マービン・フリッツ:目標は表彰台、そしてその先にあるてっぺん(優勝)を目指す
昨年のタイトル獲得は、最高な気分を味わうことができ、言葉にできないぐらいすごいことを成し遂げたんだと思いました。またこれまで何度もタイトルに近づいてきたのですが、やっと僕たち自身も含め、チームのみんな、スポンサーの皆さんにタイトルをプレゼントすることができたので、気持ちとしても安心しました。
チームのみんなには感謝しかありませんが、その場には両親や婚約者と、自分を取り巻いている人たちのほとんど全員がいたので、みんなと素晴らしい瞬間を分かち合うことができ、とてもいい思い出になりました。
そしてこれは僕にとって初めての世界タイトルでもありました。以前のタイトルも大切ですが、これが最高のものになったのです。長年の夢でしたし、何度も挑戦しては逃してきたので正直に言えば辛い時期もありました。でも、諦めることはありませんでした。それがチームとしての方針でもあったからです。チームメイトは常に素晴らしい走りをしてくれますが、なによりもお互いプッシュし合うことで、世界タイトルにたどり着くことができたのだと思います。そして彼らとチームが僕をさらに成長させてくれたのです。感謝しかありません。
2024年は、世界チャンピオンになったので"プレッシャーを感じるでしょ?"と言われますが、僕自身はプレッシャーを感じていません。なぜなら今年、もしタイトルを逃がしたとしても(そんなことは望んでいませんが!)、昨年、獲得できているという安心感があり、それがメンタル的にも大きなプラスになっているからです。
今年は、チームの雰囲気もいいし、ル・マンとスパで証明した通り、昨年よりさらに強くなっています。バイクは過去最高レベルですし、とても乗りやすい状態です。それでも耐久レースとは難しいもので、例えばスパではピットストップの回数がライバルよりも1回多かったため、リスクを承知でプッシュしていきました。ニッコロが最初から速いペースを作ってくれ、僕とカレルはそのペースをキープして差を開くことができ、優勝できたのです。
僕自身は今年で30歳になりましたが、自分自身でも若いと思うし心も充実しており、まだまだ覚えることもたくさんあります。ニッコロは36歳ですが、今の彼は超速いじゃないですか。僕も早く36歳になりたいくらいです(笑)。今は、できればこのチームでこれから何年もレースを続けていきたいと考えています!
さて、いよいよ鈴鹿8耐が近づいてきましたが、EWCで連覇を達成する要素は全部揃っていると思っています。#1をつけて勝つことができれば最高だし、もう一度、できないはずはないと思っています。
そのためにも鈴鹿ではEWCのライバルたちに勝つことを第一に、目の前のレースに集中するのみ。大きな目標としては表彰台であり、その先にあるてっぺん(優勝)を目指します。ライバルは大体が赤いバイク(笑)、彼らは必ず表彰台争いに入ってくるし、彼らがいるからこそ以前は「(優勝は)難しい」と答えてきました。でも今年は可能だと言えます。僕たちはとても強く、速いというのは何度も言ってきましたが、加えてメカニックたちのピットワークが速くて、それが違いを生むのではないかと思っています。
それでもレースというのは、どんなことも起こります。もしスパを再現できれば、かなりいい戦いができるとは思いますが、鈴鹿はとても暑いだけでなく、天候も不安定でフィジカルのコントロールも難しいので... 誰にも予測はできませんが、全員が同じように全力を尽くすことが大切です。
また鈴鹿8耐は、安定したラップタイムも必要ですが、同時に最大限のプッシュを継続する必要もあり、それを3人が同じようにできることがYARTの強みなので、誰がというわけではなく、みんなが同じ役割を持って戦います。
昨年の僕たちも速かったけど、トラブルに見舞われ、カレルがバイクを押してピットに帰ってくることになりましたが、今年は、もう一度チャレンジします。決勝ではぜひ青い旗を振って僕たちのことを応援してください。