ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.04 5月4日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第4戦スペインGP
■開催日:2014年5月2日(金)フリー走行総合結果
■開催地:ヘレス/スペイン(4.423km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:31度 ■路面温度:49度
REPORT
ロレンソが初日2番手、A・エスパルガロがトップ
2014シーズンのヨーロッパ・ラウンドがスタートし、スペインはヘレス・サーキットでフリープラクティスの2セッションが行われた。そのなかでモビスター・ヤマハ・MotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシは、開始早々からハイペース。第2セッションになると路面温度が50度に近づき難しいンディションとなったが、ふたりは好調をアピールした。
ロレンソは1分39秒714のベストラップで、トップから0.358秒差の総合2位を獲得。ロッシはロレンソからコンマ4秒遅れの1分40秒125で6位となった。ふたりにとって最大の課題となったのが、リアのグリップ不足。そこでチームはこれから、明日のフリープラクティス第3セッションに向けてセッティング調整に取り組む。ロッシはまた、ブレーキング時の安定性向上を図るため新型シャシーをテスト。その成果を確認し、ヤマハのエンジニアたちに、さらなる開発のための方向性を示した。
モンスター・ヤマハ・テック3のB・スミスとP・エスパルガロは思うようにペースを上げることができず、厳しいスタートとなった。スミスは第1セッションで1分40秒758を記録。第2セッションでさらに短縮を狙ったが、その終盤、第11コーナーで激しく転倒してタイム更新のチャンスを失ってしまった。その結果は総合11位。明日の予選では6位以内の獲得を目指す。
一方のエスパルガロは、今回も最高峰クラスでの経験を積みながら一歩ずつ前進を目指している。ベタつく路面がトラクションに影響して苦労したが、そのなかでも第2セッションでは第1セッションのタイムをコンマ1秒更新して11位を獲得。総合では13位となった。明日の予選で上位通過を目指し、決勝では今季2度目の8位以内獲得を狙う。
NGMフォワード・レーシングのA・エスパルガロ、トップタイムをマーク。第1セッションの開始早々からマシンに好感触をつかみ、1分39秒357を記録。午後のセッションは路面温度が49度に上昇して滑りやすくなったため、ソフト・コンパウンドのタイヤには苦労したものの、1分39秒973とM・マルケス(ホンダ)にコンマ2秒差で続く2位。総合結果では第1セッションのタイムでトップを獲得することとなった。
チームメイトのC・エドワーズも第1セッションはフィーリングが良かったが、午後になってコンディションが変化すると本来の走りができず、1分41秒252のタイムで17位にとどまった。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | A・エスパルガロ | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'39.357 |
2 | J・ロレンソ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'39.714 |
3 | M・マルケス | Repsol Honda Team | Honda | 1'39.757 |
4 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 1'39.860 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Ducati Team | Ducati | 1'40.028 |
6 | V・ロッシ | Movistar Yamaha MotoGP | Yamaha | 1'40.125 |
7 | A・バウティスタ | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'40.560 |
8 | S・ブラドル | LCR Honda MotoGP | Honda | 1'40.644 |
9 | Y・ヘルナンデス | Energy T.I. Pramac Racing | Ducati | 1'40.686 |
10 | A・イアンノーネ | Pramac Racing | Ducati | 1'40.742 |
11 | B・スミス | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'40.758 |
12 | N・ヘイデン | Drive M7 Aspar | Honda | 1'40.788 |
13 | P・エスパルガロ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 1'40.918 |
14 | M. ピロ | Ducati Team | Ducati | 1'40.924 |
15 | H・バルベラ | Avintia Racing | Avintia | 1'40.928 |
16 | 青山博一 | Drive M7 Aspar | Honda | 1'41.183 |
17 | C・エドワーズ | NGM Forward Racing | Yamaha | 1'41.252 |
18 | C.クラッチロー | Ducati Team | Ducati | 1'41.353 |
19 | S・レディング | GO&FUN Honda Gresini | Honda | 1'41.374 |
20 | K・アブラハム | Cardion AB Motoracing | Honda | 1'41.578 |
21 | D・ペトルッチ | IodaRacing Project | ART | 1'41.589 |
22 | M・ラバティ | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'41.914 |
23 | B・パークス | Paul Bird Motorsport | PBM | 1'42.171 |
24 | M・ディ・ミリオ | Avintia Racing | Avintia | 1'42.220 |
COMMENT
モビスター・ヤマハ・MotoGP
J・ロレンソ選手談(初日総合2番手/1分39秒714/18周)
「午前中と午後とではコースコンディションが大きく変化。午後はかなり滑りやすくなっていたので、別のリアタイヤをトライしなければならなくなった。グリップが落ちてカタールと同様の状態になり、マシンのフィーリングがナーバスになってしまったんだ。それでもトップとの差は以前よりもずっと縮まっていて、さらに近づけると思っている」
V・ロッシ選手談(初日総合6番手/1分40秒125/20周)
「ブレーキングでの安定性を求めて、新しいシャシーをテストした。最初の印象はまずまずで、進むべき方向性が少しずつ見えてきた感じ。路面がかなりベタベタしていて、とくに気温が上がるとタイヤの感触が気になった。スライドが激しくなり、マシンコントロールも難しくなってしまったんだ。そんな状態でも、ライバルたちから大きく離されたわけではなくペースは悪くはないので、ここまでの進め方は間違っていないのだと思う。明日以降もこのまま作業を続けていく」
M・メレガリ、モビスター・ヤマハ・MotoGP、マネージング・ディレクター談
「好調なスタートを切ることができた。このコースについての豊富な経験をしっかりと生かすことができたと思う。もちろんまだまだ改善できる部分が残っているが、マシンは非常によく走ってくれていて、今までの3戦とはまったく違うスタートとなった。唯一の問題はリアのグリップ。これを改善するためにいくつかの変更を検討していて、そのあとさらに、ロングランを行う予定。ブレーキングが非常にうまくできているので、それには満足している。ホルヘもバレンティーノも良いペースで走れていて全体の状況に満足している。しかし同時に、さらなる向上を目指して次のステップに照準を向けている」
モンスター・ヤマハ・テック 3
B・スミス選手談(初日総合11番手/1分40秒758/17周)
「厳しい1日になってしまった。でも激しい転倒にもかかわらず、怪我をしなかったのは本当にラッキーだったと思う。マシンについては、たくさんのオプションを試したけれどもセッティングがなかなかうまくいかなかった。とくにリアのグリップには手を焼き、自信を持って走ることができなかったんだ。タイヤは前後ともにソフト、ハードを両方テスト。ブリヂストンにできる限りの情報を提供して解決を目指した。明日も課題はたくさんある。セッティングを真剣に見直さなければならない。現時点では本来の調子から程遠く、予選で好位置を目指すためにはドラスティックな変更が必要だ。このように厳しい状況だけれど、自信は失っていない」
P・エスパルガロ選手談(初日総合13番手/1分40秒918/20周)
「走り自体は、午後のほうがずっと良くなったと思う。でもスピードはまだまだで、向上のためにはたくさんの課題が残っている。午後のセッションではリアにハード・コンパウンドをテストしたが、まったくうまくいかなかった。そのようなわけで今日はラップタイムの追求ができなかったので、明日の午前中、気温がいくらか低い時に賭けるしかなさそうだ。かなり厳しい状態ではあるんだけれど、QP2に進む自信はある。前進を目指してセッティングをどのように変更していけばいいのか、これから明日までに何としても解決策を見つけ出したい。フィーリングは少しずつ良くなってきているので、それが励みになっているけれど、もっともっと前に進まなければいけないんだ」
NGMフォワード・レーシング
A・エスパルガロ選手談(初日総合1番手/1分39秒357/17周)
「フリープラクティス初日は非常に好調。午前中ですでに良いセッティングが見つかり、序盤からどんどんプッシュしていくことができた。午後になると気温が上がって路面が滑りやすくなり、フロントのグリップ感が落ちてしまい、とくにソフト・タイヤでは思うように攻めきれなかった。それでもハード・タイヤでは、フルタンクの状態でもハイペースをキープすることができたので、とても良かったと思う。あとは決勝に向けてこのまま作業を続けるだけ。初日にトップに立てたことは、もちろんとてもうれしいけれど、最も重要なのは決勝での成績。表彰台獲得が目標で、それは僕の夢でもあるんだ」
C・エドワーズ選手談(初日総合17番手/1分41秒252/15周)
「第1セッションは順調にスタートすることができて、マシンのフィーリングもとても良かったんだ。でも午後になると路面コンディションが激しく変化。フロントはほとんど効かなくなり、電子制御システムにも問題が出てしまった。今日はソフト・タイヤを使わなかったので、明日はトライするつもり」