スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.05 5月12-13日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第5戦イタリア大会
■開催地:イタリア/イモラ(1周4,936km)
■周回数:レース1 19周(93.784km)、レース2 19周(93.784km)
レース1
■開催日:2018年5月12日(土)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度
■路面温度:40度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分46秒686)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分46秒850)
レース2
■開催日:2018年5月13日(日)
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度
■路面温度:43度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分46秒686)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分46秒898)
REPORT
レース1:ファン・デル・マークが6位獲得
イタリアはイモラ・サーキットで行われた第5戦の第1レースでPata Yamaha Official WorldSBK Teamが奮闘。M・ファン・デル・マークはSP2で厳しい状況に置かれてグリッド12位に留まっていたが、決勝では激しいチャージを見せて6位まで挽回した。チームメイトのA・ローズは予選10番手から全力で臨んだが、マシンのフィーリングが万全ではなく10位でチェッカーとなった。
イモラ・サーキットは青空と輝く太陽に恵まれ、路面温度は40度を超えていた。Pata Yamaha Teamにとっては決して相性の良いコースではなかったが、ファン・デル・マークはこの日、そのイメージを覆す大健闘を見せた。アッセンではダブル表彰台を獲得し、今回も金曜日のフリープラクティスでは1分47秒461で総合5位と好調、またフリープラクティス第4セッションでは決勝ペースでR1の安定性向上を図ったファン・デル・マーク。しかしSP2では十分にペースを上げることができず、ラップタイムも1分47秒710に留まり12番手となっていた。
決勝では絶好のスタートを切ることができず14番手で第1コーナーへ。しかし慌てることなく冷静に対処し、1ラップ目終了時点で9番手まで挽回し、4ラップ目には7番手に浮上した。周回を重ねるごとにペースを上げて6ラップ目で1分47秒台を記録すると、前を行くM・ルーベン・リナルディとの差を詰めてゆく。12ラップ目にはファステストラップを記録し、ついにはリナルディに追いついてとらえ、前に出るや一気にアドバンテージを広げていった。このあとも最後までハイペースをキープしてチェッカー。イモラ・サーキットでの自己最高成績となる6位を獲得した。この結果、シリーズポイントでは合計113ポイントのランキング5位となり、4位のT・サイクスに8ポイント差と迫っている。日曜日に行われる第2レースはフロントローのグリッド3位からスタートする。
一方のローズはフリープラクティス第4セッションで9位。SP1では1分47秒097を記録してトップに立ち、ファン・デル・マークとともにSP2に臨んだ。しかし予選用タイヤを履くとベストなフィーリングが得られず、ラップタイムも1分47秒115に留まり10番グリッドからのスタートとなった。
4列目の先頭から飛び出すと第1コーナーで9番手。その後はL・ハスラム、E・ラバティ、L・サバドーリ、T・ラツガトリオグルと最後までバトルを展開したが、加速で苦戦してなかなか抜け出すことができず10位でチェッカー。9位のハスラムとの差はわずか0.108秒だった。シリーズポイントでは6ポイントを加算して合計82ポイントのランキング7位となっている。第2レースはグリッド12位から挽回を目指す。
土曜日のウォームアップ・セッションは現地時間9:35分スタート。決勝は13:30から19ラップで行われる。
レース2:ローズが奮闘の末に6位獲得
Pata Yamaha Offcial WorldSBK TeamのA・ローズが第2レースで見事なチャージ。12番グリッドからスタートするや、すぐさま上位陣と同等のペースで追い上げを開始した。このなかで勢い余ってコースアウトする場面もあったが、復帰すると再び同じリズムで果敢に攻め、第1レースのM・ファン・デル・マークが獲得した6位でチェッカーを受けた。チームメイトのファン・デル・マークはフロントローからスタート後、表彰台争いを展開していたが、9ラップ目、小さなミスにより転倒。今季初めてのDNFを経験した。
雲ひとつない青空の下、イモラ・サーキットの路面温度は48度にまで上昇。第1レースで10位となり、第2レースは12番グリッド、4列目からのスタートとなったローズが、シグナルグリーンとともに飛び出してペースを上げた。2ラップ目には早くも8番手へ浮上し、3ラップ目の終わりにはT・サイクスのテールに迫ったが、シケイン進入でブレーキポイントをミスしてオーバーラン。コースに復帰したときには13番手まで後退していた。
ローズはあきらめずに再びチャージを開始する。そして9ラップ目には7番手まで挽回し、さらに6位を視野に入れながら、後方に迫るL・ハスラムを抑え込む。激しいバトルのなかで懸命に奮闘したローズは、最後までハイペースを崩さず6位へ上げてチェッカー。これで10ポイントを獲得し、第1レースの6ポイントと合わせてこの時点で合計92ポイントとなりランキング7位。次回、第6戦はホームラウンドとなるドニントンパークで開催される。
一方のファン・デル・マークは、第1レースでの6位獲得を受けて第2レースはフロントローからスタート。力強い発進を見せたが、フロントエンドのグリップ不足があり、タイトシケイン進入のブレーキングに苦戦することとなった。この問題を抱えながらも序盤は上位グループに食らいついて7ラップ目にはファステスト・ラップを記録。この時点で5位につけ、前を行くM・メランドリに次の照準を合わせていた。
そしてメランドリを追撃しながら迎えた9ラップ目の第18コーナー、懸命に転倒を避けようとするも、進入でマシンを制動しきれずメランドリと接触。これでふたりとも転倒しリタイアとなった。ファン・デル・マークはグラベル上でメランドリのところまで走り謝罪。さらにそのピットを訪ね、自らのミスを認めてチームにも謝罪した。表彰台争いのチャンスを逃したことは非常に残念だが、その一方で、マシンの進化に満足しているファン・デル・マークは、次回、ドニントンパークでの挽回を目指す。チャンピオンシップでは合計113ポイントでランキング6位に後退。5位のX・フォレスを11ポイント差で追っている。
Pata Yamaha Offcial WorldSBK Teamのホームラウンドとなる第6戦イギリス大会は、5月25日~27日、ドニントンパークで開催される。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
レース1
M・ファン・デル・マーク選手談(6位)
「SP2で苦戦してしまい、原因もわからず困惑しました。グリッド12位は、とくにここイモラでは厳しいポジションでした。決勝のスタートもあまりうまくいきませんでしたが、冷静に対処して少しずつペースを上げ、1台ずつ抜いていくと最後にはほとんど単独の走行になっていました。気づくとかなり順位が上がっていたのです。マシンの状態についてはまだまだ改善すべきところがたくさんあり、とくに加速は大きな課題ですが、それでもこのような難しいサーキットで12位から6位まで挽回できたのはハッピーです。明日はグリッド3位からのスタートです。今日以上にペースを上げ、5位以内を狙いたいと思っています」
A・ローズ選手談(10位)
「正直なところ、今日は非常に残念な結果になりました。そして本当に苦しい19ラップでした。タイヤの耐久性について考慮しなければなりませんが、パワーデリバリーの設定がうまくいかずコーナー出口が非常に厳しい状況になっていたのです。そのせいで今日は1ラップ目から最終ラップまでずっと、十分に戦うことができませんでした。とても残念ですが、明日までに問題を解決し、私自身もしっかり睡眠をとってベストの状態で臨みたいと思います」
P・デニング、チーム代表談
「昨日もお話ししたように、非常に厳しいレースになることをはじめから予想していました。ここのようにテクニカルな難しいコースでは、私たちのマシンの弱点が出てしまうのです。しかしそのなかで、マイケルは今季ベストとも言っていいほどの良い走りを見せ、安定性をキープしながらイモラにおける自己ベストの成績を獲得しました。しかもこの6位獲得によって、明日はフロントロー・スタートという絶好のチャンスが巡ってきたのです。これはマイケルとそのクルーたちによる大きな成果です。一方、アレックスはマイケル以上に苦労しました。チームとしてはR1のセッティングによってタイヤの耐久性をサポートしたいと考えていましたが、結果的には加速で十分に力を出し切れず10位に留まることになってしまいました。第1レースを終えてデータを収集することができたので、それを明日に生かしていきたいと思っています」
レース2
A・ローズ選手談(6位)
「グリッドポジションと3ラップ目のミスを考えれば、6位という結果にも自分のペースにも満足することができます。昨日は明らかに非常に難しい展開で、それまでのフリープラクティス・セッションと同様のペースで走ることができず悔しい思いをしましたが、今日はとても良かったと思います。序盤から手ごたえをつかみ、今日は行ける、と感じていました。初めはマイケルより数台、後ろにいましたが、すぐに差を詰めることができました。ところがシケインで深く突っ込み過ぎてしまったのです。このようなことがあったあとで、しかもグリッド12位から6位まで、パッシングが難しいこのコースで挽回できたのですからとてもハッピーです。チームのみんなが良い仕事をしてくれました。私自身はまだ100%ではなく、コーナー出口では苦労するところもありますが、両レースでベストを尽くすことができたと思います。ヤマハのエンジニアとともにマシンおよび電子制御システムに懸命に取り組んだアンドリューとクリストフ、私を支えてくれたチームのみんなに感謝します」
M・ファン・デル・マーク選手談(DNF)
「スタートはとても良かったのですが、そのあと少し手間取って、そこからまたペースが上がっていきました。ジョニー(リー)とチャズ(デイビス)が引っ張り、マルコ(メランドリ)が私を抜いていったあとで、彼とともにフォレスを追って行きました。このなかで全体にペースが上がっていったのですが、私は正直に言うと、フロントグリップが昨日ほど良くなかったためブレーキングで苦労していました。そして何度か兆候があったあと、とうとうコーナーではらんでしまったのです。第18コーナーへの下りでマルコの後ろについていましたが、マシンを止めきれなかったため、接触を避けようとインに飛び込んだのですが、残念ながらそれはうまくいきませんでした。マルコのホームレースでこのようなことになり、彼のチームには申し訳なく思っています。私たちはふたりとも好調で、表彰台を目指して戦っていました。本当にごめんなさい。次のドニントンパークでは、ともに好成績を目指したいと思います」
P・デニング、チーム代表談
「ふたりは非常にエキサイティングなレースを見せてくれました。しかしマイケルのほうは残念ながら、表彰台争いのなかでミスをしてマルコと接触。これによって、この難しいサーキットでここまで頑張ってきた努力に自ら終止符を打つこととなってしまいました。マルコに怪我がないことを願うとともに、彼をリタイアさせてしまったことを謝罪します。また、マイケルのほうも、顔を上げてイモラを発ってほしいと思います。彼はこのウイークのなかで良い仕事をし、マシンはここ数年のなかでも大きく進化しました。結果として転倒に終わりましたが、表彰台争いを見せてくれたことがその証拠です。 アレックスのほうは、自分でも認めているとおり、昨日は非常に苦戦しました。今日はセッティング変更を行って臨み、それが功を奏して、我々の想像以上に速いペースでスタートすることができました。そしてパスし、バトルして上位グループまでたどり着いたのですが、シケイン進入でサイクスの後ろについてしまいブレーキング・ポイントをミスしたのです。これで表彰台のチャンスを逃し、サイクスが最終的にそれを手にしています。アレックスはこのあと力強い走りと見事なリカバリーを見せてくれました。レース1はここイモラではベストの状態ではありませんでしたが、確かな進化が見えています。次のドニントンパーク、その次のブルノは、ここよりもオープンなタイプのコースレイアウトなので、ヤマハの持ち前の性能に合っていると思います」