MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.11 7月13日 ドイツ
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第11戦ドイツGP
■開催日:2025年7月11日(金)プラクテイス、7月12日(土)予選・スプリント、7月13日(日)決勝
■開催地:ザクセンリンク/ドイツ(3.671km)
CIRCUIT DATA

REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP、第11戦ドイツGPへ
Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロ選手とA・リンス選手は今週末、ザクセンリンクで開催される第11戦ドイツGPに臨む。その翌週の第12戦チェコGPとともにサマーブレイク前の重要な戦いとなる。
クアルタラロ選手は第10戦終了時点でランキング11位。ザクセンリンクの個性的な特徴を活かして自らの強みを存分に発揮したいと考えている。コース幅が狭くツイスティーなレイアウト、激しい高低差、またコーナーの多くが左コーナーという難しさがあり、誰にでも向くコースではないが、クアルタラロ選手は何度も素晴らしい走りを披露してきた。2021年に3位を獲得してスキルの高さを証明し、2022年は体調不良にもかかわらず優勝を成し遂げた。
リンス選手はブルノ・サーキットで行われたプライベート・テストで成果をあげ、自信を深めている。昨年は怪我でドイツGPを欠場したため、ザクセンリンクでM1を走らせるのは今回が初めてとなる。MotoGPでは際立った成績はないが、2013年のMoto3優勝、2015年のMoto2・3位などで表彰台に上っている。第10戦終了時点のランキングは17位。
ザクセンリンクが位置するザクセン州ケムニッツは、自動車やバイクのレースへの人気の高さでよく知られている。1920年代に初めてレースが開催された当初は公道のクローズドコースが使用されていた。安全上の理由から1996年にザクセンリンク・サーキットが建設され、2年後にグランプリを初開催した。コース幅が12メートルと狭く、多くのタイトコーナー(左-10、右-3)を持ち、MotoGPコースのなかでは低速コースとして知られが、依然として熱いアクションが展開される。
Prima Pramac Yamaha MotoGP、シーズン中盤戦へ向けて準備万端
Prima Pramac Yamaha MotoGPは、大観衆を集めた伝統のオランダ・アッセンから同様に多くのレースファンが待つドイツのザクセンリンクへ移動し、第11戦に臨む。J・ミラー選手は鈴鹿8時間耐久レースに向けたテストに参加したばかり。チームメイトのM・オリベイラ選手もチェコのブルノ・サーキットで2日間のテストを行ってからの再合流となった。
ミラー選手はオランダGP後に日本へ飛び、7月3日と4日の2日間、8月3日に開催される鈴鹿8時間耐久レースに向けてYamaha WorldSBKのA・ロカテッリ選手や中須賀克行選手とともにYamaha YZF-R1のテストを行った。ミラー選手は8年前の参戦以来、次の機会を心待ちにしていたという。
一方、オリベイラ選手は7月1日と2日、4年ぶりにチェコGPの舞台となるブルノ・サーキットでプライベート・テストに参加。マシンの弱点克服を目標に電子制御システムやマシンのセットアップを中心にさまざまなテスト項目をこなしたほか、ムジェロやアッセンで課題となった気温上昇時のタイヤ・コントロールにも取り組んだ。
ドイツGPザクセンリンク大会で、MotoGPはシーズンの折返しとなる第11戦を迎える。多くのロングコーナーで構成される、流れるようなレイアウトと最小限のストップ&ゴー。馬力そのものよりもマシンの敏捷性やコーナースピードがより重要となるこのコースで、ふたりはYZR-M1の強みが最大限に発揮されると期待している。
ミラー選手は2011年にザクセンリンクで世界選手権デビューを果たした。このときは残念ながらリタイアに終わったが、その後は全大会でポイントを獲得し、2014年のMoto3で優勝、MotoGPでは2019年と2023年に3位表彰台に上っている。また予選でも強さを発揮し、ポールポジション1回、3位1回のほかセカンドロー・スタートが5回あり、コースとの相性の良さが示されている。
オリベイラ選手は2017年のMoto2と2021年のMotoGPで表彰台に上ったほか、2度の4位など好成績を残している。昨年は予選2位と1ラップの速さを披露し、フロントローから6位獲得と健闘した。
第10戦終了時点でミラー選手は合計33ポイントでランキング18位、オリベイラ選手は合計6ポイントでランキング23位となっている。
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2、ザクセンリンクへ
第10戦オランダGPは悔しい結果に終わったBLU CRU Pramac Yamaha Moto2のI・ゲバラ選手とT・アルボリーノ選手。今週末はコースレイアウトの難しさで知られるザクセンリンクで第11戦ドイツGPに臨む。それに先立ち、先週は第12戦の舞台となるチェコのブルノ・サーキットで2日間にわたりマシンテストを行っており、引き続きボスコスクーロのマシンの改善に全力で取り組み、成果達成を目指す。
オランダGPではフリープラクティス中にハイペースを見せて期待されていたものの、決勝ではその好調を結果につなげることができなかった。その後のブルノ・テストを最大限に活用し、それぞれのチームクルーと緊密に協力し合い、マシンバランスの向上に努めてきた。ボスコスクーロのマシンはここまで、コンディション変化に対する繊細さが際立っており、気温によりパフォーマンスに大きな影響を受けてきた。
ザクセンリンクは全13コーナー中10コーナーが左コーナーという非常に特徴的なコース。この長い左コーナーでペースを維持することが勝負の鍵となる。オーバーテイクのチャンスは少なく、第1コーナーと最後の2つのコーナーに限られる。
ゲバラ選手はMoto3チャンピオンを獲得した2022年にここザクセンリンクで優勝。アルボリーニ選手は2023年にフロントローから2位を獲得している。
第10戦終了時点でゲバラ選手は合計37ポイントでランキング15位、アルボリーニ選手は合計34ポイントでランキング17位。BLU CRU Pramac Yamahan Moto2は合計71ポイントでチーム・ランキング10位となっている。
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手
「オランダGPは期待通りにはいきませんでした。とくに決勝の後半は、ペースは上がっていたのに前方のライダーたちに阻まれて前に出ることができませんでした。プライベート・テストのデータを分析し、対処法を探っています。このあとの2戦に役立ってくれると考えています。ザクセンリンクでは優勝経験がありますが、全般的に難しいコースで、とくに第2セクターと第3セクターは苦戦しています。今回はポジティブな面に焦点を当て、いつものように全力を注ぎます」
A・リンス選手
「オランダGPは非常にタフな戦いでした。序盤のアクシデントがなかったとしても、チャレンジングなものになっていたでしょう。問題を認識しており、まさに今、欠けている部分を見つけ出すために全力で頑張っているところです。ブルノのプライベート・テストは全体的にポジティブなものとなりました。ヤマハは開発を進めるため陰で努力してくれています。そのなかで私たちは集中力を保ち、プッシュし続けるだけです」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「1週間のインターバルがありましたが、ヤマハはその間も常に寄り添ってくれました。アレックス(リンス)はブルノのプライベート・テストで成果をあげましたが、その裏ではヤマハ・エンジニアがデータ分析などで献身的に取り組んでくれました。ファビオ(クアルタラロ)もまた、ウイークを通じて厳しいトレーニングを続けてきました。サマーブレイク前の重要な2戦に向け、チーム全体のモチベーションが高まっています。ザクセンリンクは特有の難しさがあります。レイアウトの性質上、オーバーテイクがなかなかできないので、いつも以上に予選順位が重要になるのです。厳しい週末を覚悟していますが、決意を持って臨み、好成績を目指していきます」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手
「今週末の展開に非常に期待しています。ここのロングコーナーは私たちのマシンによく合っているはずです。パワーそのものはそれほど重要ではなく、パワーをしっかりコントロールしてマシンをグリップの効く範囲にキープすることが求められます。これが簡単ではありません。でもこのコースは気持ちよく流れていてロングコーナーが多く、マシンがよく曲がってくれるので期待できると思います。予選が非常に重要です。アッセンでも経験したように、誰かの後ろについてしまうとオーバーテイクが難しくイライラしてしまいます。そのせいでつまらないミスをおかすようなことがないよう気をつけなければなりません」
M・オリベイラ選手
「ザクセンリンクはいつもエンジョイできるコースです。2021年には優勝争いをしましたし、昨年も非常に好調だったので今年も期待しています。アッセンでは1周目の接触の影響でリタイアになってしまいましたが、それまでは好成績に自信を持っていました。成果をさらに積み上げていきたいと思っています」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「ブルノで非常にポジティブなテストを行ったばかりです。しかしザクセンリンクとはまったく異なるタイプのコースなので、セッティングにおいてはすべてが活かされるわけではありません。ザクセンリンクは路面グリップが低いので、それによるパフォーマンス低下を気温が埋め合わせてくれることを期待しています。暑過ぎても理想的なグリップにはならないのです」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
I・ゲバラ選手
「アッセンは厳しい戦いになってしまいました。それだけに今回はいつも以上にポジティブに、決意を持って臨むことが重要だと考えています。ブルノのテストでは多くの周回を重ね、貴重なデータを収集して非常に有効な成果をあげることができました。ザクセンリンクではいつも走りをエンジョイでき、Moto3時代には優勝を含め多くの良い思い出があります。ここまでのハードワークを結果につなげるための一歩になるよう期待しています」
T・アルボリーノ選手
「アッセンは残念な結果でした。でも今は、その後のブルノ・テストの成果がどのような形で現れるかを楽しみにしています。コンスタントに全力でプッシュできるようなセッティングを追求してきました。ザクセンリンクはお気に入りのコースですし、データ上、ボスコスクーロのマシンにも合っています。ハードワークの結果が見えてくることを期待しています」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「ブルノの2日間のテストに非常に満足しています。通常のレースウイーク中には時間の制限があり、なかなかチャンスがなかったことも含めて、とてもたくさんの項目を試すことができました。次のセッションや次の日を待ったりすることなく、同じコンディションでテストができたので、真のフィードバックが可能になったと思います。ブルノはアスファルトが貼り替えられたばかりで、かなり攻撃的な路面になっていました。このような状況は他のサーキットではあまり見られないかもしれませんが、少なくとも私たちは非常に良い状態にありますし、ブルノでの成果は他のサーキットでも有効だと期待しています。ザクセンリンクは個人的に大好きなコースで、レースをしていたころにはよく好成績をあげました。イサン(ゲバラ)とトニー(アルボリーノ)に秘訣を共有し、できる限りのサポートをしていきます」