ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.04 5月4日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第4戦スペインGP
■開催日:2014年5月4日(日)決勝結果
■開催地:ヘレス/スペイン(4.423km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:28度 ■路面温度:50度
■PP:M・マルケス(1分38秒120/ホンダ)
■FL:M・マルケス(1分39秒841/ホンダ)
REPORT
ロッシが強さを維持して2位獲得
モビスター・ヤマハ・MotoGPのV・ロッシが、スペイン南部にあるヘレス・サーキットで行われた第4戦で2位を獲得、今季2度目の表彰台に上った。路面温度が50度に達する暑さのなかで、117,000人もの観客がその雄姿を目に焼き付けた。
グリッド4位の位置から好スタートを切り、第1コーナーで3位。さらに素早く2位に上がると、トップのM・マルケス(ホンダ)を追っていった。その後2台は限界ぎりぎりまで攻め合い、何度も順位を入れ替える激しい首位争いを展開。しばらくするとバトルが落ち着き、マルケスがリードしてロッシがそのすぐ後ろをついていく格好となった。終盤になって後方からD・ペドロサ(ホンダ)が追い上げてきたが、ロッシはこれを抑えきり2位でチェッカーを受けた。
ロッシのチームメイトのJ・ロレンソは200回目のグランプリ出場。予選は2位を獲得してフロントロウに並んでいたが、スタートでやや出遅れて5位へ後退。しかしすぐに挽回して3位に上がり、ロッシの後ろにつけて上位争いに加わった。残り16ラップまでロッシにコンマ5秒差でついていたが、その後グリップが急激に低下してその差が拡大。残り6ラップではペドロサの追撃を抑えきれなくなり4位に後退した。
シリーズポイントでは、ロッシが合計61ポイントでランキング3位をキープ。2位のペドロサを11ポイント差で追っている。ロレンソは合計35ポイント。ランキングをふたつ上げて5位とした。4位のA・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)との差は10ポイント。
モンスター・ヤマハ・テック3のB・スミスとP・エスパルガロは、それぞれ8位と9位。ふたりがそろって10位以内に入るのは今季3度目。
路面温度50度という厳しいコンディションのなか、スミスは第2戦のベスト・リザルトを再現すべく5位争いに挑んだ。グリッド9位から絶好のスタートを決めたスミスは、第1コーナーまでに一気に5台をパス。しかし周回が進むにつれて少しずつ後退し、最終的には8位まで下がってしまった。ラストラップでは集団の最後尾に追いついて再びアタックしたが、わずかに届かずそのままの順位でチェッカーを受けた。
一方のエスパルガロは、タイヤ・コントロールで貴重な経験。リアに硬めのコンパウンドをチョイスし、オープニング・ラップを11位で終えたあと順調にペースアップ。コンスタントに1分41秒台をキープしながら前方のライダーとの距離を縮め、18ラップ目でついにS・ブラドルをパスすることに成功した。さらにスミスに追いつこうと全力を尽くしたが、その時点ですでに大きな差ができていたため詰め切れないままチェッカーとなった。
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロがオープンカテゴリーでトップ、総合で7位獲得と健闘した。チームメイトのC・エドワーズは燃料関係の不具合でリタイアした。
エスパルガロはグリッド2列目からスタート。8位から6位へと順位を上げ、その後はドゥカティ・ファクトリーのドビツィオーゾと5位争いを展開。リズムに勝るエスパルガロがブレーキングで何度か前へ出たが、そのたびにストレートで抜き返された。そして、ドビツィオーゾ、バウティスタらとそのまま5位争いを展開し最終的には7位でゴール。これによってシリーズポイントを30ポイントに伸ばしてランキング7位。
一方のエドワーズはグリッド4列目から絶好のスタート。しかし第1コーナーで他のライダーに接触されてポジションダウンを強いられた。懸命に挽回を試みたが、コーナー出口ではらむなど苦しい展開。マシンにも不具合があり、厳しい状況を耐えながら残り1ラップまで15位をキープしていたが、燃料関係の問題でリタイアを余儀なくされた。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 45'24.134 |
2 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +1.431 |
3 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | +1.529 |
4 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | +8.541 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | +27.494 |
6 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +27.606 |
7 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | +27.917 |
8 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +27.947 |
9 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | +29.419 |
10 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | +32.872 |
11 | N・ヘイデン | Drive M7 Aspar | Honda | +35.490 |
12 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | +40.083 |
13 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | +43.830 |
14 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | +52.295 |
15 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | +54.873 |
16 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'06.182 |
17 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | +1'23.420 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | M・マルケス | Honda | 100 |
2 | D・ペドロサ | Honda | 72 |
3 | V・ロッシ | Yamaha | 61 |
4 | A・ドビツィオーゾ | Ducati | 45 |
5 | J・ロレンソ | Yamaha | 35 |
6 | S・ブラドル | Honda | 30 |
7 | A・エスパルガロ | Yamaha | 30 |
8 | B・スミス | Yamaha | 28 |
10 | P・エスパルガロ | Yamaha | 25 |
18 | C・エドワーズ | Yamaha | 7 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Honda | 100 |
2 | Yamaha | 67 |
3 | Ducati | 48 |
4 | Forward Yamaha | 30 |
5 | ART | 2 |
6 | AVINTIA | 2 |
7 | PBM | 1 |
COMMENT
モビスター・ヤマハ・MotoGP
V・ロッシ選手談(2位)
「ヘレスは大好きなサーキット。見に来てくれる人達も、コースも、全体の雰囲気も素晴らしい場所だから、ここで表彰台に上れたことはとてもうれしいよ! 今回はウイークを通じてずっと好調で、マシンも思い通りに仕上がった。今朝のウォームアップ・セッションも力強く走れていたので、決勝でのトップ争いに自信を持つことができた。フロントにエクストラ・ハードを選択。これはリスクでもあったので、レース中盤から後半にかけての展開には少し心配があったんだ。今日はコースのコンディションが悪かったのでマシンがいたるところでスライドし、フロントも厳しい状態になっていたんだけれど、そのなかでも何とか良いパフォーマンスができたと思う。スタートがうまくいったので、そのままマルクについていきたかったが、やはり少しずつ離されてしまった。その後は自分のペースを守って、そしてマシンのバランスが良いところでは最大限にプッシュしながらコンスタントな走りを心がけた。終盤になってダニが追いついてきたが、最終ラップで抑えきることができて2位を確保。ここヘレスで表彰台に上るのは2010年以来初めてだから、今日は本当にハッピーだよ!」
J・ロレンソ選手談(4位)
「スタートで出遅れてしまった。今回はどのセッションでも、スタート練習がうまくいっていなかったんだ。そして決勝も、期待したような展開にはならず、身体のコンディションも思っていたより悪かったので、それらを克服すべく努力するしかない。そして機が熟すのを待つだけ」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、マネージング・ディレクター談
「バレンティーノが本来の実力を取り戻し、ここヘレスで表彰台に復活。その姿を見ることができて本当にうれしかった。非常にタフな戦いだったが、そのなかで見事なパフォーマンスを見せてくれた。ここではいつもタイヤが重要な鍵を握るが、今日は気温を考えてフロントにハードを選び、それが功を奏した格好だ。ホルヘのほうは残念ながら、自己通算200回目のグランプリで思うような走りができなかった。コンディションが厳しかったこともあり、最後までペースをキープするのが難しかったようだ。明日はここでテストを行うことになっているので、今日のことを教訓に、データを活かして改善に努めたい。2週間後のル・マンに向けて、我々にできる限りの準備をしていく」
モンスター・ヤマハ・テック 3
B・スミス選手談(8位)
「今回はいくつか問題もあったので、8位という結果は悪くないと思っている。目標は常に5位争いに置いていて、その集団のトップになれれば最高。でも今日のパフォーマンスには満足しているんだ。とくにタイヤ・チョイスが成功したこと。そしてそれによって最終ラップまで上位グループでバトルすることができたことが自信につながった。誰もが何らかの問題を抱えているなかで、今日の僕はできる限りスムースな走りをキープし、ミスをしないようにすることを心がけた。また序盤のフルタンクのときにも力強い走りができたことは大きな収穫だと思う。このことは、僕らのここまでのやり方が間違っていなかったことの証明だ。次はチームのホーム・コースなので、今回同様、力いっぱい走れるよう努力する」
P・エスパルガロ選手談(9位)
「今日もまたいい経験ができた。正直に言えば、今回のヘレスはもっと上を目指せると考えていたんだ。ところが想像以上に厳しいものになってしまった。それでも、いくつか問題もあったなかで5位争いに加わることができたのだから悔しがることはないのかもしれないね。序盤で順位を下げてしまったのは残念だったが、リズムを取り戻してからはブラッドリーを含めて前のライダーを追っていくことができた。でもその頃にはかなり体力を消耗していたし、タイヤも激しくプッシュできる状態ではなくなっていたためパスすることはできなかったんだ。ファクトリー・マシンに近づけたことは収穫のひとつと考えていいだろう。ここで勉強したいことがまだたくさん残っているので、明日のテストがとても楽しみ。次回のチームのホームレースのためにしっかり準備したい」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック 3、チームマネジャー談
「気温が高くなれば、非常に厳しい戦いになることはわかっていた。またドビツィオーゾとアレックス・エスパルガロが、オープンカテゴリーで手ごわい存在になることも十分に予測していた。4台が我々の前でグループを形成。そのすぐ後ろにつけて、観客の皆さんにとっても非常に見ごたえあるショーを展開することができたと思う。ブラッドリーもポルも最後まで決してあきらめずに全力を尽くしてくれた。ブラッドリーは絶好のスタート。ポルのほうは期待通りというわけにはいかなかったものの、ふたりとも上位グループに加わった。そしてブラッドリーはエスパルガロにコンマ3秒差まで詰めてチェッカーを受けた。ふたりとも本当によく頑張っていて、最後まで激しい攻めを見せていただけに、順位をそれ以上に上げられなかったことは残念だ。明日はマシンテストを予定しており、いくつかの課題がすでに決まっている。そしてそのあとは、我々にとってのホームGPとなるフランス、ル・マンへ向けて出発だ」
NGMフォワード・レーシング
A・エスパルガロ選手談(7位)
「いいレースだった。全力を尽くし、最大限に高い成績を獲得することができた。ドビツィオーゾとの5位争いは激しく、リズムでは勝っていたが、ブレーキングで抜いてもストレートで抜き返された。ストレート加速でどうしても離されてしまうが、冷静に対応しようと思った。そして最終的にファクトリー勢のすぐ後ろの7位を獲得することができた。チームとともに素晴らしい仕事ができたと思っているので、この結果に満足しなければいけないだろう。そしてこれからもがんばり続けるだけ」
C・エドワーズ選手談(DNF)
「スタートはうまくいったが、第1コーナーで誰かがぶつかってきためはらんでしまい、順位を下げてしまった。その後も懸命にプッシュしていったけれど、僕のスタイルではマシンをうまくターンさせることができず、フロントが不安定な状態になっていた。そして最後には燃料関係に問題が出てマシンが止まってしまった。今日の結果は非常に残念。次のル・マンは以前に好成績をあげたこともあるので挽回を狙いたい」
津谷晃司、MS開発部 モトGPプロジェクトリーダー談
「4番グリッドからスタートしたバレンティーノは、彼らしい気迫の走りで今季2度目の2位表彰台を獲得してくれました。ホルヘはリアタイヤのグリップダウンに苦戦しながらも最後まで全力で走りきり、レース後は非常に体力を消耗していましたが、彼のファイトに感謝したいと思います。今シーズン用の熱対策構造リアタイヤに合わせてマシンを調整しながら、今週はウィークを通して良いペースで進められていただけに残念です。結果は真摯に受けとめ、これからライダー達のコメントとデータを分析しながら、明日のレース後テストで課題を克服するためのプランを考えます。依然として苦戦が続き申し訳ありませんが、引続きご支援・ご声援よろしくお願いします」