MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.03 4月14日 アメリカズ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦アメリカズGP
■開催日:2019年4月14日(日)決勝結果
■開催地:オースティン/テキサス州(5.513km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:21度 ■路面温度:39度
■PP:M・マルケス(2分03秒787/ホンダ)
■FL:M・マルケス(2分04秒605)
REPORT
ロッシが接近戦の末に2位獲得
第3戦アメリカズGPでロッシが2位表彰台
ビニャーレスは果敢な攻めとロング・バトルを見せるも11位
晴天に恵まれたCircuit of The Americas (COTA)でMonster Energy MotoGPのV・ロッシが魂を込めた走り。最終ラップまでトップ争いを展開し、僅差の2位でチェッカーを受けた。チームメイトのM・ビニャーレスも同様にハイペースを見せていたが、ジャンプスタートのペナルティで順位を下げて11位となった。
優勝を目指すためには序盤から積極的にプッシュしていかなければならないと考えていたロッシ。予定通りに絶好のスタートを切ってタイトな左の第1コーナーへ向かってダッシュし、M・マルケスを追撃しながら後方のC・クラッチローを巧みに抑えて2番手のポジションを確保した。
数ラップ後にはクラッチローが転倒したため後続との差がさらに拡大。この時点でマルケスはすでに3秒ほどアドバンテージを広げていたが、ロッシは決してあきらめようとはしなかった。タイヤの温存に注意を払いながら懸命にプレッシャーをかけ続けると、残り12ラップではトップ走行中のマルケスが転倒。これでロッシがついにトップに躍り出た。
このあとはA・リンスが後方から徐々に差を詰め、残り5ラップではついに背後に迫り2台の一騎打ちへと発展。1ラップ後にはリンスに先行され、ロッシが再びパスを試みるも成就せずに逆に0.5秒差をつけられてしまった。この差を取り戻そうと最後まで攻め続けたロッシは、残り2ラップ、コーナー立ち上がりではらんでさらに傷を広げる。しかしそれでもあきらめず、最終ラップではペースを上げてリンスに襲い掛かる執念を見せたがとうとう届かず2番手となった。
ビニャーレスは6番手で第1コーナーへ進入後、A・ドビツィオーゾと競り合い、1ラップ目を終える時点で7番手に後退。そのあとさらにF・モルビデリにも先行されて8位となったところで、ジャンプスタートのペナルティを警告されてしまう。このときに長めのペナルティ・レーンを走り、さらに次のラップでピットレーンに入ったため、ついには19番手まで順位を下げてしまうこととなった。
ビニャーレスはここからハイペースで挽回を図ると次々に順位を上げてゆく。
そしてH・シャーリンをパスして16番手とポイント圏内に迫り、さらに前方の集団より1秒速いタイムで周回を続けると4秒差を縮めて14番手、さらに5秒差を詰めて12番手、さらにもう1台パスして11位を獲得した。トップとの差は34.077秒となっていた。
この結果、ロッシはランキング2位に浮上してトップにわずか3ポイント差。ビニャーレスはトップから40ポイント差の12位。ヤマハはコンストラクターズ・ランキングで2位タイ。Monster Energy Yamaha MotoGPもチーム・ランキング2位につけている。
次回は3週間後、スペインはヘレス・サーキットでヨーロッパラウンドがスタートする。
モルビデリが自己ベストの5位獲得
クアルタラロも7位に入りトップルーキーに返り咲き
PETRONAS Yamaha Sepang Racing TeamのF・モルビデリとF・クアルタラロがそれぞれ5位と7位を獲得し、ともにMotoGP自己ベストの成績。
前日とは打って変わって晴天に恵まれたオースティンはCOTA。モルビデリはグリッド10番手からすぐさま8番手へ上がり、6ラップ目までに5番手に浮上。これをチェッカーフラッグまでキープし、MotoGPで自己最高の成績を獲得した。
チームメイトのクアルタラロはスタートで出遅れて4ラップ目までに3つポジションを下げたが、そこから調子を上げて挽回し、7位でゴールした。
この結果、クアルタラロは合計17ポイントでランキング10位、モルビデリは合計16ポイントでランキング11位となっている。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Monster Energy Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(2位)
「マルケスが転倒したときに'必ず勝てる'と自分に言い聞かせていたので、優勝を逃したことは非常に残念です。リンスが追い上げてきたとき、私も全力でプッシュし続けて毎ラップでハイペースを維持していましたが、最後は彼のほうが優っていました。私もよく乗れていたのですが、彼をパスすることはできませんでした。とても長い間、優勝から遠ざかっているだけに悔しさが残りますが、ここまでできることを証明できたので次回またチャレンジします。そのなかでも良かったことは、できることをすべて試し、いいレースをして、長くトップをキープできたことです。限界まで攻めていたので残念ながらミスもありましたが、もしもすべてが完璧にできていたとしたら最終ラップでもう一度トライできたかもしれません。だから気持ちは複雑です。優勝を逃したことは非常に残念。でも充実したウイークを良い結果で締めくくることができたと思っています。最終ラップも良かったのですが、つまらないミスはしたくありませんでした。20ポイントはとても大切ですからね。私たちは今シーズンとても好調で、マシンも良くなっているので、これからも何度もトップ争いができると思います」
M・ビニャーレス選手談(11位)
「ペナルティを少し勘違いしてしまいました。でもそれ以外はとても順調な1週間だったと思っています。決勝でもペースが良く、2分04秒台を楽に出せていたのです。今回はこのようなことになりましたが、次回ヘレスでは挽回できるよう、また全力でプッシュしていきます。今日はスタートでミスをしてしまいました。グリッド上でエンジンが熱くなっていて、クラッチがつながって動いてしまったのです。決勝走行中の好調ぶりを振り返れば、より一層、悔しい気持ちになってしまいます。ペナルティの可能性には気づいていて、ロングラップをしなければならないと思っていたのですが、次の瞬間に'ライド・スルー'のボードが出たので'それでもいいよ'という気持ちでやり直しました。そんななかでもマシンがとてもよく走ってくれました。決勝用セッティングがしっかりできていたのです。これからも全力で作業を続け、スタート時の最善のシステムを探します。実際のところスタート自体は悪くなかったしポジションを下げることもなかったのですが...。次回に賭けます」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「今日はチームのなかで明暗が分かれる結果になりました。バレンティーノは優勝を目指して最後まで全力で戦いました。チームにとって、そしてとくに彼自身にとって、ほんのわずかの差で届かなかったことはとても残念ですが、あれほどの熾烈なバトルの末に2位を獲得したことは収穫です。これからの私たちの仕事にも大きな励みになります。
一方で、MotoGPでは些細な失敗から雪だるま式に影響が広がることがあります。ジャンプスタートをしたマーベリックは 'ライド・スルー'のペナルティに加えてロングレーンも走ってしまい遅れを拡大してしまいました。彼の終盤でのペースからすれば、上位争いは間違いなかったと考えています。ですからこの経験からしっかり学ばなければならないのです。マシン・パフォーマンスは上々でした。ここでまた一歩、前進できたので、次のヘレスでは確実に成果を発揮したいと思います」
PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team
F・モルビデリ選手談(5位)
「いいレースができて満足しています。昨日の予選では十分に力を発揮することができませんでしたが、ポテンシャルには自信を持っていました。そしてレースのなかで順位を挽回し、ついには5位まで上がってチェッカーを受けることができたのです。レース終盤はペースを落とさざるを得ず悔しい気持ちも残っていますが、私たちチームは確かに成長しており着実にトップとの差を詰めています。チームのみんな、そして私を支えてくれるすべての人にお礼を言います。フィーリングは上々。ヘレスが楽しみです」
F・クアルタラロ選手談(7位)
「好スタートを決めて順調にトップ10をキープ。そのあとポル・エスパルガロ、ペトルッチと競り合う間に、ドビツィオーゾやモルビデリのいる前のグループから離されてしまいました。でもペース自体は非常に良くて、最後の5ラップこそやや遅れたものの結果には満足しています。アルゼンチンに続いてさらに進化し、トップルーキーに返り咲き、また今日はペトルッチの後ろについていろいろ学ぶことができました。世界のトップライダーと一緒に走るチャンスがあれば、常に学びたいと思っています。次はさらなる成長を目指します」
W・ズィーレンベルグ、チーム・マネジャー談
「チームのみんなの仕事ぶりと、5位、7位という成績に満足です。カタールとアルゼンチンでは実現できませんでしたが、今回ようやく、ふたりが揃ってポイントを獲得することができ非常にうれしく思っています。フランコ(モルビデリ)はトップ6を目標にしており、今日はこれを達成することができました。またファビオ(クアルタラロ)についてはルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙っていますが、今日の結果でまたトップに浮上しました。これからもこの好調を維持し、さらに上を目指していきたいと思います」
MS統括部 統括部長 辻 幸一談
「ここCOTAサーキットは20箇所の多様なコーナーと2本のストレートに加えてアップダウンも多いためマシンを合わせこむことが非常に難しいサーキットです。それゆえにマシンの基本性能とベースセッティングの良し悪しが試されます。そういう中で、ヤマハのマシンYZR-M1はファクトリーだけでなくサテライトチーム4名のライダーが予選Q2に進出するとともに、予選ではロッシ選手が2番手、ビニャーレス選手が6番手を確保出来たことで、今年の開発の方向性の正しさを再確認できました。
決勝レースでは、フロントロー2番手からスタートしたロッシ選手が1コーナーを2位で進入し、その後も2位をKEEPしながらの走行。レース中盤に入りトップを先行していたライダーが転倒したことでその後はレースをリードし、優勝を目指し力走を重ねましたが最終的に2位でチェッカーを受けました。ビニャーレス選手ですがジャンプスタートによるペナルティで一時は18位までポジションを下げてしまいましたが、それ以降は驚異的なペースで追い上げて最終的に11位を獲得できました。結果的に2位表彰台は喜ぶべきでしょうが正直悔しさのほうが勝っております。
まだ我々のマシンは優勝できるレベルではないと捉えて引続き開発を進めて近い将来優勝できるようにします。引続き皆様のご声援をお願いしいたします。」