MotoGP/Moto2
ヤマハの参戦ライダー、マシンなどMotoGPとMoto2に関する情報をお届けします。
Rd.05 4月27日 スペイン
RACE DATA
■大会名称:MotoGP第5戦スペインGP
■開催日:2025年4月27日(日)決勝
■開催地:ヘレス/スペイン(4.423km)
MotoGP
■コースコンディション:ドライ
■気温:25度/路面温度:44度
■周回数:25周(110.575 km)
■PP:F・クアルタラロ(1分35秒610/ヤマハ)
■FL:A・マルケス(1分37秒349/ドゥカティ)
Moto2
■コースコンディション:ドライ
■気温:24度 ■路面温度:39度
■周回数:21周(92.883 km)
■PP:M・ゴンザレス(1分39秒858/カレックス)
■FL:M・ゴンザレス(1分40秒351)
REPORT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
クアルタラロ選手が2位表彰台! リンス選手も13位でポイント獲得
Monster Energy Yamaha MotoGPのF・クアルタラロ選手とA・リンス選手が第5戦スペインGP決勝で素晴らしいペースを披露した。クアルタラロ選手はポールポジションからスタート後、多くのライバルからのプレッシャーに耐え抜いて2位を獲得。2023年のインドネシアGP以来となる表彰台に上った。リンス選手もグリッド最後尾から追い上げ、13位獲得と健闘した。
クアルタラロ選手はポールポジションから好スタートを切り、真っ先に第1コーナーに進入。その後方でライバルたちが互いに競り合う間にわずかにリードを拡大した。しかし4ラップ目には早くもF・バニャイア選手とA・マルケス選手(ともにドゥカティ)が接近。クアルタラロ選手はその後も10ラップにわたり懸命に抑え続けたが、11ラップ目の第1コーナー進入でマルケス選手にインから仕掛けられて先行を許した。マルケス選手について行けないと見るや、バニャイア選手との2位争いに集中。M1を自在に操りながら最大限のパフォーマンスを引き出し、バニャイア選手に1度もオーバーテイクのチャンスを与えず2位を守り切ってチェッカーを受けた。トップとの差は1.561秒だった。
一方のリンス選手はグリッド最後尾の23番手からスタート。オープニングラップでひとつ上げたあと2ラップ目でA・フェルナンデス選手をとらえ、さらに2台のコースアウトなどもあり3ラップ目には18番手まで浮上した。ポイント獲得を目指すリンス選手はA・エスパルガロ選手(ホンダ)を7ラップ目にパス。続けて9ラップにわたりR・フェルナンデス選手(アプリリア)の後ろを走行し、残り9ラップでついにオーバーテイクに成功した。ここまでにJ・ミラー選手がリタイア、J・ミル選手(ホンダ)、F・モルビデリ選手(ドゥカティ)などが転倒していたためリンス選手は12番手。そのポジションを最終ラップの最終セクターまで守っていたが、序盤の転倒後に追い上げてきたM・マルケス選手(ドゥカティ)に抜かれて13位となった。トップとの差は21.120秒だった。
この結果、クアルタラロ選手は合計50ポイントでランキング6位、リンス選手は合計17ポイントでランキング17位。Monster Energy Yamaha MotoGPは合計67ポイントでチーム・ランキング4位に浮上し、ヤマハは合計62ポイントでコンストラクターズ・ランキング5位から2位へとジャンプアップした。
Monster Energy Yamaha MotoGPは決勝翌日、ヘレス・サーキットで行われるIRTAテストに参加し、2週間後にクアルタラロ選手のホームレースとなる第6戦フランスGPを迎える。
Prima Pramac Yamaha MotoGP
ミラー選手がマシントラブルでリタイア、フェルナンデス選手は16位
ヤマハが表彰台復帰を成し遂げたこの日、Prima Pramac Yamaha MotoGPのJ・ミラー選手も14番グリッドから7番手までわずか数ラップで駆け上がる活躍を見せていたが、14ラップ目にマシンに不具合が生じてリタイア。チームメイトのA・フェルナンデス選手は16位でフィニッシュした。
ミラー選手はグリッド14番手、5列目から絶好のスタート。3ラップまでに8番手に上がり、6ラップ目には7番手に浮上した。このあとF・モルビデリ選手(ドゥカティ)と複数回にわたり接触するなどで遅れ、小椋藍選手(アプリリア)にも抜かれて11番手となっていたところ、マシントラブルによりリタイアを余儀なくされた。
ミラー選手のリタイア後、チームのすべての希望を託されたオフィシャル・テストライダーのフェルナンデス選手は16位でチェッカーを受けた。
この結果、ミラー選手は合計19ポイントでランキング16位、フェルナンデス選手は合計3ポイントでランキング20位。またM・オリベイラ選手は開幕戦タイGPで2ポイントを獲得してランキング22位につけている。
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
アルボリーノ選手15位、ゲバラ選手はリタイア
ウイーク初日から苦戦が続いていたBLU CRU Pramac Yamaha Moto2にとって、第5戦スペインGPは非常に苦い思い出となった。T・アルボリーノ選手が15位で1ポイントを獲得したものの、I・ゲバラ選手は9位走行中に他車に接触されて転倒し、そのままリタイアとなった。
ゲバラ選手は2日間の集中的な作業を通じて少しずつ競争力を高め、決勝では14番グリッドからスタート後、一時は7番手まで追い上げる活躍を見せていた。しかし結果的に努力は実らなかった。4ラップ目の最終コーナー進入で後続のD・アロンソ選手(カレックス)が転倒し、ゲバラ選手のマシンを巻き込んだ。このときの衝撃でゲバラ選手は左足をフットペダルに強く打ち付け、ブーツも破損。すぐさまメディカル・センターに運ばれ、レントゲン検査を受けて微小な骨折の可能性が判明した。近日中に再検査が予定されている。
一方のアルボリーノ選手はウイークを通じて明らかに苦戦していた。それでも懸命の走りで5ラップ目には15番手まで浮上。そのまま最後までポジションを守り切ってチェッカーを受けた。24番グリッドからのスタートでは難しいと思われたミッションを達成した。
この結果、アルボリーノ選手は合計29ポイントでランキング12位、ゲバラ選手は合計12ポイントでランキング15位となっている。またBLU CRU Pramac Yamaha Moto2は合計41ポイントでチーム・ランキング9位につけている。
MotoGP RACE RESULT
MotoGP LAP CHART

Moto2 RACE RESULT
MotoGP RIDERS RANKING
MotoGP CONSTRUCTORS RANKING
Moto2 RIDERS RANKING
COMMENT
MotoGP
Monster Energy Yamaha MotoGP
F・クアルタラロ選手(2位)
「最高! 感無量です! 表彰台に立つのは本当に特別なことです。チームやクルー、家族、友人たちと過ごしたこの一週間のすべての瞬間が素晴らしく感じられ、とくにポールポジションを獲得したときの気分は格別なものでした。スプリントと決勝でレースをリードし、最終的に表彰台に上ることができました。トップ争いは本当に楽しく、トップに立ってレースをリードするのは大好きなことです。ウイナーとの差はそれほど大きくなく、今日はアレックス・マルケス選手がやや上回っていました。またペッコ(バニャイア)を0.5秒差で抑え続けるのはとても大変でした。ここまで長い時間がかかりましたが、ようやく表彰台に戻って来られて本当にうれしいです。コース脇で応援してくれたファンの皆さま、家で'ライダー・オブ・ザ・レース'に投票してくれた皆さま、すべての方々に感謝します。彼らは昨日の転倒のあとも拍手で励ましてくれました。次は母国フランです。ル・マンは大好きなコースですし、大勢のファンが見に来てくれます。特別のカラーリングも見られるでしょう。ホームGPを前に表彰台に上れて'スーパー・ハッピー'です」
A・リンス選手(13位)
「昨日の激しい転倒のあと痛みが残っており、体調も万全ではなかったため厳しい戦いになりました。それでもなんとかレースを走り切ることができました。疲れていますが、いつものことです。今日はマシン・セッティングを少し変更しました。レース中に何度かオーバーテイクもできましたが、最終ラップの第11コーナーでマルク(マルケス)に抜かれてしまったのは残念です。ファビオ、おめでとう!ついに成し遂げました。チームにとって大きな励みになります。ただただ最高です!」
M・メレガリ(チーム・ディレクター)
「見事な2位で表彰台に戻ってくることができました! 私たちは金曜日の時点ですでに可能性を感じていました。そしてファビオとチームクルーが今日、すべてのピースを揃えてくれたのです。ファビオは最初から最後まで懸命に戦い抜きました。彼の努力の結果がここに現れたわけですが、皆さんもご存知の通り、その裏にはチームやヤマハ・エンジニアの継続的なハードワークがありました。最後に表彰台に上ったのは2023年のインドネシアGPだったので、大変な戦いを経てようやく手にした今回の表彰台は本当に特別です。
アレックス(リンス)もまた厳しい状況をポジティブな結果に変えました。23番グリッドから13位まで挽回したのです。何度もオーバーテイクを成功させ、私たちの着実な進歩と競争力向上を証明してくれました。明日のIRTAテストではマシン開発をさらに進めます。今日の好成績を踏まえ、明日は超ハイレベルまでモチベーションを引き上げて臨みます」
Prima Pramac Yamaha MotoGP
A・フェルナンデス選手(16位)
「ファビオはウイークを通じてとても好調で、今日も同様に非常に素晴らしい仕事をしました。彼はマシンを知り尽くしており、弱点を最小限に抑えながら限界までプッシュすることができます。これは私にとってもとてもうれしいことです。ヤマハのV4プロジェクトが話題になる一方で、私たちはこのマシンの改良を続けています。少しずつアップデートし、細部をさらに煮詰めてライダーのフィーリング向上を目指して仕事に取り組んでいるのです。ジャック(ミラー)もまた、今日は不運がありましたが素晴らしいペースを見せているので、この方向性を維持していくつもりです。私自身はこの数戦の経験を通じて大きく進歩しました。でも自分の役割を考えればニューパーツのテストが重要で、そのなかであとコンマ数秒を短縮するのはかなり困難なことです。それでもここまでの成果にとても満足しています」
J・ミラー選手(DNF)
「午前中にマシンのフロントエンドを少し調整し、ブレーキング性能を損なわずに良い感触を得られるようになりました。レースは順調に進んでいましたが、ある時急に、そうではなくなってしまいました。マシン後部の配線の束が通っているところでフェアリングを留めるボルトが当たっていて、最終的に重要な線が数本切れてしまったのです。今日はポイント獲得のチャンスがあったのに、それを逃してしまいとても残念です。でもそれがレースというもので、自分がミスすることもあればマシンに問題が出ることもあります。次はフランスGPというのはうれしいです。そこでまた全力で戦います。決勝中は最終コーナーと第1コーナーでモルビデリ選手に接触され、その間にビンダー選手とアコスタ選手に抜かれてしまいました。でもそのあともう一度追いつき、その頃にはマシン・バランスのフィーリングも良くなり始めていました。でもその成果を見られないまま終わってしまったというわけです。今は明日のテストをとても楽しみにしています。グリップ、気温、レイアウトともに'ノーマル'と言えるこのコースで、さまざまなことを試す予定です。ちょっと楽しみながら、ここからさらに先へ進みます」
G・ボルゾイ(チーム・ディレクター)
「序盤の走りが素晴らしかっただけに、これほど悔しい結果に終わったレースについてコメントするのは簡単ではありません。ジャックはスタートから非常にアグレッシブで、素早く表彰台を狙える位置まで上がりました。トップ10は確実に手に届くところにあったので、私としてはそのことを重視したいと思っています。ファビオが見せてくれたようにヤマハは進化しており、コースとコンディションがぴったり合えば上位を狙うことができます。今日のようなレースがチーム全員の士気を高めてくれます。その精神を今後も持ち続けたいと思っています。次はル・マンです。チームとしてミゲール・オリベイラ選手の完全復帰を願っています」
Moto2
BLU CRU Pramac Yamaha Moto2
T・アルボリーノ選手(15位)
「厳しい戦いになることは始めからわかっていました。チームが状況を変えようと懸命にハードワークを続けてくれましたが、結局、最後の決勝で最も苦戦することとなりました。1ポイントは決して十分ではありませんが、私としてはなんとかして結果を持ち帰ろうと歯を食いしばって走り続けました。課題はまだたくさんあります。改善のために何ができるか、数日のうちにチームで話し合う予定です。最も重要なのは集中し続け、モチベーションを持ち続けることです。どのくらいかかるかわかりませんが、必ず答えを見つけます」
I・ゲバラ選手(DNF)
「身体は大丈夫です。そして走ることができた数ラップについてはとても満足しています。スタートがとてもうまくいってポジションを上げ、ボスコスクーロ勢をリードするひとりになりました。マシンのフィーリングも良く、気持ちよく走っていたのですが、最終コーナーで強烈な衝撃を受けました。フットペダルに足が引っかかってブーツも壊れてしまいました。すぐにメディカル・センターに運ばれ、小さなひびが見つかりました。でも詳細についてはCTスキャンを受ける必要があるそうです。このようなことになりましたが、今は良かったところに気持ちを集中し、ウイークを通じて着実に進歩できたことだけを考えています」
A・デ・アンジェリス(チーム・マネジャー)
「イサン(ゲバラ)のレースについては非常に残念に思っています。ここ数戦に比べて明らかに改善されており、ウイークのなかでも素晴らしい取り組み方で日に日に前進していたのです。そして今日、すべての条件が揃い、ボスコスクーロ勢のトップや2番手と互角に競り合えるまでになっていました。あの瞬間もイサンはとても落ち着いていて、状況をコントロールし、まだ長く続くレースの展開を待っていました。そのとき突然、アロンソ選手がミスをしたのです。彼はレース・ディレクションにより次回のグリッドの1ポジション・ダウンのペナルティを受けました。イサンは追加検査を予定していますが、これ以上のダメージがなく、次のレースで復帰できることを願うばかりです。トニー(アルボリーノ)については厳しいウイークのなかで1ポイントを持ち帰ってくれました。冬のテストですでにわかっていたことですが、最後までセッティングに苦戦しました。彼がベスト・パフォーマンスを発揮できるようなベースを見つけられるよう今後も努力を続けます。彼が以前乗っていたマシンとはかなり異なっていて、とくにグリップの高いコースでは苦労するようです」