スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.10 9月24-26日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権 第10戦スペイン
■開催地:スペイン/ヘレス(4.423 km)
レース1
■開催日:2021年9月26日(日)
■周回数:20周(88,460 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:22度
■路面温度:29度
■PP:T・ラズガットリオグル(YAMAHA/1分38秒512)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分39秒837)
レース2
■開催日:2021年9月26日(日)
■周回数:20周 (88,460 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:28度
■路面温度:45度
■PP:T・ラズガットリオグル(YAMAHA/1分38秒512)
■FL:S・レディング(Ducati/1分40秒776)
REPORT
ラズガットリオグルが、レース1・レース2ともに優勝しリードを拡大
Pata Yamaha with Brixx WorldSBKのT・ラズガットリオグルが、スペインはヘレス・サーキットで開催された第10戦のレース1とレース2で優勝を果たした。
前日午後のWorldSSP300においてディーン・ベルタ・ビニャーレスが多重事故後に亡くなったことを受けて、レース1とレース2が同日に実施され、スーパーポール・レースは中止となった。重苦しい雰囲気のなかで行われた両レースでラズガットリオグルは優勝。Pata Yamaha with Brixx WorldSBKはディーンの家族、友人、チームに対し、心から哀悼の意を表する。
ラズガットリオグルはWorldSBK自己通算50戦目となるレース1をポールポジションからスタートし、チャンピオンシップのライバル、J・レイ(カワサキ)との激しいバトルを制してトップでチェッカー。続いて行われたレース2ではスタート・トゥ・フィニッシュが実現するかに見えたが、終盤で猛追したS・レディング(ドゥカティ)が一時、先行。最終ラップで再びトップを奪い返してダブル・ウインを達成した。
チームメイトのA・ロカテッリも好調ぶりを見せて両レースで4位を獲得。ルーキーながら、すでに上位争いの常連となっており、今回も表彰台まであとわずかと迫っている。
この結果、ラズガットリオグルはチャンピオンシップのリードを20ポイントに拡大。ヤマハはコンストラクターズ・ランキングで15ポイント、Pata Yamaha with Brixx WorldSBKはチーム・ランキングで48ポイントをリードしてそれぞれトップをキープしている。
GRT Yamahaのガーロフが両レースでトップ10獲得
GRT Yamaha WorldSBK TeamのG・ガーロフが両レースで10位。チームメイトの野左根航太はレース1で13位を獲得したあと、レース2は転倒リタイアとなった。
GRT Yamaha WorldSBK Teamは、前日のSupersport300におけるディーン・ベルタ・ビニャーレスの悲報に接し、彼の家族、友人、チームのみなさまに心から哀悼の意を表する。
ガーロフはウォームアップで3番手と好調だったが、レース1とレース2は、いずれもスタートで出遅れて苦しい展開。懸命に追い上げで挽回を図るも、本来のポテンシャルを発揮しきれないまま10位でゴールした。
一方の野左根は、走るたびに着実に進化しながら少しずつトップ10争いへと近づいてゆく。ウォームアップでは1分41秒136の15番手に留まったが、レース1は16番グリッドからスタート後、E・ラバティ(ドゥカティ)と激しいバトルを展開して13位でフィニッシュ。続くレース2では1ラップ目で一気に12番手まで上がったが、第6コーナーで転倒してそのままリタイアとなった。
この結果、ガーロフはチャンピオンシップ・ポイントを合計170ポイントに伸ばしてランキング8位に再浮上。野左根は合計46ポイントのランキング14位につけている。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
レース1/レース2
Pata Yamaha with Brixx WorldSBK
T・ラズガットリオグル選手談(優勝/優勝)
「通常の状態なら非常に素晴らしい結果と言うことができますが、今回ばかりはハッピーな気持ちにはなれません。昨日の悲劇を思い出し、悲しくなるばかりです。レース1ではセッティングの改良によりレイ選手とのバトルを制することができました。レース2の前にさらに改良して臨みましたが、暑さのせいでフィーリングはあまり上がっていませんでした。誰もが同じ状況だったと思いますが、マシンのスライドがひどかったのです。今回はレディング選手と競り合い、終盤は彼が素晴らしい強さを見せましたが、私も全力で応戦して最後は打ち勝つことができました。いつも言っているように、レースではチャンピオンシップのことは考えていません。ただ毎回のレースに集中し、優勝を狙っています。次のポルティマオも同様です。しかし最終戦となるインドネシアではチャンピオンシップを考え始めるかもしれませんね! レイ選手は本当に手強くて、ポルティマオでも非常に速いのですが、私はまた勝利を目指していきます。好きなコースですし、路面が新しくなっていますし、マシンもますます好調なので楽しみです」
A・ロカテッリ選手談(4位/4位)
「最終的には良い結果になったと思います。両レースで表彰台を逃して悔しい気持ちでいっぱいだったのですが、ウイーク初日にマシンのフィーリングが得られず苦労したことを考えれば喜ぶべき結果と言えるでしょう。昨日のレースが中止になったことは正しい決断だったと思います。今日は2レースが行われ、そのなかで私は強さと速さを増していくことができました。レース1ではトップグループを目指していたのですが、思い通りにはいきませんでした。レース2はフィーリングが少し落ちていて上位争いに加わることはできませんでしたが、どちらもパフォーマンス自体は悪くなかったですし、今後につながるいい戦いができたと思っています。経験を重ねるごとにチャンスも増えており、次のポルティマオにも期待しています。同時にチームのみんなの素晴らしい仕事に心から感謝しています。また最後になりましたが、ディーン・ベルタ・ビニャーレスの友人と家族の皆さまに心からお悔やみを申し上げます」
P・デニング、チーム代表談
「昨日の悲劇的な事故が影を落としており、今日の好成績を喜ぶことができません。私はPata Yamaha with Brixx WorldSBKチームを代表し、ディーン・ベルタ・ビニャーレスの家族、友人、チームの皆さまに心から哀悼の意を表します。昨晩はラズガットリオグル選手もロカテッリ選手も非常に感傷的になっていたので、今日のレースへの取り組みを心配していましたが、ふたりはシールドを下げるや自分の仕事に集中していきました。ラズガットリオグル選手はただただ素晴らしい走りを見せました。ロカテッリ選手も両レースで表彰台に迫る見事な戦いぶりでした。ウイーク初日の金曜日には、ふたりともペースとフィーリングに苦しんでいたのですが、エンジニアとチームの素晴らしい仕事が事態を好転させ、ポールポジションとダブル・ウインにまで導いてくれたのです。しかし私たちは常に地に足を付け、次のレースに集中していきます。ポルティマオでもベストを尽くします」
GRT Yamaha WorldSBK Team
G・ガーロフ選手談(10位/10位)
「GRT Yamaha WorldSBK Teamの全員が、昨日のWorldSSP300で起きた事故に大きな衝撃を受けています。ディーン・ベルタ・ビニャーレスの家族を思い、一日も早くこの悲しみから立ち直ってくれることを祈っています。彼らが今日のレース開催を望んだことは、そのレーシング・スピリットの表明であり、私たちはディーンへの賛辞としてこの一日を過ごしました。レースは私にとって非常に厳しい展開となり、2レースともオープニングラップでいい走りができず、後方からの追い上げを強いられました。そしてようやく集団の先頭に出たころには、ライバルたちから遠く離されていたのです。このように今回は残念な結果となりましたが、1週間後にまたレースがあるので、さらなる進化を目指してベストを尽くします」
野左根航太選手談(13位/DNF)
「悲しい事故が起きてしまい、昨日と今日は誰もが辛い気持ちを抱えていました。しかし私たちはこのスポーツの危険性を認識しており、今日はディーン・ベルタ・ビニャーレスの思い出を胸にレースを続けました。レース1はスタートで大きく出遅れてしまい、オープニングラップで順位を上げることができませんでした。コンスタントに1分41秒台が出ていたのでペースは決して悪くなかったのですが、ラバティ選手をとらえるのは予想以上に大変で、一度は何とか前へ出たものの、そのあとすぐにミスをして、また抜き返されてしまいました。そして最終ラップでもう一度、仕掛けていきましたが、このときはコーナーで大きくはらんでしまい、結局、抜き切ることができませんでした。それでも、彼とバトルできたことは良かったと思っています。レース2は調子が上がっていました。スタートも、その後のペースも順調で、いいバトルができたのですが、第6コーナーでミスして転倒。結果は残念なものとなりましたが、来シーズンに向けて、これもいい経験になるでしょう。次のポルティマオは初めて走るコースなので決して簡単ではありませんが、一歩一歩、前進していきたいと思っています。このところの2大会はペースも良くなっています。次も、さらに上を目指します」