ロードレース世界選手権 MotoGP(モトGP)
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPクラスに関する情報をお届けします。
Rd.03 5月3日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第3戦スペインGP
■開催日:2009年5月3日(日)決勝結果
■開催地:スペイン/ヘレスサーキット(4.423km)
■周回数27周(119.421km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度 ■路面温度:45度
■PP:J・ロレンソ(ヤマハ/1分38秒933)
■FL:V・ロッシ(ヤマハ/1分39秒818)
REPORT
YZR-M1のロッシが今季初優勝!
フィアット・ヤマハ・チームのV・ロッシが今季初優勝。チームメイトのJ・ロレンソは4番手走行中の24周目に単独転倒してリタイヤした。モンスター・ヤマハ・テック3チームのC・エドワーズとJ・トーズランドは、それぞれ7位と13位だった。
決着は18周目のニエトコーナー。ロッシは素早い切り返しでD・ペドロサ(ホンダ)を抜き首位に立つと、その後独走して優勝した。好スタートをきったペドロサが前半は首位を走る展開。予選4番手2列目からスタートしたロッシは序盤3番手。4周目にファステストラップを出したロッシは、2位を走るC・ストーナー(ドゥカティ)との抜き差しを6~8周目に決着をつけ、単独2番手に上がると約1.3秒前を行くペドロサを追っていく。14周目、ペドロサとの差は0.8秒、次周0.7秒、次は0.6秒、次は0.3秒・・・と差をジリジリ詰める。そして18周目にペドロサをパスすると、その後リードを広げ26周目には3秒以上の差をつけトップでチェッカーを受けた。レース後のロッシは、コース脇の簡易トイレに駆け込むパフォーマンスを見せファンを楽しませた。
ポールポジション発進のロレンソは、1周目を3番手で通過するが、その後ロッシに先行され4番手。3番手のストーナーを追いつつ終盤に入るが、残り3周を残して転倒、再スタートするがフットペダルとスロットルを破損しておりピットに戻りリタイヤした。
予選7番手発進のエドワーズは、中盤M・メランドリ(カワサキ)と激しいデッドヒートを展開。14周目には6番手に浮上する。しかし後半はメランドリの先行を許し再び7番手に。ロレンソの転倒でひとつ順位を上げるが、その後リア・サスペンションに小さな不具合が出て、最終ラップでL・カピロッシ(スズキ)に抜かれて7位となった。一方のトーズランドはセッティングが決まらず思うような走りができなかった。それでもA・デ・アンジェリス(ホンダ)とのバトルでは巧みさを見せて執拗な追撃を抑え込んだ。
RESULT
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Fiat Yamaha Team | Yamaha | 45'18.557 |
2 | D・ペドロサ | Repsol Honda Team | Honda | 0'02.700 |
3 | C・ストーナー | Ducati Marlboro Team | Ducati | 0'10.507 |
4 | R・ド・ピュニエ | LCR Honda MotoGP | Honda | 0'31.893 |
5 | M・メランドリ | Hayate Racing Team | Kawasaki | 0'33.128 |
6 | L・カピロッシ | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 0'34.128 |
7 | C・エドワーズ | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 0'34.421 |
8 | A・ドビツィオーゾ | Repsol Honda Team | Honda | 0'34.625 |
9 | T・エリアス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 0'42.689 |
10 | C・バーミューレン | Rizla Suzuki MotoGP | Suzuki | 0'45.183 |
11 | S・ジベルナウ | Grupo Francisco Hernando | Ducati | 0'48.192 |
12 | 高橋裕紀 | Scot Racing Team MotoGP | Honda | 0'51.875 |
13 | J・トーズランド | Monster Yamaha Tech 3 | Yamaha | 0'53.683 |
14 | A・デ・アンジェリス | San Carlo Honda Gresini | Honda | 0'53.941 |
15 | N・ヘイデン | Ducati Marlboro Team | Ducati | 1'01.237 |
LAP CHART
RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | V・ロッシ | Yamaha | 65 |
2 | C・ストーナー | Ducati | 54 |
3 | J・ロレンソ | Yamaha | 41 |
4 | D・ペドロサ | Honda | 41 |
5 | A・ドビツィオーゾ | Honda | 30 |
6 | C・エドワーズ | Yamaha | 26 |
14 | J・トーズランド | Yamaha | 10 |
CONSTRUCTORS RANKING
順位 | コンストラクター | ポイント |
---|---|---|
1 | Yamaha | 70 |
2 | Ducati | 54 |
3 | Honda | 47 |
4 | Suzuki | 28 |
5 | Kawasaki | 23 |
COMMENT
V・ロッシ選手談(優勝)
「昨日は本当に心配していたので、このような優勝ができて今は最高の気分だよ! 昨日は自分の思うような走りができなくてとても苦労した。みんなで問題の解決方法を話し合って最終的に大幅なセッティング変更に踏み切ったら、コーナリング中のフィーリングが良くなったんだ。だからジェレミーはじめチームのみんなに感謝の気持ちでいっぱいだよ。今朝のウォームアップを走り始めるとすぐに、状況が好転したことがわかった。それから走行後さらに小さな変更を行って、M1+ブリヂストンはますますよく走るようになったんだ。
レース自体はとても長くてハードだった。スタート直後はロレンソをパスするのに少し手間取ったが、その後はストーナーといいバトルが楽しめた。それからしばらくは思うようにペースが上がらなくてペドロサになかなか追いつけなかった。実際、彼は非常に速くて手強かったんだけれど、最後にはまた調子が上がってきて彼を捉えることができたんだ。大好きなヘレスでまた優勝することができて、とてもうれしい。簡易トイレのパフォーマンスは10年ぶりなので、きっとみんなも喜んでくれたと思う。僕自身もお気に入りなんだ!今回、行った変更が今後も役に立ってくれることを望んでいる。最後にもう一度、みなさん、ありがとう!」
D・ブリビオ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「非常に大きな意味のある優勝だ。ここまでの2回は2位が続いていたので、チームスタッフもこの瞬間を待ちわびていたからだ。また勝ち方も素晴らしかった。土曜日には問題を抱えて落ち込み、みんなで長時間にわたり話し合い、エンジニア、メカニック、技術者が力を合わせてバレンティーノのマシンを作り上げたのだ。バレンティーノが気分良く乗れるマシンを作ることができれば、彼は必ず素晴らしい走りを見せてくれる。そして今日は、見ていてとても気分が良かったんだ。これこそが我々の毎回の目標。チームのみんなを、そしてもちろんバレンティーノを、誇りに思っている」
J・ロレンソ選手談(リタイヤ)
「これまでずっと好調でポールポジションも獲得していたので、今日の結果は非常に残念。不運だったのは、気温が予想以上に高かったせいか、昨日までのセッティングが合わなくなってしまったこと。はっきりした原因は今もまだわからないんだ。このことが実は、転倒の事実よりもずっと悔しいんだ。4位のまま終わっても悪くはなかったと思うけれど、地元のファンが大勢見守ってくれているなかでは、どうしても気持ちを抑えきれなかった。それで全力を注いでしまったんだ。
表彰台獲得が目の前に見えていたので、そういうときにはもっと優しく、激しさを抑えて走るべきだった。でも僕はいつも、最大限を尽くしてしまうんだ。それで結局ミスをおかし、自らチャンスを投げ出してしまった。次のルマンも迫っているので、今日のことは早く忘れてポイジティブな気持ちを取り戻さなければならない。応援に来てくれたファンのみんなに、マシンを作ってくれたチームに、そして家族にも申し訳ないことをしてしまった」
D・ロマニョーリ、フィアット・ヤマハ・チーム監督談
「今日の結果は非常に残念。プラクティス、予選ととても好調で、決勝でも表彰台獲得を期待していたが、気温が高くなったことでリアのグリップ感が足りなくなってしまった。終盤はストーナーを追い詰めていたが、フロントを滑らせて転倒。それですべてが終わった。我々としてはこれから、予想外のトラブルの原因を突き止めるべく詳細に分析し、今後2度とこのようなことがないようにしたい。今日は不運だったが、気持ちを切り替えてルマンに照準を合わせていく。昨年はあのコースで好成績をおさめているからね」
C・エドワーズ選手談(7位)
「スタートはとても上手くいったけれど、その直後からペースが十分に上がっていないことに気づいたんだ。トップグループとの差は明らかで、僕はコーナリングで差を付けられてしまった。昨日、気温が高かった時間帯でセッティングの方向性を間違えてしまったので、今日は昨日の午前中、気温が少し低かったときのものに戻していた。気温が低ければそれで良かったんだけれど、ひとたび気温が上がってくるとリズムをつかむことが出来なくなってしまった。もっとスムースな走りがしたかったけれど・・・。コーナーでマシンをうまくターンさせるために、自分の走りのスタイルを調整しリアに荷重をかけるようにしたが、十分な効果は得られなかった」
J・トーズランド選手談(13位)
「ウイークを通して厳しい戦いになってしまった。そして依然として課題がいくつか残っている。新しいものを試している最中で、レース距離を順調に走りきるセッティングを模索中だ。決勝用セッティングであと1秒くらいはペースを上げなければならないが、予選用セッティングのほうも同時に詰めていかなければならないという状況。前の4、5台とはほぼ同等のタイムを出していたはずだが、みんなが同じペースの場合は抜いていくことはほとんど不可能。予選では自分に課題を与え過ぎて、結局大きく遅れてしまったんだ。後方からスタートすれば、そこから上がっていくのは、とくにMotoGPでは難しいよ。
シーズンのスタートはあまりいい調子ではないけれど、遠く及ばないという状況でもないと思う。今回もまたたくさんのデータを収集することができたので、これを生かしてなんとか問題を取り除きたい。セッティングがしっかりと煮詰まるまでに、もう少しというところまで来ていると確信している。チームのみんなと協力して、懸命に作業を続けていきたい」
H・ポンシャラル、モンスター・ヤマハ・テック 3チーム監督談
「厳しい展開になった。これまでの2戦はもっと上位に近づいていたはずだが。コーリンはセッティングが不十分で、最後のところでカピロッシとメランドリに挑めなかったのは残念だった。あれだけ頑張っていれば6位獲得が妥当だったし、5位も不可能ではなかったと思っている。ジェームスのほうも同様に、非常に厳しいウイークエンドを過ごすことになった。決勝でのペースは決して悪くなかったが、前提として予選位置を上げておく必要がある。力は十分に持っているが、予選で遅れてしまっては、追い上げは容易なことではない。まずスタートが肝心。そして予選の進め方についても、これからチームとともに取り組んでいかなければならない重要な課題だ。
今はテック3のメンバー全員が、次のホームレースを楽しみにしている。ヤマハはこれまでもルマンで好成績をおさめているし、昨年はコーリンが、ホルヘ、バレンティーノに続いて表彰台に上っている。最後にモンスター・エナジーのホール・マーク社長の応援に対して感謝の気持ちを伝えたい。ヤマハ・テック3はモンスター・エナジーが冠スポンサーになってくれたことを非常にうれしく思っている。将来必ず我々のこのパートナーシップが実を結ぶ時がくると信じている」
中島雅彦 談(技術開発部MotoGPグループリーダー)
「開幕からの2戦は天候に翻弄されましたが、今回スペインGPのレースウイークは好天に恵まれ、久々に良好なコンディションの中でセットアップを進めることが出来ました。V・ロッシ選手はセットアップに苦慮しながらも、新しい方向が見つかり、彼らしいすばらしい走りで今季初優勝。エースの初優勝でスタッフ一同、胸をなで下ろしました。ロレンソ選手にとってここはホームグランプリのひとつでもあり、ファンの声援も大きく初日から気合が入っていました。期待していただけにレース終盤でのクラッシュはとても残念ですが、次戦に向け既に気持ちを入れ替えています。ヨーロッパラウンドに入りライバルの攻勢も厳しくなっています。気を緩めることなく頑張りたいと思いますので、皆さんの変わらぬ応援をお願いします」