スーパーバイク世界選手権
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどSBKクラスに関する情報をお届けします。
Rd.13 11月4日 カタール
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第13戦カタール大会
■開催地:カタール/ロサイル・インターナショナル・サーキット(1周 5.380km)
■周回数:レース1 17周(91,460km)、レース2 17周(91,460km)
レース1
■開催日:2017年11月3日(金)
■コースコンディション:ドライ
■気温:27度
■路面温度:27度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分56秒228)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分57秒577)
レース2
■開催日:2017年11月4日(土)
■コースコンディション:ドライ
■気温:29度
■路面温度:28度
■PP:J・レイ(Kawasaki/1分56秒228)
■FL:J・レイ(Kawasaki/1分57秒061)
REPORT
レース1
バッドラックに見舞われ、ローズ、ファン・デル・マークともに転倒リタイア
夜間照明のもとで行われたカタール大会の第1レース。Pata Yamaha Official World SBK Teamはふたりのライダーがともに転倒してリタイアという結果に終わった。
A・ローズは2戦連続でフロントローを獲得してグリッド2位の位置からスタートしたが、2位争いを展開中に第16コーナーで転倒。再スタートを図って挽回を試みたものの、残り2ラップで再び転倒してリタイアを余儀なくされた。チームメイトのM・ファン・デル・マークは予選7位から上位を目指してペースを上げていたが、7ラップ目に他車と接触して転倒した。
ローズはウイーク初日から好調ぶりをアピールし、フリープラクティスではトップと0.0259秒差の総合2位を獲得。フリープラクティス第3セッションでは多くの時間帯でトップをキープしたあと、最後までタイヤ交換を行わずに3位のタイムを記録した。SP2では1分56秒675のベストタイムで2位を獲得し、前回に続いてフロントローに並ぶこととなった。
シグナル・グリーンとともに飛び出して、すぐさまT・サイクスを抜いて2位へ浮上。そのあとはX・フォーレス、C・デイビスと激しい2位争いを展開しながら、今季4度目となる表彰台を目指していった。10ラップ目にはフォーレスをパス。次にデイビスに照準を合わせてペースを上げたが、11ラップ目の第16コーナーで転倒を喫した。ローズはすばやくマシンを起こして最後尾でレースに復帰し、トップ争いのペースで挽回。しかし残り2ラップ、13位まで浮上したところで、またも転倒してリタイアした。幸い怪我はなく、土曜日の第2レースは出場予定。グリッドは4列目の先頭、10位の位置からスタートする。第1レース終了時点でシリーズポイントは226のまま、ランキング5位をキープした。
一方のファン・デル・マークはウイーク初日を総合5位で終了。フリープラクティス第3セッションも好調をキープしたが、SP2では予選タイヤを十分に活用しきれず7位に後退した。決勝はグリッド3列目の先頭から好スタートを切ったものの、第1コーナーの混乱で10位までポジションダウン。そこから挽回を開始し、1ラップ目のうちに3つ上げて7位で2ラップ目に突入した。
ファン・デル・マークはいつものように、冷静に時機を待ってから徐々にペースアップを上げていったが、7ラップ目、サイクスに近づいたところでそのスピードを見誤り、第9コーナーでテールに接触。ファン・デル・マークは転倒したが、幸いサイクスに影響はなく、またファン・デル・マークも怪我は免れた。しかし、ここまで11レース連続したポイント・ゲットの記録が途絶えてしまった。シリーズポイントはローズに16ポイントのビハインドとなる合計210で、ランキング6位を守っている。第2レースは12位の位置からスタートする。決勝スタートは現地時間21:00。
レース2
ローズが表彰台に復帰し、Pata Yamahaが成功裏にシーズンを終了
2017FIM Superbike World Championshipの最終戦、ナイトレースとして行われたカタール大会の第2レースでPata Yamaha Official WorldSBK Teamが表彰台に復活を果たした。第1レースではふたりのライダーがともにDNFに終わっていた。A・ローズはグリッド10位から3位まで追い上げ、今季4度目となる表彰台を獲得。チームメイトのM・ファン・デル・マークも表彰台争いを展開し、わずかに及ばず4位でチェッカーを受けた。
第1レースでは2度の転倒の末にリタイアしたローズ。その影響を受けて第2レースは10位からのスタートとなったが、シグナル・グリーンとともに飛び出して素早くリズムをつかみ、8位で1ラップ目を終了した。そして4ラップ目までに4位に浮上すると、ファン・デル・マークの後方の3位につけて上位を目指していった。
周回を重ねるごとにスピードを上げたローズは13ラップ目の第1コーナーでファン・デル・マークに仕掛けて3位に浮上。さらにC・デイビスとJ・リーを視界にとらえて同等のペースで走行し、今シーズン大幅に進化したR1のパフォーマンスを見せつけた。そして全長1,068mのストレートでは320.5km/hの最高速を記録。終盤も全力でプッシュし続けて懸命にデイビスにくらいついて行ったが、ついに及ばず3位でチェッカーを受けた。1位のJ・レイとの差は4.185秒だった。今季4度目の表彰台を獲得したローズは、シリーズポイントを合計242に伸ばしてランキング5位を獲得。自信を持ってオフシーズンを迎え、2018年に期待をつなぐ。
一方のファン・デル・マークも第1レースは転倒リタイアのバッドラック。第2レースはグリッド12位から絶好のスタートを切り、1周目に一気に5位まで浮上した。序盤から果敢に攻めてデイビス、リーのトップ2に2秒差でついていったが、このなかでタイヤを消耗していたため、残り5ラップでローズに先行を許したあとは、再び抜き返すことができなかった。それでも最後まで大きく崩れることなく走り切り、4位でチェッカー。シリーズポイントを合計223に伸ばしてランキング6位を獲得したほか、シーズン全26レース中20レースでトップ10フィニッシュという好記録も残した。
Pata Yamaha Official World SBK Teamは11月22日から24日、スペインはヘレス・サーキットで行われる公式オフシーズン・テストに参加予定。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
レース1
A・ローズ選手談(DNF)
「非常に悔しい気持ちです。今週はずっととても順調で、初日の木曜日は総合2位。今日のSP2でも前回に続いてフロントローを獲得し、決勝では表彰台争いに挑むつもりでいたのです。フロントローの真ん中から絶好のスタートを切り、そのあとも非常にフィーリングが良くて、何台かと順調に2位争いを展開していました。そしてチャズをとらえ、パスしようとしましたが、プッシュが激しすぎたのか16コーナーでフロントから転倒。でももちろん、そこであきらめる気持ちはなったので、すぐにマシンに跨りレースに復帰。もう一度、激しく追い上げるなかで、さっきの転倒でダメージを受けたブレーキレバーにグローブが引っかかってしまって、またも転倒してしまったのです。これで今度こそ再スタートは不可能でした。本当に残念な結果になってしまいましたが、明日の第2レースで取り返したいと思います。最高の成績でシーズンを締めくくるために全力で臨みます」
M・ファン・デル・マーク選手談(DNF)
「初日と比べると大きな進歩が見られました。フリープラクティス第3セッションもフィーリングが良く、SP2では決勝用タイヤでいいペースで走ることができました。予選タイヤではあまりタイムが上がらなかったのですが、決勝は問題ないと考えていました。スタートはうまくいったのに第1コーナーで後退。すぐに順位は挽回しましたが、実は、序盤はあまりペースが上がりませんでした。上位のライダーについて行くだけのスピードがなかったので初めは苦労しましたが、周回を重ねていくうちに少しずつ速くなってきて、自信もついてきたのです。しかし残念ながら、第9コーナーでトム・サイクスに照準を合わせ、第10コーナー進入で仕掛けたときに、お互いのコーナースピードに差がありすぎて彼に激しく接触してしまったのです。彼が転倒しなかったのは幸いでした。私としても、トップ5を目指していただけに残念。こんなことがなければ表彰台争いに加わることもできたと思います。明日は何としてもトップ5に入りたい。グリッド12位からのスタートになってしまったので難しい戦いになりますが、ベストを尽くし、ハードに攻めていきます」
P・デニング、チーム代表談
「カタールの第1レースは非常に残念な結果になりました。プラクティスまでは順調に仕上がってきていて、決勝に向けて、これまでにないくらいの最高の準備ができていたのですが...。でもふたりが怪我をしなかったので本当に良かったと思っています。限界までプッシュし、前へ前へと攻めていくときには、このようなことが起こるもの。ふたりは才能と聡明さを持ち合わせているので、今日の経験から学んで次のステップにつなげてくれるでしょう。マイケルは、明らかにペースの上がらなかったトム(サイクス)につかまってしまいました。まさにパスしようとしたとき、彼のコーナースピードが予想以上に遅かったのです。これでマイケルは転倒してしまいましたが、トムに影響が及ばなかったのは幸いでした。アレックスのほうはチャズ・デイビスのテールにぴったりつけて2位を窺っていましたが、少し無理をしてフロントに負担をかけ過ぎてしまったようです。このように不運な結果に終わりましたが、力はあるので明日の挽回に期待しています。4列目スタートなので楽観はできませんが、われわれPata Yamaha Official World SBK Teamはきっと、ここカタールでふたつの好成績を獲得できると信じています」
レース2
A・ローズ選手談(3位)
「ウイークを通じてずっと順調で、第1レースでは最終コーナーでチャズ・デイビスをとらえようとしたときにちょっとミスをしてあんなことになってしまったので、昨日の結果はどうしても受け入れられないものでした。小さなミスが重大な結果を生んでしまったのです。今日までに気持ちを切り替えるのも簡単ではなかったし、ましてやグリッド10位からの挽回が厳しいことも良く分かっていました。最初の6ラップはあまりフィーリングが良くなくて、上位グループから遅れてしまったのですが、そのあとはどんどん調子が上がってトップのペースで走れるようになったのです。昨日の転倒のあと、今日はこうして表彰台に上がることができて本当にうれしいです。チームとヤマハ、皆さんの支えに感謝し、笑顔でオフシーズンを迎えることができます。来年また、彼らとバトルする日を楽しみにしています」
M・ファン・デル・マーク選手談(4位)
「グリッド12位から4位まで追い上げて、シーズン最終戦をこのような形で終えることができうれしいです。スタートがうまくいって、1ラップ目も順調。マシンのフィーリングも昨日より格段に良く、ペースにも満足できました。チャズ・デイビスについて行こうと全力で頑張りましたが、差を詰めることができず、そのうちにアレックスが一気に追いついてきて抜いていきました。私はそれまでにリアタイヤを消耗してしまっていたので、彼について行くことができなかったのです。でもシーズン最終戦でアレックスが表彰台に上り、私がそのうしろの4位でゴールできたことはとても良かったと思います。このことによって、このところのR1の進化を証明できたからです。安定性が増しているので、ここからさらに進化を積み上げて、新しいレギュレーションが適用される来シーズンに向けて準備していきます。まずは次のテスト。そのあとは来年の開幕戦、フィリップアイランドを楽しみにしています」
P・デニング、チーム代表談
「アレックス、マイケル、そしてPata Yamaha Teamにとって最高のシーズンの締めくくりになりました! ふたりはグリッド4列目から見事な追い上げ。このところの、とくにシーズン後半の私たちの進化を十分に証明し、同時にこれからオフシーズンを迎え、2018シーズンに備える私たちに確かな自信を与えてくれました。私たちは上位ライダーに着実に近づいています。その証拠に、アレックスは3ラップ目の3.3秒差を15ラップ目には3秒差に縮めたのです。ヤマハR1のペースはこのように上がっていて、今月末のテストではまた大きな改良も期待されます。未来への期待と同時に、私は、シーズンを振り返って、ハードワークでプロジェクトを支えてくれたみなさんに感謝します。そして、来年から新しいプロジェクトに取り組むことになったアレックスのクルーチーフ、イアン・プレストウッドにお別れを、代わってアレックスの面倒を見てくれる元ヤマハWorldSBKライダー、アンドリュー・ピットを熱烈歓迎します。最後にWorldSSPでチャンピオンを獲得したルーカス・マヒアス、GRT Yamaha Teamに祝福を!」