MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.08 6月8日 アラゴン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦アラゴンGP
■開催日:2028年6月8日(日)決勝
■開催地:アラゴン/スペイン(5.077km)
Moto2
■周回数:19周(96.463 km)
■コースコンディション:ドライ
■予選 気温:24度/路面温度:45度
■PP:D・モレイラ(1分49秒940/Kalex)
■FL:D・モレイラ(1分50秒327/Kalex)
REPORT
MotoGP
リンス選手が11位、クアルタラロ選手は転倒リタイア
第8戦アラゴンGP決勝でMonster Energy Yamaha MotoGPのA・リンス選手が11位。F・クアルタラロ選手は13ラップ目、10位走行中に転倒リタイアとなった。
リンス選手は15番グリッドからスタートして14番手としたあと、集団のなかでR・フェルナンデス選手(アプリリア)に抜かれて15番手。続いてM・ベッツェッキ選手(アプリリア)、E・バスティアニーニ選手(KTM)、A・フェルナンデス選手らに後方から迫られディフェンシブな戦いを強いられた。そのなかで一時18番手まで後退したが、1台を抜き替えし、また前方での転倒もあり13ラップ目には14番手に復活。後半戦は前日のスプリントと同様、調子を上げていき、17ラップ目にはJ・ミラー選手をとらえ、さらに次のラップでバスティアニーニ選手をパスして12番手に浮上した。その後もハイペースを維持して順調に走行を続けたリンス選手は、残り4ラップでのM・ビニャーレス選手(KTM)の転倒により11番手に上がり、そのままゴール。10番手を走るR・フェルナンデス選手との2.5秒差を詰めていたが、わずかに届かなかった。トップとの差は19.646秒だった。
クアルタラロ選手は予選9番手、グリッド3列目からのスタート。最初のいくつかのコーナーでひとつ上げたが、F・ディ・ジャンアントニオ選手(ドゥカティ)に抜かれて8番手でオープニングラップを終了した。序盤は追い上げてきた数台を抑えていたが、8ラップ目にJ・ミル選手(ホンダ)、9ラップ目にビニャーレス選手に先行されて11番手。12ラップ目にはB・ビンダー選手(KTM)の転倒があり10番手に上げたものの、次のラップで転倒してリタイアとなった。
この結果、クアルタラロ選手は合計59ポイントでランキング10位、リンス選手は合計31ポイントでランキング16位。Monster Energy Yamaha MotoGPは合計90ポイントでチーム・ランキング6位、ヤマハは合計89ポイントでコンストラクターズ・ランキング5位となっている。
チームは9日(月)に同サーキットで行われるIRTAテストに参加を予定している。
ミラー選手14位、オリベイラ選手15位
Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手とM・オリベイラ選手はそれぞれ14位と15位。猛暑のなかでタイヤの消耗に苦戦し、ディフェンシブな走りを強いられた。
ミラー選手は14番グリッドから好スタートを切り、オープニングラップで10位に浮上。その後少し下げて15~23ラップは12番手をキープしていたが、終盤でタイヤ・グリップが低下してペースダウンを余儀なくされた。
その一方でオリベイラ選手は序盤で混戦に巻き込まれ、グリッド16番から19番手へ後退。しかしその後はコンスタントにペースを維持して15位まで挽回し、怪我から復帰後初となるポイントを獲得した。
この結果、ミラー選手は合計31ポイントでランキング16位、オリベイラ選手は合計3ポイントでランキング23位。Prima Pramac Yamaha MotoGPは合計37ポイントでチーム・ランキング11位となっている。
ミラー選手とオリベイラ選手は月曜日のIRTAテストに続き、カタルニア・サーキットで行われるプライベート・テストにも参加する予定。次回第9戦は2週間後の6月20~22日、イタリアはムジェロ・サーキットで開催される。
ワイルドカード参戦のフェルナンデス選手、13位を獲得
Yamaha Factory Racing Teamからワイルドカード参戦したA・フェルナンデス選手が13位でフィニッシュ。23ラップを走り切り、重要なデータを収集した。
Yamaha Factory Racing Teamは第8戦アラゴンGPの決勝のなかで、プロトタイプ・パーツを採用したマシンでレース距離を走り切ることを目標にテスト・プログラムに取り組んだ。フェルナンデス選手は13位完走、3ポイント獲得と健闘した。
18番グリッドからスタートしたフェルナンデス選手はオープニングラップの混乱のなかでやや後退。その後、バスティアニーニ選手と競り合いながら、ともにオリベイラ選手をとらえ、さらにベッツェッキ選手とリンス選手を追って行った。4台の15位争いのなかでベッツェッキ選手とバスティアニーニ選手が初めにリンス選手をパス。フェルナンデス選手も続きたいところだったが、リンス選手とバトルとなり、その間にオリベイラ選手に追い上げられた。
それでも前方のクラッシュなどもあり、この時点で15番手。残り7ラップでは前を行くミラー選手との1秒以上の距離を縮め始め、さらに3ラップ後にはビニャーレス選手が転倒。そのあとはヤマハライダー同士の13位争いとなり、フェルナンデス選手が21ラップ目に前に出てそのままチェッカーを受けた。トップとの差は25.986秒だった。
この結果、フェルナンデス選手は合計6ポイントとなり、ランキング22位につけている。
Moto2
ゲバラ選手11位、アルボリーノ選手17位
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2のI・ゲバラ選手とT・アルボリーノ選手は第8戦アラゴンGP決勝でそれぞれ11位と17位。ゲバラ選手は16番グリッドから着実に順位を上げたが、アルボリーノ選手は対照的に、11番グリッドから一時9番手に浮上したあとフロントタイヤのフィーリングが得られず、また終盤ではリアタイヤの消耗もあり後退した。
レース序盤、アルボリーノ選手は絶好のスタートから9番手に浮上してJ・ロバーツ選手と抜きつ抜かれつの熾烈なバトルを展開。しかし後半は徐々に後退し、終盤はグリップ不足によりペースダウンを余儀なくされた。ゲバラ選手はオープニングラップで14番手につけたあとコンスタントにペースを維持して11位でチェッカーを受けた。
この結果、アルボリーノ選手は合計31ポイントでランキング14位、ゲバラ選手は合計28ポイントでランキング16位。BLU CRU Prima Pramac Yamaha Moto2は合計59ポイントでチーム・ランキング9位となっている。
MotoGP RACE RESULT
MotoGP LAP CHART

Moto2 RACE RESULT
MotoGP RIDERS RANKING
MotoGP CONSTRUCTORS RANKING
Moto2 RIDERS RANKING
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
A・リンス選手(11位)
「前半の10~12ラップくらいは苦戦しましたが、12ラップ以降はいきなり1分47秒台前半のタイムが出るようになりました。そして終盤は非常に速かったのです。このようになる原因を探り、修正して、序盤でもっと速く走れるようにしていかなければなりません。そこに注力する必要があるのです。明日のIRTAテストでは、アウグスト(フェルナンデス)が今日テストしていたものを試すことができます。重要なテストになるでしょう」
F・クアルタラロ選手(DNF)
「昨日と同様の問題を抱えていました。周回を重ねるごとにコース上のラバーが増えてグリップが上がっていくのですが、少しでも強めにプッシュするとフロントを失ってしまうのです。この原因を解明しなければなりません。明日はここでテストを行います。まだまだ改善が必要だということがわかりましたが、このあとのムジェロやアッセンではもっと速く走れると思います」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「難しいレースで、とくに序盤は苦戦しました。アレックス(リンス)は後半はとても速いのに、前半ではそれができない理由を明確にしなければなりません。最後の11~12ラップはトップグループにも匹敵するタイムで走れていたのです。ファビオ(クアルタラロ)は昨日と同じような問題が出ていて、10位走行中に転倒してしまいました。幸い怪我はなく、明日のIRTAテストには万全の状態で参加することができます。明日は新しい部品の評価・分析を行います。また今日の問題も調査します。今回は全体を通して苦しい戦いでしたが、明るい兆しも見えました。決勝中のラップタイムが昨年よりも上位陣に近づいていることです。それによりトップとの差も縮まっています」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手(14位)
「望んでいた展開ではありませんでしたが、結果を受け入れます。少なくともポイントを獲得できましたし、序盤はフィーリングが良くスピードも出ていました。しかし2ラップ目の第12コーナーでファビオ(クアルタラロ)にアタックしたときにマシンをしっかり制動できず、少しはらんでしまい、そのあとはペースが落ちてなかなかリズムを取り戻すことができませんでした。彼が私と同様の問題を抱えていることはわかりました。そして第1コーナーで転倒したときには私も同じようになりそうだったのです。7ラップ目あたりからリアの振動が激しくなり、とくに右側で繰り返し発生していました。優しく丁寧に乗ることを心がけ、なんとか問題に対処しようとしましたが、影響は大きく、少しでもペースを上げようとするとミスをしたり転倒しそうになったりしました。ですから今回は厳しい戦いでしたが、時にはこのようなこともあるでしょう」
M・オリベイラ選手(15位)
「ジャック(ミラー)が抱えていた問題をほぼそのまま'コピー&ペースト'したような感じです。私も右側に振動が出ていて、とくに第3コーナーと第13コーナーの進入ではそれが顕著でした。でも私にとっての最大の問題は、序盤から中盤にかけてのフロントのロックでした。また燃料タンクの満タン時と少なくなったときとでマシンのフィーリングが違いすぎるのも気になりました。最初の10ラップはコースから外れないようにすることさえ難しいような状態ですが、燃料が軽くなってくると楽になってきます。まだ多くの改善が必要だと思います。明日のテストではとくに重要ないくつかの部分に集中して作業をすることになります。タイムアタックが大きな課題のひとつです」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「非常に厳しいウイークになってしまいましたが、そのなかで現在の問題点をあぶり出し、多くを学ぶことができました。私は物事を前向きにとらえるほうで、'コップは半分まで満たされている'と考えています。そして細かい部分の対応策が見つかれば、すぐにでも大きく前進できると確信しています。今回は確かに複雑で大変でしたが、最大の問題に直面し、集中的に取り組むことで早い解決を促してくれたと思っています。その意味でも明日のテストは非常に重要になります。いくつかニューアイテムを試すことになっています」
Yamaha Factory Racing
A・フェルナンデス選手(13位)
「楽なレースではありませんでした。とくに前半で苦戦し、スプリントほど良い感触ではなかったのですが、全体的には満足しています。最後の7ラップはマシンのフィーリングが向上し、最終ラップでベストタイムが出ています。これはウイークポイントのひとつで、新品タイヤの優位性を十分に活かせませんでした。しかし全体的にはいい仕事ができたと思います。これほどたくさんのことをテストするのは大変ですが、今は非常に満足しています」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
I・ゲバラ選手(11位)
「レースには満足しています。昨日までの経験から後半戦に向かって難しい状況になることがわかっていたので、序盤はタイヤをしっかりコントロールすることに集中しました。目標を10位にしていて11位だったので、かなり近づけたことになります。貴重な成果と発見がありましたし、体力的にもベストの状態にあると思っています。ポイントも獲得できたので、今後もこの方向性を守って仕事に取り組んでいきます」
T・アルボリーノ選手(17位)
「いろいろなことがありましたが、今日のレースについては明るい兆しとしてポジティブにとらえたいと思っています。マシンのフィーリングが向上し、他のボスコスクーロ勢との差を縮めることができたからです。しかし残念ながら、フロントタイヤには苦戦しました。データ上はそれが正しい選択のように見えたのですが、初めから十分なフィーリングがつかめない状態でハードに攻めることはできませんでした。次のムジェロはホームレースなので、ファンの皆さんの前で走るのを楽しみにしています」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「イサン(ゲバラ)は期待通りに挽回してくれました。今回のグリッド・ポジションには、彼の本当のポテンシャルが反映されていませんでした。終盤は後続を楽に引き離し、10位の選手との差を縮めていました。予選で目標を達成できていれば、トップ10は間違いなかったでしょう。トニー(アルボリーノ)はまったく逆の状況でした。初めは予選ポジションに近い位置で堅実な走りをしていたのですが、最後の3ラップでタイヤ・グリップが急激に落ち込み、多くのポジションを失ってしまいました。前回のシルバーストーンよりは全体的に良くなっているのですが、上位争いに加わるにはもう少し改善が必要です」