全日本モトクロス選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.06 10月9-10日 九州・熊本
RACE DATA
■大会名称:D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ2021第6戦九州大会
■開催日:2021年10月10日(日)
■会場:熊本県・HSR九州
■天候:晴れ
■レース時間:IA1(30分+1周)×2ヒート
■レース時間:IA2(15分+1周)×3ヒート
■観客数:2,107人(土・日曜日)
REPORT
富田が両ヒート表彰台で総合3位、渡辺は総合4位を獲得
IA1は、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの#2富田俊樹が2・3位で総合2位。#3渡辺祐介は3・4位で総合4位を獲得。ランキングでは両ヒートで優勝した山本鯨(ホンダ)がポイントを伸ばしたことで、渡辺が首位をキープしたものの、その差は2ポイント。富田は3位に後退したが、渡辺との差は7ポイントとなった。初のトリプルヒートで行われたIA2ではベテランの#51平田優(善光会&NCXXレーシング with Pitin)が総合2位。YAMALUBE RACING TEAM with レーシングチーム鷹の#10中島漱也がヒート2で3位表彰台を獲得するなど総合5位。3レースで表彰台を争った#6大倉由揮(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド)は総合6位となった。レディースでは#2本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド)が、5レース連続表彰台となる3位を獲得した。
IA1
ヒート1:富田が2位、渡辺が3位で続きヤマハがダブルポディウム!
全日本モトクロス選手権が、6月の第4戦SUGO大会以降、第5戦近畿大会が新型コロナウイルス感染症の影響により中止となったこともあり、約4ヶ月のインターバルを経て開幕戦と同じ熊本県のHSR九州を舞台に再開。秋晴れの中で行われた予選では、ランキングトップに立つ#3渡辺祐介が5番手、14ポイント差のランキング2位の#2富田俊樹は4番手とし、同じく快晴に恵まれた決勝に臨んだ。
ヒート1は、山本鯨(ホンダ)、小方誠(ホンダ)、能塚智寛(カワサキ)に渡辺が4番手に、富田が5番手に続き、ランキングの上位5人がトップ5を形成。まさに役者が揃った状態でスタートした。レースは序盤から山本がハイペースで先行。この中で5番手の富田がいち早く反応し、チームメイトの渡辺、さらに能塚をコース後半にある6連ジャンプでかわし3番手に浮上。さらに前をいく小方に照準を合わせYZ450FMをプッシュする。
一方、富田にかわされ5番手に後退した渡辺は、同じく富田にかわされて順位を落とした能塚を抜き、そのまま2人は小方に狙いを定めて、10周目にこれを攻略して2・3番手に浮上した。しかし、この時点でトップの山本との差が約10秒に開いていたこともあり、ポイント差を縮めたい富田と、リードを拡大したい渡辺が激しいバトルを展開。富田が最後まで渡辺のプレッシャーに耐え抜き2位、渡辺は3位でフィニッシュし、ダブルポディウムを達成した。
ヒート2:両者ともに転倒がありながら富田が3位、渡辺が4位でフィニッシュ
ランキング1-2位をキープしたいYAMAHA FACTORY RACING TEAMだったが、両ライダーに勝負どころで転倒が発生する難しいレースとなった。
レースは再び山本がリードを奪うも、渡辺が2番手、富田が3番手と絶好の位置につけた。ところがその1周目に富田が転倒し11番手に後退。優勝争いから脱落してしまう。一方の渡辺は能塚を従えながらも2番手をキープ。前半は積極的に仕掛け一時は山本に接近するが、その直後に山本との接触が発生したことで2人の差が拡大していった。
転倒により1周目を11番手で終えた富田は、諦めることなくアグレッシブに攻めて2周目を終え7番手とすると、その後も着実にポジションを上げ、6周目には4番手まで挽回。前をいく能塚、さらには渡辺もその視界に捕らえたが、その後は膠着状態が続くこととなった。しかし、レース終盤に入る3人が一斉にスパート。富田、能塚、渡辺の間隔が詰まっていく中で、渡辺が単独で転倒し、能塚が2番手、富田が3番手と順位が変動した。
この結果、山本が独走でヒート2を制すると、能塚が2位、富田が3位、渡辺は4位でフィニッシュとなり、ランキングでは渡辺がトップを守ったものの、山本が2ポイント差、富田とは7ポイント差に縮まり、2大会4レースを残し、ランキング争いは振り出しに戻ることとなった。
IA2
ヒート1:ベテランの平田が2位、大倉が3位表彰台を獲得!
2020年の第3戦SUGO大会、全日本初となるトリプルヒートがIA1で導入され、今シーズンを含め過去4大会で行われてきたが、今大会はIA2で初となる15分+1周の3ヒートを行うトリプルヒートが開催された。その前哨戦となる土曜日に行われた10分+1周の予選では、YAMALUBE RACING TEAM with レーシングチーム鷹の#10中島漱也が総合3番手。ヤマハ勢でトップとなるランキング3位の#8岸桐我(bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルド)が総合6番手を獲得し、トリプルヒートに挑んだ。
ヒート1、好スタートを切ったのは国際A級ルーキーでYZ250Fを駆る#04佐竹涼冴(YSP浜松/BOSSRACING)。これに古賀太基(カワサキ)、さらにはYZユーザーでベテランの#51平田優が3番手。岸、大倉が4・5番手、中島漱也は8番手につける。この序盤にランキングトップの内田篤基(カワサキ)、さらにランキング2位の大城魁之輔(ホンダ)を含む多重クラッシュが発生。内田はリタイア、大城は再走し後方からの追い上げとなる。
佐竹は首位のまま2周目に突入するが古賀に逆転を許し2番手へ。さらに3周目には平田が佐竹を捕らえて2番手とし、トップ2が同等のペースで周回を重ねていった。一方4・5番手の岸と大倉は、佐竹を捉えるべくYZ250Fをプッシュ。5周目にこれをかわして3・4番手に浮上し、前をいく古賀、平田に狙いを定めた。
そして終盤、岸と大倉はチームメイト同士で表彰台争いを展開。後方の大倉が岸を、岸は平田を追いながら大倉をブロックする状況となった。そして最終ラップの終盤に大倉がアタックして岸をかわし、平田に続く3位表彰台。岸は4位となった。
また8番手スタートの中島は、序盤に7番手を走る#35鳥谷部晃太(bLU cRU TEAM エム FACTORY)を逆転。その後は上位陣との差を縮めることができなかったが、ラスト2周となったところで、順位を落とした佐竹を逆転して6位入賞となった。
ヒート2:中島が上位陣の転倒もあり、開幕に続く2度目の3位表彰台
好スタートを切ったのは大城。こにれ岸、古賀、大倉が続き、中島は7番手につける。序盤はトップの大城がハイペースで独走体制を作るかと思われたが、3番手の古賀が岸をかわして2番手に上がると、一気に大城との差も詰めてトップに立った。岸、大倉も古賀と同様のペースで追走、レースは中盤に入ると4人が約4秒の僅差でレースを進めていった。
トップ2は動きのないまま、古賀、大城の順でフィニッシュとなったが、その後方で表彰台を争う岸と大倉が、ヒート1に続きテール・トゥ・ノーズのバトルを展開。最終ラップでは後方の大倉が最後のジャンプセクションで勝負。2人が並びながらの激走となったが、チェッカーの数メートル手前で岸が転倒。これに巻き込まれる形で大倉も転倒してしまう。
一方、7番手スタートの中島は前半で5番手に浮上。その後はトップ4に離されていたが、転倒した岸と大倉をかわして3位でフィニッシュ。開幕戦以来となる表彰台を獲得した。なお、岸は転倒のダメージからリタイア。大倉はマシンを動かすことができずDNFとなった。
ヒート3:大倉がヤマハ最上位の4位
ウィーク最後となるIA2のヒート3は、またしても古賀がトップで1周目を終了。これに鴨田翔(カワサキ)、西條悠人(カワサキ)、大倉が続いた。中島は11番手からの追い上げのレースとなる。
先行する古賀に対して、いち早く反応した大倉が西條、鴨田を4周目にかわして2番手に浮上し。トップの古賀の追走に入ったが、次の5周目に転倒。すぐに再スタートして4番手で復帰し、そのまま前をいく西條を追ったが届かず表彰台にあと一歩の4位でフィニッシュとなった。
一方の中島は11番手からポジションを上げることができなかったが、6周目に2つポジションを上げて9番手としゴール。3ヒート連続でシングルフィニッシュ 。総合では平田の3位に続く総合5位、また大倉は、ヒート2のノーポイントが響き総合6位となった。
レディース
本田が3位表彰台を獲得
前日の予選で3番手を獲得し決勝に臨んだ#2本田七海(bLU cRU TEAM KOH-Z)。決勝のスタートは遅れながらも、オープニングラップの混戦の中でポジションを上げ、1周目を久保まな(ホンダ)、小野彩葉(ホンダ)に続く3番手と好位置につけた。
ランキングトップの川井麻央(ホンダ)は1周目に転倒を喫し、ほぼ最後尾からのレースとなったこともあり、本田は2周目に入るとすぐに小野をかわして2番手に上がり、トップを走る久保の追撃に入る。しかし徐々に2人の差は拡大、同時に3番手の小野がその背後に迫ってくると、7周目に入った直後に小野に逆転を許して3番手に後退した。その後は、小野に差を広げられてしまったが、最後までポジションを守りきって3位でフィニッシュ。開幕戦から5レース連続となる表彰台を獲得した。
次回は10月23-24日、スポーツランドSUGO(宮城)で行われる第59回 MFJ-GPモトクロス大会。
IA1 RESULT Heat.1
IA1 RESULT Heat.2
IA1 RIDERS RANKING
IA2 RESULT Heat.1
IA2 RESULT Heat.2
IA2 RESULT Heat.3
IA2 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA FACTORY RACING TEAM
富田俊樹選手談(IA1:2位/3位:総合2位)
「今回はスタートに苦戦することとなりました。同時にそれは埃が舞う視界の悪い状況の中でライバルを追うこととなるので、ライバルをとらえるのは容易なことではありません。走り自体はよかったのですが、結果が全ての世界なので、優勝できなかったので悔しさしかありません。特にヒート1は3番手につけ、勝負できる位置にいただけに1周目の転倒は、精神的にも大きなダメージでした。結果的には最低限の仕事はできたと思いますし、山本選手に抜かれランキングは3位に後退しましたが、トップの渡辺選手との差は縮まったことは良かったと思います。残りは2戦ですが、次が最後になるかもしれませんし、SUGOはチャンピオンを決めるつもりで戦います」
渡辺祐介選手談(IA1:3位/4位:総合4位)
「4ヵ月のインターバルは、とても良いトレーニングができ、事前テストも好調で、自信を持っていたので目標は優勝としていました。同時にノーポイントレースをしないことも頭に置いて臨みました。ところが久々のレースということで、少し硬くなっている自分がいました。一方でライバルと富田選手がとても速かったのですが、その中でそれぞれに対して勝負することもできたので、目標には届きませんでしたが、最低限の成績は残せたと思います。次回は地元のSUGOです。ライバルも速いコースですが、地元なので負けられないし、一つ一つのレースを大切に戦って勝ちますので、ぜひご期待ください」
増田智義監督談
「チャンピオンを目指す中で多少の無理は必要なことですが、今回はライバルが非常に速く、小さな無理を重ねる中でヒート2は二人に転倒がありました。改めて今回も厳しい戦いでしたが、成績だけをみればなんとかまとめることができ、ランキングもわずかな差ですが、トップを維持することができました。次のSUGOは二人が共に得意としているコースですし、ヤマハのホームコースでもあるので勝ちにこだわって戦います。今回は一部のエリアに出されていた緊急事態宣言等が解除された中での開催となりましたが、様々なハードルを乗り越えて開催してくれた大会関係者や熊本県の皆様と、感染状況の縮小や医療体制の保持に尽力されたエッセンシャワーカーの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。こうした皆様の努力を無にしないよう私たちも気をつけながら、ファンの皆様に楽しんでいただけるように全力を尽くします」
YAMALUBE RACING TEAM with レーシングチーム鷹
中島漱也選手談(IA2:6位/3位/9位:総合5位)
「インターバルの間は東北を拠点に、自分よりも速い先輩たちと一緒に練習を重ね、モトクロスについてはもちろんですが、多くの刺激を得ることができました。事前テストも好調だったので目標は総合3位にしていたのですが、ヒート1はスタートこそ良かったのですが、ライバルに押し出されてポジションを落とました。幸い序盤にライバルたちにクラッシュがあり順位を上げて6位。ヒート2は5位が定位置でしたが、岸選手と大倉選手が転倒して3位。ヒート3は9位として総合5位。目標には届きませんでしたが、3ヒートをシングルフィニッシュでまとめることができたのは良かったと思います。SUGOは得意ではないので、しっかりと乗り込んで、今回よりもさらに良い内容のレースをしたいと思います」
村橋健太郎スーパーバイザー談
「本人の意向もあり、東北で先輩たちの胸を借りる形でトレーニングをしてきたので、総合3位、3ヒート全てで入賞圏内という目標を持って臨みました。まだスタートに課題があるのと、ヒート3は疲労や集中力の欠如などで9位と目標には届きませんでしたが、表彰台にも立つことができ、手応えのある大会だったという認識です。育成枠のライダーではありますが、2年目の終盤にあり表彰台に立てるポジションも走るところまで来ているので、SUGOについてはより結果にこだわり、チームとしてもしっかり準備していきたと思います。最後になりますが、感染者数は減少傾向にあるとはいえ、コロナ禍で大会を開催してくださった大会関係者、熊本県の皆様、またレース観戦に来てくれたファンの皆様に感謝します。次回のSUGOでもチームとして感染対策に取り組みながら、期待に添える結果を目指して全力を尽くしますので応援のほどよろしくお願いします」
bLU cRU TEAM KOH-Z
大倉由揮選手談(IA2:3位/DNF/4位:総合6位)
「SUGO大会の次が地元の名阪だったので、しっかり乗り込んで準備をしてきたのですが中止になってしまいました。そこから切り替えて九州に向けてはスタートを中心にトレーニングしてきました。残念ながらスタート自体はあまり良くありませんでした。また、岸選手を抜けなかったことが証明している通り、走り出しの速さがなかったのですが、トータルで見ればスピードも上がった感触があり、とても楽しく走れました。ヒート3では2位に上がったあとに転倒しましたが、その時もトップの古賀選手に近づいている感触があったほどです。調子も上向いているし力もあると信じているので、SUGOでは序盤のスピードを意識して1周目からトップ争いに絡んいきたいと思います」
本田七海選手談(レディス:3位)
「インターバル中に膝を怪我してしまいましたが、今大会には出場することができました。その中で3位には入れましたが、やはり満足できる結果ではありません。スタートで遅れながら2番手まで追い上げ、トップとの差を縮めることもできていました。しかし後半に疲れが出てくるところで、気持ち的に踏ん張り切れませんでした。もう少し我慢できればという反省があります。まだ今年は1勝もできていないし、ライバルの連勝は止まりましたが、自分が止めたかった部分もあるので、SUGOは勝つことしか考えていません。最後まで何があるか分からないので、チャンピオンも諦めず、引き続き全力で臨みます」