スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.02 5月28-30日 エストリル
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権 第2戦エストリル
■開催地:ポルトガル/エストリル(4.182km)
レース1
■開催日:2021年5月29日(土)
■周回数:21周 (87,822 Km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度
■路面温度:39度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分35秒876)
■FL:T・ラズガットリオグル(Yamaha/1分36秒877)
スーパーポールレース
■開催日:2021年5月30日(日)
■周回数:10周(41,820 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:19度
■路面温度:31度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分35秒876)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分36秒670)
レース2
■開催日:2021年5月30日(日)
■周回数:21周(87,822 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度
■路面温度:43度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分35秒876)
■FL:C・デイビス(Ducati/1分37秒190)
REPORT
ラズガットリオグルが3レースで表彰台を獲得、ランキング2位へ浮上
エストリル・サーキットで行われているFIM Superbike World Championship 第2戦のレース1でPata Yamaha with Brixx WorldSBKのT・ラズガットリオグルが2位と獲得した。GRT Yamaha WorldSBK TeamのG・ガーロフは序盤の遅れを取り戻して4位を獲得。チームメイトの野左根航汰はポイント圏内の15位でチェッカーを受けた。
スーパーポール・レースとレース2ではラズガットリオグルが2・3位とし3レース連続で表彰台に立ち、ルーキーのロカテッリはレース2で自身最高となる5位入賞を達成した。またスーパーポール・レースでガーロフが4位、野左根はレース 2で自己ベストのc13位を獲得した。
レース1
ラズガットリオグルが2位獲得
フロントロー、3番グリッドからスタートしたラズガットリオグルはS・レッディング(ドゥカティ)にぴたりとつけ、序盤から素早く後続を引き離していく。その後も21ラップにわたりトップ浮上を目指してプレッシャーをかけ続け、終盤ではJ・レイ(カワサキ)の追撃を抑えきって2位でチェッカーを受けた。トップ3台は1秒以内の僅差で、4位以下には8.6秒差をつけていた。
ラズガットリオグルとチームメイトのA・ロカテッリは、スーパーポールで他のライダーに科されたペナルティの影響により、それぞれグリッドポジションに変更があった。予選11番手を獲得していたロカテッリは9番グリッドにつき、前方が広く見渡せる状態で絶好のスタートを切るとオープニングラップで7番手に浮上。その後いくつかのミスもあり順位を下げたが、終盤で再びペースを取り戻し、15番手から10位まで挽回してチェッカーを受けた。
ガーロフ4位、野左根は15位でポイント獲得
午前中に行われたFP3では、ふたりともマシンに好フィーリングを得てラップタイムを更新し、続いて行われたスーパーポールも同様の速さを披露。決勝グリッドは他車のペナルティを受け、ガーロフが4番手、野左根が16番手につくこととなった。
レース1で好スタートを決めたガーロフだが、最初のコーナーでいくつかポジションを下げるとトップグループから離されてしまう。ここからアタックモードに切り替えて懸命に挽回し、最終的には4位まで上げてチェッカーを受けた。
一方の野左根はサイクス、ハスラムら経験豊富なライバルたちとバトルを展開して15位でゴール。最後の数ラップでは技術的トラブルでペースダウンしており、この1ポイントがより重要な意味を持つものとなっている。
スーパーポールレース/レース2
ラズガットリオグルが両レースで表彰台、ロカテッリはレース2で5位獲得
Pata Yamaha with Brixx WorldSBKのラズガットリオグルはスーパーポール・レース、レースともに熾烈な優勝争いを展開し、それぞれ2位と3位を獲得して表彰台に上った。
午前中に行われたスーパーポール・レースではトップのレイに0.69秒差と迫り、レース1の勝者、レッディングの追撃を抑えて2位を獲得。レース2はフロントローの中央から飛び出すも、ジャンプスタートとなってしまったため自らペナルティを認める形で4番手に後退してオープニングラップを終了。その後2番手まで挽回したが、6ラップ目にはFIMによって2回のロングラップ・ペナルティが科され、再び6番手まで後退した。
この時点で優勝はほぼ不可能な状況となっていたが、残り15ラップで表彰台までの挽回を目指してペースアップを図り、見事2位でチェッカー。このほかにもレース1でPirelli Fastest Lap Award受賞、スーパーポール3位など多くの好成績を残してチームに貢献した。
チームメイトのロカテッリはWorldSBKわずか6レース目にして自己最高の5位を獲得。午前中のウォームアップでも安定した走りを見せ、スーパーポール・レースではC・デイビス(ドゥカティ)とバトルを展開し、急成長ぶりをアピールした。
GRT Yamaha のガーロフが4位、野左根は自己ベスト獲得
午前中に行われたウォームアップはガーロフだけが出場。野左根はマシンに技術的トラブルがあり、その修復のため走行を取りやめた。
ガーロフはスーパーポール・レースで速く安定したペースを維持して上位グループについていき、トップから2秒差の4位でチェッカー。続くレース2では、第6コーナーでパスを試みるもブレーキングでミスをおかし、M・R・リナルディ(ドゥカティ)を巻き込む形で転倒してしまった。ガーロフはこの事故についてペナルティを科され、次回ミサノ大会の第1レースをピットレーンからスタートすることが決定している。
一方の野左根は2日目も着実に前進。ウォームアップは欠場したもののスーパーポール・レースで15位を獲得し、レース2ではグリッド16番手からスタート後、安定したペースでL・ハスラム(ホンダ)に近づき自己ベストとなる13位でチェッカーを受けた。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Superpole Race
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
レース1
Pata Yamaha with Brixx WorldSBK
T・ラズガットリオグル選手談(2位)
「好スタートからレッディング選手についていきました。彼はとくにセクター2が非常に速かったので、最初から最後まで、彼とのギャップを詰めるためにトライし続けました。常にトップを目指していたのですが、とても難しいチャレンジでした。終盤にはレイ選手が迫ってきたので、トップを狙いながら同時に2位キープにも力を尽くさなければなりませんでした。表彰台に上れたことはうれしいですが、大好きなこのコースで調子も良かったので、何とかもうひとつ上のポジションを手にしたかったです」
A・ロカテッリ選手談(10位)
「前半でプッシュしていったときに何かが空回りしたような奇妙なレースでした。ミスもあって大きく後退し、そのあと懸命に挽回を目指しましたが、すでに時間を使いすぎていて間に合いませんでした。私たちはこれからも、とにかく集中力を維持してハードワークを継続していくだけです。上位を目指すためにはレース序盤の戦い方がとても重要です」
P・デニング、チーム代表談
「ラズガットリオグル選手、レッディング選手、レイ選手の3人は、まさに闘志むき出しの素晴らしい戦いを見せてくました。このトップ3は想像以上に速く、フリープラクティスで行ったロングランよりも一段、上だと感じました。ラズガットリオグル選手が、勝利を目指すためには、もう少し詳細を詰める必要があります。でレース1は、彼が猛然と戦い、最後まで2位をキープしたことを讃えたいと思います。ロカテッリ選手は、やや複雑なレースになりました。スタートは素晴らしく、オープニングラップも順調でしたが、その後のミスで15番手まで後退してしまいました。その後リズムを取り戻し、後半は非常に集中してペースも上がってきましたが、序盤のミスが最後まで順位に影響することになってしまいました」
GRT Yamaha WorldSBK Team
G・ガーロフ選手談(4位)
「レース1で好スタートを切ることができました。でも第1コーナー進入のブレーキングで1台がイン側に入ってきたため、マシンを起こさなければならなくなり大きくはらんでしまいました。1ラップ目はとにかくスムースに抜けてポジションを確保することに集中していたのに、一気に4~5台に抜かれてしまい悔しい思いをしました。このあとは体を伏せて、最大限のポジションアップを目指しました。あちこちで小さなミスもしましたが、ペースは良く、最終的にはサテライト勢トップの4位まで挽回することができました」
野左根航汰選手談(15位)
「金曜日の転倒後、マシンを準備してくれたチームのハードワークに感謝します。決勝では最後の3ラップで小さな問題がありペースが落ちてしまいましたが、これもチームがこれから、原因を究明して改善してくれると信じています。最終順位は望んでいたものとは違いましたが、序盤のペースには満足しており、自分自身のライディングにも自信を持つことができました。トップにはまだ遠いですが、より進化し、もっと上位での戦いたいを目指します」
スーパーポールレース/レース2
Pata Yamaha with Brixx WorldSBK
T・ラズガットリオグル選手談(2位/3位)
「生まれて初めてジャンプスタートをおかしてしまいまいた。こんなミスは今までなかったので自分でも本当に驚きましたし、レース後にこれほど落ち込んだことはこれまでありませんでした。このことさえなければ優勝争いができたはずですし、優勝も可能だったかもしれませんが、それは誰にもわからないことですね。いずれにしても2周のロングラップペナルティを受けたあと全力で挽回し、表彰台に上ることができたというのが事実です。チームには申し訳ない気持ちでいっぱいですが、何とかポイントを獲得できたので、次のミサノに目を向けていきます。ヤマハでのレースは初めてになりますが、テストで2日間、走ってフィーリングも良かったので、今度こそ優勝を狙っていきます」
A・ロカテッリ選手談(11位/5位)
「ウイーク最後のレースで好成績を獲得することができ、とてもうれしいです。昨日は序盤でミスをしてしまい、ポジションを落として早々にチャンスを失いましたが、今日は大幅に改善できたので満足しています。マシンへの信頼感も増しており、2戦目にして早くもスピードが上がって少しずつ上位に近づいている状態です。これからはひたすらトライし、学び、R1のセッティングについてさらに自信を深めていきたいと思っています。今回はチームとともにいい仕事ができたので満足です。第2レースの5位獲得は、ルーキーの私にとって大きな成功だと思っています」
P・デニング、チーム代表談
「混乱もありましたが、結果的にはチームにとって大成功の一日となりました。スーパーポール・レースではラズガットリオグル選手が全力をかけて戦い、最終ラップまで1分36秒台を維持して頑張りましたが勝利には届きませんでした。レース2ではジャンプスタートをおかし、自ら重いペナルティを科す形となった上に、通常のロングラップ・ペナルティもあり非常に厳しい状況となりました。それでも彼のペナルティのやり方は見事で、最終的には表彰台までたどり着いたのです。今日のマシンには優勝の可能性があると、彼自身が感じていました。現実的にそうであったかどうかは誰にもわかりませんが、この表彰台によってランキング2位に浮上することができました。ロカテッリ選手は今季最高の走りを見せてくれました。ウォームアップでフィーリングが格段に向上しており、スーパーポール・レースでは、彼自身はまだ満足していないようですが、とても力強い走りができました。そしてレース2ではさらに一歩前進し、トップとの差を昨日の半分にしてローズ選手に近づく5位を獲得したのです。この好結果は彼の自信となるだけでなく、彼を支えたチームのメンバーに今後の指針を与えるものになるでしょう」
GRT Yamaha WorldSBK Team
G・ガーロフ選手談(4位/DNF)
「前夜の作業によっていくつかの部分が向上しており、午前中のウォームアップはとても好調で、すべてがうまくいっていました。スーパーポール・レースはスタートも第1コーナーも昨日より良くなり、とてもスムースにトップ3についていくことができました。いくつかのコーナーで少し遅れることもありましたが、自信を持って走れていましたし、レース2に備えて有効なデータを収集することもできました。レース2も好スタートを切り、ポジションを確保して安定していましたが、第6コーナー進入で思いがけないことが起こりました。タイヤをセーブし始めようと、いつもより少し早くブレーキをかけたら、リアが激しく動いてコントロールを失いました。懸命にスピードを落として何とかまっすぐ行きましたが、不運にも他のライダーを巻き込み、ともに転倒してしまったのです。幸いふたりとも無事でしたが、残念な結果でした。このあとは次のミサノに集中していきたいと思います」
野左根航汰選手談(15位/13位)
「初めて走るコースですが、きっと好きになれると考えていました。しかし金曜日、ここが見た目以上に難しいコースだということがすぐにわかりました。それで転倒してしまって作業を遅らせてしまったのですが、チームが頑張ってくれて、ほとんど新品のようなマシンに仕上げてくれました。彼らの仕事は本当に素晴らしく、彼らのおかげでここまで、すべてのレースで全ラップを走れていることに感謝しています。ウォームアップは欠場しましたが、これは、昨日からのテクニカル・トラブルの原因を究明するために必要なことで、それによってレースに出場できました。レース2は今季最高のレースとなりました。次のミサノはテストで走っていて、フィーリングもとても良かったので、体調を万全に整えて臨みたいと思っています」