MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.04 8月9日 チェコ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第4戦チェコGP
■開催日:2020年8月9日(日)決勝結果
■開催地:ブルノ/チェコ(5.403km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:30度 ■路面温度:46度
■PP:J・ザルコ(1分55秒687/ドゥカティ)
■FL:B・ビンダー(1分57秒445/KTM)
REPORT
Monster Energy Yamaha MotoGPのV・ロッシはグリッド中盤からスタートし、着実にポジションを上げて5位を獲得。チームメイトのM・ビニャーレスはリズムをつかめないまま14位でフィニッシュ。PETRONAS Yamaha Sepang Racing TeamのF・モルビデリは、タイヤの消耗と闘いながら2位でチェッカーを受け、ランキング3位に浮上。チームメイトのF・クアルタラロも難しいコンディションのなかで最後まで冷静に走り切って7位。
Monster Energy Yamaha MotoGP、ロッシが5位、ビニャーレスは14位
ロッシは予選10番手、グリッド4列目から絶好のスタート。1周目を9番手で終えてビニャーレスのすぐ後ろにつけた。そして4ラップ目に8番手に上がるとチャージを開始し、9ラップ目にはA・エスパルガロ(アプリリア)をパスして7番手、さらにP・エスパルガロ(KTM)が転倒したことで6番手に浮上した。
この時点で5番手との差は1.2秒。これを少しずつ着実に詰めていき、残り5ラップではA・リンス(スズキ)とF・クアルタラロの4位争いに加わった。そしてクアルタラロをスムースにパスし、さらに後方から迫って来たM・オリベイラ(KTM)を巧みに抑え切って5位でチェッカー。トップとの差は7.517秒差だった。
ビニャーレスは5番グリッドからスタートしたものの、オープニングラップで8番手までポジションダウン。さらに4ラップ目にはロッシに先行を許した。その後も慎重な走りでマシンをセーブしながらレース終盤での挽回を期していたが、フィーリング不足によりなかなかペースが上がってこないことが明らかになった。そのため、ポイント獲得を目標に切り替えて走り切り、最終的には14位でチェッカー。トップから19.720秒差でレースを終えている。
この結果、シリーズポイントではビニャーレスがトップから17ポイント差のランキング2位。ロッシは32ポイント差の7位につけた。またヤマハはコンストラクターランキング1位、Monster Energy Yamaha MotoGPはチームランキング2位を維持している。
モルビデリが2位を獲得、MotoGP初の表彰台、クアルタラロは7位
モルビデリは絶好のスタートを切ってオープニングラップからレースをリード。その後も見事なスピードで周回を重ね、みるみるうちに後続を引き離していった。しかし少しずつタイヤの摩耗が進んでくると、後方からB・ビンダー(KTM)が接近。ここでモルビデリは転倒のリスクをおかしてバトルすることよりもミスなくタイヤを温存することを選択し、2位でチェッカーを受けてMotoGP初表彰台を獲得した。これによりランキングでも3位に浮上し、2位のビニャーレスに11ポイント差と迫った。
チームメイトのクアルタラロもまた好スタートを切って序盤でPETRONAS Yamaha SRTの1-2態勢を築いたが、他の多くのライダーと同様にタイヤの消耗に悩まされて思うようにペースが上がらない。懸命のチャレンジも効果につながらず、2位をキープするだけのタイムが出ないまま徐々にポジションを下げていった。ライバルたちも苦戦している状況を見て、クアルタラロはリスクをおかさず、できるだけ多くのポイントゲットを目指す。そして作戦通り着実に走り切って7位を獲得し、シリーズポイントのリードを拡大してランキングトップをキープした。またPETRONAS Yamaha SRTもチームランキング・トップをキープし、ふたりの活躍によりリードを拡大している。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(5位)
「今日はいいレースができました。もちろん、表彰台に上った第2戦のほうがもっと良かったのですが、今回はグリッド4列目からここまで挽回できたのですから、全体的なパフォーマンスとしては今日のほうが上がっているのかもしれません。MotoGPのレースはこのところ非常に複雑になってきていますが、私はマシンのフィーリングも良いし、このコースでとてもいい走りができました。序盤から終盤まで、そして最後の1周まで力強く走り切ることができたのです。それだけに昨日の予選でのミスが悔やまれます。もしもグリッド2列目までに入れていれば、今回もまた表彰台争いに加わることができたかもしれません。いずれにしても、今日は良いパフォーマンスでレースを楽しむことができました」
M・ビニャーレス選手談(14位)
「ヤマハに加入して以来の最低のリザルトだと思います。何が起きてしまったのかわからないというのが正直な気持ちです。今朝のウォームアップでは非常にフィーリングが良く、ユーズドタイヤで何度も好タイムが出ていました。ところが決勝になると、1ラップさえペースをキープすることができなかったのです。序盤からグリップを失い、走るごとにさらに悪化していきました。ライディングが非常に難しいこの状況で、唯一できることは、完走を目指して少しでもポイントを獲得することでした。これ以上に無理をしてリスクをおかしていたら、きっと0ポイントに終わっていたでしょう。ですから2ポイントだけでも獲得できたことは良かったのだと思っています。チャンピオンシップリーダーも今日はあまり良い成績ではなかったので、ポイント上のダメージは少なくて済みました。データをチェックし、もう一度、速さを取り戻して次のオーストリアに臨みます」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「厳しいレースになること、そしてタイヤが重要な役割を担うことはわかっていました。ロッシ選手は10番グリッドという混戦のなかから見事に挽回し、素早く抜け出て着実に順位を上げていきました。しかもその間にも、レース終盤の戦いのためにタイヤを十分に残していたのです。この結果5位を獲得したわけですが、もしも、少なくともあと1列前からスタートできていたら表彰台争いに加わっていたでしょう。それが残念でなりません。ビニャーレス選手は非常に悔しい結果になりました。問題はスタート直後から始まっていたので、これからデータをしっかりチェックし、ビニャーレス選手の苦戦の理由を明らかにしなければなりません。次回スピールベルグでは、ふたり揃って好レースができるよう全力を尽くします」
PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team
F・モルビデリ選手談(2位)
「ついに表彰台を獲得することができました! 本当にうれしいです。実際のところ今日は非常に奇妙なレースで、最初から最後まで100%プッシュですることはできませんでした。序盤はとても速く、予想以上に好調で後続を引き離すことができたのですが、そのうちにビンダー選手が追い上げてくるのが見えて、彼がミディアムコンパウンドのタイヤを履いていることがわかっていたので、彼のほうに分があると判断しました。だから彼とバトルしようとは考えませんでした。とにかく完走し、初表彰台を獲得したかったのです。PETRONAS Yamaha SRTのみんな、私のチームクルー、ヤマハ、そして支えてくれるすべての人に感謝しています。このあとは3日間休んでから、優勝できるだけの強さを持っているのだという最高の自信を携えてオーストリアへ向かいます。次の戦いがとても楽しみです」
F・クアルタラロ選手談(7位)
「今日はオープニングラップから最終ラップまで苦しい戦いでした。問題を分析し、また同じことが起こらないように修正していかなければなりません。金曜日にはタイヤの摩耗に悩まされましたが、土曜日のFP4で改善できていたので、決勝でこのようなことになるとは予想していませんでした。7位という結果には満足していませんが、貴重な9ポイントを獲得してチャンピオンシップのリードを広げることができたことは良かったと思います。でもチャンピオンを目指すことよりも、今の私はひとつひとつのレースを大事に走るだけです。もちろん表彰台にはいつも上りたいと思っています。今日モルビデリ選手を祝福します。おめでとう、フランコ! 次のオーストリアが楽しみです」
R・ラザリ、チーム代表談
「予想のつかない難しいコンディションのなかで、モルビデリ選手が2位を獲得したことは非常にうれしいです。また同時にブラッド・ビンダー選手とKTMの素晴らしい仕事に祝福を贈りたいと思います。チームとしてはモルビデリ選手の2位はもちろん、クアルタラロ選手の7位にも満足しています。問題については評価と分析が必要ですが、総合的にとても良かったと思います」