MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.22 11月16日 バレンシア
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第22戦バレンシアGP
■開催日:2025年11月16日(日)決勝
■開催地:バレンシア/スペイン(4.005km)
MotoGP
■周回数:27周(108.135 km)
■コースコンディション:ドライ
■気温:18度 ■路面温度:19度
■PP:M・ベッツェッキ(1分28秒809/アプリリア)
■FL:R・フェルナンデス(1分29秒976/アプリリア)
Moto2
■周回数:22周(88.11 km)
■コースコンディション:ドライ
■予選 気温:18度 ■路面温度:20度
■PP:D・ホルガド(1分31秒715/カレックス)
■FL:I・ゲバラ(1分32秒773/ボスコスクーロ)
REPORT
MotoGP
リンス選手14位 クアルタラロ選手は転倒リタイア
2025シーズン最終戦でMonster Energy Yamaha MotoGPのA・リンス選手が14位、F・クアルタラロ選手は11位走行中に転倒してリタイアに終わった。
リンス選手は19番グリッドからスタート後、集団に飲み込まれて難しい展開を強いられた。そのなかでS・チャントラ選手(ホンダ)とバトルして6ラップ目にパス、また前方の転倒などもあり、この時点で16位に浮上した。しかしこのあとは、ほぼ単独走行の状態。終盤でM・ビニャーレス選手(KTM)、クアルタラロ選手、A・エスパルガロ選手(ホンダ)のリタイアにより14位に上がりチェッカーを受けた。トップとの差は23.255秒だった。
クアルタラロ選手はスタートでやや出遅れ、オープニングラップを11位で終了。E・バスティアニーニ選手(KTM)の後方につけてチャンスを窺っていたが、オーバーテイクには至らなかった。そして24ラップ目、第8コーナー進入で転倒。幸い怪我はなかったが、シーズン最終戦をリタイアで終えることとなった。
この結果、クアルタラロ選手は合計201ポイントでランキング9位、リンス選手は合計68ポイントでランキング19位、Monster Energy Yamaha MotoGPは合計269ポイントでチーム・ランキング6位、ヤマハは合計247ポイントでコンストラクターズ・ランキング5位をそれぞれ獲得した。
Monster Energy Yamaha MotoGPはレース活動を支えてくれるスポンサーやパートナーの皆さまに対し、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
チームは2日後の火曜日、ここリカルド・トルモ・サーキットで2026シーズンに向けてのテストをスタートさせ、ヤマハの4名のライダーがV4エンジン搭載マシンを走らせることとなっている。
ミラー選手とオリベイラ選手がそれぞれ9位と11位
Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手とM・オリベイラ選手はそれぞれ9位と11位でシーズン最終戦を締めくくった。オリベイラ選手はこれでチームを離れ、2026シーズンからはスーパーバイク世界選手権に参戦することが決定している。ミラー選手の新たなチームメイトとして、スーパーバイク世界選手権チャンピオンのT・ラズガットリオグル選手が加わる。
2025シーズン最終戦には93,972人(ウイーク3日間合計で延べ205,315人)の観客が訪れた。そのなかでミラー選手は目標としていたトップ10を達成して9位獲得、オリベイラ選手は18番グリッドから追い上げて11位を獲得した。
ミラー選手は8番グリッドの優位性を最大限に活用し、多くの時間帯で6~7番手を走行。しかし終盤はタイヤ・グリップの低下により思うようにペースが上がらず、徐々に順位を下げて9位でゴールした。
オリベイラ選手は全体を通して挽回を続ける展開となった。18番グリッドからオープニングラップで3つポジションを上げ、終盤でも数台をパスして11位でフィニッシュした。125㏄クラス、Moto3、Moto2、MotoGPで15年間にわたり活躍し、MotoGPでの5回を含む合計17勝をあげ、表彰台41回、ファステストラップ12回、ポールポジション5回などの好成績を残した。
シーズンを締めくくり、ふたりはピットレーンに戻って華々しいバーンアウトを披露した。
この結果、ミラー選手は合計79ポイントでランキング17位、オリベイラ選手は合計43ポイントでランキング20位、Prima Pramac Yamaha MotoGPは合計125ポイントでチーム・ランキング11位をそれぞれ獲得した。
2026シーズンはすぐそこに迫っている。2日後の火曜日、チームはリカルド・トルモ・サーキットに戻り、新しいシーズンの幕開けとなる最初のテストに臨む。ミラー選手に加え、新たにチームメイトとなるラズガットリオグル選手も参加する。
フェルナンデス選手、2025年シーズン最後のワイルドカード参戦を成功裏に終了
Yamaha Factory Racing Teamは、2026年のプレシーズン・テストを前にV4エンジン搭載プロトタイプマシンのレース・データ収集を完了した。ワイルドカード参戦したA・フェルナンデス選手は全27ラップを16位で走り切った。
フェルナンデス選手は23番グリッドからスタート後、オープニングラップの混乱を避けて20番手をキープ。S・チャントラ選手(ホンダ)、リンス選手の18位争いについて行き、J・ザルコ選手(ホンダ)がロングラップ・ペナルティを履行する間に19位に浮上した。その後も前方で転倒などがあり順位はたびたび変動したが、フェルナンデス選手はチャントラ選手の後方をぴったりついてチャンスを窺い、数回仕掛けたあと21ラップ目にオーバーテイクに成功した。最終的にはトップから36.854秒差の16位でチェッカーを受けた。
この結果、フェルナンデス選手は合計8ポイントでランキング24位タイ、ヤマハは合計247ポイントでコンストラクターズ・ランキング5位となった。
V4エンジン搭載プロトタイプマシンはこのあと、2026年シーズンを戦う4名のMotoGPライダーに託される。火曜日にリカルド・トルモ・サーキット行われるIRTAテストでは全員がニューマシンを試すことになる。
Moto2
ゲバラ選手がMoto2で初優勝、アルボリーノ選手も10位と健闘
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2のI・ゲバラ選手が、シーズン最終戦バレンシアGPでスタート・トゥ・フィニッシュを決めてMoto2で初優勝を成し遂げた。この勝利は同時に、今シーズンから同クラスに参戦を開始したチームにとっても初めての栄誉となった。チームメイトのT・アルボリーノ選手は15番グリッドからのスタートで厳しい展開となったが、10位まで挽回してシーズンを締めくくった。
ゲバラ選手にとってはまさに完璧なレースだった。持ち前のロケットスタートでホールショットを奪い、トップで第1コーナーに進入し、そのままポジションを守り切って真っ先にチェッカーを受けた。ウイーク初日の金曜日にはプラクティス第1セッションで2度の転倒があり病院へ搬送されたゲバラ選手だが、午後にはサーキットに戻りプラクティスで4番手、翌日の予選で2番手を獲得していた。
決勝はポールシッターのD・ホルガド選手との一騎打ちとなった。ゲバラ選手は最初のブレーキング・ポイントで前に出ると、そのままトップをキープ。常にホルガド選手が背後に迫っており、最後の2ラップでは何度も勝負を仕掛けてきたが、ゲバラ選手はタイヤ・グリップがぎりぎりの状態のなかで懸命に応戦した。最終ラップ中盤の激しいアタックをひとつひとつ巧みに防ぎ、最終セクターではわずかにアドバンテージを拡大して勝利をおさめた。
アルボリーノ選手は15番グリッドから厳しい展開を強いられたが、10位まで挽回してBLU CRU Pramac Yamahaで最後のレースをで終えた。
この結果、ゲバラ選手は合計134ポイントでランキング11位、アルボリーノ選手は合計75ポイントでランキング19位を獲得。BLU CRU Pramac Yamaha Moto2は最終戦で31ポイントを加算して合計209ポイントとなり、結成1年目でチーム・ランキング8位を獲得しました。
MotoGP RACE RESULT
MotoGP LAP CHART

Moto2 RACE RESULT
MotoGP RIDERS RANKING
MotoGP CONSTRUCTORS RANKING
Moto2 RIDERS RANKING
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
A・リンス選手(14位)
「シーズン最終戦は非常に厳しいレースになりました。前回のポルティマオと同じようにリアタイヤを消耗して、コントロールが難しい状況でした。今回のほうがより厳しい状況でしたが、なんとかやり切れたと思います。私たちはこの1年で多くのことを学び、私個人としてもチームとしても大きく成長できました。これから新しい章が始まります。V4にフォーカスしていきます。火曜日にマシンに乗るのを楽しみにしています!」
F・クアルタラロ選手(DNF)
「クラッチに問題があって、最初の4つのコーナーは最悪の状態でした。第4コーナーでようやくフロントデバイスを解除したのです。大きくポジションを下げ、ペースもあまり上がりませんでした。終盤は強めにプッシュしてタイヤの状態を確かめました。バスティアニーニ選手に少し近づくことができました。オーバーテイクは難しい状態でしたが、できるだけ近づこうとしたのです。あの場面では、とくに変わったことはしていなかったのですが、転倒してしまいました。残念です」
M・メレガリ(チーム・マネジャー)
「直列4気筒エンジンはこれで最後ということになりますが、このような形でお別れするのは少し残念です。ファビオ(クアルタラロ)はスタートでやや遅れてしまい、ペースもあまり上がりませんでした。終盤で少し良くなってきましたが、転倒でレースを終えることになってしまいました。でも2日後にIRTAテストも迫っているので、怪我がなかったことが最も重要です。アレックス(リンス)もスタートで苦戦しましたが、チャントラ選手とのバトルを楽しんだようです。シーズンが終わりました。ヤマハの技術者やスタッフ、ホスピタリティー・スタッフ、チーム・クルー、そしてふたりのライダーの献身的な仕事に感謝しています。またサポートしてくれたスポンサーやパートナーにも心から感謝しています。このあとは2026シーズンに向けて集中していきます。火曜日にはもう始まります」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手(9位)
「周囲について行くために激しくプッシュしなければならず、厳しい戦いでした。でもとてもいいレースでした。第1、第2、第6それから第8コーナーまではタイヤが激しくスピンしたのですが、ライバルたちはそうではなく、むしろ加速しているので手を緩めるわけにはいきませんでした。コーナー進入でタイヤの左側を制御しながらスピードを維持する方法を調整しようとしていたのですが、結局、最後の10ラップくらいでタイヤが限界に達してしまいました。そのあとはタイヤをなんとか残すことに集中しました。問題はわかっています。このあとはこのマシンを倉庫にしまい、新しいマシンで仕事を始めます。でもここまでに積み上げた知見があるので、今年1年で経験したほどの大きな変化にはならないだろうと思っています。シーズンを通じてさまざまなアップダウンがありましたが、ここ数戦、とくにオーストラリア以降はフロントエンドの感覚が深まりました。究極のスピードではやや劣るところがあるかもしれませんが、安定性やタイヤ・コントロールにおいては大きな成果が得られました。今はこのマシンをかなり理解できるようになりました。来年、マシンは変わりますが、DNAは同じです。
最後に、ミゲール(オリベイラ)に感謝の気持ちを伝えたいと思います。長年、活躍している素晴らしいライダーで、私たちは子どもの頃から一緒にレースをしてきた仲間でもあります。多くの素晴らしい時間を共有してきました。彼がパドックを去るのは寂しいことですが、スーパーバイクでの活躍を楽しみにしています。私自身は次の準備ができています。トプラック(ラズガットリオグル)もまた素晴らしいライダーなので、ともにいい仕事ができるよう期待しています」
M・オリベイラ選手(11位)
「とても良い最終レースになりました。ウォームアップ・セッションの前に何か所か調整したことで大幅に改善され、決勝でも成果を確認できました。ペースは速く安定しており、グリッド後方からスタートしたにもかかわらず7つもポジションを上げることができました。自分自身がレースを楽しめたことは、ファンやチームにお別れを言うための最も良い方法だったと思います。ジャック(ミラー)がトップ10に入り、私も近づくことができたので、ふたりにとっていい日になりました。今は新たな冒険を楽しみにしています。でも同時に寂しい気持ちもあり複雑です。新たな挑戦はエキサイティングでもあり、怖くもあります。MotoGPで戦うポテンシャルがまだあると思っているので、このような形でパドックを離れるのは簡単ではありません。でも今日は本当に素晴らしい一日でした。お祝いの日であり、こうして終えることに満足しています。長いキャリアのなかで、多くのライダーにとって夢で終わるような素晴らしい経験をさせてもらいました。さまざまなカテゴリーで優勝し、とくにMoto3とMoto2では私のポテンシャルを最大限に引き出してくれる偉大なチームの一員として活躍することができました。多くのメーカー、多くのチーム、そして長年にわたり私を支えてくれた多くの人々に感謝しています。これから成し遂げるであろう成功も、ここまでのすべての経験の積み重ねの結果です」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「シーズンの良い締めくくりとなりました。ジャックもミゲールも素晴らしいレースを見せてくれました。とくにミゲールにとってはMotoGPに別れを告げるための最高のレースになったと思います。決勝ではこれまでの問題が解決され、トップと互角のペースで走ることができました。彼に、そしてチーム全体にこれだけの力が備わっているのです。彼が笑顔でチームを離れられることをとてもうれしく思います。
ジャック(ミラー)は最後まで8位獲得の夢を見させてくれました。最後はタイヤを消耗してしまいましたが、私たちの目標だったトップ10フィニッシュを達成しました。最後も素晴らしいショーをお見せすることができ、最高の形でシーズンを締めくくることができました」
Yamaha Factory Racing Team
A・フェルナンデス選手(16位)
「金曜日のパフォーマンスが素晴らしかったと思います。土曜日と日曜日で次のステップへ向けた方向性の確認を行いました。全体を通して、とても充実した週末になりました。ペースもそれほど大きく離されているわけではありませんし、マシンの動きもとても順調です。他の4名がどう感じるか興味深いところですが、同じような意見になることを期待します。2月のセパン・テストに向けて準備を進めていきます」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
I・ゲバラ選手(優勝)
「自分自身にとって、そしてチームにとって、この勝利は非常に大きな意味があります。私を信頼してくれたヤマハとPramac Racingに感謝しています。この結果は何よりも彼らのおかげです。このチームは1年前に生まれたばかりで、22戦を経て今日、最初の勝利を勝ち取りました。とても素晴らしい気持ちです。ここまで懸命にハードワークを続けてきて、今や優勝できるだけの強いチームへと成長したのです。とくにジーノ・ボルゾイには本当に感謝しています。彼は私を信じ、私のキャリアにおいてずっと重要な役割を担ってくれました。また私がBLU CRUプロジェクトの一員になることを許してくれたヤマハや、いつも支えてくれる家族にも感謝しています。今大会では金曜日に2回も転倒し、うち1回はかなり激しいものでした。私が病院で検査を受けている間も、メカニックたちは時間との戦いのなかで私のためにマシンを準備してくれました。Q2はとても順調でしたし、決勝では大いに楽しんで走ることができました。最後の数ラップはホルガド選手がアタックしてくるのがわかっていたので守りの走りをしなければなりませんでした。でも勝利を決意していて、実際に成し遂げたのです。私たちはこの1年でとても多くのことを学びました。今日の勝利は来シーズンに向けてのスターティング・ポイントになるはずです」
T・アルボリーノ選手(10位)
「奇妙な展開でした。序盤で何台かと接触して大きく遅れてしまいました。でも少しずつリズムが良くなってきて、最終的にトップ10を獲得して気持ちよくシーズンを終えることができました。このチームとの旅はここで終わりますが、私を一番に信じてくれたジーノ・ボルゾイ、そしてアレックス・デ・アンジェリス、またヤマハ、チーフクルーのルカ・カポッチアーノ、チームのみんな、ボスコスクーロに心から感謝しています。物語の結末はもっと良いものになるはずでしたが、これで良しとします。皆さん、本当にありがとうございました。また戦いの場でまたお会いしましょう」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「最高の形でシーズンを締めくくることができました。この勝利はライダー、チーム、そして私たちを信じて若い才能の育成を目指したヤマハのプロジェクトによって実現しました。今シーズンの成長はまさに飛躍的であったと言っていいと思います。この最終戦が終わりではなく、来シーズンへの始まりになったことを心からうれしく思っています。それと同時に、トニー(アルボリーノ)とともに仕事ができたことは私にとって喜びであり栄誉でもありました。彼は、マシンのフィーリングが良く自分に合っているときには信じられないほどの強さを見せてくれました。彼がまたトップに返り咲くものと確信しています。スターティング・グリッドでも彼に言ったのですが、ありがとう、トニー。あなたを大切に思っています」



























