができると思う。準備はできている」
L・バズ選手談(フリー走行総合23番手/2分09秒372)
「初めてのウエットコンディションは楽ではなかったよ。幸い、午後は天気が味方してくれたので、ドライでも走ることができて良かった。気分は上々、コースも気に入っている。唯一の課題はリアまわりのフィーリングを改善すること」