MotoGP
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.06 5月22日 イタリア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第6戦イタリアGP
■開催日:2016年5月22日(日)予選結果
■開催地:ムジェロ/イタリア(5.245km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:26度 ■路面温度:48度
■PP:V・ロッシ(1分46秒504)
■FF:A・イアンノーネ(1分46秒504/ドゥカティ)
REPORT
ロレンソが今季3勝目を挙げ、ヤマハ100回目のMotoGP勝利をもたらす!
Movistar Yamaha MotoGPのJ・ロレンソが、ムジェロ・サーキットで優勝。これはヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームとして、2002年に始まった近代4ストローク・マシンによる最高峰クラスでの、100回目の記念すべき勝利。チームは、スペインGPより3連勝を挙げてている。チームメイトのV・ロッシは序盤、見事なパフォーマンスを見せてロレンソとトップを争ったが、9ラップ目、メカニカルトラブルによりリタイアを余儀なくされた。
多くのファンがかけつけたムジェロ・サーキット決勝で、ロレンソはグリッド5番手から絶好のスタートを切ってホールショット。ポールポジションからスタートしたロッシがその後方にぴったりとついて、1周目を1-2で終える。第1コーナー進入でロッシが動いてトップに浮上。しかしロレンソも離れず、ロッシがはらむ間に再びトップを奪い返した。
前方クリアのロレンソがペースを上げて何とかロッシを引き離そうとするが、ロッシは後方からプレッシャーをかけ続け、虎視眈々とチャンスを窺う。ロレンソもその隙を与えまいと注意深く走行しながら、最終的に抑えきることを念頭に、第1コーナー進入では必ずトップをキープした。
その後ロッシは、メカニカルトラブルによって戦線離脱。終盤になるとM・マルケス(ホンダ)がじわじわと接近。シリーズポイントではわずか5ポイント差のふたりが、勝利をかけてバトルすることとなった。最終ラップでは激しい抜き差しを繰り返し、ロレンソはスカルペリア・コーナーで予想外のオーバーテイクを試みるも実らず。しかし経験を生かし、最終コーナーを待ってトップで立ち上がり、今季3勝目を達成した。マルケスとの差は0.019秒。
ロレンソは25ポイントを加算して合計115ポイント。2位以下に10ポイント差をつけてランキング・トップをキープした。ロッシは合計78ポイントで3位。ロレンソとの差は37ポイントとなっている。
好調のスミスがサテライトトップを獲得
Monster Yamaha Tech 3のB・スミスが、ムジェロ・サーキットで行われた第6戦で7位獲得の大健闘。グリッド3列目から絶好のスタートを切ったスミスは、第1コーナー進入までに3番手に浮上。その後いくつか後退するも、リズムをつかんで好調な走りを続け、好タイムを連発しながら上位グループへの復帰を目指した。
レース中盤で8位を走行していたスミス。前方を行くスズキ・ファクトリーのA・エスパルガロに照準を合わせ、15ラップ目にこれをパス。その後は順調にアドバンテージを広げ、そのまま7位でチェッカーを受けた。トップとの差は13.340秒だった。
一方、スミスのチームメイトのP・エスパルガロは厳しい展開。転倒を喫して再スタートし、15位でゴールした。グリッド5列目からスタートしたエスパルガロは、オープニングラップで大きくはらんで15位まで後退。しかしその後も集中を切らさず、懸命に挽回を図り、レースの三分の一が終了するまでに3台をパスすることに成功した。
その2ラップ後にはミスをおかして転倒してしまったが、すぐに再スタートして、もう一度挽回。ポイント圏内最後のポジションを取り戻し、チェッカーを受けた。次回はモンスター・エナジーがスポンサーとなるカタルニアGP。エスパルガロのホームレースでもある。
RACE RESULT
LAP CHART
RIDERS RANKING
CONSTRUCTORS RANKING
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(優勝)
「優勝争いを予想していたのは、とても速いペースを見せていたイアンノーネやビニャーレスだったので、予想外の展開だ。最終的にはやはりマルクが残った。プラクティス中はそれほど速いようには見えなかったのに、今日はずっと僕の後ろについてきた。何とか引き離そうと激しくプッシュして、僕はエネルギーをかなり使ってしまったんだ。彼のほうは僕の後ろで体力を温存しているので、最後の戦いは厳しい状況になってしまうだろうと考えていた。実際、彼はとてもパワフルだったけれど、幸運なことに、今回は僕のエンジンのほうが優っていたんだ。彼に抜かれたときには、このまま負けてしまうと思い、ちょっとクレイジーなオーバーテイクも試みた。これは2005年、250ccクラスでデ・アンジェリスに対して行ったもので、あのときの記憶があったので、'同じことができないはずはない'と自分に言い聞かせた。パスに成功したが、その後ではらんでしまって、すぐに抜き返されてしまったんだ。最終コーナー進入でもう一度、仕掛けたが、なかなか譲らない。もしも僕がブレーキを放していたら、たぶん接触し、ふたりとも転倒ということになってしまっただろう。ここは2位に下がることに決めて、最終コーナー出口でスリップストリームを使うことにしたんだ。コーナーを立ち上がったあとも負けたと思っていたが、僕のマシンが彼をしっかりとつかまえていてくれた。本当に信じられないような勝利だったよ。Moto3では、このようなレースをたびたび見るが、MotoGPではなかなかないこと。クレイジー・バトルだった」
V・ロッシ選手談
「非常に残念な結果。決勝中にトラブルが起こるのは、いつだってとても悔しいことなんだけれど、今回は地元ムジェロで、僕のファンが大勢見に来てくれているからなおさらだ。あの瞬間までは絶好調でスピードも十分にあった。好スタートを切って、ちゃんと上位につけていたんだ。フィーリングも良かったしペースも良かったから、優勝を狙えると思っていたよ。さらには、このノーポイントがチャンピオンシップに大きく影響してしまったことも本当に残念。ロレンソとマルケスが1位と2位になったので、かなり差がついてしまったからね...。でもそうしたなかにも収穫はあったと思っているよ。今回はウイークを通じてずっと好調。決勝も勝利を目指して戦った。だから今は、次のカタルニアに目を向けているよ。あそこも大好きなコースのひとつなので、きっといい戦いができると思う。あと10日待たないとね」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「チームとしては明暗が分かれる結果になった。ホルヘはグリッド2列目からのスタートで、第1コーナー進入ではトップに立つ活躍。ムジェロでのオーバーテイクがいかに難しいかをよく知っているので、バレンティーノや、そのあとのマルケスとの戦いのなかで、YZR-M1をできるかぎりワイドに走らせた。そしてその結果、2002年に始まった近代MotoGPにおいて、ヤマハにとって100回目の優勝を成し遂げたのだ。一方、バレンティーノのほうは技術的な問題によってリタイアすることになり、非常に残念だった。彼も間違いなく優勝争いに絡み、最終的にはチームメイトとともに表彰台に上っていたはず。実際、十分に自信をもって好調に走っていただけに残念で、しかも今回のノーポイントは、チャンピオンシップにおいても厳しいものとなってしまった。次までのインターバルの間に、しっかりと原因を究明し、十分な準備をしてバルセロナに臨む」
Monster Yamaha Tech 3
B・スミス選手談(7位)
「ようやくサテライト勢トップを獲得することができ、本来いるべき場所に戻ってくることができてうれしい。今回はスタートダッシュに照準を合わせ、プラクティス中に何度もスタート練習を行い、それが功を奏したようだ。アウトからインを狙い、結果、3番手で第1コーナーに進入することができた。でも、もっと正直に言えば、序盤はそれほどペースが良くなかったんだ。それでも後半になればもっとペースが上がることがわかっていたから、まずは上位にできるだけ近づき、また同時にミスをおかさないように注意しながら走行。そしてできるだけタイヤを温存し、安定したペースをキープした。今回はウイークを通じて好調で、前回のル・マンで満足できていたセッティングに、わずかにモディファイを加えただけ。終わってみればトップから13秒差でゴールできたのだから上出来で、ここまでの方向性が正しかったことを証明できたと思う。終盤になってペトルッチが攻めてきて、僕にもまだちょっとだけ余力があったから、それに応じたよ。6戦をかけて、ようやく去年と同じポジションに復活することができた。長い時間がかかってしまったけれど、ここからまだたくさんのレースが残っているので、シーズン序盤で失ったポイントを取り戻したい。やはり、僕は他のライダーと比べて、ミシュラン・タイヤに適応するのが遅かったと思う。ようやくここまで来ることができて、自信を取り戻すことができた。次回も楽しみだ」
P・エスパルガロ選手談(15位)
「ウイーク中ずっとハイペースをキープできていたが、今日はそれを結果に結びつけることができなかった。チームと僕は今回、いくつかの困難に遭遇。結果的にグリッド後方からのスタートとなってしまったので、決勝では素早く大勢をパスしていくことができなければもう望みはないという状況。だから序盤でできるだけたくさん抜いていこうとして、その結果、何人かのライダーと接触して逆に遅れてしまったんだ。上位グループが逃げていくのが見えたので、僕もハードにプッシュしてピロを追った。でもこのコースではドゥカティ勢が非常に強く、彼らをとらえるのに通常以上の時間がかかっていた。実際、彼に仕掛けようとしたときにブレーキングを遅らせ過ぎて、とうとうコースアウトしてしまったんだ。転倒したがすぐにマシンを立て直して再スタートし、何とか完走することができた。わずか1ポイントをポケットに入れてイタリアを発つことになり、もちろん目指していたものではなかったが、少なくとも成果のひとつであることは間違いない。次はホームレースとなるカタルニア。地元ファンの目の前で、より一層、努力して、好成績を勝ち取りたい」
H・ポンシャラル、チームマネジャー談
「ムジェロは理想的なコンディションに恵まれ、MotoGPの人気がますます高くなっていくのを見るのはとても良い気分だ。観客たちの雰囲気も素晴らしく、まさに特別なイベントになっていることは言うまでもない。そのなかでブラッドリーが、自ら求め続けた去年と同じポジションまで戻ってきてくれた。彼は予選で強さを発揮し、決勝でも素晴らしい走りを見せていずれもサテライトトップを獲得。この意味は非常に大きい。またトップとの差が今まで以上に縮まったことも重要な成果だ。ドゥカティのサテライト勢をすべて抑え切ることは決して簡単なことではないし、レース後半ではビニャーレスのタイムにも接近した。このように最高の仕事をしてくれたブラッドリーに感謝している。 一方のポルは非常に残念な結果になった。ウイークを通してペースもリズムも良かったが、不必要に2回も転倒してしまった。QP1はとても速かったので、本来なら楽にQP2へ進み、グリッド2列目までに並べるはずだったのだが...。今日のスタートも絶好というわけにはいかなかったが、そのあと上位グループとの差を詰めて実力を見せてくれた。そしてブラッドリーにもかなり近づいていた矢先に、またしても転倒してしまったのだ。今週はたくさんのミスがあった。しかし最後にマシンを起こし、完走してポイントを獲ってきてくれたことに感謝する。次回はふたりが揃って好位置でゴールできるよう願っている。彼らにふさわしい場所、あえて言えばサテライト勢のトップと2位を実現できたら最高だ。懸命に仕事に取り組んでいるチームの全員にお礼を言う。そして次のカタルニアに希望をつなげたい」