スーパーバイク世界選手権
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Rd.03 4月2日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:スーパーバイク世界選手権第3戦スペイン大会
■開催地:スペイン/アラゴン(1周5.077km)
■周回数:18周(91,386km)×2
レース1
■開催日:2017年4月1日(土)
■コースコンディション:ドライ
■気温:14度
■PP:C・デイビス(ドゥカティ/1分49秒319)
■FL:J・レイ(カワサキ/1分50秒597)
レース2
■開催日:2017年4月2日(日)
■コースコンディション:ドライ
■気温:14度
■PP:C・デイビス(ドゥカティ/1分49秒319)
■FL:C・デイビス(ドゥカティ/1分50秒954)
REPORT
A・ローズがスキルを見せつけてジャンプアップ。ファン・デル・マークも注目の走り
【レース1】
スペインはモーターランド・アラゴンで行われたFIM Motul World Superbike Championshipの第1レース。Pata Yamaha World Superbike TeamのA・ローズが、グリッド後方から果敢に挽回して4位を獲得。チームメイトのM・ファン・デル・マークもグリッド7位から5位へ上げてチェッカーを受けた。
寒さと強風に見舞われたフリープラクティス第3セッションで、ローズは不運な転倒。続いて行われたスーパーポールでも、オープニングラップで技術的問題が発生したため早々に走行中止を余儀なくされた。この結果、予選タイムを記録することができずに決勝グリッドは12番手。しかも新たに修復されたマシンを一度もテストできないままレースに臨むことになった。
この逆境が、ローズを奮起させた。最初の数ラップは慎重な走りで感触をつかみ、そのあと激しいチャージを開始。前を行くライダーを次々とパスし、ついにはチームメイトの後方6番手まで浮上した。この時点でふたりの距離はコンマ2秒以下。ローズはここからさらにじりじりと差を詰め、残り5ラップの第1コーナー進入で鮮やかなパスを見せて5番手へ。その後、トップを走行するC・デイビス(ドゥカティ)が転倒したため4位へ上がってチェッカーを受けた。
一方のファン・デル・マークは、スーパーポールで実力を発揮。ラップごとに着実にタイムを短縮し、1分50秒422で7番手を獲得した。決勝では序盤からアグレッシブな走りを見せ、集団のなかでX・フォレス(ドゥカティ)を追撃しながらポジションをキープ。後続集団を大きく引き離していたが、その後ローズに先行を許し、最終ラップでデイビスが転倒したため5位でゴールした。
この結果によって、第2レースはローズがポールポジション、ファン・デル・マークが2位の位置からスタートすることとなった。
ファン・デル・マークが5位獲得。ローズは後方からの挽回でポイント・ゲット
【レース2】
Pata Yamaha Official World Superbike Teamのファン・デル・マークが第1レースに続いて5位を獲得。チームメイトのA・ローズは初めレースをリードしたが、トラブルが発生して13位へ後退した。
第1レースで5位を獲得し、第2レースをフロントローからスタートしたファン・デル・マーク。序盤から順調な走りを見せ、チームメイトのローズに続く2位につけた。その後、何台かに抜かれたが上位グループから離されることはなく、視界にとらえたままハイペースをキープ。周回が進むにつれて、寒さと強風の影響でフロントタイヤのグリップが低下したが、ファン・デル・マークは最後まで手を緩めることなく走り切り、5位でチェッカーを受けた。
一方のローズはポールポジションから絶好のスタート。ホールショットを奪って真っ先に第1コーナーへ進入し、ファン・デル・マークを従えた格好でそのままレースをリードした。このふたりにライバルたちが追いついたあともペースを乱されることはなく、順調に表彰台圏内で走行を続けていたが、最終シケイン進入でシフトミスが出てコースアウト。体勢を立て直してコースに復帰するまでに22秒を費やしてしまった。すぐさま表彰台ペースを取り戻して挽回を図ったが、13位に留まった。
WSBK RESULT Race.1
WSBK RESULT Race.2
RIDERS RANKING WSBK
CONSTRUCTORS RANKING WSBK
COMMENT
A・ローズ選手談:(レース1:4位)
「第1レースはとてもうまくいったよ。12番グリッドからのスタートはいつだって大変なのに、このコースは最初のいくつかのコーナーがとくにタイトだし、今朝の転倒で自信もなくなっていたから、ちょっと時間がかかってしまったけどね。スーパーポールがアンラッキーだったので、まともに走れたのは決勝になってから。リズムをつかんでからは、これは行けそうだと思ったし、マシンの調子も良かったし、もしもっと前からスタートできていたら表彰台も可能だったと思うよ。いずれにしても、チームがすばらしい仕事をしてくれたおかげでこの好結果を獲得できた。明日も頑張るよ」
M・ファン・デル・マーク選手談:(レース1:5位)
「ローズに負けたくない気持ちもあるけれど、僕らふたりが、そろってこの位置にいられることは、とてもうれしいこと。レース自体もすばらしかったし、ラップタイムをコンマ数秒も短縮でき、その結果4位と5位を獲得できたことはチームにとっても大きな成果だったと思う。僕自身は5位に満足しているわけではないけれど、R1での走りが進化していることは確かで、マシンのフィーリングも最初のテストよりもずっと良くなっている。明日はローズと一緒にフロントローに並ぶので、きっと面白いレースになると思う」
P・デニング、チーム代表談:
「第1レースでの4位と5位は今季最高の成績。とくにアレックスは非常に難しい状況からの挽回だったので、より一層、うれしい結果になった。今朝のフリープラクティスの1ラップ目、彼はちょっとしたミスをしてトラブルが発生しまった。予選セッションまでに修復することができずスペアマシンで出走したが、再びトラブルが発生。結局、1ラップもタイムを計測できないまま、リビルドマシンで決勝に臨まなければならなった。このような状況のなかで冷静さを保ち、見事なハイペースでポジションアップを図ったアレックスは非常に頼もしい存在であり、同時に2017年型R1のすばらしさを証明することにもなった。そしてそれはもちろん、短時間でマシンを準備してくれたチームクルーのおかげでもある。
一方のマイケルは、前回のタイと比べれば、まだ十分にフィーリングをつかみきれず、本来の実力を発揮できていなかった。しかしメカニックたちが休むことなく努力を続けて解決策を見つけ、彼のほうもアグレッシブなスタートとハイペースでそれに応えてくれた。第1レースの結果によって、明日のグリッドはポールポジションとそのとなりの2位。今日のペースを見れば、ライバルたちと互角に戦えると確信している」
M・ファン・デル・マーク選手談:(レース2:5位)
「とってもうれしいよ! 好スタートを切ってアレックスに続いて2番手につけたあと、まずジョニー・リーに抜かれ、ストレートでメランドリに抜かれた。彼らよりちょっとペースが遅かったんだけれど、何とか遅れずについて行くことができたのが良かったと思う。今回もまた、次のステップに進むことができた。そのことが重要な成果なんだ。終盤はフロントタイヤに苦しめられた。ソフトコンパウンドを選択していたので、この強風のなかで影響が大きかったのだろう。いずれにしても5位獲得はハッピーな結果。最後まで上位グループで走れたことも良かった。チームのみんなが全力で頑張ってくれたおかげでポテンシャルがアップしたので、そのハードワークに心から感謝している。日に日に進化していることがうれしいよ」
A・ローズ選手談:(レース2:13位)
「今シーズン初めてのレース中のミス。とても悔しいよ。でも完全に僕のミスというわけではなくて、もともとシフティングが完璧な状態ではなかったところに、あのときは僕もしっかりやりきれなかったということなんだ。その結果コースを外れて、戻るまでに20秒も費やしてしまった。チームがすばらしい仕事をしてくれたおかげで、マシンはとてもよく走っていた。表彰台を目指せるだけのポテンシャルには満足しているんだ。実際、コースに戻ったあとはメランドリと同等のペースで走ることができたが、残念ながらすでに遅かった。大きく離れすぎていて追いつくことはできなかったんだ。表彰台に立つチャンスを手にしながら、それをしっかり手中に収めきれなかった自分に腹が立つ。それまでは順調に走れていたし、マシンのフィーリングは間違いなく上がっているんだからね。序盤のペースについては改善の余地があると反省しているが、後半はとてもいい走りができていたので、上位グループとも十分互角に戦えたと思う。次のアッセンではそれが目標。安定感をキープし、ハードワークを続け、最後まで楽しみたい」
P・デニング、チーム代表談:
「マイケルはフロントローから飛び出し、表彰台を目指して圧巻の走りを見せた。残念だったのは、フロントタイヤのチョイスと寒さと強風の影響が大きく出てしまったこと。そのため第1レースに比べてタイヤの劣化がひどく、最後の5~6ラップはどうすることもできない状態だった。しかし今回のふたつの5位は、マイケルにとって非常に大きな成果。R1の特性についての認識が深まり、ライディングスタイルもそれに合うように進化してきた。次回は彼のホームコースのアッセンなので、希望を高くもって臨みたい。
アレックスのほうは残念な結果になったが、Pata Yamaha World Superbikeのプロジェクトとしては多くの成果があった。順調に4位をキープし、表彰台を狙う位置から離されることなくメランドリのテールにしっかりついていた。しかしそこで小さな問題が発生し、コースをオーバーランしてしまったのだ。確かに残念な結果ではあったが、その悔しさは、彼が十分な競争力を持ち、昨年はできなかった表彰台争いも可能になったことを証明できたことで帳消しにしていいと思う。これは我々とR1がまた進化したことのシグナル。次のステップに向けてまたベストを尽くす」