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野左根選手、JSB1000を制しEWCスロバキア、そして鈴鹿8耐へ

野左根航汰選手〜世界耐久選手権スロバキア8時間・鈴鹿8耐に向けて〜

全日本ロードレース選手権・第4戦もてぎ。JSB1000でクラス初優勝を達成した「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の野左根航汰選手は、この後、世界耐久選手権(EWC)第4戦スロバキア8時間に臨みます。

一人のライダーが2つのシリーズを走ることは、決して珍しいことではありませんが、野左根選手は前述の通り、今シーズンからスプリントと耐久という異なるふたつのレースを戦っています。その野左根選手をもっとも身近に見ている「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」の吉川和多留監督は「各レースを"点"ではなく"線"で結びつけながら確実に成長している」と、その姿を頼もしく感じている一人です。

「全日本では中須賀選手が身近にいることが成長に影響を与えています。トッププロが日々なにを考え、どんな行動をしているかをつぶさに見ることができていることはとても大きい。そして私は中須賀選手の言動の意味を読み解き、野左根選手に伝えていくのが役割。中須賀選手も"見せる・伝える"を意識していますし、野左根選手自身も近づきたい、追い越したいと、中須賀選手との実力差を理解し、それを埋めようと努力しています」

一方でEWCは、全日本で学んだものを生かすだけでなく、全日本では経験できないさまざまなことと出会う機会と言います。「例えば、パークス選手、チェカ選手といったエンデュランスのスペシャリストに共通する、マシン、環境に合わせる器用さは、野左根選手に足りない要素です」

昨年、YARTの一員として出場した鈴鹿8耐では、走り慣れた鈴鹿であるにもかかわらず、全日本と異なるマシンのパッケージに苦戦したことが、それを証明しています。

「野左根選手はすでにYARTでエースになれる実力があります。ただ、チームとしては勝利を第一に考えた時の適材適所があるでしょうし、パークス選手との差を確実に詰めているけれど、まだ彼の領域には辿り着けていません。それでもスロバキアではもてぎを制した勢いや、これまで積み重ねた経験で、きっとすばらしい走りを見せてくれるだろうし、また新しい何かをつかんで帰ってきてくれることでしょう。8耐でYARTは、EWCのタイトル獲得を最重視するわけですが、よい意味でYAMAHA FACTORY RACING TEAMのライバルとなり、互いを高めあえる存在になってくれることを期待しています」

こうした吉川監督の期待に応えるかのように、野左根選手はJSB1000初優勝の余韻に浸りながらも、すでにスロバキアに向けて気持ちの切り替えを進めています。

YARTは現在、トップからは22ポイント差のランキング4位。EWCのタイトル獲得のためには表彰台が必要とされるこの状況に対し、キーとなるのが「チーム内競争」だと野左根選手は感じています。「パークス選手は不動のエース。僕もマービン選手も頼りにしている大先輩ですが、それぞれが意識し競争があるのも確か。僕自身は2人には負けたくないし、今回はJSBを制して自信を持って乗り込める。それが2人にも大きな刺激を与えるだろうし、負けないよう必死になるでしょう。だからチームは活性化し、もっと強くなっていくのだと思います」

YARTは、昨年開幕した2016-2017シーズン初戦をマシントラブルでリタイアし、大きなビハインドを負った状態で2017年を迎えました。しかし今年、若いマービン・フリッツ選手、野左根選手が加入してチームは勢いを取り戻したのです。

「状況は厳しいのは誰の目から見ても明らかでしたが、誰一人として諦めていなかったし、実際、2戦連続2位で"いける"という意識が芽生えてきました。だからこそGMT94に連敗したのは悔しかったし、スロバキアは今季初優勝を照準にみんな気合も入っています。僕自身もJSB初優勝の勢いと、これまで学んできたものを総動員する覚悟。8耐はなんとしてもタイトルを狙える状態で迎えなければなりませんから。そして鈴鹿8耐では、地元日本のライダーとして、ヤマハのファクトリーライダーとして僕がYARTを牽引したい」

野左根選手は、ル・マン、SUGO、オッシャースレーベン、もてぎと、各レースでの経験を繋ぎ合わせながら、力強い成長曲線を描いてきました。その曲線は今後、6月24日のスロバキア8時間、その先の鈴鹿8耐とさらに上を目指して伸びていくことでしょう。

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