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"次の獲物"は見えている ― ジャック・ミラーを衝き動かす鈴鹿8耐への情熱

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明るく、陽気で、大らかで──。オーストラリア人に対するイメージ通りのジャック・ミラーは、いつも朗らかで自然体だ。

現在のMotoGPでは唯一のオーストラリア人。母国では大きな注目を集める存在だが、ミラー自身は何も変わらない。「もちろん、プロフェッショナルライダーでいる限りは、いろんな出来事が起こる。でも、僕は僕のままだ。よくも悪くも、それが僕の個性なんだと思う」と笑う。

今年の鈴鹿8耐に向けては、ハードなスケジュールをこなした。6月29日、MotoGP第10戦オランダGPを12位でフィニッシュしたミラーは、午後9時のフライトで日本に飛んだ。トランジットで韓国を経由し、名古屋に着いたのは30日の夜10時。そのまま鈴鹿サーキットに向かい、到着したのは真夜中だった。

「いつものことさ。僕は忙しいのが好きだから、まったく問題ない」。あっけらかんとしている。「ただね......、しっかり寝ようとしたんだけど、朝4時に目が覚めてしまったんだ。そこから眠れなくなっちゃって」

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7月1日のことだ。この日、鈴鹿サーキットでは走行セッションが始まる。

「ヤマハのスタッフとのミーティングがあるから、朝7時15分にはピットに行かなくちゃいけなかったんだ。そして1日中ライディングさ。おかげで火曜の夜はすぐ寝られた。ぐっすりだよ、ハハハハ」

MotoGPではV型4気筒エンジン搭載のYZR-M1を走らせ、鈴鹿8耐では直列4気筒エンジンのYZF-R1を走らせる。

「M1は、ヤマハにとってもまったく新しいプロジェクトだ。だから今年はタフな戦いになることが分かっていたが、価値あるチャレンジだと思う。僕たちは最大限の努力をしているし、決して諦めるつもりもない。

一方のR1は十分に熟成されていて、プロジェクトとしても豊富な経験を重ねている。競争力は非常に高い。タイミングモニターの上の方に自分の名前が載っているのは気持ちいいものだよ(笑)」

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昨年の2位という成績に、「自分たちとしてのベストを尽くしたし、ライバルともいいバトルができた。ただ、少しだけ速さが足りなかったね」と悔しさをにじませる。

「今年の早いうちから、ヤマハには"今年の鈴鹿8耐はどうするんだ?"って、自分から聞いてたよ(笑)。例年より1ヶ月早い開催だから、"ちゃんと準備できるかな"という不安はあった。でもそれ以上に、僕は鈴鹿8耐を愛しているんだ。

そりゃそうだよ、ワイン・ガードナー、ミック・ドゥーハンという母国の英雄はもちろん、僕にとっては偉大なアイドルのようなGPライダーたちがたくさん参戦してきたレースなんだから。

しかも、彼らがいつものスプリントレースではない耐久レースを見せてくれるんだから、魔法のようなレースだよ! そんな鈴鹿8耐に、今、自分がこうして参戦できるのは、本当に光栄なことだ」

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2歳半からオフロードバイクに乗り始めた。農場で育ったミラーは、広大な土地で毎日バイクを走らせた。「素晴らしい子供時代だったよ」と振り返る。家族の多大なサポートを受けながら、プロフェッショナルライダーになった。

「家族ごとヨーロッパに移住したんだ。家族は多くの犠牲を払ったし、経済的にも大きな負担をかけたと思う。そのおかげで、僕は今、MotoGPライダーでいられるし、こうして自分が愛する鈴鹿8耐にも参戦できている。心から感謝しているよ。......まぁ、すでに恩返しはできたかな。十分にね」。いたずらっぽく笑う。

ここ数週間は、レギュラーのMotoGPに集中しながらも、鈴鹿8耐のことを考え続けてきた。勝利への思いが募る。

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「勝ちたい。どうしても勝ちたいんだ。チームメイトの中須賀さんにとっては、鈴鹿8耐での最後の勝利になるかもしれないからね。彼のレーシングライダーとしてのストーリーを鈴鹿8耐の優勝で飾ることができたら、そして自分がその役に立つことができたら、こんなにうれしいことはない」

ミラー自身も、自分の可能性を信じている。「中須賀さんのように44歳になってもあれほどのパフォーマンスを発揮できるかは分からないけど......」と笑うながら、こう続けた。

「僕自身は、年を重ねるごとにどんどん良くなっている手応えがあるんだ。いろいろな物事に関する理解が深まっているし、自分のフィジカルについても今まで以上によく分かっている。

今年はM1が大きな変更を受けたことで、これまでとは違うアプローチも求められている。これも僕の適応能力を高めてくれていると思う。自分の限界は、まだもっと先にありそうだ」

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幼い頃からレースを始め、今も当時と変わらない情熱を携えながら、31歳のミラーは今も成長を続けている。

「なぜこんなにレースを愛しているのか、自分でもよく分からないんだ。ただ楽しいからだと思う。そして僕は、いつも"次の獲物"を探しているんだ。次のレースを、そして次の勝利をね。僕はリラックスして落ち着くタイプの人間じゃない。いつも"次は? その次は?"と、獲物を追い求め続けているよ」

多忙なスケジュールは、だから、彼にとっては必要な「いつものこと」なのだ。そしていつものように次の獲物──鈴鹿8耐の頂点に照準を合わせる。

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