アジアロードレース選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどアジアロードレース選手権に関する情報をお届けします。
Rd.02 4月21-22日 オーストラリア
RACE DATA
■大会名称:2018アジアロードレース選手権第2戦オーストラリア
■カテゴリ:SS600・AP250
■会場:ベンド・モータースポーツ・パーク(4.95km)
【レース1】
■開催日:2018年4月21日(土)
■コースコンディション:ドライ
SS600クラス
■周回数:中止
■PP: Yuki Ito (1'56.591/Yamaha)
AP250クラス
■周回数:9周
■PP: Rheza Danica Ahrens (2'08.039/Honda)
■FL: Mario Suryo Aji (2'07.705/Honda)
【レース2】
■開催日:2018年4月22日(日)
■コースコンディション:ドライ
SS600クラス
■周回数:8周
■PP: Yuki Ito (1'56.591/Yamaha)
■FL: Kasma Daniel Kasmayudin (1'56.716/Yamaha)
AP250クラス
■周回数:7周
■PP: Rheza Danica Ahrens (2'08.039/Honda)
■FL: Mario Suryo Aji (2'07.285/Honda)
REPORT
SS600:レース2で#76 Itoが今季初優勝&ヤマハライダーが表彰台独占!
Race 1
開幕戦から約1ヶ月半、今シーズンから新しく加わったオーストラリアラウンドが、南部に位置する都市、アデレード郊外にあるベンド・モータースポーツ・パークにて4日間という長いウィークで行われた。
YAMAHA RACING TEAM ASEANの#76 Yuki Ito&R6は初日から好調をキープ。新型R6での初レースとなった開幕戦からライダー、マシンともに着実に進化していることを証明し、3回行われたフリー、そして予選のすべてでトップタイムを叩き出し、ポールポジションを獲得。他を圧倒するパフォーマンスを見せつけた。一方の#64 Keminth Kuboは、2本目のフリーまで常に好位置につけて来たが、予選の前に行われた3本目のフリーで転倒。これでリズムを崩し予選は12番手となった。
迎えたRace1、#76 Itoはこの勢いのままに序盤3番手につけると3周目にはトップに立ち後方をグイグイと引き離していった。ところが4周目走行中に転倒。これでレッドフラッグが提示され再スタートとなる。この転倒の影響で#76 Itoは欠場。さらにYamaha Thailand Racing Teamの#24 Decha Kraisartも怪我をしていた右手の手首が思わしくなくキャンセルとなった。
そしてレースは9周で再スタートしたが、スタートから数周で再びクラッシュが発生しレッドフラッグ。これでレース自体が中止(順位はつかず)となった。
Race 2
昨日、転倒によりメディカルチェックが課せられた#76 Itoは、これをクリアすると、メカニックたちの懸命の作業で復活したR6とともにグリッドの先頭に立った。スタートは3番手。しかし、このウィークをパーフェクトに進めてきた#76 Itoは1周目でトップに立つと、昨日同様、レースをコントロールし優勝に向け周回を重ねた。ところが4周目走行中、今度はライバルの転倒でレッドフラッグが提示され、振り出しに戻ることとなった。
8周での再スタートは、#127 Kasma Daniel Kasmayudin(Hong Leong Yamaha Malaysia)、#56 Ratthapong Wilairot(Yamaha Thailand Racing Team)、#76 Itoが3番手とR6勢が好スタートをきる。
#76 Itoは3周目に#56 Wilairotをかわし#127 Kasmayudinのテールにつくとプレッシャーをかける。すると4周目に#127 Kasmayudinがコースアウト。これでトップに立った#76 Itoは、#56 Wilairotを引き離して独走。最後まで危なげない走りでトップを守り、レース1のアクシンデントを乗り越え、また開幕戦から確実な進化を見せて、今シーズン初優勝を飾った。
その後方では、ヤマハR6でわずか2大会目の#56 Wilairotがこちらも3位以下を大きく引き離して2位でフィニッシュ。さらに、7番手あたりからスタート、今年からHong Leong Yamaha Malaysiaより参戦する#32 Md Ramdan Rosliが、SS600のトップライダーたちを次々に抜き5周目に3番手に浮上すると、こちらも4番手以下を引き離して3位とし、ヤマハライダー&R6が表彰台を独占した。
また#76 Itoのチームメイトである#64 Kuboは、1本目のレッドフラッグ前に、不運にも他車の転倒が目の前で発生しポジションダウン。これにより13番グリッドから再スタートとなったが、確実に挽回し5位。さらに序盤、トップを走りながらコースアウトした#127 Kasmayudinは復帰し8位と、トップ10にR6が6台という強さでオーストラリアラウンドを終えた。
AP250:#500 Anupabが両レースで4位入賞
Race 1
タイで行われた開幕戦で好成績を残し、このオーストラリアラウンドに臨んだヤマハライダーたち。しかし予選は、#250 Rafid Topan Sucipto(Yamaha Yamalube KYT TJM WR Super Battery)がヤマハ勢最高の4番手、ポイントリーダーの#500 Anupab Sarmoon(Yamaha Thailand Racing Team)が5番手となった。
レースは前半のうちにトップグループが5人に絞られ、この集団に#500 Sarmoonが残るもトップ2のペースが速く先行を許し、後半は3人による3位争いを展開することとなった。#500 Sarmoonはこの第2グループで激しいバトルを展開、4番手にこそ上がれるものの、3番手の牙城を崩すことができない。そして勝負の最終ラップは5番手で迎えるも、最終コーナーの直前で4番手となり3位を目指したが、一歩及ばず4位でチェッカーとなった。
またAP250ルーキーの#96 Anggi Setiawan(Yamaha Yamalube KYT TJM WR Super Battery)が7位、#250 Suciptoが8位、#901 M.Faerozi(Yamaha Racing Indonesia)が9位、そして#50 Ahmad Afif Amran(CKJ Yamaha Racing Team)が10位となり、トップ10に5人のヤマハライダーが入った。
Race 2
序盤はヤマハ勢が好スタートから上位をキープする展開となったが、すぐにライバル勢も反撃。#500 Sarmoon、#250 Sucipto、#50 Ahmad Afif Amran(CKJ Yamaha Racing Team)、#96 Setiawanがこれに対するが、トップ2には逃げられ、レース1と同様に3番手争いを繰り広げることとなったが、ここでもヤマハライダーたちは優位にレースを展開することができない。
その中でも#500 Sarmoonは3位表彰台を目指し懸命にマシンをプッシュ。ところが8周目に赤旗が提示されこれでレースが終了・成立となったため最後に勝負ができず、7周目の成績がリザルトとなり#500 Sarmoonは4位、また#96 Setiawanが6位と表彰台には届かなかった。
UB150:レース1・2で連勝、トータル5つの表彰台をゲット
Race 1
トップグループが序盤のうちに5台に絞られる展開となり、Yamaha Racing Indonesiaの#60 Wahyu Aji Trilaksanaをはじめ、3人のヤマハライダーが残った。例のごとくレースを決したのが最終ラップとなり、もつれるように最終コーナーに突入すると、この混戦を制したのが#98 Md Izzat Zaidi(RCB Yamaha YY Pang Racing)。開幕戦のレース1に続き、今シーズン2勝目を獲得した。そして#60 Trilaksanaは、2位に0.021秒という僅差で3位となった。
Race 2
ヤマハ勢が完璧な勝利を収めた。序盤からヤマハ勢が攻勢でトップ10のうち8台がヤマハという状況となるが、UMA Racing Yamaha Maju Motor Asia Teamの#26 Md Haziq Md Fairuesとライバルが抜け出し、後方を引き離してマッチレースとなった。この中で#26 Fairiesは2番手でレースを進めるが、5周目にライバルがトラブルで後退すると独走で勝利。その後方ではチームメイトの#123 Mckinley Kyle Pazが集団から抜け出し単独走行で2位。そして3位には同じくチームメイトの#13 Md Akid Azizが最終コーナーの混戦から抜け出して3位に入り、UMA Racing Yamaha Maju Motor Asia Teamの3人が表彰台を独占するとともに、ヤマハは2レースで5つ表彰台を獲得する圧倒的な強さを見せることとなった。なお、#60 Trilaksanaはレース後半、ブレーキングで他車と接触し転倒リタイアとなった。
次回、第3戦は日本大会が、6月1日から3日間、鈴鹿サーキットでにて開催される。
SS600 RESULT Race.1
SS600 RESULT Race.2
SS600 RIDERS RANKING
AP250 RESULT Race.1
AP250 RESULT Race.2
AP250 RIDERS RANKING
COMMENT
YAMAHA RACING TEAM ASEAN
#76 Yuki Ito(SS600:-/優勝)
「レース1の転倒は、コーナーに小さなギャップがあるのですが、そこに乗った瞬間に強風が吹いて転倒してしまいました。幸い、バイクも自分自身も大きなダメージはなかったのですが、トップを走っていただけに残念ですね。レース2は、トップに立ったところで赤旗が出て気持ち的に厳しい状況になり、次の再スタートまでに気持ちを作り直すことが難しかったのは事実です。だから序盤の3番手走行中は、丁寧な走りを心がけ様子を見ながら進めました。2番手に上がりKasma選手の背後についてからはペースが速く、"まずい"という意識もありましたが、彼もプッシュし消耗が見え始めていたし、ミスもあって落ち着いて走ることができました。次の鈴鹿ですが、昨年はダブル2位と悔しい結果だったので、ポールポジションを獲得しダウブルウィンで、タイトル獲得に向け波に乗っていきたいと思います」
#64 Keminth Kubo(SS600:-/5位)
「グリッドは12番手とかなり厳しい状況だったので、とにかく考えていたのは前に行くことだけでした。レースでは3周目にミスがあり、もう少しでコースアウトしてしまいそうなところまでいったのですが、それ以外はうまくできたし、自分としては最高の成績となりました。たらればですが、そのミスがなければ表彰台も狙える走りができていたと思います。全日本やこのARRCでの成績を見ると確実に力も自信もつきはじめています。鈴鹿ではセッティングなどしっかりと準備できれば、十分に表彰台を狙えるところにいると考えています。ぜひ、期待していてください」
Yuji Saiki監督
「決勝までの全セッションでIto選手がトップタイムをマーク。Kubo選手はFP3で転倒してリズムを崩し、予選結果は12番手となりましたがタイムは決して悪くありませんでした。これらを総合すると、開幕戦で見つけた課題を確実に解消し、勝負できるマシンに仕上がっていることを確認できました。だからこそレース1は期待を持って臨みましたが強風、路面温度の低下などによりコンディションが悪化したのでしょう。トップを独走していたIto選手が転倒するなど、2回の赤旗でレースが中止となりました。
レース2は、まずIto選手が荒れたレースながら前半でトップに立って、後続との距離をコントロールしながら危なげなく優勝。Kubo選手は中断前のレースで他車のクラッシュを避けるためポジションを落としグリッドはよくなかったのですが、トップと遜色ないレースペースで5位まで挽回し、次に繋がるレースになりました。
このチームの目標の一つであるタイトル獲得に向けては、鈴鹿での連勝が重要です。Ito選手はこれを成し遂げることが役割ですが、Kubo選手はレースウィークの中の流れを崩さず、着実にレースに向けて前進していくための方法を学び、確立できるようにサポートし、チームとして競争力を高めていきたいと思っています。
一方で、我々にはR6のポテンシャルの高さを示すというミッションもありますが、今回、表彰台を独占し、まさにスタンダードR6の強さを証明することができました。次の鈴鹿もヤマハトータルで高い戦闘力が発揮できるよう支援していきます」
Yamaha Thailand Racing Team
#56 Ratthapong Wilairot(SS600レース2:2位)
「まず、私自身、そしてヤマハにとっても重要な2位表彰台という成績を収めることができてとってもうれしいです。やはり、今年から本格的に導入された新型のR6の競争力がとても高く、2戦目にしてこうした成績を収めることができたのだと思います。このような機会をもらい、こうして成績を収めることができたことに対し、Yamaha Thailand Racing Team、そしてヤマハなど、たくさんのサポートに感謝しています。次の鈴鹿ラウンドはR6では初のレースになりますが、すでに高い競争力を持っていることはわかっているので、貪欲に表彰台を狙っていきます」
Theerapong Opaskornkul, Senior General Manager of Sales & Marketing Support
「Ratthapong選手は、今大会は予選7番手でレースに臨みましたが、このチームに入り、またR6に乗ってわずか3レース目ですが、早速、チームとマシンに適合し大きな進歩を遂げてくれました。レース1は赤旗で中止となってしまいましたが、レース2では赤旗ができるまで、また再スタート後も表彰台圏内でレースをすすめ2位表彰台をゲット。高い能力と強いハートを見せてくれました。Ratthapong選手はタイの若いライダーのなかでトップライダーにあることを証明するとともに、次回の鈴鹿を含めて今後もさらなる進化を見せ、表彰台を取り続けてくれることでしょう」
Hong Leong Yamaha Malaysia
#32 Md Ramdan Rosli(SS600レース2:3位)
「この成績には驚いているというのが正直な感想ですが、やっぱりとてもうれしいですね。というのもマシンにトラブルを抱えていた状況だったからです。そうした中で最後までチームはベストを尽くしてくれましたし、僕自身もチェッカーを受けるまで全力で戦った結果がこの成績に繋がったのだと思います。次回の鈴鹿は昨年に続き2回目になりますので、フリー、予選、レースと100%の力を発揮して今回のようなリザルトを目指します」
Sean Wong Hong Siongチームマネージャー
「実はマシンの方に小さいながらも問題を抱えていた状態だったので、Ramdan選手の成績には驚いています。今回はRamdanが表彰台を獲得してくれましたが、チームメイトのKasma選手もまたトップを走るなど、チームとして飛躍のきっかけになるレースだったと感じていますし、ヤマハ全体の好成績に貢献できたことをうれしく思います。しかし、まだ2人とも成長過程にいます。次の鈴鹿でも再び進化を示し、より良いリザルトを残していきたいと思います」