YART Interview:最も大事な鈴鹿8耐、目標はトップ5
パークス選手は今年、世界耐久選手権シリーズに加えアジアロードレース選手権ASB1000にもフル参戦をはじめ、世界で最も長くレースを戦っているライダーの一人だと思います。ずばり、タフですね
パークス:それは考えたことがなかったな(笑)。でも、体力的には全然問題ないけど、タフなのは重要なことだよ。まだまだ走れる感じだし、たくさん走った方が楽しいからね(笑)。私はオーストラリア在住だからARRCや鈴鹿8耐などアジア圏でのレースは時差がそれほどないから問題なくレースができるんだ。そういう意味ではヨーロッパ開催のEWCの方が大変かな
EWCとARRCの違いはどのようなところですか
パークス:難しいのはスプリント仕様と耐久仕様を乗り換えること。ARRCではスタートから3周目くらいまでをアグレッシブに攻めなければならない。ここがとてもチャレンジングなんだ。EWCでは、3人のライダーが力を合わせてどれだけ速いペースでコンスタントに走れるかが重要。私ひとりが速くても遅くてもダメなんだ。
フリッツ選手は、パークス選手のレース活動を見てどのように感じていますか
フリッツ:ブロックが出場しているARRCはもちろん気になるし、テレビやパソコンなどでしっかり応援しているよ。もちろん僕もスプリントレースに興味はあるし、スーパーバイクやMotoGPを走りたいという気持ちもあるけれど、なかなかチャンスがないんだ。ただ、このチームが大好きだし、ヤマハからすばらしいサポートを受けているので、このままここでレース活動を続けていくことをいまは優先している。
カネパ選手は、GMT94からYARTに加わりましたが、チームの雰囲気はいかかですか
カネパ:GMT94に3年間在籍して、チームの雰囲気は最高だったし、いまもライダー同士はいい関係にあるよ。今シーズンからYARTに加わったけど、やっぱりチームの雰囲気は抜群。それとYZF-R1のセッティングがすばらしいし、ブリヂストンタイヤも高いポテンシャルを持っている。各サーキットでラップタイムが1.5秒くらい上がったからね。ヨーロッパのサーキットでもすばらしいパフォーマンスを発揮してくれるけれど、とくに鈴鹿でのブリヂストンはまるで魔法のタイヤだよ。ヘルメットを被っているから走っているときの表情は分からないだろうけど、常にニコニコして走っているんだ(笑)。
残念ながら今年はチャンピオン争いに加わっていませんが、スロバキア8時間で優勝するなど、チームは確実な速さを持っていると思います
フリッツ:結果的に速いタイムが出ているけど、一発のタイムは狙っていない。重視しているのは安定感。
カネパ:僕もラップタイムにはまったくこだわっていないよ。予選用のタイヤも使ったことはないしね。
パークス:私も同じ考えだ。一発の速さを狙わなくても、我々はどのレースでも常に上位で戦っているしね。ただ、今年の鈴鹿8耐ではチャンピオン争いに加わっていないのが残念。ル・マン24時間でノーポイントだったことが大きかった。
いまル・マンの話が出ましたが、24時間のレースでは途中に眠ることはありますか
パークス:これは毎回難しいと思っている。今シーズンは夜、自分のセッションを走り終えて、短時間眠ったな。
フリッツ:眠れないし、眠らないよ。以前、20分くらい眠ったことがあって、そのときは起きてからが辛かった。最初の2〜3周は体が重くて厳しかったんだ。だからそれ以降は眠っていない。リラックスして、冷たいシャワーを浴びて、気分を切り替えるようにしている。
カネパ:僕は眠る。毎スティント後、15分くらい。普段の生活でもよく眠るからね。
フリッツ:そうそう、ニッコロはレース中のストレートでもよく眠っているんだ(笑)。
パークス:24時間のレースでは食べ物やリラックス方法が重要になってくるけど、これは鈴鹿8耐でも同じ。レース中はもちろんウイーク中に脂っこいものを食べると本当に走行が苦しくなる。
カネパ:ヨーロッパでは専用のホスピがあるけれど、アジア圏ではそれがないからね。余計に注意しないといけないんだ。
鈴鹿8耐というレースにはどのような印象がありますか
パークス:一年でもっとも大きく、エキサイティングなレースだ。各メーカーのファクトリーチームが出ているし、スーパーバイクやGPのライダーもいる。そして日本の強豪ライダーもたくさんいる。だからこそ戦っていて楽しいんだ。ある時は強烈な暑さのなかでの戦いで、ある時は突然の雨に悩まされたりする。コンディションが悪いほど耐久チームが有利になるけど、とにかくこの8時間のスプリントレースは楽しいね。
フリッツ:ブロックと同じでシリーズのなかでもっともエキサイティングなレース。だってスーパーバイクやGP、ブリティッシュスパーバイクなど多くのトップスプリンターがいるからね。マシンの仕様は違うけど、世界のトップライダーと自分を比較できるのもいい。
カネパ:エキサイティングでもあり、とても大事なレースだね。EWCチームの実力を見せることができるいい機会だとも思っている。事前テストでは、ファクトリーチームに近いレベルで走れたから、今年はとくに楽しみだね。
順位や周回数など具体的な数字はありますか
パークス:3人とも強いライダーだからトップ5に入りたい。少なくともEWCチームのなかでのトップだ。
カネパ:運がよければそれ以上もいけると思うけど、事前テストではTSR(F.C.C. TSR Honda France)が速かった。鈴鹿8耐でTSRはチャンピオンがかかっているから、プレッシャーをかけてタイトル争いをかき乱したいね。
さて、トップ5というコメントがありましたが、これを実現するためには何が必要でしょうか
パークス:事前テストでは3人揃っていいタイムを記録している。タイヤもいい。マシンもいい。スタッフもいい。必要なものがすべて揃っている。昨年の予選用セッティングでは0.4秒速く走れているので、セッティングも出ている状態。だからトップ5という目標が出てくるんだ。
カネパ:天候の急変があればもっと面白い展開になる。条件はみんな一緒だけど、EWCを戦っているチームにとって天候の急変は当たり前だからね。ライダーもチームも対処方法を知っているんだ。
では最後に、決勝に向けて抱負をお聞かせください
パークス:今回はチャンピオン争いに絡んでいないけれど、とにかく最後まで諦めずに戦うのみ。ネバーギブアップ。みなさん、応援してください。
フリッツ:鈴鹿8耐は大好きな大会で、これから先何年も出場したいので、それができるように自分のパートをしっかり走りきり、そしていい成績を残したいね。みなさんの応援をお願いします。
カネパ:(日本語で)ありがとう。応援してください。