MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.08 6月8日 アラゴン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦アラゴンGP
■開催日:2025年6月7日(土)予選/スプリント結果
■開催地:アラゴン/スペイン(5.077km)
MotoGP
■コースコンディション:ドライ
■予選 気温:24度/路面温度:40度
■スプリント 気温:29度/路面温度:52度
■PP:M・マルケス(1分45秒704/ドゥカティ)
■FL:A・マルケス(1分46秒906/ドゥカティ)
Moto2
■コースコンディション:ドライ
■予選 気温:28度/路面温度:51度
■PP:D・モレイラ(1分49秒940/Kalex)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
クアルタラロ選手がQ2進出、スプリントは11位
Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロ選手がスプリントで絶好のスタートから好位置をキープ。しかし後半は厳しい展開を強いられ11位となった。A・リンス選手も全ラップを通じて奮闘し、最終ラップで1台抜いて14位でゴールした。
クアルタラロ選手はQ1でトップタイムをマークしてQ2に進出。Q2では9番手となり、スプリントをグリッド3列目からスタートした。すぐさま戦闘モードに入ったクアルタラロ選手は、オープニングラップで6番手に浮上。全11ラップの前半はこの位置をキープしていたが、後半に入ると追い上げてきた数台に囲まれる形となってしまった。6ラップ目にD・ジャンアントニオ選手(ドゥカティ)に抜かれ、7ラップ目にM・ビニャーレス選手(KTM)に抜かれたときには、接触してはらむ間にB・ビンダー選手(KTM)にすり抜けられ、さらにM・ベゼッキ選手、R・フェルナンデス選手(ともにアプリリア)にも先行されて、残り4ラップの時点で11番手まで後退した。その後は自分のリズムを守って安定して走り切り、トップから13.331秒差でチェッカーを受けた。
リンス選手は15番グリッドから好スタートを切って12番手につけるもオープニングラップの混乱のなかで17番手まで後退。2ラップ目にJ・ミル選手(ホンダ)の転倒により16番手に上がり、6台の大集団に加わり13位争いを展開した。5ラップ目にはワイルドカード参戦しているヤマハ・テストライダーのA・フェルナンデス選手とPrima Pramac Yamaha MotoGPのM・オリベイラ選手に抜かれて一時17位へ後退したが、フェルナンデス選手は残り5ラップで転倒リタイア。リンス選手はそのあとE・バスティアニーニ選手(KMT)をとらえ、さらに最終ラップでJ・ザルコ選手(ホンダ)をパスして14位でチェッカーを受けた。トップとの差は17.202秒だった。
この結果、クアルタラロ選手は合計59ポイントでランキング10位、リンス選手は合計26ポイントでランキング17位。Monster Energy Yamaha MotoGPは合計85ポイントでチーム・ランキング6位、ヤマハは合計84ポイントでコンストラクターズ・ランキング5位となっている。
Prima Pramac Yamaha MotoGP
ミラー選手13位、オリベイラ選手15位
Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手とM・オリベイラ選手はスプリントでそれぞれ13番手と15番手。ミラー選手はQ1で4番手につけて14番グリッドを確保、オリベイラ選手もQ1で6番手と健闘し、16番グリッドからスタートしていた。
ミラー選手はシグナル・グリーンとともに一気に飛び出し、最初の数コーナーの混乱をすり抜けて11番手へ浮上。しかし2ラップ目の第12コーナーでJ・ミル選手(ホンダ)にパスを仕掛けた際に接触し、ミル選手は転倒。ミラー選手も大きくはらんで15番手まで後退してしまった。この接触についてはレース・ディレクションのビデオ判定によりロングラップ・ペナルティを課され、6ラップ目に履行して16番手で復帰した。
多くのライダーがリアにソフト・コンパウンドを選択するなかで戦略的にミディアムを装着したミラー選手は、終盤も果敢なプッシュを継続して3つポジションを挽回し、最終的に13番手でゴールした。
オリベイラ選手も同様にリアにミディアム・タイヤを選び、A・フェルナンデス選手やリンス選手と終盤までバトルを展開。15位でゴールし、身体的コンディションの回復とYZR-M1への自信が育ちつつあることを証明した。
この結果、ミラー選手は合計29ポイントでランキング16位、オリベイラ選手は合計2ポイントでランキング23位。Prima Pramac Yamaha MotoGPは合計34ポイントでチーム・ランキング11位となっている。
Yamaha Factory Racing Team
フェルナンデス選手、果敢な走りもマシントラブルでリタイア
Yamaha Factory Racing Teamからワイルドカード参戦し、YZR-M1のテスト・プログラムの一環としてデータ収集やプロトタイプ・パーツの分析に取り組んでいるA・フェルナンデス選手。スプリントでは他のヤマハ勢と競り合いながら15番手を走行していたが、9ラップ目に技術的な問題でリタイアした。
フェルナンデス選手は18番グリッドからスタートして順調に走行。2ラップ目にJ・ミル選手の転倒により17番手に上がり、Monster Energy Yamaha MotoGPのA・リンス選手のすぐ後ろにつけた。そしてしばらく観察したあとオーバーテイクに成功し、さらにPrima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手がロングラップ・ペナルティを履行する間に15番手に浮上した。続けてJ・ザルコ選手を追って行ったが、9ラップ目にトラブルが発生してリタイアとなった。
この結果、フェルナンデス選手はM・オリベイラ選手に代わり出場した第3戦アメリカGPで獲得した3ポイントによりランキング22位につけている。
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
アルボリーニ選手とゲバラ選手、揃ってQ2へ進出
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2のT・アルボリーノ選手とI・ゲバラ選手はともにQ1でトップ4に入り、Q2に進出してそれぞれ11番グリッドと16番グリッドを獲得した。
前日のプラクティスでは実力を出し切れず、ふたりともQ2進出条件のトップ14に入ることができなかった。しかしQ1では大幅な改善が見られ、ゲバラ選手が2番手、アルボリーノ選手が4番手を獲得してQ2に進出した。
午前中に行われたフリープラクティス第2セッションでは、ふたりとも決勝用セッティングで順調な走りを披露。Q1ではトップ4獲得を目指して序盤からアタックし、渋滞やイエローフラッグ、スリップストリーム合戦などの混乱のなかで早々に好位置を確保した。Q2では再びコースの混雑の影響を受けることとなったが、アルボリーノ選手は最後のアタックで1分50秒686に更新して11番手。ゲバラ選手も1分50秒925のベストタイムで16番手につけた。
MotoGP QUALIFYING RESULT
MotoGP SPRINT RESULT
Moto2 QUALIFYING RESULT
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手(11位)
「今日はマシンのフィーリングが格段に向上していたので、このことについては満足できました。スプリント・レースは思い通りにはいきませんでしたが、走行中のフィーリングはやはりとても良かったのです。依然として改善すべき点がいくつかありますが、全体的にはポジティブな一日だったと言っていいと思います。明日はリアにミディアム・コンパウンドを履くので、理論上は問題のいくつかを解決できることになります。現実的には7~9位争いになると考えています」
A・リンス選手(14位)
「午前中のフリープラクティス第2セッションでパフォーマンスが大幅に向上し、ラップタイムが0.8秒も縮まりました。フィーリングも格段に良くなっていたので自信を持ってスプリントに臨みました。しかし午後はコース・コンディションが悪くなっていたため、昨日と同様の問題が出てしまいました。気温が高いとマシンの制動に苦戦し、ラインをキープできなくなるのです。明日に向けての対応策を探します。今日は苦戦したので、じっくり考える必要があります」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「順位的には満足できるものではありませんが、昨日に比べると大きく前進しています。ファビオ(クアルタラロ)がQ1を通過し、Q2で予選9番手を獲得したことがその証です。スプリントでは素晴らしいスタートを切り、オープニングラップで果敢なオーバーテイクを見せて6番手まで上がりました。そしてそのポジションを5ラップにわたりキープしていたのです。しかし後半戦は厳しい戦いになりました。4ラップ目あたりからチャタリングが出ており、それが急激に悪化してしまいました。リアタイヤにソフト・コンパウンドを履いていると起こりやすいことで、今日は11位が彼にできる最大限の成果でした。アレックス(リンス)もQ1で5位と健闘し、グリッド15番手を確保しました。しかし5列目からのスタートは難しく、混乱のなかで順位を下げ、さらにファビオと同様の暑さによる問題にも苦戦していました。それでも最後の数周でリカバーを見せてくれました。ふたりのデータを分析し、明日に向けて解決策を講じます」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手(13位)
「マシンは非常によく走っていて好感触が得られました。そのなかで、2ラップ目の第12コーナーでのジョアン・ミル選手との接触は残念なことでした。彼をパスしようとして強くブレーキをかけました。隙間を見つけて飛び込んだのですが、このコースではレースラインを少しでも外れるとグリップがなくなってしまいます。マシンが90度振られ、スライドを起こし、懸命に頑張りましたが接触を避けることができませんでした。ぶつかった途端に私のほうはグリップを取り戻してコースアウトしてしまいました。ミル選手には申し訳ないことをしました。決して意図したわけではなく、私のミスでした。その後はバニャイア選手に追いつき、ペナルティを受ける前にオーバーテイクを試みました。彼は苦戦しているようだったので、少しでもポジションを上げるためにパスしておきたかったのですが、簡単ではありませんでした。最後にいくつか挽回できましたが、やはり今日はタフなレースでした。明日も厳しい展開になると思います。このコースは基本的にレースラインが1本しかないので、オーバーテイクのためにラインを外れるとタイヤが砂利を巻き込み、そのあとのコーナーで手間取ることになるのです」
M・オリベイラ選手(15位)
「今日は一歩、前進できました。しかし予選セッションは最悪で、リアのソフトタイヤの機能を十分に引き出せなかったため、転倒しない範囲でベストを尽くすしかありませんでした。スプリントではリアにミディアムを選択し、リズムをつかむまでの最初の数ラップを除いて全体的にはよく機能してくれました。このように一定の進歩が見られているのですが、明日の決勝レースに備えてさらに一歩、前進が必要です。おそらく全員がミディアムを履くので、それによる差はなくなります。目標はクリーン・スタートから序盤でポジションを上げ、その後の展開に対応することです」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「今日は運がありませんでした。ジャック(ミラー)は序盤のミル選手との接触により、その後の展開に大きな影響が出てしまいました。ミディアム・リアは正しい選択で、ペナルティがなければ好成績が期待できるところだっただけに残念でした。ミゲール(オリベイラ)も同様にハイペースで走行し、私たちのタイヤ戦略の強みを証明してくれました。明日は全員が同じコンパウンドを履くことになるので、今日のデータが役立つことを期待しています。コンスタントなペースが好成績獲得の鍵になるでしょう」
Yamaha Factory Racing Team
A・フェルナンデス選手(DNF)
「ヤマハ勢と一緒に走り、フィーリングは上々でした。これは今回の自分の目標でもありますし、ペースやその他すべてに満足しています。彼らに近づけたということは高く評価できるもので、マシンのフィーリングについてもとても良かったと思います。予選では少し苦戦しました。約1カ月ぶりのタイムアタックはやはり簡単ではありませんでした。でもスプリントではすぐに以前の感覚を取り戻すことができました。ペースに関してはウイークを通じて本当に順調でした。このような形でレースを終えることになり残念ですが、明日もチャンスがあります。好レースを期待しています」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
T・アルボリーノ選手(11番手/1分50秒686)
「苦しいレースが続いてきたなかで、今日は少しほっとすることができました。午前中のセッションでは、順位には現れていませんが、良いフィーリングをつかんでいました。そしてQ1ですぐさま好タイムをマークし、Q2に進むことができました。Q2のベストタイムは1回目の走行ですでに使用していたフロントタイヤで出したものなので、コンマ数秒の影響があったと思います。本来はもう少し上のポジションを獲得できたはずですが、全体的には満足しています。今は明日に全集中しています」
I・ゲバラ選手(16番手/1分50秒925)
「Q1を通過できたことはうれしく思いますが、Q2では同様のペースを維持することができませんでした。16番グリッドから順位を上げていくのは簡単ではなく、厳しいものになるでしょう。最初の数ラップが非常に重要で、序盤からあらゆるチャンスを最大限に活かしてペースを上げていく必要があります。決勝ペースは好調なので、トップグループに食い込み、そこからチャンスを拡げていきたいと思っています」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「ふたりが揃ってこれまでのベストタイムを記録し、Q1を通過できたことが非常に重要です。Q2では、イサン(ゲバラ)はQ1のペースに届きませんでしたが、トニー(アルボリーノ)はラップタイムを大幅に更新しました。データにも示されているように、私たちを含めボスコスクーロ勢全員が好調で、タイヤの消耗の面ではKalexよりわずかに優れていることがわかっています。イサンは安定性がありますし、今日はこのところ苦戦が続いていたトニーの復活が見られて非常にうれしいです。彼にはそれだけの力があります。チームも同様です」