ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.03 4月19日 アルゼンチン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦アルゼンチンGP
■開催日:2015年4月19日(日)決勝結果
■開催地:テルマス・デ・リオ・オンド/アルゼンチン(4.806km)
■周回数:25周(120.15km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:29度 ■路面温度:36度
■観客数:50,234人
■PP:M・マルケス (1分37秒802/ホンダ)
■FL:V・ロッシ (1分39秒019/ヤマハ)
REPORT
V・ロッシ、4秒以上の差を覆し今季2勝目
Movistar Yamaha MotoGPのV・ロッシが、アルゼンチンGPで劇的勝利。チームメイトのJ・ロレンソも好スタートから首位争いに加わり、その後後退して5位となった。
理想的とは言えないグリッド8位からのスタート。ロッシはスタート後すぐに集団のなかへ飛び込み、第1コーナー進入でポジション争い。そのあと1ラップをかけてリズムをつかむと、次の周から追い上げを開始してD・ペトルッチ、A・エスパルガロをパスして6位。さらに3ラップ後にはロレンソをとらえて5位に浮上した。
次のターゲットはA・イアンノーネ、C・クラッチロー、A・ドビツィオーゾの一団。これを抜き去り2位に上がると、残るはトップを快走するM・マルケスのみ。しかしこのときすでに4秒以上の差があったため、逆転優勝はとても不可能かに思われた。
9冠王者のロッシはここで、一気に加速度を増して記録的な追い上げを見せる。残りわずか2ラップでマルケスとの距離を縮め、第2コーナー、第3コーナー、第4コーナーでは激しくポジションを入れ替える接近戦。そして第5コーナー立ち上がりでトップを奪ったあと、反撃に出ようとしたマルケスがロッシのリアホイールに接触、転倒して戦列を去ることとなった。ロッシはそのまま順調にゴールを目指してチェッカー。
一方、チームメイトのロレンソは、好スタートを切って第1コーナーで3位に上がり、すぐにエスパルガロをパスして2位。あとはマルケスを追うのみだったが、ハード・コンパウンドのリアタイヤが思うように機能せず、徐々に後退して5位となった。
ロッシは199回目の表彰台。そのうち優勝は今回を含めて110回、そのうちの51回はヤマハで成し遂げたものだ。シリーズポイントは合計66となり、依然としてランキングトップをキープ。またモビスター・ヤマハ・モトGPは合計103ポイントでチーム・ランキングのトップ。ヤマハはコンストラクターズ・ランキングでトップに立っている。5位のロレンソは11ポイントを追加し、合計37ポイントでランキング4位。5位のマルケスを1ポイント上回った。
Monster Yamaha Tech 3のB・スミスが6位
Monster Yamaha Tech 3のB・スミスが好調を続けており、第3戦アルゼンチンGPで6位を獲得。予選グリッド10位からスタートして1ラップ目はそのポジションをキープ。その後リズムをつかんで追い上げを開始すると、10ラップ目にはエスパルガロのイン側に飛び込んで7位に浮上した。さらに後続との差を広げる勢いを見せながらも慎重にタイヤを温存。終盤までハイペースをキープし、前回に続き2回目となる6位でチェッカーを受けた。
スミスのチームメイトのP・エスパルガロも、果敢に挑み8位獲得と健闘。前日の予選で苦戦し18位からのスタートとなったエスパルガロ。1ラップ目で5台を抜いて13位へ浮上し、リズムをつかむと5ラップ目にM・ビニャーレス、6ラップ目にはS・レディングをパス。さらにハイペースでプッシュし続けて9位へ上がり、最終的には8位でチェッカー。全25ラップのなかで10台を抜き去る大活躍でウイークを締めくくった。次のヘレスではさらに上を目指す。
Athinà フォワード・レーシングの2ライダーともにポイントを獲得
Athinà Forward YamahaのL・バズとS・ブラドルは、それぞれ14位と15位でゴールしてともにポイントを獲得。
グリッド22位からスタートバズは、好調なペースで追い上げてオープンクラス3位、総合14位でMotoGP初ポイントを獲得。一方のブラドルは電子制御システムのフィーリングをつかめず、とくに終盤は苦戦しながらも15位を守り切った。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 41'35.644 |
2 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +5.685 |
3 | C・クラッチロー | CWM LCR Honda | Honda | +8.298 |
4 | A・イアンノーネ | Ducati Team | Ducati | +8.352 |
5 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +10.192 |
6 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +19.876 |
7 | A・エスパルガロ | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | +24.333 |
8 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +27.670 |
9 | S・レディング | EG 0.0 Marc VDS | Honda | +34.397 |
10 | M・ビニャーレス | Team SUZUKI ECSTAR | Suzuki | +34.808 |
11 | D・ペトルッチ | Pramac Racing | Ducati | +40.206 |
12 | J・ミラー | CWM LCR Honda | Honda | +42.654 |
13 | H・バルベラ | Avintia Racing | Ducati | +42.729 |
14 | L・バズ | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | +42.853 |
15 | S・ブラドル | Athinà Forward Yamaha | Yamaha | +43.037 |
16 | N・ヘイデン | Aspar MotoGP Team | Honda | +43.252 |
17 | E・ラバティ | Aspar MotoGP Team | Honda | +43.400 |
18 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Ducati | +43.808 |
19 | A・バウティスタ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | +44.878 |
20 | M・メランドリ | Aprilia Racing Team Gresini | Aprilia | +56.236 |
21 | K・アブラハム | AB Motoracing | Honda | +1'03.371 |
22 | A・デ・アンジェリス | Octo IodaRacing Team | ART | +1'08.444 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 66 |
2 | A・ドビツィオーゾ | Ducati | 60 |
3 | A・イアンノーネ | Ducati | 40 |
4 | J・ロレンソ | Yamaha | 37 |
5 | M・マルケス | Honda | 36 |
6 | C・クラッチロー | Honda | 34 |
7 | B・スミス | Yamaha | 28 |
9 | P・エスパルガロ | Yamaha | 15 |
19 | L・バズ | Yamaha Forward | 2 |
20 | S・ブラドル | Yamaha Forward | 1 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 66 |
2 | Ducati | 60 |
3 | Honda | 52 |
4 | Suzuki | 22 |
5 | Yamaha Forward | 2 |
6 | Aprilia | 1 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
V・ロッシ選手談(優勝)
「最高に素晴らしい勝利。エキストラ・ハードのタイヤ・チョイスがぴったり当たったんだ。マルクが赤いタイヤでスタートするのを見たとき、彼が序盤からプッシュする作戦だとわかった。僕のほうもスタートはうまくいったが、第1コーナーではイアンノーネに外側へと押し出されてしまったんだ。そのあと少しずつリズムを取り戻し、ようやくマルクの後ろの2位へ上がったときには、すでに4秒以上の差。でもレースは長いから、マルクが終盤で苦しくなることはわかっていたんだ。ラップごとに差を縮め、遠く離れていたのがどんどん近づいてきた。このときの気分は最高だったよ!そしてついにはブレーキングでパスしてトップへ。彼はいわゆるオール・オア・ナッシングのライダーだから、コーナー途中で当たってきて、さらに加速でもまた当たってきた。どうやらミスをしたらしく転倒。最終ラップは素晴らしいバトルだったので残念な結果になってしまった。ここまでの3戦で、どのサーキットへ行ってもトップ争いができることを証明することができた」
J・ロレンソ選手談(5位)
「正直、とても悔しい。5位という結果は予想もしていなくて、少なくとも表彰台争いに加わるはずだったんだ。僕もリアにハード・タイヤを履いたが、バレンティーノのようにうまく走ることができなかった。おそらく僕にとっては、よりフィーリングの良い柔らかめのほうが合っていたようだ。それでも今回もまたポイントを獲ることができたので、次はもっと速く走れるよう、第4戦ヘレスに照準を合わせていきたい。バレンティーノのレースは素晴らしかった。ハード・コンパウンドのタイヤで誰よりも速く、本当に見事だった」
M・メレガリ、チーム・ディレクター談
「バレンティーノの今日のレースを、我々は忘れることはないだろう。本当に見事なパフォーマンスだった。昨日までは厳しい状況が続いていて、バレンティーノとホルヘ、そしてチームの全員が、解決策を見つけるために懸命にとりくんできた。このようにマシン・セッティングが向上したのは彼らの努力のおかげ。心から感謝している。タイヤ・チョイスが重要な鍵を握り、バレンティーノはハード・コンパウンドを選んでマルクに追いついた。彼自身のコンディションも最も良い状態にあり、今も間違いなく、チャンピオン候補のひとりであることを証明してくれた。一方ホルヘのほうは、好スタートから前へ出て表彰台争いに加わるペースで走れていたが、残念ながら、ハード・タイヤのフィーリングが合わず、バレンティーノのようにはいかなかった。厳しい状況のなかで貴重なポイント獲得。次のヘレスでは本来の実力を見せてくれると確信している」
Monster Yamaha Tech 3
B・スミス選手談(6位)
「昨日までの状況から見て、6位を獲得できるとは思っていなかったので、今はとってもハッピー!このコースではグリップの問題があり、タイヤ・チョイスが非常に重要になるが、決勝を前にしてまだ、リアに何を履くべきか決めかねていたんだ。だからウォームアップから決勝までの間に、ハード・コンパウンドを含めて何度か変更したほど。残念ながら第1コーナーが計画通りにいかず、前回同様、外から回り込んでポジションを上げることができなかった。何人かがレース・ラインで飛び込んできて、僕は路面の汚れている方へ押し出されてしまったんだ。ここで3、4秒遅れてしまい、トップグループに追いつくことは難しくなってしまった。それでも、開幕から3戦、コンスタントに上位を走ることができ、トップ8をキープできているのはうれしい。昨年と比べれば格段の進歩だ。だから自信を持って、今は次のヘレスを楽しみにしているよ。ヨーロッパ・ラウンドのスタートを待ちきれない気持ち」
P・エスパルガロ選手談(8位)
「スタート位置を考えれば上出来と言っていいかな。序盤は好調で、すぐに2台のプラマックとビニャーレスの背後まで上がることができた。でもそのあとは僕の目の前でヘルナンデスのマシンが発火。これでブラッドリーやアレックス(エスパルガロ)から遅れてしまった。彼は遅かれ早かれリタイアするべきだったが、それまでの間にコースにも僕のシールドにもオイルがついてしまったため、慎重にならざるを得なかったんだ。アレックスとブラッドリーを追っていきたかったが、思うようには運ばなかった。レース前半を終えるまでに少しは詰まってきていたものの、とらえるのは不可能だとわかったので作戦を切り替えた。そしてリスクをおかさず自分のリズムを守り、最後まで走り切ったんだ。18位から8位まで挽回できたのだから悪くない結果。ダメージを最小限に抑え、貴重なポイントを獲得することができた。次からヨーロッパへ戻り、強みを発揮できると分かっているコースを走るのが楽しみ」
H・ポンシャラル、チーム・マネジャー談
「非常にエキサイティングなレース!ヤマハに乗ったバレンティーノがそれを制したことを心から喜んでいる。昨晩のヤマハ陣営はみな浮かない表情で、決勝に向けてこれ以上、何をすべきかわからないような状態になっていた。そんななかでも彼らは懸命に努力を続け、予選タイムではなく決勝用のセッティング調整に集中していった。バレンティーノの終盤での追い上げを見れば、エキストラ・ハードのタイヤがベスト・チョイスであったことは明らかだ。我がチームのふたりも本当によく頑張ってくれた。ブラッドリーは好スタートから最大限の挽回。終始、ホルヘと同等のラップタイムをキープして6位でゴールした。そして、一方のポルの素晴らしさ!予選は18位と低迷したが、そこから10台を抜いて8位まで上がったのだ。ふたりともチャンピオンシップで最も重要なポイントを獲得。この好調を維持し、次からはヨーロッパ・ラウンドに挑む」
Athinà Forward Yamaha
L・バズ選手談(14位)
「好レースができて満足している。序盤のフルタンク時はフロントの挙動が激しく苦労したが、ポジションを変えて対処するうちにフィーリングが良くなってきた。そしてハイペースを順調にキープし、ついにはオープンクラスの直接的ライバルに追いつくことができたんだ。モトGPでの初ポイントを獲得することができて最高にハッピー。シーズンわずか3戦目で、ポイント獲得の目標を達成することができた。このために懸命に努力してくれたチームのみんなにお礼を言いたい」
S・ブラドル選手談(15位)
「厳しい戦いだった。15位という結果は非常に残念だ。スタートは悪くなかったが、10ラップもすると電子制御システムとタイヤに不具合が出て、とくに高速コーナーで苦戦した。それまではオープンクラスのトップを目指して戦っていたが、後半はライバルたちに抜かれてしまった。データを分析し、何が起こったのかを把握してから次のヘレスに備えたい」