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困難に立ち向かう、戦士のごとく。

昨年の鈴鹿8耐、11位で完走し2016-2017 シーズンのチャンピオンとなったGMT94 Yamaha Official EWC Team。その時のことをデビッド・チェカ、ニッコロ・カネパ、マイク・ディ・メリオの3人はこう振り返る。

「まるで夢みたいな出来事だったよ。鈴鹿8耐はとても雰囲気がよくて、僕にとって特別なレースなんだ。そう、ボルドールやル・マン以上かもしれない。そのレースで年間表彰式の中央に立つことができたのだからね。2012年には鈴鹿8耐の総合3位になったけど、それ以来の夢のような出来事だった」(チェカ)

「去年の鈴鹿8耐でチャンピオンが決定した。そう、僕の人生でこれほど気持ちのいいことはなかったね。僕はイタリア出身で、イタリア人はさまざまなレースで活躍しているけれど、EWCチャンピオンは僕が初めてなんだ。チャンピオンが獲れてうれしかったし誇りに思うよ」(カネパ)

「EWCには去年から参戦していて、ル・マン24時間、オッシャースレーベンとスロバキアの8時間で勝つことができた。鈴鹿8耐はファクトリー勢が多く出場するしとにかくレベルが高い。だからレースでは常にプッシュする必要があったんだ。そうしたレースでチャンピオンを決めることができたことは、本当に特別な気分だったよ」(ディ・メリオ)

そしてこの鈴鹿8耐を終えるとすぐに、2017-2018シーズンがスタートし、開幕戦ボルドール24時間で優勝を遂げた。そしてその後はル・マン24時間で10位、スロバキア8時間で2位、オッシャースレーベン8時間で3位に入り、ポイントリーダーに10ポイント差のランキング2位で最終戦の鈴鹿8耐を迎えている。

「10ポイントは、1レースで逆転するには難しい差。でも、レースは何が起きるかわからない。いや、何でも起こりえるんだ。突然、雨が降ってきたりとかね。ファクトリー勢が強いのはわかっている。でもコンディションが荒れれば私たちにも上位でゴールできる可能性が高くなる。荒れたレースになれば、我々の強さは倍増するからね」(チェカ)

「事前テストがうまくいったから、自信はあるよ。とくにタイヤの方向性が見つかったのが大きい。それと去年の鈴鹿8耐では、ライバルと1ポイント差でのチャンピオン争いだったので、ライバルの動きを見ながら、ミスが許されない我慢のレースだった。今年は10ポイント差があるから、もうプッシュするのみだ。だからとても戦いやすいよ」(カネパ)

「そうなんだ。事前テストでニッコロが2分9秒台前半までタイムを上げてくれ、かなりいい手応えだった。マシン全体のフィーリングもよかったし、タイヤの方向性も決まったので、あとはレースを待つのみ」(ディ・メリオ)

24時間レースのボルドールを制したGMT94だが、鈴鹿8耐との戦い方の違いはどこにあるのだろうか。

「メンタル面が大きく違うね。24時間レースでは、僕は基本的に睡眠はとらないけど、休憩していて朝の5時頃に出番だと言われて走り出すわけだから、結構厳し部分があるよ。そして鈴鹿8耐はまったく逆で、ファクトリーや鈴鹿8耐スペシャリストがいるから、どれだけプッシュしても上位が見えてこないという厳しさがある。だから、いま振り返ると2012年の総合3位は普通じゃなかったね」(チェカ)

「24時間レースでは、プッシュするときとアベレージで走るときを使い分ける感じかな。それと、24時間レースは気温が比較的低くて肉体的には優しいんだ。鈴鹿8耐はファクトリーはもちろんだけれどプライベーターもすごく速くて、だから僕も常にプッシュ、プッシュで全力走行なんだ。それと鈴鹿8耐は、とても暑いし湿度も高いから身体的に辛いんだ。レース中は感じないけど、レースが終わると疲れがどっと出るね」(カネパ)

今シーズン限りでGMT94はEWCでの活動を休止すると伝えられているが、これにクリストフ・グィオ監督は「周りは今年がEWC最終年と言っているけれど、鈴鹿8耐に関してはラストとは言っていない。このレースは特別で、日程が許すのであればまた戻ってきたいし、優勝したい」と語る。

「本当に妙な感じだよ。16年間、このチームでヤマハの一員として戦ってきたけど、新しい歴史をスタートさせなければならない。ただいまは、これまで一緒に戦ってきたスタッフと築いた財産のすべてを鈴鹿8耐にぶつけるのみだ」(チェカ)

「このチームに加わって3年、クリストフ、デビッド、マイクと一緒に戦えて本当に良かったよ。悲しいけれどでかけがえのない友ができたし、たくさんの思い出もできた。だから鈴鹿8耐では、このすばらしいチームで一緒に最高の記録を残したいね」(カネパ)

「僕はこのチームに加わって2年目だけれど、クリストフにお礼を言いたい。そしてデビッドには耐久レースの戦い方や心がけを教えてもらった。鈴鹿8耐では、チームに感謝の気持ちを持って走りたいね」(ディ・メリオ)

GMT94はこの鈴鹿8耐で一つの区切りを迎える。常に困難に立ち向かってきた戦士たちは今年、長きに渡り積み重ねてきた経験と情念をありったけつぎ込んで10ポイント差の逆転に挑む。

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