MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.14 9月23日 アラゴン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第14戦アラゴンGP
■開催日:2018年9月23日(日)決勝結果
■開催地:アラゴン/スペイン(5.077km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:30度 ■路面温度:45度
■PP:J・ロレンソ(1分46秒881/ドゥカティ)
■FL:A・ドビツィオーゾ(1分48秒385/ドゥカティ)
REPORT
ロッシが6列目から追い上げて8位を獲得! ビニャーレスは10位
猛暑に見舞われたアラゴンGP決勝。この過酷な環境のなかMovistar Yamaha MotoGPのV・ロッシは6列目から、M・ビニャーレスは5列目からスタートし、23ラップを走り切ってそれぞれ8位と10位を獲得した。
ロッシは後方のグリッドから好スタート。大集団の中でアクシデントにも巻き込まれることなく、1ラップ目終了時点で12番手に浮上し、次のラップで中上貴晶(ホンダ)をとらえて11番手。2ラップ後にはJ・ザルコをパス、そして前方でC・クラッチロー(ホンダ)が転倒したため、さらにふたつ上げて9番手とした。
ここからしばらくは単独走行となり9番手をキープしたまま少しずつ前との差を縮めていった。そして残り2ラップとなったところでJ・ミラー(ドゥカティ)をパスすると、トップから15.199秒差の8位でチェッカーを受けた。
一方のビニャーレスはスタートで出遅れてグリッド14番手から19番手へ後退。しかし2~3ラップ目ごろからはペースを取り戻して着実にポジションを挽回していった。A・バウティスタ(ドゥカティ)とクラッチローが転倒リタイアとなったあと、ビニャーレスはH・シャーリンと14番手争いを展開。これに打ち勝つと、10番手争いとの差を詰めてゆき、ついにはザルコとF・モルビデリ(ホンダ)をパス。さらに残り10ラップでは中上とB・スミス(KTM)をとらえて10番手へ浮上した。
この時点でチームメイトのロッシが6秒前方を走っており、ここを目標に懸命のプッシュを続けてゆく。十分なクリアスペースもあったため多くのセクションで自己ベストを更新して健闘したが、9位に届かず10位でチェッカーとなった。トップとの差は22.457秒だった。
この結果、ロッシはランキング3位をキープ。ビニャーレスは合計130ポイントでロレンソと並んだが、ランキングは5位のままとなっている。Yamahaはコンストラクターズ・ランキングでトップから79ポイント差の3位。Movistar Yamaha MotoGPもチーム・ランキング3位につけ、トップを44ポイント差で追う。2週間後の10月5日~7日には、チャーン・インターナショナル・サーキットで開催されるPTT Thailand Grand Prixに出場する。
ザルコとシャーリンは厳しい展開
第14戦アラゴンGPはMonster Yamaha Tech3のJ・ザルコとH・シャーリンにとって非常に難しいレースとなった。ふたりはこの厳しい状況の中でも、最後まで全力を尽くし23ラップを走り切った。
ザルコは絶好のスタートから1ラップ目で3つポジションを上げたが、レース後半は苦しい展開が続いて14位、2ポイント獲得に留まった。この結果、サテライト勢トップを目指す戦いでは、最大のライバルに7ポイント差をつけられている。
チームメイトのシャーリンもレース序盤は同様に好調ぶりを見せていたが、ハイペースを維持することができず18位で終了。ルーキー・オブ・ザ・イヤーを競うモルビデリに並ぶためには7ポイント差を詰めなければならない。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(8位)
「今日もまたマシンを大幅にモディファイして決勝に臨みました。午前中のウォームアップですでに、わずかながらフィーリングが良くなってきていたので、決勝前にさらにいくつかの調整を試みました。その結果、とくにレース終盤は好調で、驚くほどではないものの、ペースが非常に安定していたのです。グリッドの後方からスタートして多くのポジションを挽回し、チャンピオンシップポイントを獲得できたことはとても良かったと思います。ある部分は昨日よりも良くなっていましたが、別の部分、つまり技術的な部分の状況は依然として厳しいと考えています。そのためトップ10に入るために、このようにマックスの戦い方をしなければならないのです」
M・ビニャーレス選手談(10位)
「非常に悔しいレースになってしまいました。家へ帰って気持ちを落ち着かせ、それから次のレースのことを考えたいと思います。昨日のフリープラクティス第4セッションでは1分48秒台が出ていたのですが、今日はまったくリズムがつかめず、同じタイヤでも同等の走りができませんでした。次のブリラムのコースはテストのときにもあまりフィーリングが良くなかったのですが、いつものようにベストを尽くし、少しでも上の成績を目指します」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「非常に厳しいレースウイークでした。トップ10という残念な結果ですが、スターティングポジションを考えればここまでが精一杯というところでしょう。ロッシ選手とビニャーレス選手はウォームアップ・セッションのなかでセッティングを最終調整し、いくらかの改善が見られていました。レース序盤でふたりが時間を費やしたのは当然のことで、ここで何とか前に出ようと懸命にもがいていたのです。そしてすべての力を尽くして最後まで戦い続けてくれました。厳しいウイークが終わりました。このあとはシーズン前に行ったブリラム・テストのデータを使って次のレースに向けて準備を始めます」
Monster Yamaha Tech3
J・ザルコ選手談(14位)
「とてもタフなレースでした。スタートはうまくいって序盤はペトルッチと競り合うことができましたが、このトップグループはあっという間に目の前からいなくなってしまいました。彼らについて行くのは不可能でしたし、そこからラップを重ねるごとにフィーリングが悪くなっていきました。その後は解決策を見つけられないまま、ただ攻めるばかりでした。自分自身のライディングについては様々なことをトライしてみましたが、そこでも改善は見られませんでした。最後は疲れ切っており、このような状態でゴールするのは非常に辛いことでした」
H・シャーリン選手談(18位)
「スタートがうまくいって、ロッシのすぐ後ろの13番手につきました。そのまま彼に、さらにはモルビデリ、中上、ヨハンについていこうとモチベーションは最大限まで高まっていました。ところが8ラップ後、原因はわかりませんがリアと路面との感触がなくなってしまったのです。グリップしてくれないのでコーナーでマシンの向きを換えることができず、非常に大変なことでした。序盤は好調だったので、ルーキーのライバルを抑えてポイントを獲得できると確信していましたが、ブレーキングとコーナリングに苦戦してペースをキープすることができなかったのです。今は、レース序盤に感じていたモチベーションをこのまま維持し続けたいと思っています。とにかく気持ちを集中し、自分自身を成長させることを考え、チームとともにハードワークに取り組みます」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「アラゴンに到着した時点では自信がありました。表彰台までは考えませんでしたが、今の私たちのレベルを考慮してもトップ10争いは可能だと思っていました。ところが、それよりもずっと厳しい結果になってしまいました。非常に残念なことです。ヨハンにとっては、昨年のミサノでガス欠となった以外、完走したなかでおそらく最低のポジションだと思います。
ふたりはスタートもリズムも序盤は良かったのですが、そのあとで落ちてしまいました。正直に言えば、もはやレースを続けることさえ難しい状況です。ヨハンは、まるで優勝争いをしたみたいに疲れ切ったと話しており、その結果が14位だったのですから、チーム全員が同じ気持ちでいると思います。タイヤの問題ではないと考えています。ウイナーがリアにソフト・コンパウンド、イアンノーネがミディアム・ソフトと私たちと同じものを履いていたのですから、この部分に問題はなかったのだと思います。
しかしそうしたなかでも、ヨハンがペトルッチをパスし、集団のなかで奮闘するのを見たときには本当に感動しました。またシャーリンが絶好のスタートを切り、バレンティーノやその前にいるルーキー勢について行ったときにも興奮しました。しかし残念ながら、それも長くは続かず、どんどん遅れていってしまったのです。私たちのパートナーをはじめ応援してくれているすべての人に申し訳ない気持ちでいっぱいです。私たちは今、明らかに危機的状況にいます。ただ、次のサーキットがもっと好ましいものになることを祈るばかりです」