全日本モトクロス選手権 IA
ヤマハの参戦ライダー、マシンなど全日本モトクロス選手権 IAに関する情報をお届けします。
Rd.09 10月20日 MFJGP(SUGO)
RACE DATA
■大会名称:2013全日本モトクロス選手権 第9戦MFJGP(SUGO)大会
■カテゴリ:IA1クラス
■開催日:2013年10月20日(日)
■会場:スポーツランドSUGO(宮城)
■レース:30分+1周 ×2ヒート
■天候:雨 ■観客数:3,870人
REPORT
シーズン最終戦を迎えた2013年全日本モトクロス選手権。すでにチャンピオンが決定しているIBオープンクラスを除いた4クラスがこの最終戦でチャンピオンを決する。ヤマハは上位4名がわずか12ポイント差という混戦のIA1クラスで「ヤマハ・YSP・レーシング・チーム」の平田優が、レディースクラスは安原さや(名阪レーシング)、IB2は大久保滉太(Team KOH-Z)が、それぞれの自身初のチャンピオンをかけて決勝に臨んだ。なお、平田のチームメイトである田中教世は、怪我のためこの最終戦を欠場した。
IA1:平田優がランキング3位でシーズンを終了
決勝は朝から雨となり、公式練習の時点で路面はウエット。その後も雨は降り続き、IA1第1ヒートはマディコンディションでレースが行われた。そのスタートでは、平田が抜群のスタートを切りトップで2コーナーを抜け、これに熱田孝高(スズキ)、成田亮(ホンダ)、そしてモトクロス世界選手権の参戦ライダー、M・ナグル(ホンダ)、E・ボブリシェフ(ホンダ)が続く。
好スタートを切った平田ではあったが、序盤に5番手まで後退するもトップグループの最後尾でレースを展開。そのトップ争いはナグル、ボブリシェフが序盤で抜けだし、そのまま2人が独走して、ナグル、ボブリシェフの順でチェッカーを受ける。
一方3位争いは、成田、熱田、平田の3人にしぼられる。この中で平田は、熱田をかわして4番手に浮上し、さらに成田の背後につくと熱田を引き離して成田とのマッチレースに持ち込む。しかし、何度も成田の背後に迫りながらも攻略できず、日本人では2番手となる4位でチェッカーを受けた。
ランキングは、トップの小島庸平(スズキ)が12 位、2位の小方誠(ホンダ)が5位となったため、第1ヒート終了時点で、トップ小方(326P)、2位小島(324P)、3位成田(323P)、そして4位平田(322P)と、わずか4ポイントの中に4人がひしめく混戦となり、チャンピオン決定は第2ヒートに持ち込まれた。
第2ヒートは、降り続いた雨の影響で、さらに厳しいコンディションでのレースとなった。そのスタートで平田は遅れてしまい9番手で1周目を終了。しかし序盤のうちに6番手まで順位を上げ、さらに6周目には5番手とする。ところが7周目に転倒して後退、10番手まで順位を下げてしまうが、この後も諦めることなく最後まで走り切り、8位でゴールしてランキング3位でシーズンを終えた。
一方の上位陣も、目まぐるしく順位が変動。序盤からトップを独走していた成田が転倒、変わって2番手のナグルがトップに立つ。また3番手を走行する小方を熱田が捉え、さらに熱田は成田をも捉えて2番手となるが、その熱田も転倒して後退すると、2番手成田、3番手小方となり、このままゴールを迎えれば小方チャンピオンという状況となる。しかし、レース終盤、後方から追い上げてきた新井宏彰(カワサキ)が小方を逆転し、ナグル、成田、新井、小方の順でチェッカー。これにより成田がシリーズチャンピオンを獲得した。
また、過去ヤマハのファクトリーライダーとして、またYZの開発ライダーとして長年活躍してきた尾崎友哉が、この最終戦を持って引退することを発表。今後はYZ開発ライダーとしてモトクロスに関わることとなる。
IA2クラス:安原志が総合4位、渡辺が総合5位を獲得
田中雅己(ホンダ)のホールショットでスタートした第1ヒート。YZ250Fを駆る渡辺祐介(チームピットイン)は、3番手でスタートするも1周目に転倒。安原志(名阪レーシング)も出遅れ、3周目には安原が15番手、渡辺が18番手となる。しかし、2人ともに序盤から積極的な追い上げを見せ、後半までに安原は9番手、渡辺は10番手まで挽回。安原はその後も順位を上げて8位でフィニッシュ、渡辺もこれに続く9位となった。なお、優勝は山本鯨(ホンダ)、2位は富田俊樹(ホンダ)、3位は竹中純矢(カワサキ)となった。
雨脚も強まり完全なマディコンディションで行われた第2ヒート。安原が序盤から好位置に付け、2周目に5番手とすると、そのままポジションを保ってレースを進める。その後、3番手のライダーがアクシデントで後退し4番手にポジションを上げると、そのまま4位でフィニッシュし総合4位。また渡辺は、序盤の12番手から着実に順位を上げ5位、総合でも5位とし、初の国際A級シーズンを終えた。
なお、優勝は第1ヒートに続き山本、2位は須田純(カワサキ)、3位は富田となり、3位を獲得した富田が初のチャンピオンとなった。
レディースクラス:安原がチャンピオンに迫るも、およばずランキング3位
竹内優菜(ホンダ)138P、邵洋子(スズキ)135P、そして安原さや134Pという順位・ポイントで迎えた最終戦。安原はこの重要なレースのスタートで転倒というアクシデントに見舞われ、いきなり大きなビハインドを背負う。しかし、わずか1周で9番手に浮上、ライバルの竹内は6番手と射程圏内、さらに邵は13番手とリードした状況を作る。さらにその後も難しいマディコンディションの中でハイペースを保ち順位を上げた安原は、4周目には畑尾樹里(カワサキ)、川村真理子(KTM)に続く3番手に浮上し、チャンピオン獲得に向けて大きく前進を遂げる。ところがラストラップ、安原にアクシデントが発生し、4番手にいた邵にかわされ、その邵が3位でフィニッシュ。これにより邵がチャンピオンを獲得した。一方の安原は6位となりチャンピオンに一歩届かなかった。
IA1 RESULT Heat.1
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・ナグル | Honda World Motocross Team | Honda | 33'41.668 |
2 | E・ボブリシェブ | Honda World Motocross Team | Honda | 33'51.096 |
3 | 成田 亮 | TEAM HRC | Honda | 34'35.512 |
4 | 平田 優 | YAMAHA YSP Racing Team | Yamaha | 34'40.853 |
5 | 小方 誠 | TEAM HRC | Honda | 35'05.300 |
6 | 熱田 孝高 | Team SUZUKI | Suzuki | 35'32.337 |
7 | 星野 裕 | グリーンクラブ&パーク神戸RT | Kawasaki | 35'36.491 |
8 | 新井 宏彰 | K・R・T | Kawasaki | 35'44.047 |
9 | 深谷 広一 | TEAM MOTO SPORTS FUKAYA | Honda | 35'53.688 |
10 | 星野 優位 | SEKI Racing MotoRoman&KBF-RS | Honda | 35'58.537 |
11 | 増田 一将 | Team CRF & Kazu Racing Project | Honda | 33'54.213(-1Lap) |
12 | 小島 庸平 | Team SUZUKI | Suzuki | 34'57.099(-1Lap) |
13 | 北居 良樹 | KTMうず潮レーシング福山 | KTM | 35'03.353(-1Lap) |
14 | 三原 拓也 | K・R・T | Kawasaki | 35'16.587(-1Lap) |
15 | 沼田 誠司 | グリーンクラブJUDGEMENT | Kawasaki | 35'51.946(-1Lap) |
16 | 池谷 優太 | Team SRM with マウンテンライダーズ | Suzuki | 36'03.619(-1Lap) |
17 | 尾崎 友哉 | RIDEZ Muc-Off YSP HO | Yamaha | 34'17.628(-2Laps) |
18 | 鈴木 正明 | 秀明道場 | Suzuki | 35'07.953(-2Lap) |
19 | 鎌倉 大樹 | レーシングチーム鷹 | Yamaha | 35'21.168(-2Laps) |
20 | 小林 雅裕 | KUMAMOTO 緑陽会熊本レーシング | Honda | 36'22.624(-2Laps) |
21 | 桒垣 竜斗 | KTMうず潮レーシング福山 | KTM | 36'17.154(-3Laps) |
22 | 佐々木 雅規 | ENAGYーX | Honda | 36'35.864(-3Laps) |
23 | 中村 泰介 | RACING TEAM MIKURAwith ALL-ONE | Yamaha | 33'47.624(-4Laps) |
IA1 RESULT Heat.2
順位 | ライダー | チーム | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | M・ナグル | Honda World Motocross Team | Honda | 37'08.796 |
2 | 成田 亮 | TEAM HRC | Honda | 38'37.375 |
3 | 新井 宏彰 | K・R・T | Kawasaki | 38'41.839 |
4 | 小方 誠 | TEAM HRC | Honda | 39'03.543 |
5 | 熱田 孝高 | Team SUZUKI | Suzuki | 39'26.556 |
6 | 増田 一将 | Team CRF & Kazu Racing Project | Honda | 40'03.786 |
7 | 星野 裕 | グリーンクラブ&パーク神戸RT | Kawasaki | 41'10.145 |
8 | 平田 優 | YAMAHA YSP Racing Team | Yamaha | 37'24.558(-1Lap) |
9 | 北居 良樹 | KTMうず潮レーシング福山 | KTM | 38'54.193(-1Lap) |
10 | 三原 拓也 | K・R・T | Kawasaki | 44'00.308(-1Lap) |
11 | 小林 雅裕 | KUMAMOTO 緑陽会熊本レーシング | Honda | 37'51.769(-2Laps) |
12 | 小島 庸平 | Team SUZUKI | Suzuki | 39'54.054(-2Laps) |
13 | 尾崎 友哉 | RIDEZ Muc-Off YSP HO | Yamaha | 40'44.439(-2Laps) |
14 | 中村 泰介 | RACING TEAM MIKURAwith ALL-ONE | Yamaha | 37'26.753(-3Laps) |
15 | 沼田 誠司 | グリーンクラブJUDGEMENT | Kawasaki | 38'16.026(-3Laps) |
16 | 星野 優位 | SEKI Racing MotoRoman&KBF-RS | Honda | 38'34.598(-3Laps) |
17 | 鈴木 正明 | 秀明道場 | Suzuki | 39'34.383(-3Laps) |
18 | 池谷 優太 | Team SRM with マウンテンライダーズ | Suzuki | 39'56.289(-3Laps) |
19 | 桒垣 竜斗 | KTMうず潮レーシング福山 | KTM | 40'37.174(-3Laps) |
20 | 鎌倉 大樹 | レーシングチーム鷹 | Yamaha | 34'50.275(DNF) |
IA1 RIDERS RANKING
順位 | ライダー | マシン | ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田 亮 | Honda | 350 |
2 | 小方 誠 | Honda | 349 |
3 | 平田 優 | Yamaha | 340 |
4 | 小島 庸平 | Suzuki | 338 |
5 | 熱田 孝高 | Suzuki | 313 |
6 | 星野 優位 | Honda | 241 |
11 | 田中 教世 | Yamaha | 187 |
14 | 尾崎 友哉 | Yamaha | 138 |
19 | 鎌倉 大樹 | Yamaha | 63 |
21 | 中村 泰介 | Yamaha | 42 |
COMMENT
平田優選手談(4位/8位:総合6位)
「いつもと変わらず、テストと練習を重ねて臨んだ最終戦。自分には失うものはなく、本当にいつも通り、ベストを尽くすという気持ちでレースに臨みました。第1ヒートは5番手に後退した後、リズムを取り戻し、3番手の成田選手に背後まですぐに取り戻せたのですが、何度も迫りながら、自分のミスもあったし、勝負する場所を見つけることができず4位。第2ヒートは、ポイントを意識する状況でしたが、周りがとても気を使ってくれ、平常心で迎えることができました。しかし、スタートではゲートオープンのタイミングから遅れ、それが響いてしまい9番手で1周目を終えました。ただそこからは、自分が後悔するような走りだけはしたくなかったのでプッシュしたし、転倒した後も諦めることなく走りました。結果は8位でしたが、決して後悔するような走りではなかったと思っています。今シーズンは、チームのスタッフ全員がマシンも環境もとても良いものを整えてくれ、自分はストレスなく、走ることだけに集中してレースに臨むことができました。また、自分をもり立てるために応援してくれた多くのファン、そしてYSPの監督の皆さんの存在も非常に大きな支えでした。そうしたすべてのことをふまえ、最後にみんなで笑うことができなかったことは悔しい気持ちでいっぱいです」
千葉達士監督談(YSP弘前店長)
「今日は、雨の影響で非常に厳しいコンディションの中でのレースでした。さらに、チャンピオン争いについては、第1ヒートを終え、トップから平田選手まで4ポイント差という状況となり、とても大きな緊張感の中でレースを迎えたと思います。結果はランキング3位となりましたが、最後まで諦めることなく走り切った平田選手に感謝の気持ちでいっぱいです。また、シーズンを振り返ると、初優勝をはじめ新チームに勢いを与えてくれるなど、田中選手とともに、いろいろな刺激をもたらしてくれました。まだ、チームとしては成長過程であり、今後の伸び代も見えているので、来年はさらに良い成績を残してくれることが期待されます。最後になりますが、現在のモーターサイクルレースは、TVなどメディアに登場することが少なくなりました。しかし、我々のレース活動を通じて、エキサイティングな戦いが繰り広げられていることを多くの人に知ってもらい、その結果、二輪に多くの人が興味を持っていただけるとうれしい限りです」