ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.01 3月29日 カタール
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第1戦カタールGP
■開催日:2015年3月27日(金)フリー走行総合結果
■開催地:カタール/ロサイル・サーキット(5.380km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度 ■路面温度:33度
REPORT
Movistar Yamaha MotoGP、カタールのフリープラクティスで苦戦
Movistar Yamaha MotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシは、開幕戦カタールGPのフリープラクティス2日目でそれぞれ8位と9位。
ふたりは午前中のセッションから積極果敢な攻め。セッション・スタートを待ちきれないようにピットレーンにマシンを並べ、シグナル・グリーンとともに飛び出していく。ところが、その後まもなくセッティングの不調が明らかになり、とくにタイヤは大きな課題になりそうだった。ロレンソはセッション序盤でコンスタントにハイペースをキープ。1分55秒609のベストラップを記録するなどセッションのほとんどで4位につける健闘を見せていたが、終盤のアタックのなかでふたつ順位を下げて6位。午後のセッションでは1分55秒108まで短縮してトップにコンマ3秒差につけたものの、順位は8位に後退した。
一方のロッシは、午前中のセッションで2種類のタイヤをテストしたため、ペースを上げるのにいつも以上に時間を要した。周回を重ねるうちに少しずつ調子を上げていき、1分55秒618を記録するとロレンソの後ろの7位につけた。午後になるとさらにペースを上げて1分55秒192へ更新。しかし順位を上げることはできず、9位でこの日の走行を終了した。
Tech 3は順調に前進
Monster Yamaha Tech 3のP・エスパルガロは、フリープラクティス2 日目に10位を獲得。午前中のセッションでは14位だったが、午後にはYZR-M1のセッティングを調整して臨み、ラップタイムでは前日の記録を1秒も短縮する1分55秒328。トップから0.506秒差につけ、クオリファイ2へ進出した。明日の公式予選ではトップタイ ムを目指す。
一方、エスパルガロのチームメイトのB・スミスは16位。今大会で自己通算150回目のグランプリ出場を迎えるスミス。午前中のセッションでは1分55秒741を記録して9位獲得と健闘したが、午後のセッションでタイムを更新することができず、16位まで順位を下げた。明日はクオリファイ1に出場し、さらに決勝グリッドの好位置を目指す。
ブラドルがオープンクラスのトップにあと0.3秒
Athinà Forward YamahaのS・ブラドルが、1分55秒694を記録して総合14位。オープンクラスのライバル、H・バルベラにコンマ3秒まで接近した。シーズン最初の予選に自信を見せており、明日はオープンクラストップ獲得を目指す。 一方、ブラドルのチームメイトのL・バズは、コーナー進入で転倒。幸い大きな怪我はなかったが、左小指の爪を剥離していたため、クリニカ・モバイルへ、さらにサーキットのメディカル・センターへと運ばれて手指の骨折やひびを確認するためレントゲン検査を受けた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1’54.822 |
2 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | 1'54.918 |
3 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | 1'54.992 |
4 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'54.994 |
5 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'55.024 |
6 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'55.044 |
7 | Y・ヘルナンデス | Pramac Racing | Ducati | 1'55.102 |
8 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'55.108 |
9 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'55.192 |
10 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'55.328 |
11 | H・バルベラ | Avintia Racing | Ducati | 1'55.396 |
12 | S・レディング | EG 0.0 Marc VDS | Honda | 1'55.447 |
13 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | 1'55.676 |
14 | S・ブラドル | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | 1'55.694 |
15 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | 1'55.707 |
16 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'55.741 |
17 | D・ペトルッチ | Pramac Racing | Ducati | 1'55.777 |
18 | N・ヘイデン | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'55.789 |
19 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | 1'55.913 |
20 | K・アブラハム | AB Motoracing | Honda | 1'56.080 |
21 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | 1'56.162 |
22 | A・デ・アンジェリス | Octo IodaRacing Team | ART | 1'56.768 |
23 | L・バズ | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | 1'56.966 |
24 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'57.107 |
25 | M・メランドリ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | 1'58.542 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(フリー走行総合8番手/1分55秒108)
「厳しい状況だったが、ソフトコンパウンドのタイヤを装着していたときにはマシンのフィーリングがとても良かったんだ。硬めのタイヤでもとても安定していて、1分56秒1あたりなら100ラップでも走れそうだが、このペースでは遅すぎるので、今日の段階ではソフトを選ぶしかない。午後のセッションのなかでは、電子制御システムにも少し違和感があった。何が起きているのかこれから調査、分析し、明日は1分54秒台までペースを上げていけるように頑張りたい。多くのライダーが超ソフトなタイヤをキープしていて、それによってコンマ4秒くらいは上がるので、フロントロウを目指すのは厳しい戦いになるだろう。しかも彼らは去年よりもかなり強くなっているので、2列目も難しいかもしれない。でも僕らもコンマ5秒を短縮するべく何らかの方法を探す。そしてポールポジションを目指して戦っていくよ」
V・ロッシ選手談(フリー走行総合9番手/1分55秒192)
「今日の自分に課していた最低限の目標が10位以内だったから、それをクリアしたことになるね。午後のセッションではコンマ3秒のなかに10台が入るという信じられないような大接戦。最終順位には満足していないけれど、ラップタイムではポールポジションからもそれほど大きく離されたわけではないんだ。明日、ポール獲得を目指すのはかなり厳しいだろうが、少しでも前のポジションを確保したい。マシン自体はセッティングも向上してきて好調。上位陣と比べても決して悪くないので、あとはタイヤ、とくにリアのほうのフィーリング向上を目指して作業を続けていく。やわらかめのコンパウンドを選ぶつもりだけれど、ハードもまた試したい。タイヤチョイスについて、明日は非常に重要な一日になる。今のところはフィフティ・フィフティ」
M・メレガリ、チームディレクター談
「ポジションは期待していたものとは違っているが、今日もまた前進することができたし、いくつかの 改良点があった。マシンは少しずつ良くなってきており、同時にコースのグリップも上がっている。ふたりのライダーはセッションのほとんどでハードコンパウンドのタイヤを装着し、決勝でのオプションになるかどうかテストしていた。ペースは非常に安定していたが、決して速くはなかったと思う。そのあとソフトコンパウンドに換えると、その効果は明らかだった。課題はまだ残っているが、明日もまた前へと進めると確信している。短い時間のなかで多くの作業を行ってきた。チームとして本当によく頑張っていると思う」
Monster Yamaha Tech 3
P・エスパルガロ選手談(フリー走行総合10番手/1分55秒328)
「10位という順位には何の感動もなく、決して喜べるものではない。しかしながら、ただ一点だけ、ファクトリー勢のすぐ後ろにつけられたことには満足してもいいのかもしれない。しかも彼らとの差はそれほど大きくないし、これからまだまだ改良の余地が残っているんだ。今日はリア・グリップに問題があって苦労したが、明日までには解決できると確信している。見方を変えれば僕らにとってプラクティス・セッションの10位はふつうのことと言えるし、チームメイトのほうはいつもならここでとても速いのに、僕よりも後ろにいるという状況だ。タイヤの配分で不利になっているとは思わないが、現状はこのようなので、何とか対処していくしかないだろう。幸いQP2に進むことができたが、公式予選でグリッドの好位置を確保するのは簡単ではなさそうだ!」
B・スミス選手談(フリー走行総合16番手/1分55秒741)
「当然ながら、今日の最終結果は僕らが望んでいたようなものではない。正直に言って、セッション前半は非常に好調。中古タイヤもしっかり走ってくれていたし、2回目の走行でハードコンパウンドを試したときにも上位のほうに入っていた。ところが、セッション終盤になって新品のミディアム・タイヤに換えると、それがうまくいかなくてラップタイムを更新することができなくなってしまったんだ。それでもマシンのほうはフィーリングが良いのだから悲観的になるつもりはない。いくつかのモディファイによって、明日は必ず前進できると信じているよ。QP1はソフトコンパウンドのタイヤを使うライダーたちがいるので厳しい展開になるだろうが、僕らにも必ずチャンスがある。ここまでずっと順調だったのに、最後のタイムアタックで運がなかっただけなんだ。このようなことが起こるのがレース。これが明日やあさってでなく、今日だったことはむしろラッキーだよ。常に前向きに、細かいところをもう少しずつ改良して予選での好タイムにつなげたい」
Athinà Forward Yamaha
S・ブラドル選手談(フリー走行総合14番手/1分56秒181)
「オープンクラスのトップまであと少し。バルベラはわずかコンマ3秒速いだけだ。しかもファクトリー勢と比べても1秒と離されていない。そういうわけで全体的なフィーリングはとても良いが、あとはコーナリングでもっと自信を持つためにリア・グリップを向上させていきたい。明日は決勝を想定して作業を続ける。もっとたくさん走りたいんだ」
L・バズ選手談(フリー走行総合23番手/1分56秒1966)
「今日の課題は明日の予選に備えることだったが、転倒して走行を続けることができなくなってしまった。左小指の爪がはがれた以外は、幸いひびなどもなく、クリニカ・モバイルの先生のおかげで明日はまたコースに戻ることができそうだ。予選で良い走りを見せたい」