MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.07 6月5日 カタルニア
RACE DATA
■大会名称:第7戦カタルニアGP
■開催日:2016年6月5日(日)決勝結果
■開催地:カタルニア/スペイン
■コースコンディション:ドライ
■気温:28度 ■路面温度:46度
■PP:M・マルケス(1'43.589/ホンダ)
■FL:M・ビニャーレス(1'43.971/スズキ)
REPORT
ロッシがカタルニアGPを席巻! 今季2勝目
Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシは、カタルニア・サーキットで行われたモンスター・エナジー・カタルニアGPを完璧なライディングで、今季2度目の優勝を飾った。チームメイトのJ・ロレンソも序盤は力強い走りを見せていたが、5位走行中、A・イアンノーネ(ドゥカティ)がロレンソに接触。リタイアとなった。
グリッド2列目5番手からスタートしたロッシは、第1コーナーの混乱のなか8番手へ後退したものの、グループをオーバーテイク。そして1周目のうちにH・バルベラとA・ドビツィオーゾ(ともにドゥカティ)をパスし、M・ビニャーレス(スズキ)とイアンノーネを一気に抜き去ると、さらにD・ペドロサ(ホンダ)をパスし、3番手に浮上。
ペースを上げたロッシは、4ラップ目に自己ベストラップを記録すると、M・マルケス(ホンダ)の背後に迫り、6ラップ目でマルケスをとらえ、次のラップではロレンソも抜いてトップに立った。マルケスとのバトルは最後まで続く。
マルケスが第5コーナーで仕掛けて一旦トップに浮上。しかしロッシも素早く反応し、次のラップの第2コーナーで抜き返した。残り2ラップではロッシがマルケスのスリップストリームに入りチャンスを窺う。第7コーナーでマルケスがわずかにはらんだ隙をついて再びトップを奪い返し、そのままロッシは、今季2勝目のチェッカーを受けた。
ロレンソはグリッド2番手の位置から絶好のスタートを切ってホールショット。序盤は作戦通りの順調なレース運びを見せ、2ラップ目までに0.7秒のアドバンテージを築いていた。そのままハイペースを維持するも、2位で続くマルケスと、ロッシへのアドバンテージを築けなかった。何度もポジションを入れ替えるバトルを繰り広げるものの残り9ラップ、第10コーナーの進入でイアンノーネがロレンソのテールに追突。これでふたりとも転倒し、リタイアとなった。
25ポイントを獲得したロッシは、合計103ポイントでランキング3位をキープ。
エスパルガロがホームGPで5位獲得!
Monster Yamaha Tech 3のP・エスパルガロは、10万人の観衆が見守るなかで見事な走りを見せ、今季4回目のトップ・サテライトを獲得した。グリッド12番手からスタートしたエスパルガロは、オープニングラップから積極的に攻めて8番手に浮上。ハイペースを維持したまま、2ラップ後にはドゥカティ・ファクトリーのA・ドビツィオーゾをとらえた。その後もハードなプッシュを続け、レース終盤は5位を走行。そのままポジションをキープしてチェッカーを受けた。
一方、チームメイトのB・スミスは6ラップ目、不具合によりリタイア。グリッド5列目からスタートしてアウトから第1コーナーへ進入。しかしその後まもなくポジションを下げることとなり、2、3ラップのちにリタイアした。今日は残念な結果に終わったが、明日はここでテストを行い、2週間後のオランダGPでの復活を期す。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(優勝)
「完璧な日曜日だったよ! 午前中のウォームアップでマシン・セッティングが大幅に改善されたので、ますます自信を深めて決勝に臨むことができたんだ。決勝はもちろん、まさにグレイト! スタートは良くなかったけれど、挽回するためのパワーは十分で、実際、素早くパスを繰り返してトップまで浮上できた。そのあとも100%の力でプッシュし、後続を引き離そうとしたが、マルケスを振り切ることはできなかった。それでもペースは十分に速かったし、マシンのフィーリングも良かったので、慌てずに気持ちを落ち着かせて自分のライディングに集中。終盤になってバトルの準備ができたので、何度も抜き差しを繰り返したあと最後の勝負に賭けたんだ。これ以上に素晴らしいレースはない、そう思っているよ。ここは大好きなコースのひとつだけれど、2009年以来、勝っていなかった。それだけに本当にうれしい気持ちでいっぱい。前回のムジェロも優勝を狙っていたが残念な結果になってしまった。そこまでの準備は完璧だったので、今回も同様のやり方で進めていこうと、ずっと考えていたんだ。そしてその通り、決勝に向けて完璧な準備を整えることができた。チーム一丸となって良い仕事ができた。ムジェロでのノーポイントを忘れるために最善の方法だった」
J・ロレンソ選手談(DNF)
「金曜日以来すべてのことがあまりうまくいっていない。決勝はまったくひどいもので、イアンノーネはまたしてもミスをおかした。彼は謝るかわりに、"僕のエンジンが壊れたか、何か変わったことが起きたんじゃないか"と聞いてきた。リスクを考えないライダーはいるもので、このような行動は他のライダーに深刻な怪我を負わせることだってあり得る。2005年と同じように、レースの開催者が彼にペナルティを科さないとしたら、このようなライダーたちは考え方を改めなければならないことに気づかないだろう。最後尾からのスタートでは不十分だと思っている。5ラップや7ラップもすれば、またトップに上がってきてしまうんだからね」
※次戦、オランダGPにてイアンノーネはグリッド最後尾からスタートするペナルティを課せられた
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「フロントタイヤの消耗、コース・レイアウトの変更、さらにはタイヤ・チョイスと、今回は非常に多くの問題に直面させられた。タイヤ・オプションは実際にはひとつしかなかったので悩むこともなかったが、フリープラクティス第4セッションでハード・コンパウンドを試したら、ライダーたちのフィーリングがよくなかったので、マシン・セッティングを大幅に変更した。とくに、苦労していた第4セクションに合わせることにした。
決勝は、前回のムジェロに続いて、ほろ苦いものになった。バレンティーノの素晴らしさについては、もはや言葉は必要ないだろう。7年ぶりにここで優勝を果たし、彼のモーターサイクル・スポーツにおける歴史に新たな1ページを刻んだと確信した。スタートで出遅れて8位まで後退しながらも挽回。誰も寄せ付けないようなリズムを作り出していた。
ホルヘは好スタートを決め、6ラップにわたりレースをリードした。その後フロントタイヤのグリップが落ち、ペドロサ、ビニャーレス、そして最後にはイアンノーネのアタックに対応しなければならなくなった。イアンノーネは言い訳できないはずだ。なぜならこのようなアクシデントは初めてではない。レース・ディレクションにはもっと厳しい対応をすべきだ。このことによって、ホルヘのタイトル争いに大きく影響したのだから。
最後に、ルイス・サロムと彼の家族にお悔やみを申し上げる。今日、ライダー全員がここで見せてくれたショーは、もはやともに戦えなくなった"Moto GPファミリー"のメンバーに敬意を表するためのものだった」
Monster Yamaha Tech 3
P・エスパルガロ選手談(5位)
「今日の自分の走りには満足しているが、この週末はかなり苦労したし、決勝はとくに厳しかった。それでもルイスのために最後まで走りきることが最大の目標だったので、200%の力を投入してここまで頑張ることができたんだ。グリッドについてもなお、リアタイヤの選択については小さな疑問を抱えたままだった。僕はずっとミディアム・コンパウンドを使ってきたが、他のライダーはほとんどが別のチョイスをしていて、ブラッドリーとダニ(ペドロサ)と僕だけがミディアムという状況。これが正しい選択なのだと信じるしかなかったが、実際、好スタートのあとの数ラップはとても強かった。そしてそのまま最後まで、カル(クラッチロー/ホンダ)を抑えて走りきることができたんだ。
ウィークを振り返って、大会の続行は正しい判断だったと思っている。このスポーツのなかで僕らは大きなファミリーで、全員がルイスを知っていたわけではなかったとしても、僕ら全員で彼に敬意を表する。トップ3のライダーが表彰台で追悼のシャツを着て、またその他すべてのライダーがルイスのゼッケンをつけて走った。安全性について重要な決定を行い、僕らが常に安全性に配慮し、一致団結していることを世界に証明したと思う。そして家族の一員として彼への愛を示し続けることで、彼はこれからも僕らの心のなかに存在し続けるだろう。明日はここでテストを行い、そのあと第8戦オランダGPを迎える」
B・スミス選手談(DNF)
「言うまでもなく、非常に悔しい結果。走り始めたとたんに、マシンに何らかの不具合があるとわかったんだ。それで大幅にポジションを下げてしまい、ペースを落とすときも苦しい状況だった。問題を特定すべく、これからしっかり調査分析していくだけだ。しかしながら、今回は好結果を期待していただけに残念な気持ちでいっぱい。チームのみんなには、その努力にお礼を言いたい。そしてこれからも力を合わせて問題を解決し、明日からまた新たにスタートしたい。次回のオランダGPで必ず、好成績を残したい」
H・ポンシャラル、チーム・ディレクター談
「コース・レイアウトが変更され1速のコーナーが増えたことで、ヤマハにとってはハンディになると誰もが思っていた。しかし最終的には、バレンティーノがマルクと戦い競り勝つのを見ることになった。我々のチームは、プラクティスで悩んでいたブラッドリーがようやくペースをつかみ、今日はトップ8を目指せる状態だったにもかかわらず残念な結果になった。スタートは悪くなかったが、2ラップ目には早くも、何らかの問題が出ていることが見て取れた。技術的な問題によって、彼はまもなくピットに戻ってきた。好成績を狙っていただけに残念だった。
一方のポルは、素晴らしい仕事をしてくれた。予選では、それほどではなかったが、十分なスピードを持っており、チームも決勝のために準備を整えてきた。スタートは絶好。すぐにハードなプッシュを開始し、中盤になって順位が落ち着いてくると、彼はピットボードを間近に見ながら後続のライダーとの距離をしっかりキープした。その結果、5位でゴールを果たしたのだ。ホームGPでの活躍は、彼にとってもチームにとっても非常にうれしいもので、ますます競争力が高まっていることを実感している。シーズンはあと11レース残っているので、そのなかでブラッドリーもポルも、さらに多くの成功をおさめてくれるだろう。
表彰台に上ったバレンティーノ、マルク、ダニが、ルイス・サロムのシャツを着て、その他全員もゼッケン39のステッカーをつけて敬意を表した。今日の素晴らしいレースをルイス・サロムとその家族に捧げたい。パドックの全員が、彼の最も近くにいた母親のことを考えている。1分間の黙祷は非常に感慨深く、誰ひとりとして、彼を忘れることはないだろう」