スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.04 4月21-22日 オランダ
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第4戦オランダ大会
■開催地:オランダ/アッセン(1周4.542km)
■周回数:レース1:21周(95.382km)/レース2:21周(95.382km)
レース1
■開催日:2018年4月21日(土)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度
■路面温度:30度
■PP:A・ローズ(Yamaha/1分34秒066)
■FL:M・ファン・デル・マーク(Yamaha/1分35秒248)
レース2
■開催日:2018年4月22日(日)
■コースコンディション:ドライ
■気温:23度
■路面温度:30度
■PP:A・ローズ(Yamaha/1分34秒066)
■FL:T・サイクス(Kawasaki/1分35秒218)
REPORT
レース1
ファン・デル・マークが第1レースで優勝争いを展開
Pata Yamaha Official WorldSBK TeamのM・ファン・デル・マークが、2018 Motul FIM Superbike World Championship第4戦オランダ大会の第1レースで、地元オランダのファンを熱狂させた。母国開催のこのラウンドで、ファン・デル・マークは、トリッキーな展開となったSP2から挽回。晴天に恵まれ気温も上昇したアッセンのグリッド7位からスタートし、センセーショナルなライディングで追い上げ、シーズン2度目となるポディウムフィニッシュを果たした。
A・ローズにとっては悲喜こもごもの一日となった。ローズは、SP2で素晴らしい走りを見せてWorldSBKでは自身初となるポールポジションを獲得した。第1レースで見事なスタートを決めるが、何かがおかしいことに気付く。ローズ自身には何ら誤りはなかったが、残念なことに彼のR1にはグリッド上で間違ったフロントタイヤが装着されていた。これにより5ラップ後にはグリップがなくなってしまう。それにもかかわらず、R1を駆って奮闘するローズは、12位でフィニッシュした。
オランダ人ファンを前にアッセンでレースをすることをこよなく愛しているファン・デル・マークは、金曜日のプラックティスを総合3位で終えた。その後、SP2に臨んだファン・デル・マークはポールポジション争いを展開するが、予選タイヤのミスで想定していたタイムを記録することができなかった。グリッド7位からいつも通りの見事なスタートを決めて第1コーナーまでに4位に浮上する。落ち着いて集中したライディングを見せるファン・デル・マークは2ラップ目にはレース中の最速ラップタイムを記録。そして3ラップ目にはチームメイトをパスして2位に上がると、J・レイ、C・デイビスと長いバトルを展開する。
ファン・デル・マークがレイをかわしてリードを奪い、後続を引き離しにかかるとグランドスタンドは興奮に包まれた。だがファン・デル・マークはレイを振り切ることができず、9ラップを終えるまでにC・デイビスが両選手に追いつき、3選手による優勝争いが展開されることになった。ファン・デル・マークは勝利を目指してライディングを続けるが、レイとデイビスも負けてはおらず、互角の走りを見せ、レース終盤はスリリングな様相を呈して来る。17ラップ目、ファン・デル・マークはデイビスを抜き去って2位に上がると、レイからトップを奪おうとするが、わずか0.981秒差の2位でフィニッシュラインを通過し、シーズン2度目となる表彰台に立ち、選手権ポイント20を獲得した。この結果、ファン・デル・マールは87ポイントで4位に浮上。3位のマルコ・メランドリとはわずか19ポイント差である。勝利を狙えるペースがあることがわかったファン・デル・マーク。日曜日の第2レースではグリッド8位からヤマハでの初勝利を目指す。
ローズは金曜日のプラクティスを5位で終えると、土曜日朝FP4セッションでは自身のR1に良い感触を得て、自信たっぷりにSP2へと臨んだ。15分のクオリファイングセッションでは最初の走行で1分35秒163を記録して3位につけていたが、ベストタイムはその後に出た。ローズは最後の走行で、素晴らしいスピードと覚悟を見せ、1分34秒066を叩き出し、WorldSBKでは自身初となるポールポジションを獲得した。残念ながら、これがローズの土曜日のハイライトとなった。第1レースについて、自身のナンバーワンバイクに安全上の問題が発生している可能性があることから、セカンドバイクにスイッチすることが公式に許可されたのだ。
どちらのマシンも同じように準備されていたため、このことは問題ではなかったが、残念なことに、何とグリッド上でミスがあり、ローズのR1には誤ったコンパウンドのフロントタイヤが装着されてしまった。シグナルがブラックアウトすると、ローズは先頭グループで優勝を狙うペースでバトルを展開するが、5周が過ぎると、ローズはフロントタイヤの激しいグリップ低下に苦しむことになった。タイヤのソフトなコンパウンドによるものだった。レースが進行するにつれて、グリップレベルは次第に悪化し、2013年英国スーパーバイクチャンピオンに輝いたローズの果敢なライディングでこのトラブルをしのぎきり、12位でフィニッシュした。トップグループで争うペースを備えていることがわかったローズは、日曜日の第2レースではグリッド12位から表彰台を狙う。第1レースで4ポイントを獲得したローズは、74ポイントで選手権ランキング7位となり、6位のT・サイクスを2ポイント差で追う。
Pata Yamaha Official WorldSBK Teamは、日曜日に再び表彰台を目指すべく準備を整え、CEST午前9時35分開始のウォームアップ、そして午後1時にスタートが予定されている21ラップレースに臨む。
レース2
レース2でファン・デル・マークが再び表彰台獲得
土曜日に行われた第1レースを2位で終えた後、ファン・デル・マークは第2レースでも3位でフィニッシュ。再び表彰台に立つとともに、WorldSBKでは自己ベストとなる結果を残した。これと対照的に、この週末を通して素晴らしい速さを見せつけたチームメイトのA・ローズは、第2レースで、フロントエンドのグリップに苦しむという残念な展開となった。トレードマークであるファイティングスピリットを見せつけるローズは激しいバトルを展開するが、13ラップ目でクラッシュ。それでも再びバイクに跨ると、ローズはレースに復帰してレース終盤を激走。14位でフィニッシュした。
地元のヒーロー、ファン・デル・マールは土曜日の第1レースをグリッド7位からスタートし、優勝したJ・レイと素晴らしいバトルを見せ、わずか0.981秒差の2位でフィニッシュラインを通過するというセンセーショナルなポディウムフィニッシュを飾り、さらにこのレースの最速ラップタイムも記録した。これは2016年にWorldSBKに復帰して以来、Pata Yamahaチームにとって勝利に最も近づいた瞬間だった。第2レースのスターティンググリッド8位につけたファン・デル・マークだったが、ここから猛烈なスタートを見せると、オープニングラップを終えるまでに3位まで順位を上げ、J・レイと再び素晴らしいバトルを展開。バトルはレース終盤まで続いた。
ファン・デル・マークは第1レースと同じようにレイと戦うために、ゴールに向けてタイヤをセーブしながらライディングしていたが、レース終盤になってR1にマイナートラブルが発生してしまう。結局、ファン・デル・マークは3位でチェッカーフラッグを受けた。WorldSBK大会のポイント獲得数では自己ベストリザルトとなった。また、Pata Yamahaチーム、そして新YZF-R1にとってもレースウイークでのダブルポディウム獲得は初めてのこととなった。103ポイントで選手権ランキング4位となり、3位のマルコ・メランドリとはわずか12ポイント差となった。
チームメイトのローズにとっては厳しいレースウイークエンドとなった。日曜日の第2レースではグリッド10位から素晴らしいスタートを決めると、2ラップを終了するまでに5位まで順位を上げた。表彰台を目指して戦うことを誓っているローズだったが、レースが進むにつれてフロントのグリップが悪化。その強さのすべてを発揮して、なんとかトップ6圏内にとどまっていたが、13ラップ目の最後コーナーでクラッシュ。ローズはすぐにバイクに飛び乗り、レースに復帰したが、トップとは50秒差の最後尾まで後退してしまった。そこから果敢な追い上げを見せたローズは、前を行くライダーとの差8秒を削り取り、14位でフィニッシュラインを通過。2ポイントを獲得し現在、総合ランキング7位。次戦イモラでは再び上位グループでの争いに戻ることを胸に秘め、ブルノでのテストに向かう。
2週連続開催となったレースを終えて、Pata Yamaha Official WorldSBK Teamは現在、今週末にブルノで行われるプライベートテストに向っている。その後チームは5月11~13日にイモラで開催されるWorldSBK選手権第5戦に参加する。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
レース1
M・ファン・デル・マーク選手談(2位)
「結果には本当に満足しています。SP2では予選タイヤで大きなミスを冒してしまいました。7位からスタートしなければならなかったのですが、スタートが良かったし、ターン1に特別なラインで入って、いくつか順位を上げました。序盤の数ラップは落ち着いてライディングし、何人か抜きました。自分がトップグループで戦うペースはあるので、落ち着かなければいけないとわかっていました。 着実に自分のやり方でどうにか前に行きました。ジョニーについて走っていたのですが、彼が100%プッシュしていないと思ったので、彼について行こうとしたのです。それから彼を追い抜くことができて、後続グループを引き離すことができるかどうか確かめようとプッシュしましたが、その後、彼に抜き返されました。それで彼について行くことにしました。最後の数ラップで良いバトルができることがわかっていたからです。その後、チャズがバトルに加わりました。ちょっと心配していましたが、チャズがどれほど激しくジョニーをプッシュしているかを見て、彼らにうまくついて行くことができました。すごくうれしかった。それから、最後の数ラップで、皆がちょっと苦労しているのがわかりました。チャズをパスして、それからジョニーを捉えようとしましたが、彼は少しペースを上げてレースに勝ちました。いずれにしても、これは勝利に近かいところまで行ったので、2位に本当に満足しています。明日に向けて、R1の小さな部分を改善しなければなりませんが、再び上位グループで戦えると思います」
A・ローズ選手談(12位)
「WorldSBKで初ポールを獲得して、素晴らしいスタートでした。もちろんレースで勝ちたかったです。トラブルがあったので、レース前にセカンドバイクにスイッチしました。で残念ながらミスを冒してしまい、レースで乗るバイクに、グリッドで誤ったタイヤを装着してしまいました。どうしてそんなことが起ったのかわかりませんが、自分がコントロールできませんでした。本当にうまくライディングできていたので、厳しい一日だったし、上位で争っていたときには自分のスピードを見せたと思います。FP4で本当に良い一歩を踏み出して、それがわかったので、予想以上にペースが上がりました。いい感じでした。勝つのも負けるのもひとつのチーム。皆を完全に信頼していますし、ここでのR1のフィーリングの素晴らしいので、明日はがんばります!」
P・デニング、チーム代表談
「マイケルと彼のクルーは良くやった。素晴らしいレースでした! 予選はマイケルにとって残念なものでしたけど、スタートからのレスポンスや序盤は素晴らしかったし、選手権の主役たちとレース全体で優勝争いをしたのはすごく印象的でした。R1はすごくうまく機能しましたし、特に流れるような高速コーナーではマイケルとR1のパッケージがとてもうまくいきました。このコースでは重要な点がいくつかあり、それを少し改善する必要がありますが、それができたら、マイケルは明日の第2レースで再び非常に高いところを狙うことができます。Pata Yamahaに素晴らしい結果を、我々が目標としている勝利に今までで一番近いところまで行った彼と彼の勤勉なクルーとエンジニアに感謝します! アレックスはすごい走りを見せて、彼と新R1にとって初のWorldSBKでのポールポジションを達成しましたが、残念なことにこれが今日のハイポイントで、その後は状況が少し複雑になってしまいました。レース前にピットレーンがオープンになる少し前に、チームは安全上の問題が発生している可能性がある不具合の疑いを見つけました。それでFIMの許可を得てバックアップマシンに変更することを余儀なくされました。このバイクは完璧に準備されていましたが、そのような遅い段階のマシン変更によるストレスにもかかわらず、アレックスはパフォーマンスに妥協することはありませんでした。ところが、チームのミスによって、間違ったコンパウンドのフロントタイヤが装着され、わずか5周後にアレックスは問題に気づくことになりました。レースが進むにつれて、タイヤの状態はますます悪化し、R1はほとんどライドできない状態になりました。バイクを最後までもたせてポイントを獲得したこと、そしてレース後の協力的で大人の態度をとったアレックスに私たちは感謝しなければなりません。チーム代表として、私はアレックスとヤマハに、今日を台無しにしたことについてお詫びします。私たちはここから立ち直り、明日からチームとして積極的に前進します。 それでも、マイケルは第1レースで最速ラップを記録し、2位という素晴らしい結果を残しましたし、アレックスはポールポジションを獲得した後、信じられないほど困難な状況の下で素晴らしいレースパフォーマンスを披露しました。私たちはポジティブでなければなりません。大きな期待とともに明日を楽しみにしています」
レース2
M・ファン・デル・マーク選手談(3位)
「ダブル表彰台を獲得して本当に嬉しいです! 昨日、ジョニーと争って優勝に近いところまで行ったことをとてもよころんでいました。今日はそれを繰り返すことを望んでいましたし、グリッド8位からうまくスタートして最初のラップもうまくいきましたが、正直言って、昨日に比べると少し苦労していました。気温が少し上がっていたと思うし、フロントグリップで少し苦労していたし、ペースも昨日ほど良くなかったので少し気になっていました。ジョニーにパスされて、自分にできる最良のことは彼について行くことでしたので、そうしました。いい感じで走れていたので、また好バトルができると思いましたが、最後の数ラップになって、バイクに小さなトラブルが出て、彼と戦うことができなくなりました。いずれにしても信じられないほどの週末だったし、はじめから速さがありました。素晴らしい天候に恵まれ、驚くほど多くの観客が来てくれて、地元のレースを本当に楽しむことができました。2つのトロフィーを持って帰ることができてとてもよろこんでいます。次のイモラが楽しみですが、その前に先ず、ブルノでのテストがうまく行くことを望んでいます。テストではバイクに試みるアイディアがあります。そしてその後がイモラです。バイクの基本的なセットアップは良いと思っているので、イモラでそれが確認できることを期待しています。ブルノでもう少し速さを加えることができれば、イタリアのヤマハ・ファンの前で再び上位グループでの争いができるでしょう」
A・ローズ選手談(14位)
「厳しいレースで、言えることはあまりないですね。フロントが何の前触れもなく行ってしまって、シケインでクラッシュ。再びバイクにまたがりましたが、それだけです。勝負は既に終わっていました。自分にとっていい一日ではありませんでしたし、もちろん本当にがっかりしていましたけど、チームはマイケルとともに良い結果を出していました。ブルノでのテストの後、イモラでは良い走りで挽回するつもりです」
P・デニング、チーム代表談
「Pata Yamaha R1をグリッド3列目から表彰台に持って行ったのですから、ホーム・レースでのマイケルにとって素晴らしい一日でした。残り数ラップとなったところでは、彼は2位を巡ってジョナサンにもチャレンジできたと思えましたが、小さなマシントラブルがあって、マイケルはライディングスタイルをそれに合わせて完走しなければなりませんでした。それでも3位は素晴らしい。マイケル、彼のクルー、そしてヤマハのエンジニアが段階的な進歩を遂げたことに、おめでとうと言いたいです。これは今、明確な結果で報われ始めています。 チームとしては、アレックスについてあれ以上の失望はありません。彼はこの週末を通して非常に良いライディングをしましたし、素晴らしい速さがありました。彼自身初となるWorldSBKでのポールポジションがそれを示しています。ただ、昨日のレースで見られたトラブルが、今日のセットアップの中でいくつかの過剰反応を引き起こしていた可能性があります。バイクには、彼に提供したいと思っていた量のフロントグリップがありませんでした。それにもかかわらず、アレックスは4列目からプッシュして驚くほど順調に進んだし、彼は覚悟を示しました。フロントグリップが不足していたため、シケインへの進入で発生した彼のアクシデントは、トップライダーなら決してやりたくない、はるかに低速で入って行かない限り、彼が容易に回避できることではなかったことがデータに示されていました。 アッセンは最高と最低があった週末だったわけですが、新世代R1とアレックスにとって最初のポールポジション、チームとバイクにとって初となるレースウイークエンドでのダブルポディウムといったポジティブな面もありましたし、全体的なパフォーマンスの潜在性がここで示されました。私たちはブルノでのテストとイモラのレースに多くの熱意で臨みますし、楽しみにしています」