スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.09 9月17-19日 カタルニア
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権 第9戦カタルニア
■開催地:スペイン/カタルニア(4.657 km)
レース1
■開催日:2021年9月18日(土)
■周回数:20周 (93,140 Km)
■コースコンディション:ウエット
■気温:23度
■路面温度:26度
■PP:T・サイクス(BMW/1分40秒408)
■FL:S・レディング(Ducati/1分56秒166)
スーパーポールレース
■開催日:2021年9月19日(日)
■周回数:5周(23,285 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度
■路面温度:31度
■PP:T・サイクス(BMW/1分40秒408)
■FL:T・ラズガットリオグル(Yamaha/1分41秒493)
レース2
■開催日:2021年9月19日(日)
■周回数:19周 (88,483 Km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:26度
■路面温度:43度
■PP:T・サイクス(BMW/1分40秒408)
■FL:M・リナルデ(Ducati/1分42秒566)
REPORT
ラズガットリオグルが1ポイント差でランキングトップをキープ
レース1
ラズガットリオグルはリタイア、ロカテッリは12位獲得
ウエット・コンディションで行われたレース1で、Pata Yamaha with Brixx WorldSBKのT・ラズガットリオグルとA・ロカテッリはともに苦戦し、それぞれリタイアと12位に留まった。
スーパーポールでは順調に2番手を獲得したラズガットリオグル。レース1はフロントローから絶好のスタートを切り、すぐさまトップに立って第1コーナーへ飛び込んで行く。
一方、2023年までの契約延長を発表したばかりのロカテッリもスーパーポールで6番手と好調。レース1では好スタートからラズガットリオグルと1-2を形成した。しかしその後はコーナー立ち上がりでウエット・コンディションでのグリップ不足に悩まされ、やがて後方集団に飲み込まれる苦しい状況。最終的には12位まで後退してチェッカーを受けた。
トップ争いは、序盤にJ・レイ(カワサキ)がトップに立ち、ラズガットリオグルはA・バッサーニ(ドゥカティ)と2位争いを展開。このなかで徐々に自信を深めたラズガットリオグルは着々と前との差を詰めていき、12ラップ目、第4コーナーでインに飛び込みトップを奪還した。
ところが残り5ラップで突然、電子制御システムに原因不明のトラブルが発生し、トップ走行中にリタイアとなった。
GRT Yamaha WorldSBK Teamの野左根が11位を獲得
GRT Yamaha WorldSBK Teamの野左根航太が、初のフルウエット・レースで11位獲得と健闘。チームメイトのG・ガーロフは午前中のフリープラクティス・セッションでハイペースを見せたが、レース1ではサイティング・ラップで転倒してリタイアした。
野左根はセッションごとに調子を上げ、FP3で15番手、スーパーポールでは1分41秒744を記録して今季最高の12番手を獲得した。
レース1ではいつものうように好スタートを見せてトップ10争いに加わったものの、ウエット・コンディションの経験不足から間もなく後退。それでも周回を重ねるうちに少しずつ自信をつけ、終盤では再びトップ10との差を詰めていった。最後はC・デイビス(ドゥカティ)にわずか0.008秒届かず、11位でチェッカーを受けた。
一方のガーロフはFP3で2番手獲得をしていたが、スーパーポールではそのハイペースを再現することができず、1分41秒405の10番手。さらに雨に見舞われたレースで1はサイティング・ラップで転倒し、スタートすることができなかった。
スーパーポール・レース/レース2
ラズガットリオグルがチャンピオンシップのリードを奪回
Pata Yamaha with Brixx WorldSBKのT・ラズガットリオグルはスーパーポール・レース、レース2ともに2位獲得と健闘した。
前日のレース1ではテクニカル・トラブルによりノーポイントに終わったラズガットリオグル。スーパーポール・レースで2位を獲得したあと、レース2ではライバルのレイが6位に留まったこともあり、レイを1ポイント上回りランキング・トップに返り咲いた。ラズガットリオグルは終始、全力で攻め続け、とくにコーナー進入のブレーキングではスリリングな場面を何度も体験していた。
チームメイトのA・ロカテッリはスーパーポール・レースの再スタート後、第10コーナーでA・ローズ(カワサキ)と接触して転倒リタイア。レース2では序盤でレイと3位争いを展開し、後半はレディングを抑えて順調に周回を重ねていたが、終盤になってリアグリップが低下すると5位に下げてチェッカーとなった。
GRT Yamahaはガーロフ、野左根ともにトップ10フィニッシュ
ドライ・コンディションに恵まれたウイーク最終日、GRT Yamaha WorldSBKのG・ガーロフと野左根航太はそれぞれ7位と10位を獲得した。
ガーロフは午前中に行われたウォームアップで4番手と好調。スーパーポール・レースは10番グリッドからスタート後、8位まで上げてチェッカーを受けた。レース2では一時6位まで上がったあとレイに先行を許し、トップ・サテライトとなる7位を獲得している。
一方の野左根はウォームアップで18番手。スーパーポール・レースでは絶好のスタートからトップ6まで浮上したが、第10コーナーで他車の転倒に巻き込まれてリタイアを余儀なくされた。レース2ではスムースかつ積極的なレース運びで高いポテンシャルを存分に披露。スタートで14番手から8番手まで浮上し、ガーロフの後方につけて上位を目指した。しかしペースではトップグループに及ばず、最終的には10位でチェッカーとなった。
この結果、ガーロフはチャンピオンシップ・ポイントを158ポイントに伸ばし、ライバルとの差を縮めてランキング9位。野佐根は合計43ポイントでランキング15位となっている。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Superpole Race
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
COMMENT
レース1
Pata Yamaha with Brixx WorldSBK
A・ロカテッリ選手談(12位)
「好スタートを切って2番手で第1コーナーに入り初めは好調でしたが、終盤はリアタイヤが激しくスピンして非常に難しいレースになりました。原因はまだわかっていませんが、とにかく最後まで、雨のなかで全力を尽くしたつもりです。コーナー立ち上がりではスロットルを慎重に開けて加速しようとするのですが、スピンするばかりで前へ進んでくれません。残念な結果ですが、悔しさを抑えて状況を把握し、そのあとは今日の出来事を忘れて明日の2つのレースに集中します。私自身は依然としてポジティブな気持ちを維持していますし、今日は多くを学ぶことができました。その上で明日に臨み、もしドライ・コンディションに恵まれれば上位を狙っていけると確信しています」
T・ラズガットリオグル選手談(DNF)
「ウエット・コンディションで、このようなハイペースで走れたのは今回が初めてです。チームが素晴らしいマシンを用意してくれたおかげで、終盤でトップに立つことができました。レイ選手をパスしたあとは、そのままリードを維持し、今日こそは雨のなかで優勝できると考えていたのです。いつもはウエットであまり速くなく、できるだけ上のポジションを目指すだけなので、今日のパフォーマンスには満足しています。今日は誰もがコーナー進入に苦戦し、リアのスライドに悩まされていました。そのなかで私はとてもフィーリングが良く、バッサーニ選手とバトルし、レイ選手をパスしたあとも一緒にペースを上げていきました。この頃には、どのコーナーでスライドするかがわかってきて、グリップを得るためにラインを変えるなど、ますます調子が上がっていたのです。雨は本来、苦手なので、今日の成果には自分でも未だに驚いているほどです。その後のトラブルはもちろん、とても残念ですが、次もベストを尽くし勝利を目指します」
GRT Yamaha WorldSBK Team
野左根航太選手談(11位)
「スーパーポールでは好タイムを記録できましたが、初のウエット・レースとなったレース1は非常に厳しい展開でした。スタートから1ラップ目までは好調だったのですが、難しいコンディションのなかで自信が持てず、少しずつ順位を下げてしまいました。それでも10ラップ以降は、自分のライディング・スタイルを少し変えて対応し、最後までペースを維持して走り切ることができたのはとても良かったと思います。最終ラップは大勢と競り合いになり、デイビス選手に抜かれてしまいました。ほんのわずかの差でトップ10に届きませんでしたが、とてもいいレースだったと思っています。明日は晴れそうなのでもっと上を目指します」
スーパーポールレース/レース2
Pata Yamaha with Brixx WorldSBK
T・ラズガットリオグル選手談(2位/2位)
「2レースとも2位となりました。スーパーポール・レースはアンラッキーで、前を走っていたところでレッドフラッグが振られました。再スタートはわずか5ラップしかなく、あと1ラップあったらレイ選手をパスできたはずですが、残念ながら届きませんでした。でもこのことは気にしていません。それよりも誰も深刻な怪我をしていないことを願っています。
レース2は気温が上がり、グリップ・レベルが落ちて難しい展開になりました。3~4ラップでフロントタイヤの右側がスライドし始め、コーナー進入がうまくできなくなりました。またリナルディ選手をパスしたあとはリアグリップも急激に落ち込んでしまい、後続の追撃もあったため2位争いに集中することになりました。昨日の電子制御システムの不具合を含め、今回はいろいろなことがありました。それでもチームとともに、すべてのレース、すべてのフリープラクティスで着実に進化することができたと思います。彼らには本当に感謝しています。
レースのたびにチャンピオンシップ・ポイントの状況が変化していますが、今日はチームのみんなから、'1ポイント、リードしたよ'と言ってもらえてうれしかったです。毎回、勝利だけに集中しています。次のヘレスも同様です」
A・ロカテッリ選手談(DNF/5位)
「リアタイヤがまったくグリップせず、非常に難しいレースになりました。それでも良かったところも少しあります。スーパーポール・レースでは上位争いに加わることができず悔しい思いをしましたが、レース2では毎ラップ全力でプッシュし続けることができました。今回は、昨日のウエットでのトラブルも含めてあまりラッキーではありませんでしたが、それでも最後のレースを好成績で締めくくれたことに満足するべきでしょう。
次のヘレスとポルティマオも全力で臨みます。着実に速く強くなっていて、上位グループに加われるようになりうれしいです。そして何度も転倒したにもかかわらず、全力で支えてくれたチームにお礼を言います。この素晴らしいチームとの契約を更新し、あと2年ともに仕事ができることを心からうれしく思い、チームのみんなとヤマハとに感謝しています。これからも毎日、毎セッションでプッシュし続け、トップを目指したいと思います」
P・デニング、チーム代表談
「スーパーポール・レースではロカテッリ選手がリタイアし、レース1ではラズガットリオグル選手がノーポイントに終わりました。チームとしては多くのバッドラックに見舞われましたが、今日の午後のメイン・レースでは、ライダー、チームともに本来の実力を見せて完全復活を果たしました。ドゥカティ勢がタイヤ・チョイスに成功し、私たちは残念ながら勝利には届きませんでしたが、ラズガットリオグル選手の20ポイント、ロカテッリ選手のトップから4秒差の5位獲得によって、私たちは胸を張ってこのサーキットを離れることができます。またチームを代表し、チャズ・デイビス選手、トム・サイクス選手、アレックス・ローズ選手の早い回復を祈ります。来週、会えることを願っています」
GRT Yamaha WorldSBK Team
G・ガーロフ選手談(8位/7位)
「トップ・サテライトを獲得することができ、とてもうれしいです。昨日は非常に苦しい展開となりましたが、今日は午前中のウォームアップ・セッションでいい走りができ、そのあとのスーパーポール・レースにつなげることができました。スタートで思うようにポジションから上げられなかったことは残念ですが、展開自体は悪くなかったと思っています。そのあとのレース2では、ついに好スタートに成功し、序盤からいい位置につけることができました。しかしトップグループについて行くにはペースが足りず、少しずつ下げてしまいました。いずれにしても正しい方向へと進んでいることは間違いなく、ここまでの進化に満足しています」
野左根航太選手談(DNF/10位)
「スーパーポール・レースで絶好のスタートを切り、すぐに6番手まで上がることができました。でもそのあと不運にも他車の転倒に巻き込まれてしまったのです。レース2もまたスタートがうまくいって6~7ラップくらいまではとても順調でしたが、周回が進むうちに少しずつ遅れ始め、ポジションを下げてしまいました。とても難しいレースでしたが、シーズン最高の成績を獲得できたことで次のヘレスに向けて大きな自信になりました。ここからさらに上を目指していきます」