「だから僕はヤマハが好きなんだ」、ヤマハ愛、日本愛が止まらないロカテッリ選手の鈴鹿8耐
「僕はいつもヤマハを信じているし、僕自身、ヤマハを代表していると思っている。いつだってヤマハのために戦っているんだ」
ヤマハへの思いを、ストレートに口にする。スーパーバイク世界選手権(SBK)でヤマハYZF-R1を走らせて6シーズン目のイタリア人、アンドレア・ロカテッリは熱烈な「ヤマハ・フリーク」だ。
「昨年は初めての鈴鹿、初めての耐久レースという初めて尽くしで、本当にエキサイティングだった。2位という結果は残念だったけど、勝利は決して遠いものではなかったしね。何よりもうれしかったのは、ヤマハ創立70周年のスペシャルカラーで走れたことだ。こんなタイミングで走れるなんて、望んでもできることじゃないからね」
昨年の鈴鹿8耐で使ったスペシャルカラーのヘルメットとレーシングスーツは、イタリアの自宅で大切に保管している。「見るたびに特別な感情が沸き起こるんだ」
今年のヤマハは「Blue as One」と銘打ち、レーシングブルーをまとう。これもまた、ロカテッリを喜ばせている。「だって、いつものSBKと同じカラーリングだからね。鈴鹿8耐のピットも、自分の家のように落ち着いて過ごせている」
自分の家──彼が住むイタリアは、モーターサイクルレーシングが人気だ。多くのイタリア人がモーターサイクルや車、そしてレースを愛している。鈴鹿8耐の直前、6月13〜14日に、ロカテッリはホームコースであるイタリア・ミザノサーキットでSBK第7戦を戦った。
「素晴らしい経験だったよ! たくさんのイベントがあって、たくさんの人々が押しかけてくれた。みんなが僕たちライダーの一挙手一投足に注目して、たくさんの応援を寄せてくれる。すごい一体感で、まるでファンのみんなと一緒にミザノサーキットを走っているような、不思議な感覚だった。
僕が何よりもうれしいのは、みんな僕を愛してくれるのと同じぐらい、ヤマハのことを愛していることだ。すごく前向きな気持ちになれるよ」
ロカテッリからあふれ出るヤマハ愛の源流は、「人を大事にするブランドだから」だと言う。「ヤマハは、レーシングマシンを作るマニュファクチャラーだ。でも、マシン作りばかりを重視しているわけじゃない。乗っている僕──つまりレーシングライダーをとても大切にしてくれるんだ。僕のことを尊重しながら一緒にレースを戦おうとするその姿勢が、僕のモチベーションを高める」
物の置き場所をしっかり決めたがり、ガレージもきれいに整頓している几帳面なロカテッリは、日本のこと、そして日本人のことが好きだ。「鈴鹿8耐で日本に来てるけど、もっと長い時間をかけて、旅をして回るのが夢なんだ。日本は本当に特別だよ」
鈴鹿8耐で日本人ヤマハスタッフと深く触れ合い、日本ならではの物事への取り組み方を知った。母国であるイタリアと比較しながら、ロカテッリは「みんなも分かると思うけど、イタリア人は、何かとリアクションが速いんだ(笑)。いろんなことにすぐ反応するから、スピーディーに事が運ぶ。でも、取りこぼしてしまうこともある。
一方の日本人は、すごく慎重だ。ひとつひとつを吟味して、"この道は正しい"と確信してから進もうとする。もしかするとレースではこの慎重さが課題になることもあるかもしれない。でも、最終的に正しい方向に進める可能性が高いように思う」
日本人との触れ合いは、ロカテッリの人生観にも影響を及ぼしている。
「イタリア人のリアクションの速さは、レースにはいい面があるかもしれない。でもイタリアでは、すべてが目まぐるしいんだよね。時計なんか、洗濯機みたいにグルグル回ってる感じだ(笑)。
なぜだか分からないけど、イタリア人はいつも急いでるんだよ。車に乗れば、とにかく前の車を抜こうとするしね(笑)。僕自身も、イタリアにいると朝起きてから夜眠りにつくまで『常に全開!』って感じなんだよ。
でも日本にいると、時の流れがゆっくりに感じる。時計さえもゆっくり進んでいるように見えるし、交通の流れも落ち着きがある。すべてが整えられ、高いレベルでオーガナイズされていて、時間も有効に使われている。そんなに急がなくても大丈夫だから、リラックスできるよね。
これはどっちがいいとか悪いとかいう話じゃなくて、それぞれのお国柄のようなものだと思う。僕はイタリア人だけど、日本の文化や日本人からは多くのことを学んで、自分の人生にも採り入れていこうと思ってるよ」
鈴鹿8耐を通してより密接に日本の文化に触れ、人生にも生かそうとしているロカテッリ。一方で、もちろん鈴鹿8耐はレースであり、狙うべきターゲットは明確だ。
「ヤマハのファクトリーライダーとして、尊敬する中須賀さんやジャック(ミラー)とともに戦えるなんて、こんな栄誉は他にない。鈴鹿8耐はとても難しいレースだけど、昨年の参戦で多くを学んでいるからね。繰り返しになるけど、勝利は決して遠くない。戦う準備はできている。やっぱり僕はイタリア人だからね、マシンに乗れば常に全力だよ(笑)!」








