MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.08 6月8日 アラゴン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第8戦アラゴンGP
■開催日:2025年6月6日(金)プラクテイス、7日(土)予選・スプリント、8日(日)決勝
■開催地:アラゴン/スペイン(5.077km)
CIRCUIT DATA

■開設:2009年
■コース長:5.077km
■ベストレースラップ:1分47秒795(2022年:L・マリーニ)
■オールタイムラップレコード:1分46秒069(2022年:F・バニャイア)
■2024年の優勝者:M・バニャイア(ドゥカティ)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP、第8戦アラゴンGPへ
Monster Energy Yamaha MotoGPは今週末、スペイン・アラゴン州のモーターランド・アラゴンで第8戦に挑む。
F・クアルタラロ選手は第7戦終了時点でランキング8位。厳しい戦いを予測しているものの、ここ数戦の好調な勢いを継続させるべく全力で臨む。同サーキットでの過去最高成績は2019年の5位。
チームメイトのA・リンス選手はランキング17位と、できるだけ多くのポイントを獲得してランキングをあげることが目標。ここアラゴンでは2013年にMoto3で優勝、2015年にMoto2で2位。MotoGPでは2020年の第11戦アラゴンGPと第12戦テルエルGPでそれぞれ1位、2位と好成績を残している。
モーターランド・アラゴンは2010年にMotoGPを初開催。2023年は開催を休止したが、昨年から再開した。アラゴン州アルカニス近郊に位置し、バルセロナからは車で2~3時間の距離。全長5.1キロの高速コースに左コーナー10か所、右コーナー7カ所が設けられ、ロング・ストレートは968mに及ぶ。
今大会には「Yamaha Factory Racing MotoGP Test Team」のテストライダー、A・フェルナンデス選手が「Yamaha Factory Racing Team」からワイルドカード参戦し、決勝翌日に予定されているテストにも参加する。
Prima Pramac Yamaha MotoGP、結果を出すための戦いへ
ここ数戦、素晴らしい進化を見せているPrima Pramac Yamaha MotoGP。第7戦イギリスGPではJ・ミラー選手が多くの時間帯で表彰台争いを展開し、M・オリベイラ選手も復帰2戦目にして大幅な体力回復が見られ、YZR-M1のパフォーマンスを存分に引き出した。
今シーズン活動を開始したチームの学習期間は終わりに近づき、ここモーターランド・アラゴンはチームとマシンの進歩を評価するための重要なテストの場となる。ヘレス、ル・マン、シルバーストンの過去3戦はいずれもヤマハの特性が活かされるコースレイアウトだったが、アラゴンはまったくタイプが異なり、長いバックストレートや低速コーナーなどにより力強い加速と総合的なバランスを兼ね備えたパーフェクト・セッティングが要求される。
ブレーキシステムメーカーBrembo(ブレンボ)の技術者によると、アラゴンはブレーキにかかる負荷が最も高いコースのひとつだという。ブレーキング難易度はレベル1~6のうち4と評価され、合計10のブレーキングゾーンは3カ所がハードブレーキング、3カ所が中程度、4カ所が軽度に分けられる。1ラップのなかでは約29%に当たる30.5秒間ブレーキをかけていることとなり、うちシステムに最も過酷な第1コーナーではわずか4.7秒間で時速293キロから93キロへと減速する。このときライダーはブレーキレバーに4.9キロの負荷をかけて1.5Gを体験し、カーボンディスクの温度は500度を超える。
ミラー選手はシルバーストーンでウイークを通じてトップライダーらと同等のペースを披露し、決勝では終盤まで表彰台争いに加わり7位を獲得。オリベイラ選手も1ラップの速さが増してQ2にあとわずかと迫っており、今回は決勝での安定的なペース向上を目指している。
アラゴンではミラー選手が2019年に3位、2020年に6位、2021年と2022年はいずれも予選2位のフロントローから5位と健闘している。オリベイラ選手はMoto3で2012年~2014年にそれぞれ8位、5位、7位を獲得したあと2015年に優勝。2017年はMoto2で3位表彰台に上り、MotoGPでは2020年の6位が最高位。
第7戦終了時点でミラー選手は合計29ポイントでランキング16位、オリベイラ選手は合計2ポイントでランキング23位。Prima Pramac Yamaha MotoGPは合計34ポイントでチーム・ランキング11位につけている。
Moto2
ゲバラ選手は上位キープ、アルボリーノ選手は復活を期す
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2 はシーズン中盤の行方を占う非常に重要な一戦を迎える。第7戦イギリスGPではI・ゲバラ選手が終盤まで表彰台争いを展開して今季自己ベストタイの5位。このところ難しい展開が続いているアルボリーノ選手も、本来の実力を発揮するチャンスを狙っている。
アルボリーノ選手は2020年、アラゴンへ向かう航空機内で新型コロナウイルス陽性者との接触があったとして出場許可が得られず、このことがMoto3タイトルを逃す要因のひとつとなった苦い経験がある。1週間後に同サーキットで行われたテルエルGPではフロントローから決勝10位、2022年は5位、そして昨年は2位を獲得してMoto2初表彰台に上った。
ゲバラ選手はMoto3で2021年に4位、2022年は鮮やかなポール・トゥ・フィニッシュを飾り、同年タイトルを獲得した。昨年はMoto2に初参戦したが、1周目にリタイアとなっている。
第7戦終了時点の成績は、アルボリーノ選手が合計31ポイントでランキング14位、ゲバラ選手は合計23ポイントでランキング16位。BLU CRU Pramac Yamaha Moto2は合計54ポイントでチーム・ランキング8位となっている。
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手
「イギリスGPでは期待した結果が得られず、私だけでなく、チームやエンジニア、ファンの皆さんにとっても非常に辛く厳しいものになってしまいました。でもそのなかにはポジティブに評価できる点もありました。私は間違いなく超速で、大差でレースをリードしていました。素晴らしいフィーリングでした! ですから、これまでと同様のやり方で仕事に取り組み、もう一度トップで戦うチャンスを作ることが今回の目標です。アラゴンは私にとって楽なコースではなく、チャレンジングなウイークが予想されますが、100%の力を注ぎます」
A・リンス選手
「2025シーズンの約3分の1が終わりました。ここまで着実に前進してきましたが、目標にはまだほど遠い状況です。アラゴンは簡単なコースではありませんが、どこをどのように改善できるかについては大きな野心とポジティブな考えを持っています。昨年はいいレースができたので、今回はそれを上回る成績を狙っていきます」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「イギリスGPはファビオ(クアルタラロ)にとってもチームにとっても悲しい結果に終わり、その後の1週間は休養と反省のための貴重な時間となりました。止まってしまった呼吸を再開し、全体の状況を見直し、次の作戦を練ることができました。モーターランド・アラゴンは素晴らしいコースです。いわゆる"ヤマハ向きのコース"ではありませんが、だからこそ絶好のテストの場となるのです。ここ数戦、着実に前進してきたので今回の展開にも期待しています。このコースでもハイレベルな走りができれば、進化を確かなものとして実感できるでしょう。そのためにも、これまで通り計画的に仕事を進めることが重要です。今回はテストチームも参加するので、マシン開発に取り組みながら質の良いデータを収集したいと思っています。また月曜日にはIRTAテストもあるので、そこでもマシンの評価を続けます」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
J・ミラー選手
「アラゴンを楽しみにしています。昨年、路面を新しく舗装し直しており、そのときはまだ安定していなかったのですが、今年はグリップが良くなっていると期待しています。マシンはこのところとても好調です。アラゴンは長いロング・ストレートを持つ異なるタイプのコースですが、ヤマハの強みを発揮できるいいコーナーもいくつかあります。シルバーストンは素晴らしい週末になったので、その勢いを今回にもつなげたいと思います」
M・オリベイラ選手
「シルバーストンでは、復帰1戦目のル・マンに比べスピードが上がり大幅に前進できました。体調や持久力は未だにピークには届いていませんが、フィーリングはとても良くなっています。毎日が前進の連続で、セッションごとにどんどん向上しています。アラゴンは体力的な負荷はそれほど大きくありませんが、たくさんの左コーナーがあるので、私にとっては難しいチャレンジになるでしょう。さらに一歩前進できるよう頑張ります」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「少なくともデータ上では、ヤマハのこのところの進化を証明できるはずのサーキットになります。しかし大きなことを言う前に、まずストップウォッチの結果を待ってみたいと思っています。ここ数戦から見る限りM1の確実性が一定レベルに達していることは間違いなく、それはクアルタラロ選手の3戦連続ポールポジションに明白に表れています。予選の速さは確かな証拠であり、次のステップは決勝でのペースを改善することです。今大会のあとは重要なテスト・セッションを予定しています。翌日の公式テストに続いて、水曜日と木曜日はバルセロナで2日間のプライベート・テストを行います。そこでまた新しいものを試し、安定性向上を目指します」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
T・アルボリーノ選手
「シルバーストンの成果を継続し、さらに向上させたいと思っています。ここ数日はベースセッティングの調整について、チームと重要な話し合いをしてきました。私の要求に沿ってマシンを調整しながら、私のほうでも自分のライディングを合わせていく努力が必要です。このコースは大好きなので、きっといいレースができると思います。自信と確信を持って臨んでいます」
I・ゲバラ選手
「1週間休んだあと、またサーキットに戻ってきました。ウイークが始まるのをとても楽しみにしています。アラゴンGPは重要なイベントで、いつも以上にモチベーションが上がっています。前回のシルバーストンでは思い通りの走りができて、表彰台こそ逃しましたが可能性を感じることができました。このところの進化をさらに盛り上げていくため、私を含めチーム全員がハードワークを続けています。今回こそ希望通りの結果を出したいと思っています」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「第7戦シルバーストンは私たちにとって非常に大切な機会となりました。マシン・セッティングを大幅に変更したことでイサン(ゲバラ)は速く安定して走れるようになり、決勝でも素晴らしい戦いを見せてくれました。あのときに採用した変更箇所が今後の数戦でも活かされると確信しており、当然これをトニー(アルボリーノ)にも試します。それにより今の苦しい状況から抜け出し、本来の強さを取り戻してくれることを期待しています。トニーにはそれだけの力があるのです。結果がついてきていないことは確かですが、彼自身もチーム全体も、真のプロフェッショナルとして最善の解決策を見つけるべくハードワークを続けています」