ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.17 10月26日 マレーシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第17戦マレーシアGP
■開催日:2014年10月24日(金)初日総合結果
■開催地:マレーシア/セパン(5.548km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:28度 ■路面温度:34度
REPORT
初日、J・ロレンソが総合3位、A・エスパルガロが2位
モビスター・ヤマハ・モトGPのJ・ロレンソは、マレーシアGPのフリープラクティス第1セッションで3位獲得と好調。序盤はセッティング作業に集中し、その後2分01秒416のベストラップを記録。トップからわずか0.037秒の僅差につけた。
チームメイトのV・ロッシも序盤からハイペースをつかんで好調な走り。45分間のフリープラクティスのほとんどの時間を決勝用セッティングに費やし、合計18ラップを走行して2分01秒842を記録した。トップとの差は0.463秒。
第2セッションは突然の風雨で赤旗提示。スタート時間が延期され、その後、路面が乾き始めた現地時間14時半に再開された。ロレンソとロッシはペースを抑え、ウエット用タイヤのテストと適切なセッティングを探すことに専念。そのなかでもロレンソはセッションのほとんどの時間帯でトップをキープし、ウエット用セッティングも順調に仕上がっていった。その一方でロッシは、グリップ不足に悩んで思うような走りができないまま終了。ラップタイムはふたりとも、第1セッションから更新ならず。ロレンソが3位、ロッシが6位を獲得した。
モンスター・ヤマハ・テック3チームのP・エスパルガロが、マレーシアGP初日のフリープラクティスで総合10位を獲得。午前中に行われた第1セッションでは2分02秒248のベストラップを記録し、5位までコンマ5秒差の10番手。午後からの第2セッションでタイム更新を目指していたが、雨でスタート・ディレイ後、再開されたときには路面が完全にウエットになっていたためペースを上げることができなかった。転倒のリスクを避けて慎重な走りに切り替えたエスパルガロは、ウエットでの走行に慣れることと、ウエット・セッティングのテストに集中。好感触を得て、明日のプラクティス、予選に希望をつないだ。
チームメイトのB・スミスは第1セッション、決勝用セッティングに取り組みながら2分02秒627を記録して12位。第2セッションではラップタイムを追求せず、ウエット・コンディションでのトラクション不足に果敢に挑んでいた。明日の予選では6位以内を目指す。
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロが総合2位獲得の大健闘。チームメイトのA・デ・アンジェリスは19位で初日を終了した。
エスパルガロは第1セッションで2分01秒393の好タイムをマーク。トップのD・ペドロサにわずか0.014秒と迫る2位につけた。午後のセッションではタイムを更新することができなかったが、ウエット・コンディションでも好調をキープし、5番手のタイムを記録した。
一方、オフシーズンのテストに参加していなかったデ・アンジェリスは、マシン・セッティングに専念。2分04秒454のタイムで総合19位となった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 2'01.379 |
2 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | 2'01.393 |
3 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 2'01.416 |
4 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 2'01.670 |
5 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 2'01.716 |
6 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 2'01.842 |
7 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 2'01.971 |
8 | C・クラッチロー | Ducati Team | Ducati | 2'02.171 |
9 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | 2'02.209 |
10 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 2'02.248 |
11 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | 2'02.597 |
12 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 2'02.627 |
13 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 2'02.722 |
14 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | 2'02.847 |
15 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 2'02.898 |
16 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | 2'02.935 |
17 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | 2'03.220 |
18 | N・ヘイデン | Drive M7 Aspar | Honda | 2'03.787 |
19 | A・デ・アンジェリス | NGM Forward Racing | Yamaha | 2'04.454 |
20 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | 2'04.553 |
21 | D・ペトルッチ | Octo IodaRacing Team | ART | 2'04.658 |
22 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | 2'05.007 |
23 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | 2'06.195 |
COMMENT
Movistar Yamaha MotoGP
J・ロレンソ選手談(初日総合3位/2分01秒416)
「決勝は午後4時からの予定になっているが、4時くらいになるといつも雨が降り出すので、できれば2時から始めてほしいな。それと僕らライダーとしては、完全なウエットか完全なドライかどちらかにしてほしいんだ。どっちでもない中間のようなコンディションは難しくて、誰もが苦労することがわかっているからね。今日のウエット・コンディションは悪くなかった。とても良い感じで走れて満足できたよ。セッション中盤くらいからかなりハードにプッシュしてみたが、フィーリングは上々。ラップタイムでは他より2秒も抜きん出ていたくらいだからね!終盤になってマルクとダニがペースを上げてきたけれど、あの時の僕は本当に速かったんだ。バレンティーノは問題を抱えていたみたいだから、僕らのほうはセッティングがうまくいっていたということだろう。午前中のドライ・コンディションでも始めから好調で3位を獲得。でもアレイシはソフト・コンパウンドのタイヤを履いていたので、実質的には僕が2位みたいなものなんだ。ダニは今回もかなり手強い存在になりそうだけど、僕は優勝を目指して戦うだけ」
V・ロッシ選手談(初日総合6位/2分01秒842)
「あまりうれしくない結果。午前中のドライ・コンディションはそう悪くなかったんだけどね……。リズムは良かったと思うけれど、それではまだまだ足りないということ。トップについて行くためには速さも強さも不十分で、ライディング自体もまったく思うようにいかなかった。午後は雨になってしまったので、状況はますます悪化。走りにもスピードにも満足できず、明日以降で多くの課題をクリアしていかなければならない。そのためには、ただひたすら作業、作業、作業! ここの天気は安定しないので、ウエットもドライもどちらもあり得る。だから決勝までに両方のコンディションに備えておかなければならないんだ。マシンにはいくらかチャターが出ていて、コーナースピードを上げることができなかった。コーナーをもっと速く抜けるためにはコーナリング中のマシン・バランスを向上させなければだめなんだ」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・モトGP、チームディレクター談
「午前中はすべてが順調。バレンティーノもホルヘもドライ・コンディションでは非常に速く、ふたりからはとくに大きな問題も上がらなかった。ホルヘは午後からも好調で、ペースもスピードも十分。つまりドライ、ウエット両方のセッティングが順調に仕上がっているということだ。一方、バレンティーノはウエット・コンディションに苦労し、フロントもリアもグリップ不足に悩まされた。彼のほうはこれから、ウエット用セッティングの見直しが必要だ。決勝日の天気予報は、午前中が晴れで午後からは嵐……だからあらゆる状況を想定して準備しなければならない。データを分析することで問題の原因が見えてくる。夜を徹して作業に取り組み、明日までに解決策を見つけ出す」
Monster Yamaha Tech 3
P・エスパルガロ選手談(初日総合10位/2分02秒248)
「言うまでもなく、総合10位で満足などできるはずがない。それでも今日はこの状況のなかで、決勝に備えて良い準備ができたと思っている。第1セッションではスタート早々から気持ちよく走ることができたし、少なくともすでにヤマハでの走行経験があるコースだからフィーリングが良かったんだ。とは言え、これから克服していかなければならない課題がまだたくさんあることも事実。今日はとくにブレーキングとコーナリング中のチャターに悩まされたので、できることなら明日はドライ・コンディションに恵まれ、これらの問題を調整していきたい。午後はコンディションが完全に変わってしまったので、まずはウエットの路面に慣れることを目標にした。僕はその経験がまだまだ不足しているからね。このあとはこれらいくつかの問題を修正していって、明日の予選で好位置を狙えるよう準備を整えたい」
B・スミス選手談(初日総合12位/2分02秒627)
「雨で難しいコンディションになったが、総合的に見れば決して悪い出来ではなかったと思う。午前中のセッションでは、最初からすぐに好タイムを出すというわけにはいかなかったが、コンスタントに2分02秒台をキープすることができた。ここが決勝で重要なところなんだ。この他にも、決勝で安定したペースで走るために必要となる電子制御システムやリアタイヤについて十分なテスト作業を行うことができた。これらの箇所は、とくにレースの終盤で鍵を握る重要なファクターになるだろう。午後のセッションはウエット・コンディションになり苦労した。アッセンやアラゴンでもそうだったように、ウエットは僕らにとって厳しい条件なんだ。それでも一定の方向性を見つけることを目標に取り組み、少しずつだが前進できたと思っている。明日もウエットになれば、もっとうまくやれると確信している。さらに、僕自身のライディング・スタイルをこのコースに合わせて変化することができたので、初日の成果は大きかったと思う。明日以降も自信を持って取り組んでいきたい」
NGM Forward Racing
A・エスパルガロ選手談(初日総合2位/2分01秒393)
「シーズン前の2月、このコースで行われたテストでも僕は絶好調だった。だから今日もその経験を生かしてセッティングを行い、始めから好感触をつかむことができたんだ。午前中のドライ・コンディションも午後のウエット・コンディションも、フィーリングは上々。明日の予選でもきっと好位置を狙っていける。自信を持っているよ」
A・デ・アンジェリス選手談(初日総合19位/2分04秒454)
「ウインター・テストに参加していなかったのだから、最初のプラクティスから他のライダーたちと同等に走れるとは思っていないよ。そのわりに第1セッションはフィーリングが良くて、ペースも悪くなかったんだ。午後のセッションでもう少し伸ばしていくことを目標にしていたが、開始直前に雨が降り出し、セッティング作業を継続して行うことができなくなってしまった。それでも総合的には良い一日だったと言っていいと思う」