スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.08 9月3-5日 フランス
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権 第8戦フランス
■開催地:フランス/マニクール(4.411 km)
レース1
■開催日:2021年9月4日(土)
■周回数:21周 (92,631 Km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:26度
■路面温度:40度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分35秒683)
■FL:T・ラズガットリオグル(Yamaha/1分36秒937)
スーパーポールレース
■開催日:2021年9月5日(日)
■周回数:10周(44,110 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度
■路面温度:33度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分35秒683)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1'37.226)
レース2
■開催日:2021年9月5日(日)
■周回数:21周 (92,631 Km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:28度
■路面温度:48度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分35秒683)
REPORT
ラズガトリオグル優勝、ロカテッリ3位でダブル表彰台
第8戦フランス大会のレース1でPata Yamaha with Brixx WorldSBKのT・ラズガットリオグルが今季7勝目。チームメイトのA・ロカテッリも3位を獲得し、そろって表彰台に上った。
この結果、ラズガットリオグルはチャンピオンシップのリードを5ポイントとしてランキング単独1位、ヤマハはコンストラクターズ・ランキングで9ポイントをリードしてランキング1位に返り咲いた。
スーパーポールではJ・レイ(カワサキ)に0.1秒差の2番手となったラズガットリオグル。スタート直後の混戦を巧みにくぐり抜け、4ラップ目、第5コーナーのヘアピンでレイをとらえてトップに立った。このあとは着実にリードを拡大し、7ラップ目にはPirelli Best Lap Award(ピレリ・ベストラップ・アワード)となる1分36秒937のラップレコードを記録するなど好調に走り続けてトップでチェッカーを受けた。
一方、ここまで5レース連続で4位に留まっているロカテッリ。表彰台獲得を目指して臨んだ今回は、スーパーポール、レース1ともに素晴らしい走りを見せた。
スーパーポールで5番手を獲得し、グリッド2列目からスタート。直後から果敢に攻めて第1コーナーで3番手に浮上したものの、その後の激しいポジション争いのなかで5番手に後退して1ラップ目を終えた。ここから再度、挽回を図るロカテッリは5ラップ目までにM・R・リナルディ(ドゥカティ)との差を詰め、7ラップにわたり激しい4位争いを展開。12ラップ目の第5コーナーで先行し、さらにA・ローズ(カワサキ)のリタイアもあり3位でチェッカーを受けた。
ガーロフが僅差でトップ10を逃す
GRT Yamaha WorldSBK TeamのG・ガーロフと野左根航太は、ともに前日のファステストタイムを大幅に更新する進化を見せた。しかしレース1では思い通りの結果を出せずに終わっている。
ガーロフはFP3で1分36秒709を記録して3番手につけたものの、スーパーポールでは1分36秒926に留まり12番手。レース1はスタートでポジションを下げたあと、すぐさま挽回を試み、ハイペースを維持していたが、トップ10に0.214秒届かず11位でチェッカーとなった。
一方の野左根はセッションごとにペースを上げており、FP3では前日を上回る1分39秒539で19位、さらにスーパーポールでは1分37秒997と1.5秒も短縮して18番手につけた。しかしレース1では十分なスピードを発揮できないまま17位に終わっている。
スーパーポール・レース/レース2
ラズガットリオグル、トップでゴールするもペナルティで2位
Pata Yamaha with Brixx WorldSBKのラズガットリオグルはレース1に続き、スーパーポール・レース、レース2でもトップでチェッカーを受けた。しかしライバルチームから抗議が提出されて検証を行った結果、スーパーポール・レース最終ラップでコースリミットを越えたと判断され、順位をひとつ下げるペナルティが課されて2位となった。
スーパーポール・レース、レース2ともにラズガットリオグルとJ・レイがテール・トゥ・ノーズの激しいバトルを展開。スーパーポール・レースでは最終ラップまで競り合い、レイがイモラ・シケインで前に出たが、ラズガットリオグルが最終コーナー手前の第15コーナーで奪い返してトップでゴールした。
レース2も前半はほぼ同様の展開。ラズガットリオグルは11ラップ目にトップに浮上すると徐々にレイを引き離し、最終的には3秒近くまでリードを広げて優勝を飾った。
一方、レース1で表彰台に上ったチームメイトのA・ロカテッリは、この日も並々ならぬ決意とスピードをアピールして両レースで4位を獲得。この結果、ライダーズ・ランキング4位に浮上している。
GRT Yamaha WorldSBK Teamのガーロフが9位、野左根もポイント獲得
GRT Yamaha WorldSBK TeamのG・ガーロフはウォームアップで1分36秒969を記録して5番手と好調だったが、スーパーポール・レースでは12番グリッドからスタート後、混戦のなかでポジション・アップに手間取り13位に留まった。
レース2では序盤から果敢に攻めていき、前半終了までに4位争いの大集団に追いついて上位を目指したが、最終的に9位でチェッカー。それでも前日のレース1よりも約7秒、トップとの差を短縮している。
チームメイトの野左根航汰もウォームアップでは進化を見せ、1分38秒855の17番手。スーパーポール・レースでは16位と着実にポイント圏内に近づいてきた。
そして迎えたレース2では、さらにペースを上げてポイント争いのバトルを展開。14位でゴールし、トップとの差についても前日より15秒も短縮した。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Superpole Race
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
レース1
Pata Yamaha with Brixx WorldSBK
T・ラズガットリオグル選手談(優勝)
「私にとっては、とてもいいレースでした。R1をここまで仕上げてくれたチームのみんなに感謝しています。また、私はこのコースが本当に気に入りました! 昨日は決勝を想定したロングランのなかでラップタイムを安定してキープすることに集中しましたが、今日の決勝でも、レイ選手をパスしたあとはコンスタントな走りを心掛け、それをしっかりやり切ることができました。最終ラップまで十分なリードを確保できたので、'ジャックナイフ'でゴールラインを通過しました。ようやく、このようなことができました! スーパーポール・レースはレイ選手が非常に速く、他のトップライダーもみな速いので簡単ではありませんが、この週末は3レース3勝を目標にしているので頑張ります」
A・ロカテッリ選手談(3位)
「マニクール・サーキットでのドライ・レースは初めてでしたし、スーパーバイク・マシンも初めてでした。そのなかで3位を獲得することができて本当にうれしいです。前半でリナルディをパスしたかったのですが、ストレートで少し遅れてしまい、コーナーでは私のいつものブレーキング方法を変え、立ち上がりもある程度、妥協することになりました。でも前に出てからはひたすらプッシュし、自分のリズムでローズ選手との差を詰め、最終的には表彰台を獲得することができました。私たちは今回、ウイークを通じてとてもいい仕事ができたと思っています。今日は最終ラップまでプッシュしていったのですが、これは、明日のレースのなかで必要になったときのためにマシンの状態を理解しておきたかったからです。結果、マシンは最後まで非常に好調に走ってくれました」
P・デニング、チーム代表談
「マシン、チーム、ライダーのパフォーマンスなど、すべてにおいて今シーズンは素晴らしい進化を遂げており、非常に喜ばしく思っています。そして今日の結果は、私たちの現在の目標を再確認するものとなりました。ラズガットリオグル選手はすでに別次元に入ってレースを席巻しており、彼を超えられる選手は多くはありませんでした。そしてゴールラインでの'ジャックナイフ'は、WorldSBKでは初めてだったのではないでしょうか! ロカテッリ選手もまた、スーパーポール、レースともに見事でした。彼にとってはマニクール・サーキットでのドライ・コンディションは昨日の午後が初めてで、もちろんスーパーバイク・マシンでの走行も初めてです。そのような状況のなかで3位を獲得し、ジョナサンに近づいたことは、彼の才能とこれまでの努力の証明です。でも今日は、お祝いはせず、明日のために準備を進めていきます。ベスト・リザルトを目指して全力を注ぎます」
GRT Yamaha WorldSBK Team
G・ガーロフ選手談(11位)
「午前中のFP3は非常に好調で、マシンのフィーリングも良く、3番手を獲得することができました。しかしスーパーポールでは予選タイヤのポテンシャルを十分に引き出すことができず、それまでの好調を再現できずに終わってしまいました。レース1はスタート後まもなく上位の大きなグループに加わることができたので、懸命について行き、何台かパスすることもできました。しかし最終的にはトップ10を逃してしまいました。チームは今日も素晴らしいマシンを用意してくれましたが、私はコース上ですべての条件を揃えることができませんでした。チームのみんなのサポートには心から感謝しています」
野左根航太選手談(17位)
「決勝ではまったくいいところがなく、非常に苦しい一日になってしまいました。1ラップ目でポジションを上げられず、その後のペースも十分ではありませんでした。このような厳しい状況のなかでメンタルをしっかり維持することができなくなり、自分自身のベスト・パフォーマンスを発揮できないまま終わってしまいました。一度リセットし、ペース向上を目指してハードワークに取り組みます。決してあきらめません」
スーパーポールレース/レース2
Pata Yamaha with Brixx WorldSBK
T・ラズガットリオグル選手談(2位/優勝)
「私にとってはとても素晴らしい週末になりました。できることはすべて実行しました。チームはレースのたびにマシンを改良してくれて、ともに勝利を目指して戦っています。いつも全力で支えてくれる彼らには本当に感謝しています。私は今日も、チャンピオンシップのことは考えずに勝利だけを目指していました。そしてレース2でもう一度、優勝することができたのです。心からハッピーです」
A・ロカテッリ選手談(4位/4位)
「後方からのプレッシャーを受けながら、最後までプッシュし続けました。とてもいいレースができたと思っています。ウイークを通じて好調を維持しており、昨日は表彰台を獲得して、全体でもトップ4をキープすることができました。他のライダーたちと比べればコースの経験が浅いのですが、そのなかでもミスをおかさず、いい仕事ができました。これが好成績への秘訣だと思います。レース2では、最終コーナーでマイケルをパスしたあとは彼を見ることはありませんでした。何かを感じましたが、彼が接触したのは見ていなかったのです。軽い接触はありますが、これがレースであり、全員が無事で良かったと思います。今のところ私たちは非常に良いレベルにありますが、トップグループについて行くためには、もう少し何かが必要です。シーズンはここまでとても順調で、ランキング4位まで上がれるとは予想もしていなかったことです!」
P・デニング、チーム代表談
「とても素晴らしい週末になりました。そしてもちろん、ラズガットリオグル選手の3勝は彼の夢の実現であり、ヤマハにとっても、Pata Yamaha with Brixx WorldSBKチームにとっても大きな野望の達成でした。スーパーポール・レース後の抗議は、そのプロセスや制裁通知のタイミングの遅さなど、非常に残念なものでしたが、ライバルたちも私たちの力を知っていると思います。ラズガットリオグル選手はただただ見事で、ロカテッリ選手もまた、スーパーバイク・レーサーとしての存在を100%見せつけてくれました。チームにとってこれ以上の喜びはありません。全員がほんとうによくやってくれました。素晴らしかったです!」
GRT Yamaha WorldSBK Team
G・ガーロフ選手談(13位/9位)
「スーパーポール・レースは短すぎて、十分に順位を挽回していくことができませんでした。レース2に向けてグリッドの好ポジションを獲得できなかったのは残念です。それでもレース2ではマシンのセッティングも良く、少しですが順位を上げられたので良かったと思います。今週もハードワークを続けてくれたチームのみんなに感謝しています。次回のバルセロナも楽しみにしています」
野左根航太選手談(16位/14位)
「スーパーポール・レースで調子が上がってきました。最後の3ラップでポンソンとバトルしたときには大幅にペースが落ちてしまったのですが、それでも最終的に彼を抑えることができました。レース2はさらに良くなりスピードも上がっていたのですが、前のグループにわずかに届きませんでした。ここは素晴らしいコースですが、オーバーテイクがとても難しく、今日の暑さによって、より一層、厳しい戦いとなりました。私自身はブレーキングが向上してきているので、今日のことを教訓としてさらに進歩を目指したいと思います。次はカタルニアです。テスト以来、長い間、走っていませんが、好きなコースなので楽しみです」